とある妖精の航海録   作:グランド・オブ・ミル

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空島編4・妖精とサウスバード

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウキキキ!」

 

「ウォッホッホ!」

 

「ははははは!」

 

「…………はぁ。」

 

切り株のテーブルを囲み、笑って楽しくしゃべるマシラとショウジョウとルフィを見て俺は溜め息をついた。正直展開についていけてない。

 

俺達を襲ってきた男、訪ね人"モンブラン・クリケット"を看病しているとマシラとショウジョウの二人が押し掛けてきた。二人はクリケットをおやっさんと呼んでいた。どうやらクリケットは二人のボスだったらしい。そしてルフィは二人と打ち解け、ああやって楽しく会話中というわけだ。

 

「おーい!みんな!気がついたぞ!」

 

「そうですか。良かった良かった。」

 

クリケットの看病をしていたチョッパーが外にいる俺達を呼びに来た。ルフィ達の会話にどう反応していいか分からなかった俺はこれ幸いと家へと入った。狭い家の中では、ベッドの上に座り込んだクリケットがタバコを吸っていた。

 

「迷惑かけたな。おめぇらをいつもの金塊狙いのアホ共だと思った。」

 

「え!?金塊をお持ちなの!?」

 

「ナミさん、狙わないでください。」

 

「うっ……、わ、分かってるわよ!」

 

目をベリーにするナミを俺がジト目で見るとナミは慌ててコホンと咳払いをした。あの目は絶対本気だった。

 

「おっさん!俺達空島に行きてぇんだ!行き方教えてくれ!」

 

「空島?ウワッハッハッハ!!お前ら空島を信じてるのか!?」

 

「キッ!!」

 

「オイ!ナミやめろ~~~!!病人だから~~~!!」

 

「?」

 

ルフィが空島について訪ねるとクリケットが大声で笑い、ナミが怒ってクリケットに殴りかかろうとしているのをウソップが必死に止めていた。俺はそれを頭にハテナを浮かべて眺める。

 

「空島はないんですか?」

 

「フフ、さぁな。あると言ってた奴を一人知っているが、そいつは世間じゃ伝説的な大うそつき。一族は永遠の笑い者だ。」

 

「「はっ!」」

 

「俺じゃねぇよ!!」

 

クリケットが言う"伝説的な大うそつき"の部分で俺とルフィはシンクロしたかのようにハッとしてウソップを見た。さらにクリケットが話を続け、「うそつきノーランド」の話になっても俺とルフィは同じくウソップを見た。その時もウソップから「俺じゃねぇ!!」とツッコミを貰う。なんだかコントみたいで楽しい。

 

「子孫!?そしてここがお話の舞台!?」

 

「ああ、じいさんのじいさんのそのまたじいさんの…、俺の遠い先祖さ。迷惑な話だ。奴の血なんざ俺には蚊程も通っちゃいねぇだろうに。」

 

クリケットの話では、モンブラン家は当時国を追われ肩身狭く暮らすも、人の罵倒は今もなお続いているらしい。しかし、一族の誰もがノーランドを恨むことはないのだそうだ。

 

「なぜですか?」

 

「ノーランドが類まれなる正直者だったからだ。」

 

「「「え!?」」」

 

「絵本にあるノーランドの最後の言い訳はこうだ。『そうだ!山のような黄金は海に沈んだんだ!』。アホ面沿えて描いてあるが、実際は大粒の涙を流した無念の死だったという。」

 

俺は抱いた絵本に目線を落とす。そこにはこれから処刑されるというのに笑いながら檻に入れられるマヌケな顔のノーランドが描かれてあった。

 

「到着した島は間違いなく自分が黄金都市の残骸を見つけたジャヤ。それが幻だったとは到底思えない。ノーランドは地殻変動による遺跡の海底沈没を主張したが、誰が聞いてもただの苦し紛れの負け惜しみ。ノーランドは見物人が大笑いする中殺された…。」

 

「では、クリケットさんはノーランドの汚名返上のために海底の黄金都市を探して……?」

 

「バカ言うんじゃねぇ!!」

 

ドン!!

 

「エレイン!!」

 

俺が聞くとクリケットはいきなり俺に銃を発砲した。銃弾は空中に浮いていた俺の顔の横を通過し、窓から外へ飛んでいった。わざとはずれるように撃ったらしい。それでも俺はいきなりのことで心臓が縮み、空中にいられなくなってゾロの頭に落下した。以降、俺はゾロに肩車された状態でクリケットの話を聞く。エレインを肩車できるなんて…。ゾロ、羨ましい奴め。…ふざけてる場合じゃないか。

 

「大昔の先祖がどんな奴だろうと俺に関係あるか!!そんなバカ野郎の血を引いてるってだけで罵声浴びるガキの気持ちがお前らにわかるか!?俺はそうやって育ってきたんだ!!」

 

そう俺達に叫んだクリケットは気持ちを落ち着けるためにタバコを深く吸い、フーッと煙を吐き出す。

 

「だが、この400年の間には一族の名誉のためにと海へ乗り出した奴も数知れねぇ。その全員が消息不明になったがな。俺はそんな一族を恥じ、家を飛び出して、海賊になった。」

 

「へー、おっさんも海賊なのか。」

 

「なりたかったわけじゃねぇ。ノーランドの呪縛からにげたかったんだ。だが、10年前、冒険の末なんと俺はこの島に辿り着いちまった。モンブラン家を、ノーランドを最も嫌い続けた俺がだ。これも運命かと考えちまうともう逃げ場はねぇ。あるならよし、ねぇならそれもよし、黄金を見つけて奴の無実を証明したいわけじゃねぇ。俺の人生を狂わせた男との"決闘"なのさ。」

 

「……くぅ!!まさに男の……!!」

 

熱く語るクリケットにウソップはじ~んと来て涙を流している。

 

「じゃあ猿達は?あいつらは何でここにいるんだ?」

 

「そりゃまた…!海底にかける男達の熱いドラマがあったんだろうな……!!」

 

「あいつらは絵本のファンだ。」

 

「ファンかよ!!」

 

猿達とクリケットのずいぶん簡単なつながりにウソップはビシッとツッコんだ。それでも、そんな簡単なつながりでも、孤独に生きてきたクリケットは二人に救われているみたいだ。

 

「まー、猿の話は置いといてよ。」

 

「コラ!!何流してんだ!!」

 

あっさりとマシラ達を話題から外したルフィをウソップがツッコむ。そんなウソップをルフィはぐいっとどかしてクリケットに叫んだ。

 

「俺は空島に行きてぇんだよ!おっさん!!」

 

「……フフ、せっかちな奴だ。空島の証言者は"うそつきノーランド"。こいつに関わりゃお前らも俺と同じ笑い者だ。」

 

クリケットはベッドの近くの本棚から古びた航海日誌を取り出した。

 

「ほれ、その辺読んでみろ。」

 

「わっ!」

 

クリケットは日誌を半分程開いてナミへ投げ渡す。ナミはその日誌の古くてカサカサになったページを読み始めた。

 

そこには「ウェイバー」というスキーのような空島の産物を手に入れたことや、空島に生きる「空魚」という魚を見たことなどが、まるで空島があることが当たり前であるかのように書かれていた。

 

それを見てルフィ達はやっぱり大はしゃぎしている。俺はゾロの肩からふわりと浮くとそんなルフィ達を通りすぎてクリケットに近づいた。

 

「あ、あの……。」

 

「ん?どうした?」

 

「先程はすみませんでした。あなたの気持ちも考えず勝手なことを言ってしまって。」

 

「フフ、気にすんな。こっちも悪かったな。いきなり撃ったりしてよ。」

 

俺がさっきの失言をペコリと頭を下げて謝るとクリケットは俺の頭をポンポンと撫でて許してくれた。その流れで俺は今度はクリケットに肩車される。なんだかエレインの姿になってからやたら子供扱いされる気がするのは俺の気のせいだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルフィ、ウソップ、ナミは切り株のイスに座り、ゾロはその後ろで寝ている。俺はチョッパーをお腹に抱き、切り株のテーブルに背中を預けている。そんな俺達の前にはクリケットが腕を組んで立っている。空島について知っていることを教えてくれるそうだ。

 

「この辺の海では時として真昼だってのに一部の海を突然"夜"が襲う奇妙な現象が起きる。」

 

「あった!あったぞそれ!!なあ!」

 

「はい。夜が来てそれで、とてつもなく大きな人影が現れたんです。」

 

「巨人の事か。あいつらに関しても色々謂れはあるが今はおいとけ。突然の夜の正体。それは極度に積み上げられた"雲の影"だ。"積帝雲"。そう呼ばれている。空高く積み上げるも気流を生まず、雨に変わることもない。そいつが上空に現れた時、日の光さえ遮断され、地上の昼は夜に変わる。」

 

「積み上げても気流を生まない雲!?そんな事……」

 

「ないと思うのも自由。俺は別に信じろと言ってるわけじゃねぇ。」

 

クリケット曰く、空島が存在するとしたらそこにしか可能性がないらしい。そしてそこへ行くためには"突き上げる海流(ノックアップストリーム)"という海流を利用しなければならない。空へと海流が約1分間上昇し続ける海の"大爆発"に乗って空へ吹き飛ぶわけだ。口で言うのは簡単だが、俺達がイメージする爽やかな空の旅には絶対にならない。"突き上げる海流(ノックアップストリーム)"は月5回の頻度で起こる"災害"。それを利用するのだから命懸けの旅だ。吹き飛ばされた上空にうまく空島がなければそのまま海に叩きつけられて全員木っ端微塵。そもそも空島が存在しなければ結果は同じだ。

 

クリケットやマシラ達は俺達が空へ無事飛べるように進航の補助や痛々しい姿のメリー号の強化もしてくれるそうだ。

 

「ところでクリケットさん。その"突き上げる海流(ノックアップストリーム)"の上空にうまく積帝雲が重なる日って分かりますか?」

 

「ん?明日の昼だ。行くならしっかり準備しろ。」

 

「何ぃぃぃ!?明日の昼ぅぅぅぅ!!?」

 

俺がクリケットに災害情報を聞いてみるとまさかの明日の昼という答えが返ってきた。そんな天文学的な確率の話は少なくても数ヵ月は先になるだろうと望み薄で聞いた身としては予想外だ。俺の後ろではウソップが目を飛び出させて驚いている。そしてウソップはすぐにキッと目の色を変えてクリケットへ叫んだ。

 

曰く、なぜ今日会ったばかりの自分達にここまでしてくれるのか。空島なんて伝説的な場所へ行く絶好の機会が明日で、その為に船の強化や進航の補助をしてくれるなんて話がうますぎる。信用できないとそう叫んだのだ。

 

俺は原作知識のおかげで空島がちゃんと存在していることを知っている。しかし、ウソップ達はそうではない。人が口を揃えて「ない」と言う存在が不確かな場所へ命を懸けて行かなくてはならない。だから慎重になってピリピリしてしまう。この叫びはその現れだろう。この状況では誰もウソップを責められない。

 

クリケットはタバコを深く吸い、フーッと煙を吐き出し、そして口をゆっくり開いた。

 

「……マシラのナワバリで日中、夜を確認した次の日には南の空に積帝雲が現れる。"突き上げる海流(ノックアップストリーム)"の活動も周期から考えて明日、南の地点で起こる。100%とは言い切れんがそれらが重なる確率は高い。」

 

「………………」

 

「俺はお前らみたいなバカに会えて嬉しいんだ。さぁ、一緒にメシを食おう。今日は家でゆっくりしてけよ。"同志"よ。」

 

クリケットは話しながらゆっくりと歩き、「"同志"よ」の部分でウソップの横を通りすぎた。ルフィ達はメシだメシだとはしゃいでいる。俺はそんなルフィ達を尻目に、地面に座り込むウソップにふわふわと近づく。

 

「エレイン…、俺はみじめで腰抜けか?」

 

「……はっきり言えばそうなりますね。でもウソップさんは間違っていないです。すぐ信じるにはあまりにもリスキーな話ですから。ちゃんとクリケットさんに謝ってくださいね。」

 

俺がそう言うとウソップは立ち上がり、クリケットに向かって駆けていき、クリケットの腰に抱きついて謝った。クリケットはそのせいでウソップの鼻水が服についてしまい、ウソップを蹴り飛ばす。

 

「ふふ♪」

 

なんだか可笑しくなった俺は少し笑い、胸にノーランドの絵本を抱きしめてルフィ達の元へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「わははははは!!」」」

 

「いやぁ、今日はなんて酒のうめぇ日だ!!」

 

「さぁ食え食え!まだまだ続くぞサンマのフルコースは!!」

 

太陽も西の空へ沈み、外は真っ暗となった。今夜の夜空には雲がかかっていて星は一つも見ることができない。

 

クリケットに会った夜、俺達はクリケットの家で宴をしていた。雑用係の俺はサンジと共に料理をして、その料理をルフィ達の元へ運ぶ。ふと目をやればウソップが料理にたっぷり仕込んだタバスコでマシラが火を吹き、それをロビンが遠巻きにエールを呑みながら眺めて微笑んでいる。

 

麦わらの一味の食卓はいつもこんな感じだ。そもそもあのルフィが行儀良く料理を食べるなんてできるわけがない。ウソップやチョッパーも然りだ。俺達はそんなルフィ達につられ、気がつくといつの間にか宴会へ発展してしまう。

 

俺はそんな空気が好きだ。ゾロみたいにお酒は呑めないし、ルフィみたいに大食いもできないが、皆が楽しそうに笑って、時にはちょっとした悪戯でケンカになって、でも最後は皆で肩を組んで歌って…。人間も能力者もトナカイも妖精もそんな垣根など気にせずに騒げるこの空気が俺は好きだ。世間から見れば海賊など無法者の犯罪者の集まりだが、ルフィ達のような海賊がいるなら、そんなに邪見にするものでもないのかもしれない。

 

「これを見ろ!!」

 

「わっ!"黄金の鐘"!!」

 

しばらく宴をやっているとノーランドの話になった。クリケットは俺達に10年間潜って海底で見つけた黄金を見せてくれた。クリケットが見つけたのは金をグラム分けするために加工された鐘型のインゴット3つとペンギンのような奇妙な鳥の金の造形物だ。その鳥は"サウスバード"という現在のこのジャヤにも生息する鳥で、ノーランドの日誌にも登場した鳴き声が変な鳥らしい。

 

「「「しまったぁ!!!」」」

 

俺がサウスバードの造形物をつんつんと触っていると急にクリケット達が叫んだ。俺はそれにびっくりして条件反射でルフィの胸元に抱きついてしまう。

 

どうやらクリケット達は肝心なことを忘れていたらしい。明日、俺達はジャヤから真っ直ぐ南へ向かい、"突き上げる海流(ノックアップストリーム)"の現場へ行かなければならない。だが、ここは方角すらまともに知ることのできない"偉大なる航路(グランドライン)"。目指す対象が島ではない以上"記録指針(ログポース)"を頼ることもできない。そこでサウスバードの習性を利用するのだ。サウスバードはサケやハトのように体内に正確な磁石を持つ動物の最たるもので、どんな場所へ放り出されても正確な方角をその体で示し続けるらしい。

 

とにかく、このサウスバードがいなければ何も始まらない。かくして俺達はクリケット達がメリー号の強化をしている間にサウスバードを一羽捕まえることになった。

 

真夜中の森で。

 

「霊槍シャスティフォル第七形態"導苔(ルミナシティ)"。」

 

「おお!明るい!!」

 

「お前のクッションって本当便利だな。」

 

今夜は星が一つも見えない程暗い夜。さらにそんな時間に森へ入ればさらに暗闇が深まる。俺はシャスティフォルを小型の土星のような形態にして辺りを照らす。その光に無数の虫達と共にルフィ達が集まってくる。ゾロが言うように、シャスティフォルは応用の利く本当に便利な神器だ。

 

皆でシャスティフォルを囲み、サウスバードをどう探すが話し合っていると、ジョ~と鳥というか生物の鳴き声としても可笑しい鳴き声が聞こえてきた。間違いなくあれがサウスバードの鳴き声だろう。姿はさっきクリケットが見せてくれた黄金の造形物の通りだ。

 

「よし!網は3つある!3手に別れて探そう!!」

 

「「「おぉーーー!!!」」」

 

サンジとナミとウソップ、ゾロとロビン、ルフィとチョッパーの3チームに別れてサウスバードを探すことになった。俺はルフィ達が迷わずに帰って来れるように、シャスティフォルで辺りを照らしながらここで待機だ。

 

「まぁ、鳥一匹くらい船長達ならすぐ捕まえられるでしょう。」

 

俺は近くの木の根に腰かけてロビンから借りた歴史書を読む。前世では歴史なんて苦手教科筆頭だったが、この世界の歴史書は中々面白い。ゲームの説明書を読むようにサクサクと読める。辺りを照らすシャスティフォルには蛾やハエが集まってくるが、そんなことを気にしてはられない。

 

しばらく本を読んでいると辺りから悲鳴が聞こえてきた。あの声はサンジとナミか。少し遅れてウソップの悲鳴も聞こえてくる。その反対からはルフィとチョッパーの悲鳴と走り回る音が聞こえる。たかだか鳥一匹と軽く考えていたが、相当苦戦しているらしい。

 

それから少し待っているとルフィ達は戻ってきた。皆とても疲れた様子だ。特にルフィとチョッパーなんかは蜂にでも刺されたのか顔中を腫らしている。いまだにサウスバードを捕まえられないみたいだ。

 

その時、ジョ~とまたしてもサウスバードの鳴き声が聞こえた。頭上を見上げれば黄金の造形物と同じ姿の鳥が枝の上で翼をはためかせて鳴いている。よく分からないがなんとなく目が俺達をバカにしているような気がする。

 

「『お前らなんかに捕まるかバーカ!』だって。」

 

「何を!?わざわざそれを言いに出てきやがったのか!!撃ち落としてやる!!」

 

案の定だった。ヒトヒトの実を食べたトナカイで動物の言葉が分かるチョッパーがサウスバードの言葉を翻訳してそれにウソップが怒る。今のは俺もカチンと来た。

 

俺は右腕をサウスバードへ向け、魔力を放出する。するとサウスバードの周囲の木が反応し、枝が驚異の速度で伸びてサウスバードをぐるぐる巻きにして捕獲した。サウスバードは何が起こったか分からないようで混乱していた。妖精王の森の"生命の泉"を悪意ある人間から守る聖女エレインならではの力だ。

 

「捕獲完了ですっ☆」

 

「「「おぉ~~!!」」」

 

「………(カァァァァ」

 

「ふふ♪」

 

七つの大罪原作のゴウセルを真似て少しおどけてポーズをとってみるとルフィ達から拍手が送られた。それで俺は恥ずかしくなって赤くなるとロビンが微笑む。ちくせう、やらなきゃ良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひし形のおっさん!!」

 

「マシラ!!ショウジョウ!!」

 

サウスバードを無事捕獲した俺達が戻るとクリケット達が血まみれで倒れていた。家もボロボロに破壊され、メリー号もマストや船首が折られ、派手に壊されている。何者かに襲われたようだ。

 

「ルフィ!!金塊が奪られてる!!」

 

壊された家を調べていたナミがそう叫んだ。皆は目の色を変える。クリケットは俺達に余計な迷惑をかけないように気にするなと言ってくれるが、あれはクリケットが10年間も、体が壊れるまで潜って見つけた物だ。気にしないわけがない。

 

「!ゾロさん、このマークは一体何でしょう?」

 

「!こいつは……!!」

 

「べラミーのマーク!!」

 

俺は壊されたベニヤ板の城の絵に、まん丸のガイコツに斜線が引かれたマークを見つけた。それを見てナミはべラミーのマークと言う。

 

「なぁ、ロビン。海岸に沿って行ったら昼間の町に着くかな?」

 

「えぇ、着くわよ。」

 

べラミーのマークを見たルフィはロビンに町への道筋を尋ねていた。町への行き方が分かったルフィは指をパキッと鳴らして俺達にこう言った。

 

「朝までには戻る。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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