生まれ変わったら忍者の末裔になっていた件について 作:砂糖露草
楽しんでいただければ幸いです。
ほぼノリと勢いで書いているで更新は不定期になると思いますがよろしくお願いします。
気が付いたら生まれ変わって忍者の末裔になっていた件について。
嗚呼、ウン。言いたいことはわかる。
妄想乙だとか、ハイテンプレテンプレだとか言いたいことが山ほどあるだろうけど、まずは私の話を聴いてほしい。
あれは確か36万・・・いや、1万4000年前だったか。
もちろん嘘だ。
一寸心の整理をつけるために冗談の一つでも言わないと気が済まなかったで赦して欲しい。
さて、話をもどして
ことの起こりは体感時間にしてちょうど五年前の夜…だった気がする。
夜遅くに帰宅してそのままゴートゥベッドしたら、目が覚めたときに巨人と見間違う大きさの男性に抱きかかえられていたでござる。
な、なにを言っているのか(ry
まぁ巨人なんてファンタジーな存在がいたわけじゃなく、単純に自分の背丈が縮んで見た目より大きく見えただけのだけど。
生来気が小さいほうの私としてはそんなもの見せられてたまったものではなく、しばらくしないうちに意識を手放してしまったのだった。
そして二度目の目覚めの時にようやく自分おかれた状況を理解し始める。
ここまで長々と話していたらなんとなく察しはつくと思うのだけど、あえて言葉に出そう。
生後間もない赤ん坊にクラスチェンジしていたのだ。ウン、十分ファンタジーだね!
いわゆるTENNSEIというやつである。二年経った今でも夢じゃないかと疑っているのだけど、今だ醒める予兆はなし。ほぼ確定と思ってもいいかもしれない。
…一つだけ思うことがあるとすれば、神様とやらにあった記憶がないことが少し残念でもあった。
-夢でも現実でもいいから、チートの一つくらいは欲しかった…というのは誰でも思うことだと思いたい。-
ともかく夢だとしてもこんな機会はめったにない。童心に帰って楽しもうと単純に考えることにした。
と、ひょんなことから第二の人生の幕が開けたのだが、驚くべきことはそれだけではなかった。
具体的には、これからの始まる一連の流れを参照してもらいたい。
一先ず、そろそろ時間だろうとようやく自由に動けるようになった足を使い、小走りで古風な家屋の玄関まで近づき暫しそこで待機する。
すると、間もなく引き戸の奥からひどく小さな足音が聞こえ、とがらりと小気味のいい音をたて開け放たれる。
そこに立っているのは他の誰でもない。
「お帰りなさい、父上!」
「…うむ、今帰った。」
この寡黙そうな男こそ、今生の父親でさらには唯一の肉親でもあった。
そのいでだちは、今でも巨人と見間違うほどの巨躯、そして全身をすっぽりと覆い隠す暗色の装束に四肢を固める脚絆に手甲。そしてその手には今までかぶっていたと思われる頭巾が。
どこから見ても見劣りしないNINNJAですねどうもありがとうございます。
閑話休題
最初はその姿を見て意味もなく震えたり泣き声をあげたりしたが、今では慣れたもので疲れて帰ってきた父の帰り支度を一緒に手伝うことが日常になっている。
そして、そのさなかに父の仕事についての話を聴くことが今一番の楽しみであった。
「それで父上、今回は一体どういうことがあったのですか?」
「今日は、これと言って変わったことのない、平和な一日だったさ」
「えー!大きな獣と対峙したとか悪者と戦ってきたとかは?」
「平和な一日だといっただろう」
「そんなぁ!父上の武勇譚だけが唯一の楽しみだったのに…」
そう、今私と父が済んでいるのは少し人里から離れた古い民家で、そこで外回りの警備仕事を請け負っているらしい。
仕事上危険な野生動物や、不埒な侵入者を相手取る事が多くそういった面白い噺をよく聞くことが出来た。
その反面、人里離れているので娯楽の類がまるでなく、そもそも同い年との交流の機会も今までなかった。
父から遠出はするなと固く言いつけられるていることも重なり、今の今まで暇を持て余しながら生きてきたのである。
「あーあ。せっかく面白い噺が聞けると思ったのに。もう一人遊びは飽きてきたし、退屈で死にそうだよー…」
そりゃ野生児の如く自然の中で戯れるくらいはしてみたが、もうそろそろ新しい刺激が欲しいお年頃なのだ。
だから(精神年齢はさておき)子供らしく拗ねてしまうのも仕方のないことなのだ。
すると父は少し申し訳なさそうな顔をすると、ふと思案気に俯く。何か、思いついたのかもしれない
「ちょうど今日で五年か」
「?…あ、そうそう!今日が五歳の誕生日だね。…もしかして何かくれるの?」
今まで仕事が忙しいせいでろくに祝われたこともないから、少しだけ期待して父の反応を待つ。
返ってきたのは予想に反して至極まじめな声音だった。
「スマンが、そういう話ではない。もっと大事なことだ」
「大事なこと?」
「お前ももう五歳。もともと聡い子供ではあったが、それも踏まえてそろそろ俺達のことについて話してもいいころ合いだろうと思ってな。」
父のいつになく緊迫した態度に知らず居住まいを正す。
そして語られる真実はある意味予想していたものであった。
父と私はある戦闘民族の一員で、その強大な力を悪用されないように山奥の隠れ里にひっそりと生活していること。
祖先は忍者の末裔であること。
そして-
「お前にもそろそろ一族の者として、相応の力をつけるための武術の修行をしてもらう。いつかは俺の後を継いでもらうためにもな」
「え、本当父上!?」
「ああ、少し早いかもしれないが、退屈だったんだろう?それともいやだったか?」
「ううん、そんなことない、むしろ大歓迎だよ!じゃぁさっそく-」
「やる気があるのはいいことだ。だが、その前にもう少し俺たちのことを知らなければな。ついてきなさい」
そういうと、父は軽い身支度を初めて外に出ていく。
私も慌ててそれについていくと、父と一緒に森の最奥へと足を運んでいった。
「父上、いったいどこに行くの!?」
少し早いペースだが、必死に食いつきながらなんとかまだ余裕のあるうちに尋ねたいことを口にしてみる。
すると少し考え込み、合点が言ったように手を叩いた。
「嗚呼、云ってなかったか?」
「知らなきゃいけないくらいしか聞いてないよ!」
「そうだったな、これから行くのは俺たちの一族の隠れ里の中心部だ。」
「へぇ…そういえば一族名前って何?」
「『暗鶚』、だ」
「え、KUREMISAGO?」
「発音が違う『暗鶚』だ。」
「暗黒の『暗』に鶚で『暗鶚』?」
「そうだ。」
「へ、へぇ…カッコイイ名前だね。」
何とかそう返しながら、心の中で平静を保つように気を付ける。
そういえば、父親の忍び装束に既視感を持っていたなぁと、今更ながら思い出しタラリと冷や汗を流した。
もしかしたら、ちがうかもしれないし、似たような名前の別の一族かもしれない。
しかしすでに頭の隅ではすでに結論が出ていた。
史上最強の弟子ケンイチの世界だコレ―!