バカと怪異と|過負荷《マイナス》の王   作:双月崩

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第十三話

瑞「皆さん。作ってきましたよ」

 

悪夢の始まりはその一言だった。

 

雄「おお。そういえばそんなことも言ってたな。よし明久、俺が飲み物買ってくるから先屋上行っててくれ」

 

明「分かったよ雄二」

 

波「一人じゃ持ちきれないでしょ。あたしも一緒に行くわ」

 

雄「すまない。助かる。じゃあ俺と島田は後で行くから」

 

明「分かった。待ってるよ」

 

その時僕は今日も作ってくれた戦場ヶ原のお手製弁当を持っていった。なぜかは分からないが、非常に危険な気配がしたからだ。

 

<屋上>

 

明「雄二たち遅いね。どこまで行ってるんだろう」

 

康「…………遅すぎる」

 

瑞「じゃあ食べながら待ってますか」

 

姫路がそういってお弁当のふたを開ける。そこには見た目はおいしそうなお弁当が詰まっていた。その瞬間。

 

目の前でから揚げが一瞬のうちに消え、そして・・・・・・・

 

土屋康太が痙攣しながら横たわっていた。

 

明「どうしたの!ムッツリーニ!」

 

突然のことにあわてる僕ら、すると土屋は震えながら親指を突き上げた腕を上げた。

どうやら姫路においしかったと伝えたいのだろう。

 

瑞「良かった。まだお変わりはたくさんありますからね」

 

うれしそうに微笑んだ顔が恐ろしかった。

僕らが戦慄していると、坂本たちが帰ってきた。

 

雄「何だ。もう広げてたのか。それにしてもうまそうだな」

 

そういってエビフライをつまみ上げ、口の中に放り込むと・・・

 

坂本の大きな体が突然倒れた。

なにやら吉井たちと話している気配がした後

 

雄「う・・・うまかった・・ぞ」

 

といいながら動かなくなった。

嫌な予感しかしない。

そしてまた一人倒れた。

 

禊「『みんな、君のお弁当を食べて倒れたみたいだけど』『どうしてかな?』『それと僕にもくれるかい?』『朝から割り箸しか食べてないから』『おなかがすいてるんだ』」

 

瑞「そうなんですか!?」

 

暦「僕にもくれるかな?」

 

意を決して僕も頼んでみた。

 

瑞「はい!どうぞ」

 

そして僕と球磨川が同じタイミングで弁当を口にして、同じタイミングで同じ台詞を言った。

 

暦禊「「まずい!!」」

 

みれば球磨川はいつものヘラヘラ笑いをなくして叫んでいた。が、すぐにその笑いを顔に貼り付け、

 

禊「『これは本当に食べ物かい?』『こんなものを毎日食べてたらいつか死んじゃうね』『これは僕にはどうにもできないや』」

 

そういうと一人分を平らげて、

 

禊「『これを片付けるくらいのことしかね』」

 

といって前のみんなと同じように倒れた。

僕は吸血鬼体質のおかげで何とか意識を失はずに済んだ。こんな劇物人が食べていいようなもんじゃない。

 

暦「姫路お前これ味見したか?」

 

瑞「いえ・・太るのが嫌でしてないですけど・・・何がまずかったんでしょうか?」

 

いかにも必死という感じで僕に迫ってくる姫路。

 

暦「料理の基本だぞ!味見なんていうのは!レシピ通りに作ってこれなのか?」

 

瑞「いえ!酸味が足りないかなと思って」

 

暦「思って?」

 

瑞「硫酸を入れました」

 

暦「アウト~~~~~~~~~~!」

 

瑞「どうしたんですか?」

 

自分で言って気づいてないらしい。みれば島田や吉井、いつの間にか復活していた坂本たちが震えていた。

 

暦「はぁ。姫路。お前料理うまくなりたいか?」

 

瑞「はいっ!もちろんです」

 

暦「分かった。なら金曜日に毎週僕のうちに来い。」

 

瑞「ほぇ。どうしてですか?」

 

暦「(妹が)料理を教えてやるから」

 

あいつらも事情を話せば付き合ってくれるだろう。と、僕は妹に許可を取らず妹にこの殺人兵器を作り出す困ったクラスメイトを任せることに決めた。

 

雄「お前が教えるのか?阿良々木」

 

暦「いや。妹に頼む。それと島田、お前何も食べてないだろ?僕の弁当やるよ」

 

波「あんたはどうするのよ」

 

暦「僕はこれを食べるから問題ない」

 

明「あれ?僕は?」

 

雄「お前は食べなくても大丈夫だろ」

 

ちなみにあらかじめ弁当の中身は確認しておいた。誰かにみられて困るようなことはないはずだ。

 

 

 

 

こうして地獄のような悪夢のような昼は終わった。

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