生まれ変わったら忍者の末裔になっていた件について   作:砂糖露草

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すまない…上下編の同時投稿なんだ…すまない…


二天、重なる事。

 まるで嵐のような出来事から夜が明けていつも通りの朝が来る。

 否、少し訂正しよう。

 あの後私は呑気に日が昇るまで寝こけてしまい、急いで帰るとそこには仁王立ちする三つの影があった。

 言わずもがなせんずいとその父親、そしてしずはの三人だ。

 

 こちらが這う這うの体で帰ってきたのに、待っていたのは三方位から繰り出される説教説法の嵐。

 けが人ということも合って口撃、もとい言い聞かせで済まされたがそのどれもが心にぐさぐさと突き刺さる。

 (夜にバキバキにおられた自尊心も合わせて)私のライフポイントはもうゼロよ!と抗議したところで火に油。余計に勢いを煽る結果となった。

 

 心配をかけさせたのは正直すまないと思っている、が私は謝らない!あ、ちょッしずはさん実力行使は、アッー!

 

 

 

 

 

 とまぁ朝っぱらから騒々しいことこの上なかったけど、それも時間をおけばホラこの通り。字面で表すといつもののどかな田舎のようなほのぼのとした空気に。

 時折道場から野太い声やら切羽詰まった苦悶の声が聞こえるのは、いいアクセントになっているかもしれないきっとメイビー。

 

 さて、どうして今更この里の現況なんかを実況しているのかというと、ぶっちゃけ暇なだけだった。

 師からは一か月の謹慎を言い渡され、自主練も監視されているためできない。

 

 -なら子供らしく遊ぶしかないじゃない!…え?けがにんなんだからおとなしくしてろ?

 そんなこと言ったら山奥のド田舎で暇を潰せる手段がなくなるじゃないですかヤダー!

 

 ーとこんな感じで暇をもて余してるのが現状。

 ゲームはもちろんテレビでさえ見かけないこの隠れ里で、現代文明の利器の偉大さを噛み締めながらボーッとせざるをえなかったのだ。

 え?本ぐらいあるだろ?お堅い本しかなかったよ…

 なら勉強?勉強は嫌いなんだよ言わせんな恥ずかしい。

 

 とはいえ、此のままやることもなく過ごすのも味気ない。

 というかあれだ、最近まで動きっぱなしだったというのにいきなり休めと言われてはいそうですかとなるわけがない。

 …それに、今は遊ぶ気分でもなかったし。

 

 今まで走っていた車が急に止まれないのと同じで、気がはやりその場でジッとしていられない状態である。

 何ならこの場で全力疾走して民家の前で『うさぎとかめ』を謳いながらヒンズースクワットするのもやぶさかではないのだが、最後の良心(あと常識)で何とか踏みとどまった。

 流石に羞恥心というものがあるしね?

 

 さてそうなると本当にやることが無い。

 仕方ないからこの歩きなれた里の散策でもと、亀に抜かれるんじゃないかというような歩く速さで足を進めるのだった。

 

 

「そしてやってきましたは、いつもの寂れた屋敷の前…なんてね。」

 

 誰もいない閑散とした場所に独り語りだす子供が一人、私だ。

 いやさ、メタ的に言うと今まで一人がたりするお前が何言ってるんだって思うだろうけど、私は精神異常者じゃない。これ大事。

 

 気の赴くまま足の進むままこんな辺境までやってきてしまっていた。

 全ては暇という概念を生んだ神が悪い、なんてスケールの無駄にでかいいちゃもんを心で呟き、来てしまったものは仕方ないと当たりを一望した。

 

「あの天狗は、姿を現さないか。アイツと会ったのもここが初めてだから、もしかしたらとも思ったんだけど」

 

 ぐるりと見渡しながら、もういちど独り言つ。

 彼奴が未確認生命体でないことは確認済みだから、まさか仙人の如く霞を食って石を枕にするような生活をしているわけじゃないと思いたい。

 それに本人もこの里の住人だと言っていたしきっとどこかに住処を持っているはずなのだ。

 

 この里に来て五年。此れでもいちおう里一番の顔見知りの多さだと自負し、特に私でもあの奇抜な輩は見たことが無い。

 じゃぁ、嘘をついたのか?いやいやあの動きは暗鶚流忍術のそれだったと私の心眼(笑)も言っているし、あんな怪しいやつが自由に闊歩(?)しているというのに誰もひっとらえようとしないのは可笑しい。

 

 だって天狗のお面をかぶった武闘家だよ?そしてここはNINNJAの子孫が隠れ住む里だよ?気づかれてないとかありえない。

 

 少なくともこの里とは敵対関係ではないのだということは推測できる。…そしてあんななりして素顔を隠すんだからそれなりに特殊な事情があるってことだ。

 ほかの暗鶚との接触を避けているか、若しくは禁じられている可能性がある…それも踏まえてこの辺りが彼奴の根城ないし活動拠点の一つに違いない。

 

 そういう思いもあってここまでやって来たのだ。

 

「うーん、でも流石に勝手に入るのは拙いかなぁ…。まぁ、鍵がかかってるだろうけ…開いてる」

 

 予定としては、天狗が現れない限り仕方ないと割り切ってそのまま帰るつもりだったところ、なんとなく引き戸に手をかけてみたら何の抵抗もなくガラリと小気味のいい音をたて開いてしまったのだ。

 …少し不用心すぎませんかねぇ?なんて、つぶやいたが確かに余所者がたどり着くことがほぼなく、全員が身内と言ってもいい小さな里では問題ないのかもしれないと思い直した。

 

 それに見た目ボロボロだけど、何かに引っかかることなく開く引き戸に思ったよりも整然とした-もしくは閑散とした-中の様子からして人が棲めるように手入れされていることがうかがえる。

 明らかに誰かいる、それが天狗がまた別の誰かのかはわからないが。

 前者ならそれはそれでよし、後者だとしてもなぜこんな場所に住んでいるのかが気になる。

 

「…よし。お邪魔しまーす。」

 

 少しの逡巡の後、私はあえて一度だけ断りを入れて中の様子を確認することにしたのだった。

 

 まず目にしたのは、外見と同じでボロボロ…もとい使い古された内装と生活雑貨だった。

 大切に使われているというよりも、それしか手に入らなかったという具合まで使用と修繕が成されているように見える

 それに反して、食い物に関しては他と変わらない蓄えをしている、この近くに畑や田んぼを見ていないことから里からの援助が何かがあるようだ。

 

 ほかも回ってみても、村八分という割にはきちんと生活できるよう配慮がなされているといったちぐはぐな光景が散見している。

 この家屋の住人はよほど特殊な人間なのだろう。

 実は暗鶚でも屈指の使い手だけど変人だとか…そう考えると俄然興味がわいてきた。もしそんな人に師事してもらえば自分の実力も格段にのびるかもしれない。

 まぁ、希望的観測に過ぎないけどはやる気持ちを抑えつつ今度は居間へと手を伸ばす。

 そして-

 

 

『何か申し開きはあるか?童子。』

「そもそも勝手に中に上がられたくなかったら鍵かけろと俺は思…いやスイマセン何でもないです。」

 

 私は今、ボロボロの居間の中心で正座をしながら本日二度…もしくは三度目の説教を受けていた、天狗=サンから。

 なぜこうなったのかをダイジェストに語ると、居間に入ろうとしたところ突如後ろから威圧されつつ声をかけられる→後ろを振り向くと何故か天井にぶら下がる天狗の姿が→それを見て阿鼻叫喚その後頭にげんこつ一発お見舞いされてモラルについての説教を受け今に至るというわけだ。

 今回は一寸負い目もあったので素直に謝ったが、鍵はかけとけと一言いった後に。

 

 閑話休題(まいてまいて)

 

『まぁ、今回のことは水に流そう。それで何用でここに来たんだ」

 

 気を取り直した天狗面がようやく話の本腰に入る。

 それに対して、また少しの逡巡の後私は口を開いた。

 

「なんでって、アンタに会いに来たんだ。」

『それは、何故?」

 

 彼奴はまるで覚えがないという素振りで首を傾げた。

 いや、なんでって-

 

「アンタが最後意味深な言葉を残して去っていくからだろうが!」

『それは、一ヶ月後の話では?』

「長すぎるわ!せめて何をするのかくらい教えてよ!」

『短期は損気、だ。少し落ち着きなさい』

「そんなに待てないよ!

私は、今にでも強くなりたい。確実に強くならなきゃならないんだ。だというのに、こんなことで時間を食いつぶしたくない!それに-」

『静まりなさい」

「―ッ」

 

 爆発させた感情が立ったの一言で消沈していく。

 まるで蛇ににらまれた蛙の気分だ。格上の強者からの気当たりによる威圧。実力は別として時折穿彗の父親が放つそれと比べて何ら遜色のないものだ。

 それを放ちながら、天狗は言った。

 

 

『君の言い分は十分わかった。だからこそ率直に述べよう。一人で修行させるわけにはいかない、と』

「だから-!」

『その間に、心の鍛錬を積むことを義務付ける。書物を読み、心を落ち着かせなさい。私が良しというまで武の鍛錬は禁止だ。』

「え、それって…」

『人に師事できるほどではないと自覚はあるが、迷子を先導するくらいの度量は持ち合わせているつもりだ。まだ修行中のみで至らぬところもあるだろう。それでもいいのなら-』

 

 そこまで言って、天狗は一度言葉を切る。意を決するように一拍おいてゆっくりと告げた。

 

『私と一緒に、強くならないか』

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