あー!人生やり直してー!!
「はぁ、お祭り、ですか」
「確かに、今は夏で、そろそろ秋ですけど……」
「どうして急に?」
「それに、私達に屋台を出して欲しいとは、どういうことデスカー?」
あ、そうなんだ?それが何か問題?
と、切り捨てたいのは山々だが、そんな酷いこと、俺にはできない。
理由の説明をすると、まあ、そうだな……。
「だって君ら、戦争が終わったらどうするの?」
そう、艦娘達の将来について、である。
「「「「結婚します」」」」
「あのさぁ……」
社会進出して、どうぞ。
えっ?旅人?うるせー、俺は良いんだよ、俺は。
「いやね?駆逐艦とか、軽巡とかは、まあ、学生で通じるじゃん?けどさ、重巡以上は、もう、戦争が終わったら社会人かなー、って」
「まあ、確かに……」
「私達の見た目は大人ですからねー」
だって愛宕とかさ。あのおっぱいで学生は無理でしょ。
それに、妙高型なんて、私服だと完全にOLだからね。最上型は高校生くらいだが。金剛型の諸君も、まあ、大学生くらいに見えないこともないが……。
「大学生って手もあるけど?どう?」
「ひえー!わ、私、その、勉強は苦手ですー!」
「うーん、特に学びたいこともありマセンネー」
とのこと。今回は、夏祭りを通して、社会進出の足がかりを作って頂けたらな、という所存ですの。
一般常識は、まあ、後々ね……。
「まあ、良いデショウ。……聞いた話によると、今の時代は、夫婦の両方が働くのが普通だトカ……」
「ひ、ひえー?!そ、そうなんですか金剛お姉さま!は、初耳です!」
「私は、主夫というものがあるとテレビで見ましたよ!何でも、夫が家事や子育てをして、妻が働くんだとか……」
「なるほど、司令が家で出迎えてくれるなら、幾らでも頑張れますからね。効率的な考えです」
よし、よく分からないが、納得してくれたみたいだ。
「じゃあ、何をやるか決めておいてね。材料費は経費で落とすからさ」
「「「「はい!」」」」
まあ、こんな感じで。
……「えっ?ア、アタシ?!い、いや、急に屋台なんて……」
……「あら〜?面白そうじゃない、摩耶?ええと、わたあめなんてどうかしら〜?」
……「じ、自分もでありますか?い、いえ、ご命令とあらば……」
ぱっと見成人してそうな見た目の艦娘には、全員に声をかけた。俺的には、摩耶とかあきつ丸とか、まだまだ高校生くらいに見えるんだがなぁ。日本人は本当に若く見えるからなー。
ま、いっか。
大切なのは社会経験。
収益なんて考えちゃいないさ。
艦娘達には、お金で買えないような経験をしてもらいたいんだ。
うん。
そうだよ。
……ところで、浴衣ってエロいと思わん?あの、シャツとかと違って、ちょっと引っ張ればおっぱいが見えそうな感じとか、ちょっと捲れば下も見えそうな感じとか!
簪とかで髪をかきあげてもらってさ、うなじを見えるようにして!
分かるだろうか、こうさ、帯をあえて取らずに、胸元と下だけはだけさせてさ?!分かるだろ!分かってくれ!!
あー!!めっっっちゃ楽しみ!!!前回の水着の件と同じ轍は踏まんぞ?ちゃんと、休憩室に浴衣のカタログを置いたりして、浴衣見たいアピールは欠かさなかった!!!
実際、艦娘のほぼ全員は、浴衣の準備が済んでいるそうだ。やったぜ!!
……因みに、艦娘は何故か、殆どの子が浴衣や着物の着付けができるんだ。何でだろうな。謎だ。
あっ、そうだ!海外艦!!海外艦は着物の着付けができないんじゃないか?!!いかんこれは由々しき事態だ!!直ぐに着付けをしなければ!!
着付けと言う名目で服を脱がさなければ……!!
「つまりそう言うことだ。分かってもらえるか……?」
「……了解だ、Admiral。ナツマツリの時には、その、ユカータ?なるものを着るのが、日本の習わしなんだな?持ってきたものと、このカタログの中から選べ、と言うことか」
「これが、ユカータ?テレビで見たことはあるけど……、どうやって着るのかしら?」
「色々な柄があるのね。……これは、ハイドランジアの柄かしら?素敵ね!」
大体あってる。
……イギリス人って、何でか知らないけど、ハイドランジアが好きだよな。あ、ハイドランジアってのは、紫陽花のことね。イギリスだと、丁度今くらいの時期に綺麗に咲くんだよ。
「さー、グラーフ、ビスマルク、ウォースパイト!好きなの選べよー、三秒で作るからなー!」
生地さえあれば、三秒で作ることは可能だ。浴衣はそんなに難しい構造じゃないし。
「それじゃあ……、これ!この、黒猫の模様が良いわ!可愛くて素敵よ!」
ビスマルク……。
何で、何で君はそう……、センスが子供っぽいんだ?
大体いつも、黒猫の模様だよね。見た目は銀幕女優みたいにセクシーで大人の魅力に溢れているのに。
うーん、良いんだろうか。黒猫の柄は子供っぽいよなー。マックス辺りに似合うと思ったんだが……。ま、良いか。
「はい!できた!さ、着替え着替え!」
その気になれば一秒以下で着替えさせることが可能だがな、そんなことはしない!!さーて、上着に、ズボン……?!く、黒猫プリントのショーツ?!う、嘘だろ……?!
「?、どうかした?提督?……あ!若しかして、私の下着姿に見惚れちゃったのかしら?ふふん!仕方ないわね!もっと見て良いのよ?」
クソ、何でこった。カッコいい系よりの美人であるビスマルクがこんな子供っぽい下着だなんて、なんか、こう、世界の法則が乱れる!!!
「あ、ああ、そうだな!ビスマルクは綺麗だな!!」
「ふーふん、当然よ!」
デカい胸を張るビスマルク。くっ、何だこの背徳感!こんな綺麗な人に子供下着を着せて良いのか!凄いぞ!!
と、そんなことを考えながらも、着付けを済ませる。さりげないボディータッチは忘れない。大胆なセクハラは旅人の特権。
「……うん、とっても可愛いわ!」
鏡の前でくるりと回るビスマルク。君の方が可愛いぞ!
……いやー、最初は失敗かと思ったけど、中々どうして……。アリだな!!
ビスマルクは、ドイツ系の女性らしく、カッコいい系寄りの美人さんだ。それが、子供っぽくて可愛らしい浴衣に身を包み、はしゃいでいる……。良くない?
「そ、その、Admiral?こっちも頼めるだろうか?インターネットを見ただけでは、どうも……」
む、グラーフか。グラーフは、ファッションにあまり興味は無いようだが、身嗜みにはしっかりと気を配り、嫌味にならない程度のお洒落をするのだ!
「あ、あまり見ないでくれ……。ま、まだ、慣れないんだ……」
「あ、ごめんね」
よーし!バッチリ見た!下着はローライズ!鼠蹊部がセクシー!エロいっ!
さ、着付けだ。選んだ浴衣は、白と黒のストライプ。
……グラーフは、モノトーンのシンプルな柄の服が好きみたいだ。元が本当に美人な為、シンプルな服が良く似合う。良く、ファッションのアクセントになるようなアクセサリーとかを贈ってるんで、魅力は更に倍率ドン。
でもまー、
「俺からすりゃ地味過ぎるぜ!もっとシルバー巻くとかさ!」
「それなんだが、オビ?はこれにしようと思うんだ」
へぇ、ワインレッド。良いんじゃない?モダンなモノトーンの浴衣に、ワインレッドの帯。浴衣の大人っぽいイメージを崩さずに、華やかさを追加できる、と。グッドな選択だ。そりゃ、巻いてやる。
……素晴らしい!
「に、似合うだろうか、Admiral……?」
「完璧だよグラーフ!愛してる!」
「そ、そうか!愛してる、か!」
グラーフもこれまたドイツ系。しかし、ビスマルクよりもずっとカッコいい系の美人。その雰囲気にあった、モダンな浴衣。だが、華やかさもワンポイント。最高だ!
「……Admiral?私も、手伝ってもらえるかしら?」
……ふむ、ウォースパイト。
多分、自分でできるだろう。あんなにも巧みに鉄球を操る人が不器用な訳ない。そもそも、さっきから動こうとしないし。
……なーるほど?着せてもらいたいのか。可愛い奴め……!
さてと……、むむっ!この手触りはシルク!ブランド物だ!嫌味にならない程度の高級品!
ウォースパイトの上品な雰囲気ならば、ブランド物に着られることはない。
……まるで、王侯貴族のお嬢様を着替えさせてるみたいだ。俺はこんなことをしていいのだろうか。
……良いんじゃね?こんなロイヤルボディーに触れる機会は中々ないし。
あー!ロイヤルおっぱい!あー!
「あっ❤︎……もう、今は駄目よ、Admiral?」
モミモミしてやった。今は歓喜している。
……うん、似合うな。お高い生地を使ったが、上品さだとか気品だとか優雅さだとか、そういったもののおかげで全く嫌味に感じない。まるで歴史書に描かれた女王さまだ。
こんな調子で、セクハ、いや、浴衣の着付けをする俺。
いやあ、来週の夏祭りが楽しみだ。
「あんっ❤︎もー、提督?プリンツのおっぱい、揉んじゃダメですよ?ユカータの着付け?をするんですから!……後で、沢山触って良いですから、ね?」
「?、ろーちゃんのお腹、すべすべですか?……ん❤︎な、何だか、提督にお腹をなでなでされると、ろーちゃんは、変な気持ちに……❤︎」
いやー、楽しみだわー!
海外艦
浴衣の着付けって結構分かりづらいよね。
旅人
セクハラがライフワークと化してしまった悲しい男。