本作の読みはややこしいですが「あけよのざんこう」です。
頑張って書いていきたいと思うので宜しくお願いします
プロローグ
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目覚めると、そこは茶の間だった。四方の壁が本棚で囲まれており、床は畳。その空間の中心には、
「……は?」
あまりに突然のことで放心している『彼』だったが、後ろから声をかけられる。『彼』が振り向くと、
「待たせたな」
背後から現れたのは、老人だった。『彼』が二度目の放心状態に入っているのを歯牙にもかけず、炬燵にすぐさま入る。すると老人が、炬燵をしきりに指さしている。その意図をくみ取り、『彼』も炬燵に入った。
「あのー、すいません。此処って一体何処なんでしょうか?」
「ここは、天国の外側。アウターヘイブンだ」
「またまた~、ステルスミッションするゲームじゃないんですから。……嘘ですよね?」
「……はっきり言おう。アウターヘイブンは嘘だが、天国の外側というのは本当じゃよ。正確には、天国と地獄の境目の、儂のプライベートルームだがね」
それを聞いた『彼』は、この状況に酷く納得した。なぜなら、『彼』はこの茶の間に居る前のことも、自分の名前すらも思い出せなかったからである。
「っていうことは、貴方が神様ですか?」
「応とも。儂、神様じゃよ?ほれほれもっと崇めろ崇めろ」
「何で俺はここに居るんです?」
「スルーされた……神様悲しい……。そうじゃな、これを見ればわかるじゃろう」
神様が指をパチンと鳴らすと、炬燵の卓が左右に展開する。その中からTVが、みかんの山を割って現れた。
「とりあえず、これを見るといい」
神様に言われた通り、『彼』はTVを見る。そこには、目が普通じゃない男が、女性に乱暴しようとしている映像が映し出されていた。その直後、暴漢と女性の間に割って少年が現れた。
「この少年が君じゃよ」
「成る程、この後俺はこの暴漢に殺されてしまったわけですか……」
「じゃが、君のおかげで女性は助かっておる。君の命は無駄ではなかったぞ。いやぁ、今日日見たことのない真っ直ぐな男じゃな。儂はひどく感銘した!」
「あはは、ありがとうございます」
神様に褒められ、『彼』は照れを隠すように頬を掻く。
「でも、そしたら何で俺は神様と会ってるんです?普通、天国か地獄に行くんじゃないんですか?」
『彼』の言葉に、神様も頷く。
「確かに普通はな。じゃがな、儂はそれではもったいないと思うのじゃよ。なので、君を転生させることにした」
「転生って、よくWEB小説にあるあの転生ですか?」
「そうじゃそうじゃ。呑み込みが早くて助かる。じゃがな、転生先はどこだか分からないうえにどういうタイプの転生なのかも不明、原作のあるものでも知っている『原作知識』は記憶から消されてしまう……。じゃから、本人の了承を聞こうと思って君をここに呼んだんじゃよ。」
「そうでしたか、わざわざありがとうございます。もちろん転生させて頂きます!」
「なら、早速転生先の選定をするかの」
神様がそう言うと、炬燵の周囲にあった本棚とその中身が次々とシャッフルされている。数十秒後、元に戻った本棚の1つから、1冊の本が神様の元へとやってきた。
「ほぉ、
神様がそう言った瞬間に、『彼』の意識は暗転した。
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「検体番号E-5 出ろ」
鉄格子が開き、研究者然とした格好の男が現れる。男は、その部屋にいる9,10歳くらいの少年の集団から目的の少年を見つけると、男の後ろにいる2人の黒スーツ男につまみ出すよう指示をした。黒スーツの男たちは指示通り、少年を強引に部屋から出す。
「やあ、調子はどうだい?」
男がそう問いかけると、今まで顔を俯かせていた少年は顔を上げる。漆のような黒髪、顔立ちも整っているが、その両瞳――右が黒、
「おっと、怖い怖い。だが、
こうして、少年は連行された。
少年が連れていかれた先には、男と同じ研究者が
「コアは正常に安定している。いつでも良いぞ。……全く、何をもたついてるんだ!!」
「同感だ。早く実験を進めて、これを真に我らの力にしなければならんと言うのに」
「ガキを早くしろ。さあ、データデータデータデータデータぁ!」
「すまない、遅くなった。さあ、サンプルをここに」
黒スーツ2人は拘束していた少年を突き飛ばした。
突き飛ばされた少年は転びかけたが、すぐに体勢を立て直した。少年は突き飛ばされたことに内心舌打ちしながら、研究者たちのもとへと歩く。歩きながら少年は、これから自分が搭乗
IS。正式名称 インフィニット・ストラトス。無重力下、つまり宇宙での活動を目的として4年前に作られた
だが、国家ではなく、非合法の組織からすればISのスペックの高さは禁断の果実だった。曰く、通常兵器が一切効果がない。これは、今までの戦闘行為がただの児戯に等しい。
しかし、このISには致命的とも呼ばれる欠陥が存在する。男は搭乗不可能なのである。
ならば、何故彼らはこの少年をISに搭乗させようとしているのか?
「検体番号 E-5。年齢 10。
「さあ、そのIS『
男の命令に従い、少年はISに触れる為一歩踏み出す。少年とてこの自殺行為をしたくはないが、少年たちサンプルの首筋には小型爆弾が埋め込まれている為、逆らえば即爆発させられる。少年は、仲間の2人が吹き飛んだ姿を思い出しながら、ISの前に立った。
ISは、まるで主人を待つ忠義に厚い騎士のように鎮座している。
「ぐずぐずするな!!!早くISに触れろ!!!」
苛立つ研究者たちの機嫌をこれ以上損ねまいと、少年はISに触れた。
直後、おびただしい情報の数々―――――――ISの基本動作、操縦方法、性能、装備、可能稼働時間、センサー精度 etc…―――――――が直接意識に流れ込む。
少年は、あまりの情報の多さに気分が悪くなったが、いちいち黒スーツに殴られるのは億劫なので耐えた。
「やった、成功だ!成功したぞ!」
「早速武装を展開しろ!」
「ヒャッハー!!データだぁ!」
だが、研究者たちは気づいていなかった。少年の様子がおかしいことに。
すると、少年の右腕から高周波の音と共に光の粒子が放出される。それはすぐに形を成し、IS『打鉄』の基本武装である長大な実体刀になって少年の手の中に収まっていた。
「順調順調。さあ、次は性能試験だ。早くしろ」
しかし、男の言葉に少年は動かない。
「何をしている!早くしろ!」
「……性能試験か。確かにこいつの試験には丁度いい
「何を言って……」
瞬間、研究者の内の1人の首から上が斬り飛ばされる。頭を失くした研究者の首からは鮮血が迸り、まるで赤い噴水のようだ。
男の内の1人が小型爆弾のスイッチを押そうとする。少年は切り払った刀を、返す一刀でその男の両腕を斬り落とした。
「あぁぁぁぁぁっぁっぁっぁぁっぁっぁぁぁ!!!!腕がぁ!」
「こちら研究室!検体番号 E-5が実験に成功だがISで反抗してきた早く増援を早く早く早くぅ!」
「おいおい、もっと楽しましてくれよ?まさか、狗に手を噛まれるとは思わなかったのか?」
宙を浮きながら、鮮血に染まった打鉄が研究者に迫る。その間に、黒スーツたちが割って入り、銃器で応戦した。だが、それは無駄でしかなかった。
「はぁ?お前ら知らないのか?そんな豆鉄砲じゃぁ、ISに掠り傷一つつけられない……ってさぁ!」
少年は、刀を振るう。剣術などに一切の心得がない少年だが、ただ乱雑に振るっているだけなのに紙のように斬り裂かれていく男たちが滑稽だった。
「ははっはっははっははははははは!
「た……頼む。た、助けて……」
男は腰を抜かし、後ずさっていく。あまりの必死さに少年は
「……誰が助けるか。今まで何人も、モノとして殺してきたアンタを生かすなんて出来るのは、聖人君子さまだけだよ」
「わ、悪かった……。す、すまないと思っている!だがこれは命令だったんだ、仕方がないだろう!?」
「命令の割には楽しそうだったじゃないか」
「わ、私には妻と娘が居るんだ……。頼む、許してくれぇ……っ」
後ずさっていた男だったが、ついに壁に追い詰められてしまう。
少年は刀を振り上げ、笑う。
「これで、終わりだ」
「……終わるのは、お前だクソガキぃぃぃぃぃ!」
少年が刀を振り下ろす前に、男は隠し持っていた小型爆弾のスイッチを入れた。
パァン、と乾いた音が部屋に響く。
そして
「ば……馬っ……鹿……n……」
男の胸に刀が突き刺され、男は狼狽した表情のまま絶命した。
少年の首からは大量の血が迸る。同時に突然ISも解除され、少年は血濡れのまま、床に叩きつけられる。
「……っ……」
少年は、「やってやった」と言おうとしたが、口からは空気がか細く流れる音しかしない。
(ここで終わりか……。まあ、最期は悪くなかったから良いか……)
誰かがこちらへ向かってくる足音を聞きながら、少年は意識を手放した。
次回予告
とある機動戦艦の整備班班長「哀れ暴漢に殺された主人公の転生先は、これまた非情な実験体!果たして、この物語の主人公はどうなってしまうのか!そして、この物語の方向性もどうなってしまうのか!次回、主人公に近づいた足音の主が明らかに! 次回、IS 朱夜の残光『「暗部の末席」でいこう!』を、皆で読もう!」