冴えないヒロインと捻くれ者   作:リヨ

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やはり俺の義妹は可愛い。

今日はとうとうコミケの日だ。この前出海ちゃんに来て欲しいと言われたので、その約束を果たすために俺も会場に来ている。ちなみに安芸と加藤も。

「やっぱり来るんじゃなかった....」

「いや、比企谷が一番やる気出してたじゃん」

「まぁ妹の頼みだからな」

 

「出海ちゃん!来たよ!」

「あ!倫也先輩!お兄ちゃん!それに彼女さんも!」

「え?私誰の彼女設定?」

「えっと.....お兄ちゃんですか?倫也先輩、そんなに女性の方と関わらなさそうですし」

「まぁある意味あたってるよな」

「それにしても、本当に来てくれたんですね!私、とっても嬉しいです!」

そう言って出海は俺に抱きついて来る。やめて!二つの双丘があたってるから!

「こういう時は、八幡くんから離れなさいよこの泥棒猫ーとか言ったほうがいいの?」

「加藤、せめて言うならもっと感情をこめろ」

.....っていうかなにげに初めて名前呼ばれた気がする。

べ、別にドキドキなんてしてないんだからね!

「あと出海ちゃん、私の名前加藤恵だからね」

「かのうさんですね!」

「あー、恵でいいよ」

「はい!恵さん!」

「これ?出海ちゃんの作品?ちょっと見てもいい?」

「はい!ぜひ!お兄ちゃんも!恵さんもどうぞ!」

ペラペラとページをめくっていく.....これは。

「.....出海ちゃん、これ完売させちゃったらまずいかな」

突然、安芸がそんなことを言い出す。

「え?む、無理ですよ....私まだこれが初めてなんですし」

「いや、これ売れるぞ?なぁ?加藤もそう思うだろ?」

「うん。途中のところなんか私でもすごいって思ったよ」

「ちょっと俺準備してくる!」

そういって安芸は走り出していった。

「倫也先輩どうしちゃったんだろう?」

「とりあえず、お前の絵がすごいってことだ。自信持て」ナデナデ

「えへへ...はい!」

 

しばらく待つと安芸が帰ってきた。

「比企谷、加藤、お前ら工作得意か?」

「普通」

「私も」

「それじゃあ手伝ってくれ!」

 

俺たちが作ったのは特に衝撃を受けたページを大きい紙にコピーしてそれを自作の看板に貼り付けたものだ。

「よし!できた!出海ちゃん、忙しくなるけど頑張ろう」

「え?は、はい」

「ぜひ見ていってくださーい!」

安芸はさっそく売り込みを開始する。

するとさっそくひとりきた。

「......これ、5部ください」

「ご、5部もですか?」

出海のやつはすごい驚いてる。まぁそりゃそうかもな。

「すみません、2部まででお願いします!」

「あー、やっぱり...じゃあ2部で」

「あ、ありがとうございました!」

 

「すごい行列になったな....」

「当然だろ。あの絵を見て何も感じないわけがない」

そして、どんどん本は売れていき.....

「すみません!完売になりました!.....うぅっ」

「良かったな、出海」

「は、はいぃ..こんなに嬉しいことはありません!みなさん、本当にありがとうございました!」

周りの人達からも拍手が送られた。

 

完売になったので、片付けに入ろうとした時、

「あれ?英梨々か?」

澤村が姿を現した。

「澤村先輩ですか!?これ!今日完売した本なんです!是非見てください!」

「わ、悪いわよ。もう完売した本なのに」

「だからこそ見てほしいんです!」

「じゃ、じゃあ...」

澤村はどんどんページをめくっていく。...どんどん顔が険しくなってないか?

「.....ごめん。私やっぱりいらない」

「え....」

「ほんとにごめんなさい!」

そう言って澤村は走り出してしまった。

「お、おい英梨々!すまん!ちょっと俺行ってくる!」

....こりゃあ一波乱ありそうだな.....


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