でも、戦闘描写は苦手なんで、少なくなりがち。
黒井鎮守府夏祭り、初日。
……あ、夏祭りは二日間やることにしました。
初日は身内と、近場にいる知り合いだけ。
二日目は一般公開。
……どうにも、うちもかなり有名になっちまったみたいでして。宣伝なんてしたら入場者数がとんでもないことになるんだよなー。よく護衛している漁師とか、近所の農家とかにチラシを渡したくらいに留めておく。
実際、面白がって鎮守府に忍び込む馬鹿とか、たまに飛んでくるドローンとか、押しかけてくるテレビ局とか……。
確かに、今までは鎮守府の内情も詳しい戦況も一般公開されてなかった。そんな中、ネット上に公開されたのは、美人揃いの艦娘達の幸せそうな日常の一コマと、確実に良くなっている戦況の様子。
それを信じて喜ぶ人、疑って怖がる人、色んな人がいるだろうが、まあ、皆んな一言言いたいんだろうなー。
追い返してばっかりじゃアレだしな、そろそろ一般公開して、「うちはクリーンな鎮守府ですよ」とアピールしなきゃならん。
でも、あんまり来られると面倒だから、情報は極力流さない。
まあ、既にSNSではダダ漏れだが。二日目、どうしよ。
ま、いっか。
まずは、初日で練習だ。
どーせ、初日に来るのは知り合いだけだ。ある程度は迷惑をかけても、まあ、セーフだろう。
さ、祭りだ祭りだ!
「……提督?」
「ん?どうした大淀?」
「その……、知り、合い……?」
ん?モヒカン、怪人、モヒカン、サイボーグ、ヤクザ、グラップラー、モヒカン、女子高生、アイドル、超ロボット生命体、魔法少女、モヒカン……、こんなもんじゃね?
「何の問題ですか?」
「……いえ、提督がそう仰るならば、何も問題はありません」
?、どうしたんだ?あ、男の人が苦手なんだっけ?あー、じゃあ、大淀は誰かと一緒に行動させなきゃな。
俺は見回りだ。決して、艦娘の浴衣姿を見て回りたいとか邪なアレはない。仕事だ。仕事なのだ。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」
おっ、早速何かあったのか。
「待ってくれ!俺は食材じゃない!!」
「?、何や?誰が喋っとるんや?」
「俺だよ!お嬢さんが抱えてるムキエビだよ!!」
「…………あ!司令官のイタズラか?!もー!」
「待ってくれえええ!!冷静に考えてみろ、こんなデカイエビが自然界に存在するか?!しないだろ!!する訳ないだろ!!!」
「はっはっは、司令官のことや、何が起きてもおかしくあらへん。さー、お好み焼きお好み焼き、と!!」
「ガッ、ガメスーーー!!!助けてくれーーー!!!」
あー、いかんいかん。止めよう。
「龍驤、ストーップ。それ、食材じゃないぞー」
「んえ?し、司令官?!」
まあ、先輩はムキエビだしな。間違えるのも無理ないか。
「その人(?)はな、れっきとした怪人なんだよ。離してやってくれないか?」
「そ、そうだぞ!俺は怪人なんだぞ!!人造生命体だ!!」
「ええ?!か、怪人?!」
そう、怪人。あー、こっちの方にはあんまりいないもんなー。川崎の方は多いんだけども。
「でも、怪人っちゅうのは、もっと強くて怖そうな見た目で」
「龍驤?」
「実際に強くて、ウチら艦娘よりも身体能力が高くて」
「龍驤、やめて、やめたげて」
「第一、手も足もないやん。そんなんじゃ、敵と戦っても、文字通り手も足も出ないやん?」
「それ以上いけない、先輩泣いちゃってるから。ガチ凹みだから」
「う、ううううう……」
な、なんてことを!先輩は見た目通り傷みやすいんだぞ!慰めるガメスの苦労を考えたことあるのか!!
「……エビが丸まってるようにしか見えへんけど……?、それよりも、子供が待っとるんや!そのデカいムキエビを食べたい言うてな!」
子供?
「あそこの、屋台の前の、水色の髪の女の子や!」
龍驤の指差す先の屋台を見やると、
「あんな大きなエビ、初めて見たでゲゾ!」
「やめとけ!あれ、喋ってたぞ!絶対食いもんじゃねえ!!おら、行くぞ!!」
「こ、この世界は弱肉強食でゲゾ!喋ろうが何しようが、食われるときには食われ……、あー!は、離さなイカー!」
…………。
「あ、行ってもーたわ」
「ま、まあ、兎に角!世の中には色んな人がいるんだよ!見た目で判断しちゃ駄目だ、良いね?」
差別はいかんよ。
「うん!分かったわ!せやな、見た目で判断しちゃ、あかんよな!……ところで、この喋るドラム缶は人間やろか?」
『俺のどこがドラム缶だってんだ、お嬢ちゃん?俺はしっかりと血の通った男だぜ?』
「畜生!クロマティのボケナス共!呼んでねえのに来やがった!!神山!神山の野郎はどこだ!!!」
ああ、クソ、ショックのあまり丸まって動かなくなった先輩を、そこら辺にいたフロシャイムの怪人に押し付けて、誤って踏んじまったメカ沢βを修理して、前田にメカ沢を押し付けて……。
呼んでねえ連中が紛れ込んでいやがるな……。
これ以上、面倒事が起きなきゃ良いんだが……。
「おおおおおおおお!!!!」
「〜〜〜〜〜ッッッ!!!!」
長門が花山組長と腕相撲してるな、うん、平和だ。
「はああああああ!!!!」
「おりゃあああああああ!!!!」
霧島と武蔵も、手近なグラップラー達と腕相撲してる。
素晴らしくインテリジェンスの低い、マッスル溢れる空間だな。
……近寄らんとこ。
まあ、ほら。うちの脳筋勢は、最近の深海棲艦は骨がないって嘆いてたし。良いガス抜きになるんじゃないかな。
うん、そうだよ。本人達はめっちゃ楽しそうだし、俺はここらで退散、
「お、久しぶりだな、新台!腕相撲だ……、やっていけよ!なァ?」
うわあああああああ!!!!
愚地師範ああああああああ!!!!!
ハッハー、流石はグラップラーの皆さん。俺がいくら旅人だと言っても、グラップラー特有の謎理論により、強制参加させられた腕相撲大会!もちろん、いつものように場外乱闘勃発。
なんだかんだで俺は両腕を粉砕骨折。肋骨五本と右の大腿骨も折られた。笑えねえ。嬉々として乱闘に参加しようとしたうちの脳筋達を制止して、ぶっ倒れたグラップラーを回収し緊急搬送。
なんでこう、グラップラーの人は乱暴なんだか。暴力はいけない(カミーユ感)。
あーあ、全力で回復魔法かけてるけど、これ、治るまで五分はかかるな……。まあ、内臓はノーダメージだし、身体の欠損もないからな。まだマシな方だ。
……ん、段々治ってきたか。
「おっじょおさーん!僕とお茶しーましょ!」
「その、榛名には提督がいますから……。ご、ごめんなさい」
「あら?この足柄に見惚れてしまったのかしら?ふふ、嬉しいけど、私には愛する人がいるのよ。ごめんなさいね?」
「……え?これ、ナンパってやつ?あははははー、ごめんねー、私、好きな人いるんだー。行こう、古鷹」
「?、私も、ですか?その、大変申し訳ないんですけど……。そ、その、気を悪くしないで下さいね!あ、貴方なら、きっと良い人が見つかりますよ!」
あらら、久々に見る光景。
「……うう、ここには可愛い女の子がたーくさんと聞いてすっ飛んで来たって言うのに……。あっ!し、新台先生!!」
「よー、諸星」
「こここここここ、この、裏切り者ーーー!!!僕よりも先にこーんなハーレムを作るなんてぇ!!!」
残念だがな、駄目人間としての格と年期が違うんだよなぁ!
「「「「提督ー❤︎」」」」
「いやー、すまないな諸星くん、本当にすまない」
思わず顔がにやけるなー!ごめんなー!ごめんな諸星ー!
「ぐぬぬぬぬぬぬ!悪いと思ってる人間の態度ではなーいっ!!」
あれ、そういやこいつ、彼女はどうしたんだ?相当嫉妬深い筈なのにな。
「て言うかお前、一人か?」
「……え?ああ、ラムには黙って出て来ましたよ?当然でしょ、絶対ついて来ようとするに決まってますよ!」
成る程、それもそうだな。
でもな、同じ道を歩む先人として、元教師として、一つ大切な助言をしてやろう。
「良いか諸星。ああいうタイプの女の子はな」
「ダーリン…………!!!」
「ラ、ラム?!どうしてここに?!!あわわ、あわわわわわわ…………!!!」
「地獄の果てまで追ってくるぞ」
最近、身に染みて分かる。女の怖さってやつが。
おーおー、すっげえな、お怒りだ。まあ、どうせ死なないからなー、あいつも。特に鍛えてる訳じゃないのに、俺の次くらいには頑丈なんだよなー。
……にしても、あいつの彼女、可愛いよなー。グラマーなのに可愛い顔してて、結構尽くすタイプで……。はっ?!
「……提督?そんなにソワソワして、誰を見ているんですか?榛名では、ご不満でしょうか?」
「あは、やぁねぇ、こんな美人を捕まえておいて、他の女に目移りするだなんて……。余所見をするのはやめて欲しいわね?」
「提督、良いよ、許すよ、浮気でもなんでも。……でもさ、他の女を見た後は、私のことも同じくらい見てくれるんだよね?こんなに愛してるのに、知らんぷりってことはないよね?」
「ふふ、大丈夫ですよ、提督。男の人は、幾つも愛を持っているんですものね。……だから、私にも、当然、分けて下さるんですよね?」
「す、すまん、待っ」
あっ、ヤバっ、今抱きつかれたら!くっつきかけた骨が!!
後ろで放電音が聞こえてくるが、それどころじゃない!あ、大腿骨折れてるから、逃げられっ…………!!
「「ぐわあああああああああ!!!!」」
「…………先生」
「…………なんだ」
「…………お互い、大変ですね」
「………………そうね」
龍驤
お好み焼きの屋台を出した。愛想も人当たりもよく、味もいいので大人気。
脳筋
霧島は兎も角、長門と武蔵はインテリジェンスが低い。
榛名
外出する度にナンパされるので困っている。
足柄
黙ってれば美人。
古鷹、加古
こちらも、被ナンパ率が高い。
先輩
ムキエビ型の人工生命体。
水色の髪の女の子
世界征服友の会の会員。イカ。
ドラム缶みたいなロボ
男気。背中にリセットボタンがある。
グラップラーの皆さん
虎を殺したりマッハでパンチしたり握撃したりする連中。怖い。
諸星君
趣味はガールハント。旅人と同じタイプの人間。
旅人
教師をやっていたことも、地下闘技場で戦ったこともある。世界征服は現在進行形でしている。