コンコン。
お前がノックするのか。
「お、来たか。入ってくれ。」
中から返事が聞こえると、服部はすぐにドアを開けた。
「どーもー、お連れして来ましたー。」
「ありがとう服部。ご苦労だった。」
服部に労いの言葉をかけたこの生徒がたぶん生徒会長だろう。椅子に座っている状態でもだいぶ貫禄がある。
合わせて2人しか部屋にいなかったのを見ると、もう1人の黒髪の方が副会長だろうか。
「道中、何もありませんでしたか?」
副会長(推定)が服部に声をかけた。
「ええ、というか、道中っていうほど長く無かったッスからね。じゃ、自分はここまででいいッスか?」
「ええ、ありがとうございました。」
「それじゃ、失礼しましたー。」
そう言うと、服部はドアを開けて生徒会室から出て行った。
服部がいなくなると、まずは生徒会長(推定)が口を開いた。
「ようこそ、グリモワール魔法学園へ。よし、じゃあ、自己紹介からだな。アタシは生徒会長の武田虎千代だ。そして…」
「副会長の水瀬薫子ですわ。」
2人ともにこやかに自己紹介してくれた。
…生徒会長の方は分からないが、副会長はアタシを警戒しているのが分かる…いや、ここで触れたら余計面倒だ。
「九十九 湧魔(ツクモ ユウマ)です。よろしくお願いします。」
「ああ、よろしく。さて、じゃあ早速だが面談を始めるとしよう。…まあ、入学についての事は卯ノ助からもうほぼ聞いているだろうから…九十九、お前自身の事を聞きたいな。」
ふむ、やはりか。
「…いいですよ。ただ…話す前にそこのドアの向こうに張り付いてる人どっかやって下さい。」
「ギクゥ!」
ギクゥって口に出す人いるんだ。
「そういうことですか。服部さん、お願いします。」
「りょーかいーッス!」
ドアの向こうから服部の返事が聞こえた。まだいたのか。
「さーさー行きますよー、先輩。」
「あー!ちょっと!あんたが案内役するなんて絶対ワケありでしょ!特ダネ確定じゃない!」
「それでも盗み聴きさせる訳にはいかないッスねー。遊佐先輩にでも聞いてみたらいいじゃないッスか。何か知ってるかもしれませんよ?」
「あんたそれ遠回しに知るなって言ってるでしょ!仮に知ってても部長が簡単にそういうの教えてくれる訳ないじゃない!」
服部と誰かの声が十分遠ざかるのを待って、アタシは会長に向き直った。
「はい、で、何から話せばいいですか?」
〜20分後〜
「…なるほど。こちらが聞きたいことはだいたい話してもらったな。ありがとう。」
話さなけりゃ信用してもらえないからな。
「では、九十九さん。あなたからは何か質問はありますか?」
質問…か。
今のアタシが知りたいことは1つだ。
「クエスト…クエストにはいつになったら出られる?」
「クエスト? そうだな、まず魔力測定を済ませ…その後に得意魔法の確認、最後にある程度魔法の制御が出来るようになったら…最低限必要なのはこれぐらいだな。」
「分かりました。それを済ませばいいんですね。」
「…九十九さん。」
何だ、ずいぶん怪訝な表情を向けてくるね副会長。
「クエストに積極的なのはいいことですが…何故そこまで?」
何故?決まってる。
「金です。」
「何?」
「報酬金ですよ。…クエストの。」
必要だから。