ゲート・サイヤ人来れり 作:野菜人
「今日は、酸素について教える」
「了解した」
本日の俺は、コダ村の外れに住む魔法使いの自宅で酸素についての授業を行っている。
何故、俺が理科の教師紛いな事をしているのか?
それは、彼女レレイ・ラ・レレーナが俺とコダ村の住人達との橋渡しをしてくれている対価だ。
はじめは舞空術や気などを教えて欲しいと言っていたのだが、長い時間血反吐を吐くくらい鍛える事になると知った彼女は気の事は諦めて、サイヤ人の知識や文明について聞きたいと言ってきたのだ。
授業のはじめは、それなりに順調であったのだがネタが尽きてどうしようと考えていた時、書斎の存在を思い出したのである。
『ユーザーにリアリティを』という言葉通りに制作されたVR。
その最先端であるハードとソフトは並大抵のものではない。
『キャンプセット』に登録されている『カプセルコーポレーション』や『亀ハウス』、『悟空の家』には参考書やエロ本がある。
亀ハウスには亀仙人が愛読していたとされる水着ギャルのエロ本。
悟空の家には、孫 悟飯が使用していたとされる小学生~大学生までの参考書と教科書。
そして、我が自宅となっているカプセルコーポレーションには様々な参考書や専門誌が書斎に大量にある。
もちろん本の中身は出版社の許可をとっているガチ仕様。
ちなみにエロ本は賢者カトーの愛読書となっており、秘術を教えるから一冊だけでもくれないか……?と迫ってくる。
最近は巨乳のパフパフ物にはまっているらしく、俺の嫁さん達や村の女性たちにパフパフさせて下さいと真剣な表情でお願いしてはボコボコにされている。
「まあ、そんなわけで酸素は炎を燃やすために必要なものであり、俺達人類が生きる為に必要な要素の一つなんだよ」
「ゼノン……サンソについては理解したがサイヤ人とは強くなれば、超サイヤ人ゴッドという神に至れる亜神のようなものであり、人類ではないと理解していたが?」
「いやいや! 俺人類だからね? 話に聞いた亜神みたいに不死身ではないし、普通に酷いケガをすれば死ぬからね?」
体力ゲージも在るしゼロになればさすがに死ぬと思う。
「……人類は、魔道具もなしに空を飛べないし、魔法も使わず大木を蹴り砕く事は出来ない。
ましてや髪の色が変化したり軍隊と地面を消滅させたりはしない」
「それは……戦闘民族だからとしか言いようがないな」
レレイの言う通り、確かに俺も飛行機や道具を使わず空を飛ぶなんて人間じゃないと思う。
苦笑しながらもこの後も授業と休憩の雑談を交える。
ほどほどに楽しい授業と雑談は彼女の知識欲を満たしつつ、俺も暇をつぶせて一石二鳥。
学生の時は勉強は嫌だったが、落ち着いた年齢になると勉強が嫌でなくなるって本当なんだな。
え? 弟子のテオ?
アイツなら村からここまで走ってきては重力室で修業して、一泊して村に走って帰るを一か月に一度のペースで行っている。
コダ村から、ヴォーリアバニーの村までの距離はかなりのもので、はじめてここに辿り着いた時は汗をダラダラにして、屍のように倒れていたが今では意識を保った状態で到着するようになった。
今度、どれくらい戦闘力を上げたのか見てやろう。
レレイの授業を終えて、賢者カトーからエロ本を力ずくで回収した後、自宅に帰った俺は嫌な情報を耳にする。
のどかで平和な日々が続いたのだが……再び、帝国が動き始めたのだ。
コダ村に越してきた人と商人が話しているのをデリラ達が買い物をしている時に聞いたらしいのだが、なんでもアルヌスと呼ばれる聖地にて数百年ぶりに門が出現したらしく、帝国が軍を動かしたらしい。
話を聞いた限りでは俺やコダ村の人間には関係のない事であるが、毎日何らかのモーションを仕掛けてくる薔薇騎士団がこの事を隠す為の囮で、何かやらかそうとしているのではないかと一瞬だけ不安になったが、いざとなれば自分が超サイヤ人にでもなって、帝国をボコボコにすればいい。
そう思った俺は自宅で嫁さんが作った料理と嫁さん達を食って寝た。
もう…我慢できなかったんです……。
感想……気持ちよかった(小並感)
☆☆☆
元老院達が考えたサイヤ人の血を軍に取り入れる作戦とは別にもう一つの計画が聖地『アルヌス』にて行われていた。
その作戦とは数百年の沈黙から姿を現した『門』につながる世界を調査すること。
もし、門の向こうに繋がっている世界が、自分たちよりも劣った蛮族であった場合。
サイヤ人に取られた以上の資源や人材を確保出来るかもしれないと考えたからだ。
そして、仮にだ。
門の向こうにサイヤ人レベルの怪物が居た場合は、『悪所』にいるゴミ共を奴隷として差し出してサイヤ人を殺してもらえばいい。
どちらにしても損はなし。
先の戦いで生き残った少数精鋭の部隊を編成し、門の向こうへと向かわせた。
そこで、兵士たちは情報を集める為にいつもの様に数人の男と一人の女を帝国まで誘拐し、拷問をして情報を吐かせた。
今まで聞いたことのない言語で話す、奴隷となった被害者たちの尋問に苦労したが、帝国は長い歴史の中で言語が違う国を何度も滅ぼし、侵略してきた。
昔から行われてきた方法により、帝国の学者たちが尋問官と共に情報を吸い上げ、皇帝に報告した。
敵国はニホン。
敗戦国家で大国の属国。
政治は弱腰であり、島を占領された。
極め付けは、テンノウと呼ばれる王は国権をことごとく奪われてなお、それをよしとする脆弱な国
学者達の報告を聞いた皇帝は、ニホン国を帝国よりもはるか下に位置する蛮族であると判断し、民と元老院達の支持を取り戻す為に出兵を開始した。
日本 20XX年 夏。
東京都中央区 銀座。
ここで、世界が注目する事件が起こった。
異世界の軍勢による襲撃である。
☆☆☆
―日本―
焼野原になった戦後の日本に一人の男が現れた。
彼は倉田(くらた) 健司(けんじ)
戦後日本でリバーシという遊戯を作って一財産を一代で築いた男であり、日本初めての漫画家である。
彼の物語は世界の若者を熱狂させた。
中でもダントツで人気だったのがドラゴンボールである。
七つのボールを探す壮大な冒険に強敵との闘い。
この作品は子供から大人まで熱くさせ、映画にまでなった。
人気絶頂の漫画家であった倉田健司は「静かに暮らす」と言って、漫画家を引退。
その後の活動は、編集に居た嫁さんとイチャイチャしつつ、ドラゴンボールのアニメ化に少しだけ関わったり、気分が向いたら劇場版のシナリオを描くなどして、そこそこ広い、マイホームで細々と暮らしていた。
そして、昭和が終わり…時代が平成に変わり、男が老人となった頃。
彼は息子夫婦と孫に囲まれていた。
もちろん、これは本来の日本の歴史ではない。
リバーシはとあるサラリーマンが…。
ドラゴンボールはとある漫画家が……。
本来の製作者が物を作るよりも早く世に出た理由。
それは、彼が未来人であるからだ。
彼は未来ではそこそこ人気の同人作家であり、ゲーマーであった。
しかし、神の悪戯か? それとも夢なのか?
彼はゲームの世界の地球人のアバターとなって、戦後日本へとタイムスリップしたのだ。
そんな彼が日本で初めにしたのは未来の盗作である。
焼野原になり何もない日本で生き延びる為に、リバーシや好きな漫画を盗作した。
これも生き延びる為。
もし、自分以外の人間が過去に飛ばされたとしたら同じことをしたに違いない。
そう思って、彼は盗作を続け……。
子供が出来ても一生遊んで暮らせる金を手に入れた彼は、引退して恋人と結婚した。
子供も生まれ、順風満帆な生活を送っているうちに彼は思った。
元の世界に帰りたいと……家族に会いたいと…。
生きることに必死になっていた頃には抱く余裕すらなかった気持ちが、幸せになった今になってじわじわとやって来る。
そして、趣味もなくなり街をふらつくようになった彼は一人の男子中学生と夜の公園で出会う。
少年の話を聞くと、とある事件で父が死んで母の心が壊れかけており、見ているのが辛いらしい。
彼はそんな少年にゲーム時代に世話になったアイテムを与えた。
食べれば体力や異常状態の回復を同時に行える仙豆である。
この少年も普通の状態だったなら怪しいと思って、老人の善意を受け取らなかっただろう。
しかし、少年も母の状態にかなりまいっており、藁にも縋る思いで豆を受け取り、母に食べさせた。
その後、彼の母親は正気に戻り、母子は救われた。
その時の少年はその事がきっかけで、あの老人のように誰かを助ける存在になりたいと自衛隊に就職することになる。
ただ……フィクションのような不思議な豆と謎の老人に救われたことにより、フィクションへの憧れが強くなった少年は、仕事よりも趣味が優先のだめな大人になってしまうのだが……。
それは、まだここでは語られない。
彼がタイムスリップして本来の日本とは少しだけ違う現在。
当事者である彼は寿命を全うした。
そして、漫画家であり祖父であった彼に憧れた孫は彼が亡くなる少し前に懐かしそうに話した自分が居たという異世界に憧れる。
ただ、彼も年齢のせいでボケていた為、話したのは彼が居た日本ではなくゲームの世界についてだった。
サイヤ人やフリーザ一族にナメック星人に魔人。
さらには獣人がいる世界で自分は友人だった、サイヤ人『ゼノン』と共に大暴れしたり時には殺しあったりしたと……。
彼の孫、倉田(くらた) 武雄(たけお)は懐かしそうな表情で話す祖父の姿に異世界が妄想とは思えず、大人になっても祖父の言った異世界はあるのではないか?とふとした時に思ったりする。
だが、偶然にも将来祖父が話した異世界に酷似した世界に派遣される事になるのだが……。
今日はここまでとする。
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