ゲート・サイヤ人来れり   作:野菜人

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プロローグ サイヤ人(偽)が来た!!

20XX年。

 

俺、田中 浩二25歳は脳波で操作する最新ダイブゲーム、ドラゴンボールダイバーズをプレイしていた。

そう、ゲームをプレイしていただけだ。

麻薬なんて絶対にやっていない、ごく普通の男だ。

 

何かが起こったはずだ……混乱する頭で直前の事を思い出す。

そう、俺はゲームの中でドラゴンボールを七つ集めて、神龍の願い事。

『新しい冒険へ』を選択した。

ただ、それだけだったはずなのに……。

 

俺は緑が一杯の平原に居た。

 

どうしてこうなった?

まさか本当に人生のやり直し?

神龍さんが、マジで願いを叶えた?

確かに平凡な日常にちょっぴりのスリルとエロスを求めていたが……。

俺の部屋は? パソコンは? エッチな保健体育の教科書は?

まさに何もない、ただの平原のようだ。

 

「マジで何もない……ん?」

 

耳にした自分の声に激しい違和感を覚える。

喉でも傷めたか?

だが、痛みはない……。

喉をさすってみたりしたが問題はない。

……あれ?

 

さすっている腕を見てみると俺の腕はかなり太くなっていた。

自慢ではないが、俺はモヤシのように細い男だ。

しかし、慣れ親しんだ細い俺の腕は見る影もなく、筋肉でガチガチになっていた。

 

「コスプレ?」

 

腕から自身の着ている見覚えのある服……いや、戦闘服に頭が痛くなる。

そして何より俺の頭を痛くしたのは……。

 

「尻尾……」

 

そう、尻尾である。

俺の尾てい骨辺りに茶色い尻尾が生えていた。

そう、サイヤ人の尻尾にサイヤ人の戦闘服。

まさかこれがゲームを通じで異世界に転移するアレか?

 

だとしたら俺は……自分が育てた最大レベルのサイヤ人になれたという事か?

……。

ゴクリ。

やれるのか……?

手のひらを前に突き出し……。

ゲームと同じようにイメージしすると、手から黄色くて丸い物が手のひらから出現した。

 

「出た! 出ちゃったよ!! マジか!?」

 

俺は興奮に打ち震えた。

気弾ですよ気弾!!

つまりこれは全男子の夢である、かめはめ波も舞空術も出来ちゃうわけですよ!!

 

「ハハハ! 夢が広がるぜ!!」

 

この身は戦闘民族サイヤ人。

しかもだ、手塩にかけて育てた最高のパラメーターを誇り、ゲームの中では破壊神ビルスを打倒した。

まさに最強無敵!!

 

「ほう、ずいぶんと楽しそうだな侵略者?」

 

は?

おかしなテンションから現実に呼び覚ましたのは女性の声と……。

俺に向けられた沢山の刃物と弓だった。

 

「は?」

 

「お前の容姿と尻尾から察するに、獣人と人間のハーフか?」

 

「見たこともない鎧だが……帝国の物か?」

 

質問をしてくる女性たち……。

しかし、彼女たちは俺をさらに混沌の渦へと叩き落す姿をしていた。

男を惑わすようなエロい鎧。

そして…一番俺が気になったのは……彼女達の頭部についているウサギの耳だった。

 

え? ここってドラゴンボール的な世界ではなかったの?

ひそかに18号さんに会うことを期待していた俺の夢は打ち砕かれたのであった。

 

「今からする質問に素直に答えろ。じゃないと殺す」

 

「あ、ハイ」

 

ギラリと太陽の光によって光る刃物に怯え、彼女達の質問にハキハキと答える。

え? 最強無敵? 何の事ですか?

私は日本のパンピーサラリーマンですよ?

殺す価値もない、ただのゲーマーですよ?

でも何だろうか……彼女たちに刃物と今まで感じたことのない敵意を浴びた時。

僅かだが、興奮して体が熱くなった。

 

………。

 

数時間後

 

彼女たちの質問にハキハキと答えた俺は……。

 

「お前…誇りはないのか? 本当にあたいら、ヴォーリアバニーと同じ戦闘民族なのか?

まあ、体はすごく立派のようだが…」

 

「ははは」

 

なんか呆れと哀れな視線を向けられた。

そう、俺はハキハキと質問に答えた。

もちろん日本人としての俺ではない。

俺がメイキングしたサイヤ人、ゼノンの事だ。

異世界とかゲームとか正直に話したところで、嘘か妄言と判断されて殺されるかもしれない。

命が大事な俺は、それっぽく適当に話した。

 

何処から来た?

 

辺境っす!

 

何者だ?

 

戦闘民族サイヤ人っす!

 

見たことのない鎧だが、帝国の手の者か?

 

帝国? 何それ美味しいの?

 

……他に仲間はいるのか?

 

俺以外滅ぼされたっす!

 

 

まあ、こんな感じにハキハキと答えた後、彼女たちの指示に従って彼女たちの村に連行。

そして彼女たちの指示に従い、躊躇なく全裸となって、木製の檻に入れられております。

以前の物よりも、格段に大きくなった下半身のジョニーが涼しいぜ……。

それにしても……。

檻の隙間から見える家。

どれもこれも木でできており、文明レベルはかなり低い物と考える。

そして家の屋根に止まる見たことのない鳥……マジで異世界なんだな……。

こうして俺の異世界生活が始まった。

 

 

サイヤ人になって強制、全裸生活二日目。

 

 

見張りのデリラとそこそこ仲良くなり筋トレをしていた。

 

「ほら、何時までもそんな凶悪なモノをブラブラさせてないでこれを巻きなよ」

 

「おお! ありがとう!!」

 

全裸生活二日目、体の調子を確かめる為に運動していたら呆れた表情のデリラに腰巻をもらった。

 

 

全裸生活! 終了!!

 

 

腰巻を装備し、再び運動を開始する俺。

しかし、腕立て伏せにスクワットをかれこれ百回以上続けているのに、いつまでやっても疲れを感じない。

なるほど、体力もサイヤ人レベルか……。

身体能力的にはここから簡単に脱出は出来る。

でも…飯はくれるし、暴力も振るわれない。

全裸ではあったが、扱いは酷くないのだ。

 

「それにしてもアンタ、朝起きてから今まで鍛錬するなんて、すごい体力しているね。

戦闘民族っていうのは本当だったんだ」

 

「信じてなかったの?」

 

「そりゃあ、そうさ。見た目はともかく、アンタ全然戦士らしくないからね。

ここら辺の戦闘民族だったら、捕虜になるくらいだったら道連れにしようと暴れるのが普通だよ」

 

デリラの話を聞いて愕然とした。

どうやら文明レベルが低いどころか、石器時代の人間並みの思考を彼女たちはしているようだ。

そうだよね……。

朝から狩りに行く姿や、洗濯は木の板でやっている時点で俺の知っている人類の文明とはほど遠いもんな。

しかも、村の人々は全員女。

つまり、彼女たちはアマゾネスというヤツなのだろう。

 

「デリラ、もういいわよ。

そいつは解放だって」

 

「へぇ、拷問しないの?」

 

「だって、帝国も知らない田舎もんよ?

拷問しても得られる情報なんてないよ」

 

この村の事を考えていると金髪のうさ耳が現れた。

どうやら俺を解放してくれるらしい。

それにしても田舎者って……俺から見たらアンタの方が田舎者以下だよ。

心の中で文句を垂れつつ、木製牢屋から解放。

腰布から、サイヤ人の戦闘服へ着替えた。

 

「ところでアンタはこれからどうするの?」

 

着替え終わったところで、近くにいたデリラが俺の今後について質問をして来たが俺は即答できなかった。

正直、元の世界のジャンクフードやパソコンが恋しい。

しかしだ、せっかくサイヤ人となって、巨大な力を手に入れたのだから、それを振るわず帰るのは惜しい。

とりあえず飽きるまで、この世界を楽しみつつ、ドラゴンボール的なものを見つけて元の世界に帰ればいいかな?

無理だったら男の夢であるハーレムを作って永住するのも悪くないかもしれない。

 

「とりあえず、そこら辺をブラブラしながら旅にでるよ」

 

「ふーん…ま、死なない程度に頑張んなよ」

 

彼女にそこそこな激励を受けつつ俺は村を出た。

村を出た俺を待っていたのは彼女たちに捕まった平原。

 

「舞空術で飛んだ方が早いよな」

 

その場で立ち止まり、辺りを見渡す。

周りには、誰もいない……。

誰もいないことが分かった俺は緊張とワクワクの混じった感覚でゲームと同じ要領で空を飛ぶ。

 

「飛んだ!! 飛んだぞ!!」

 

人類は空を飛ぶために飛行機を作り、空を飛んだ。

しかし、俺はちがう。

同じ空を飛ぶでも、機械に頼らず自身の力で空を飛んでいる。

おそらく俺はこの感動と、どこまでも続く平原の景色と一生忘れる事はないだろう。

 

そして……この後、俺の薄っぺらい人生の中で最も重要な戦いの幕が、人知れずにゆっくりと上がり始めたのだ。

 

 




ならしで投稿。
感想や評価などをお待ちしております。
特地の人間と会話等が成立するのは未来の超科学の設定よってアバターである主人公にも影響が出ているので話せるという設定になっております。
まあ、翻訳コンニャクのようなものだと思って頂ければよろしいと思います。
もしくは神龍さんが知らない土地でも大丈夫なようにしてくれたのかもしれないですね。
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