旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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5分で読める軽いSSをモットーにしています。

決して、文章力は……ナオキです、とかそんなんじゃないです。





ないです(半ギレ)


10話 石油のアルカナ

雷よ!新しい司令官が来てから二週間。毎日食事は美味しいし、おやつもあるし、お仕事も減ったし、とっても助かってるわ!書類仕事が増えたのはちょっと慣れなくて大変だけどね。

 

そんな司令官は、「手持ちの建材が無くなるまでは、劇的ビフォーアフターおじさんに殉じる」(?)とか言って、とんでもない早さで、私達の部屋を直したり、使われてなかった会議室を食堂に作り変えたり、遊戯室や酒保を作ったり、大忙しだったわ。

 

でも、そんな忙しい中でも、私達を見かけると声をかけてくれて、頭を撫でて、労ってくれたわ!新しい司令官はとーっても素敵な人よ!!今日は、毎日頑張ってるご褒美だって、お休みをもらったの!だから今日は、第六駆逐隊のみんなで遊戯室に行くの!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ん?アレ?あそこの廊下にある白いのって……?

 

 

 

「あ!し、司令官!!」

 

「はわわ!真っ白に燃え尽きてるのです!!」

 

「さ、流石にこれは、心配だな」

 

「し、司令官!!死んじゃ駄目!!」

 

「あ、暁、そんなに揺らしちゃ……」

 

 

 

「…………あぅぅ、だから知りませんって……。あかつき号からは飛び降りたって言ってるじゃないですか……。アンノウンとか知らないですよ……つーかクウガさん呼べよ…………」

 

「良かった、いつも通りだわ!!」

 

「ん?司令官の背中にメモが……、なになに?『俺を起こさないでくれ、死ぬほど疲れてる』だって?」

 

「あわわ、い、今ので起こしちゃったかもしれないのです?!」

 

 

 

「…………ZZZ…………」

 

「よかった、大丈夫みたいだ」

 

「相当疲れてるのね……起こさないであげましょう」

 

にしても、廊下で寝ちゃうなんて。せめて、毛布くらい持って来てあげなきゃ……。

 

その時、

 

「て、ててててて、提督ーーー!!!たたたた大変ですーーー!!!」

 

最近仕事が激減して、完全復活した大淀さんが血相を変えて走って来た。

 

 

 

「しーっ!駄目よ、大淀さん!司令官は今、疲れて眠ってるのよ!」

 

「で、でも、それどころじゃないんです!!大変なんです!鎮守府始まって以来の危機なんです!!」

 

大慌ての大淀さん。こんな姿は初めてだ。きっと、本当に大変な事が起きたんだ!

 

 

 

「こ、この鎮守府に、暴徒が攻め入って来たんです!!」

 

 

 

「「「「ええー!!!」」」」

 

 

 

ぼ、暴徒?!!な、何で?!

 

「し、しかも、その暴徒達は、提督を呼んでこいと、名指しして!!」

 

「そ、それは……」

 

どういうことかしら?

 

 

 

「………あっ、し、司令官!!お、起こしちゃったのです?!ご、ごめんなさい!!」

 

 

 

 

 

ゆらり、と立ち上がる司令官。

 

「…………きょんにちょわ!!(白目)」

 

「し、司令官ーーー!!!」

 

「はわわ!はわわわわ!!」

 

明らかに駄目なやつじゃない、これ!!

 

「し、司令官、大丈夫なのかい?」

 

「あぁ……いや、大丈夫……何ともない……」

 

「で、でも、ふらふらよ?」

 

「大丈夫だと言ってるだろうが!!」

 

「どこ見て言ってるの?!私はこっちよ司令官!!」

 

「ロケットブースターを、命令だ!」

 

「司令官!!正気に戻って!!司令官!司令官ーーー!!!」

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

ああ、いつ眠って、いつ起きたんだっけ、俺。なんかこの二週間、一睡もしてなかった気がするぞぉ?

 

あれれー?おかしーなー?

 

先々週、徹夜明けのテンションで、艦娘達の部屋を改装して、飯炊きして、風呂の掃除して、飯炊きして、食堂がないから作って……そのあとも、徹夜特有のハイテンションで色々と部屋を作って、作って、作ってあそぼ状態だったのは何となく覚えてるな。

 

ああ、あと、出撃の内容を、新海域への侵攻ではなく、防衛ラインの維持にするように指示したっけ。武勲とか要らんし。で、あとは、出撃や遠征の報告書は各自で書くようにしたんだよな。

 

さて、暴徒だったか?

 

まあ、大体予想はつくけど、奴らだろう。そもそも、呼んだの俺だし。

 

取り敢えず、正門に向かおうかね。

 

 

 

 

 

「旅人の兄貴はどこだー!!」

 

「ヒャッハー!!」

 

「新台の兄貴ーーー!!」

 

 

 

おー、おるわおるわ。

 

「ほ、本当に大丈夫なんですか?!」

 

大淀ちゃん、ビビってるな。

 

「おーーーい、出てこいやヘタレメット!!」

 

 

 

「な、何だとぉ?!だ、誰がヘタレだぁ?!!」

 

よし、来た来た。

 

 

 

「鎮守府にようこそ!歓迎しよう!盛大にな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ、大淀ちゃん。紹介しよう。こちら、株式会社世紀末の社長、ジャギと、その秘書のアンナさんだ」

 

「よ、よろしくおねがいしましゅ……」

 

どうした大淀ちゃん、顔が青いぞ?

 

という訳で、暴徒、株式会社世紀末の連中をこの前作った応接室(仮)に案内した。

 

 

 

「き、貴様ぁ、このアミバ様の存在を忘れるとは何事だぁ?!!」

 

「……え?何で来たの?お前呼んでねぇよ?」

 

「はん、決まっている、お前のことだ、この天才である俺の力が必要なのだろう?」

 

「お呼びじゃないんだよなぁ」

 

偽医者との会話に、ヘタレメットが割り込む。

 

「おい、マオ、それで、仕事ってのは何だ?」

 

「株式会社世紀末を呼んだんだ、一つしかねぇだろ?」

 

「まあ、そうだな。良いだろう、お前の為だ、格安でやってやる!」

 

「タダにはしてくれんのな」

 

「ふん、今後も定期的に卸すんだろ?タダになんてしたら商売上がったりだ!まあ、次からはウチのタンク車を寄越す。今日は顔を見せに来ただけのことよ」

 

「別にお前の顔なんて見たくねぇんだけども?」

 

「うるせぇ!社会人としての基本だろうが!」

 

といって、慣れた手つきで名刺を渡してくるヘタレメット。似合わねーな、おい。

 

「じゃあまずその服をどうにかしろよ」

 

革ジャンとトゲ付きプロテクターってなんだよお前。

 

「いつもはスーツだ」

 

「ウッソだろお前?!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、資材倉庫前に移動した俺達は、ヘタレメットの活躍を見た。

 

「ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!ヒ-ッヒヒ!」

 

そう、このヘタレメット、どこからともなく、無限に石油やガソリンなどの燃料を取り出せるのだ。

 

深海棲艦による貿易制限の中、株式会社世紀末をそれなりの大企業にまでのし上げた究極の特技だ。まさに石油王、石油のアルカナとはよく言ったものである。

 

「オッケー、最後に燃料タンク頼むわー」

 

「全く、人使いが荒いな!まあいい、コノオレノカオヨリミニククヤケタダレロ-!!……よし、良いぞ、こんなもんか?」

 

「大淀ちゃん、こんなもんでいい?」

 

「す、凄いです、これだけあれば一ヶ月、いえ、二ヶ月は保ちますよ!」

 

「はーい、オッケーでーす。モヒカン共は燃料を運び込んで、今すぐに」

 

「「「ヒャッハー!!」」」

 

そうすると、モヒカン共は生き生きと燃料を運び始める。

 

 

 

「大淀の姐御!ここでよろしいでしょうか!!」

 

「ヒィ!は、はい、大丈夫です、そこに置いて下さい」

 

「大淀の姐御!このドラム缶はこっちですかい?!」

 

「ひっ!いっ、いえ、出来ればあちらの方に……」

 

大淀ちゃんがモヒカンに囲まれてる。見た目に反して悪い奴じゃないし、大丈夫だろ。

 

そして俺は、一番でかくて重い燃料タンクを、ヘタレメットと偽医者と運ぶ。が、しかし、

 

「ぬうーっ!!お、重い!!」

 

「おいアミバ、お前、鍛え方が足りねえんじゃねえのか?」

 

「だ、黙れジャギ!!いいか、よく見ていろ?!俺が開発したこの新しい秘孔を突くと…………ふはははは!更に強靭になった身体!!よし、これで問題ない!!」

 

すると、偽医者の上半身が肥大化し、強大な筋肉が上着を突き破る。

 

「うわっ、キモっ」

 

「き、キモいとは何だ!これはアミバ流北斗神拳の真髄の一つだぞ!!」

 

いやー、キツイっす。あ、大淀ちゃんが気絶した。仕事増やしやがってこの馬鹿。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。ぶっ倒れた大淀ちゃんは、アンナさんに介抱してもらい、俺達は全員、酒保(仮)で一杯やっている。前提督が溜め込んでいた酒が山程あるんだ、飲まなきゃ勿体無い。

 

ちなみに、酒保(仮)は艦娘にも公開している。聞く話だと、軽空母が入り浸ってるとか。

 

「よっしゃ、ビール!ビール!!冷えてるかー?」

 

「「「ヒャッハー!!」」」

 

と、俺達が酒保(仮)に入った瞬間、悲鳴が上がったのは気にするな!

 

 

 

「え、ええと、その、て、提督?そちらの方達は?」

 

酒保(仮)の管理を買って出てくれた、軽空母の鳳翔さんが問いかけてくる。

 

「ああ、こいつらは、これからこの鎮守府に燃料を卸すことになった、株式会社世紀末の連中だ。あ、悪いけど、ビールくれる?一番安いので良いから」

 

「は、はあ、分かりました」

 

「おい、客にそれはどうなんだ?」

 

「お前ら、どうせ酒の味なんざ分からんだろ」

 

「まあ、そうだな」

 

そうこうしている内に、鳳翔さんがビールを持ってきてくれた。瓶のビールを2ケースだ。

 

「おら、野郎共!酒だー!!」

 

「「「ヒャッハー!!!」」」

 

このモヒカン共、ノリノリである。

 

だが、約1名、文句を言う馬鹿がいた。

 

「おい、マオ!貴様、酒はまだしもつまみがないではないか!!」

 

偽医者である。

 

「ったく、図々しいなお前。しゃーない、今作るから待ってろ」

 

「そんなことをせずとも、そこの女将に作らせれば良いではないか?」

 

「えっ!わ、私ですか?!」

 

偽医者は、鳳翔さんを指差して言う。俺は少し考えて、こう返した。

 

「あー、じゃあ、お願いするか。たまには他人が作ったもの食べたいし。鳳翔さん、お願いできる?」

 

すると、鳳翔さんは、驚いたような顔で、

 

「わ、私は艦娘ですよ?艦娘が作ったものを食べるんですか?!」

 

などと言った。前々から思ってるが、ここの子達はやたらと自己評価が低いんだよなあ。

 

「ああ、またか。自分は艦娘という化け物だからー、って奴?大丈夫だって、ここにいる連中も化け物みたいな見た目してんだろ?」

 

「そ、そう言う問題じゃ……」

 

「あんたが何者か、なんて難しいこと、俺達には分からんよ。ただ、普通の人間よりちょっとばかし強いだけで、自分が化け物だなんて言うな。世の中には、もっと化け物らしい化け物が沢山いるさ(兄者とかな)」

 

と、ヘタレメットが口を挟む。

 

「女将さんのどこが化け物なんですかい?」

 

「すんげぇ美人さんじゃねぇか!」

 

「ヒャッハー!!」

 

モヒカン達もそう言った。

 

「つまみは刺身で頼むぞ、女将。…………ん?!これは安酒ではないか?!マオ!もっと良い酒を持ってこい!!」

 

黙ってろ殺すぞ。

 

 

 

「……み、皆さん…………!!」

 

感極まった、と言うような、晴れやかな表情になった鳳翔さんは、嬉しそうにつまみを作り始めた。

 

つまみはまさに絶品と言って良い代物で、あの偽医者ですら素直に褒めるほどの出来だった。

 

 

 

 

 

そして、この酒保(仮)の看板が、「居酒屋鳳翔」に変わることは、そう遠くない未来の話だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第六駆逐隊のなかまたち
ロリコンホイホイ。
純粋無垢な大天使なので、待遇を改善してくれた旅人に素直に感謝している。

雷、電
「「むうっ!まさしくあれは!!」」

暁、響
「「知っているのか、雷、電!!」」

大淀
今回の一件で旅人以外の男性を怖がるようになった。

鳳翔
料理が物凄く上手い。
艦隊でもトップクラスの烹炊係を有していたから、らしい。

ヘタレメット
石油のアルカナ、三男坊。
キレると額にQMZの文字が浮き出て赤くなり、いろいろと三倍になる。
幼馴染のアンナさんには未だにプロポーズできてない。
バスケが趣味。

アンナさん
男勝り。

偽医者
人間のクズ。

モヒカン達
見た目と態度以外は真人間。
なんだかんだで、酒保にいた隼鷹と打ち解けたらしい。

クウガさん
旅人と同じ、職業が旅人の未確認生命体。
今年で2016の技を持つ。
旅先でよく会う。


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