昨晩のけものフレンズで大きくインテリジェンスが下がったので、内容は……、ナオキです。
黒井鎮守府夏祭り、二日目。
一般公開の日である。
呼んだのは、近場の住民の漁師だとか農家だとか、いつもお世話になっている人達だけ。
……その筈だが、どこで情報が漏れたのか、SNSなどで大騒ぎ。マスコミや活動家もなだれ込んで来て今は……、
「おい、見ろよ、あれが提督だってよ」
「すみません提督さん、私、○○新聞の者です。よろしければ、いくつかご質問を」
「情報の一般公開を!あれだけの情報じゃ国民は何も分かりません!私達には知る権利があります!」
あー、面倒臭さっ。
少なくともさ、祭りの場でこんなことする連中とは関わり合いになりたくないよな。さ、空間湾曲。
「「「き、消えた?!」」」
っと、ランダムテレポートだからな。ここはどこだ?鎮守府の中ではあるんだろうが。
「あら、提督?」
陸奥……。
最高!浴衣似合うわー!胸がない方が浴衣が似合う、なんて言うけど、そんなことはないんだぜ?陸奥みたいなボインちゃん用の浴衣や着付けの方法だって存在するんだ、似合わない道理はないよな!!
「いや、似合ってるよ陸奥!相変わらず、何を着ても綺麗だ!」
「あら、嬉しいこと言ってくれるわね?」
いや、本当に。いつもの陸奥の、溢れんばかりの女性的な魅力は鳴りを潜め、今は涼しげな美しさがここにある。
セクシーな陸奥も素敵だが、風流な陸奥も一風変わって良いもんだな!
露出の少ないからこそ感じられるエロス、あると思います!
「っと、それはさておき、問題はないか、陸奥?」
「ええ、貴方が上手く面倒な人を捌いてくれているお陰で、問題らしい問題はないわ」
そりゃあね?あんまりにも面倒なお客さんは強制退場、テレポートアザーでどっかに消えてもらった。
「無遠慮な視線とか、勝手に写真を撮られるのは困るけど……、艦の頃から、見られることには慣れているから」
本人達が言うには、艦の頃には、沢山の写真を撮られて、テレビや新聞にも載ったが故に、あまり写真に抵抗がないとのこと。
「あ、陸奥、お客さんだぞ」
因みに、陸奥はお面屋さんだそうだ。遠巻きに写真を撮る人ばかりで、あまり客はいないみたいだが……。
「あら?貴女も、陸奥って名前なのかしら?」
「?、そうよ?」
「あ、ごめんなさい、知り合いに同じ名前の人がいて……。この、狐面、一枚もらえるかしら?はい、これ、お金」
「はい、五百円、ちょうどね。どうぞ」
「ありがとう!……ほら、こっちよ九十九!見てこの狐面、何だかあんたそっくり!」
「はいよ……、ん?」
「ん?何だ?」
あれ、どっかで見た顔。
………………。
………………!!!
「ホゲェーーー!!!む、むむむむむ、陸奥!!!」
「え?私?」
いや、君じゃない座ってて!!
「陸奥圓明流だ!逃げる他ない!!!」
加速、英雄、聖なる盾、ラクカジャ、スクカジャ、テトラカーン、タイムアルターダブルアクセル……。
全力でバフ。ここまでやって五分かどうか……。クソ、魔力が足らねえ!
俺はそれなりに器用な方で、必殺技だとか魔法だとか、覚えること自体はできる。だが、キャパシティは大したことないんだよ!魔術回路は十数本、魔導師ランクならCそこら、マナだって並以下だ!!
勘違いするな、俺は小狡いだけで、強くもなんともないんだよ!!
「だからこの場は見逃して下さいお願いします!!」
もうさ、俺が逃げたんだから、敗北ってことで良いじゃん?陸奥圓明流が不敗なのは分かったから、良いじゃん?
「……ああ、お前、新台か。……安心しろよ、祭りだって言うのに暴れたりはしないさ」
なるほどね、祭りじゃなきゃやり合う羽目になってた、と。
……いや、確かにさ、武闘家の皆さんには悪いと思ってるよ?勝手に技を盗んでるわけだしね?
だからって、強い奴と勘違いして挑んでくるのはやめてくれ、マジで。
「そ、そう?じゃ、じゃあ俺、見回りの仕事があるから!それじゃ!!」
逃げよう。
「頑張ってね、提、督……。もう見えなくなっちゃった。相変わらず速いわねぇ」
「…………そんなに身体能力が高いんなら、戦っても良いんじゃないのか……?」
ふひぃ、怖かった。本家大元の無空波なんぞ食らったら内臓パーンだぞ。
え?ああ、陸奥なら大丈夫だ。あの男は、女子供を理由もなく殴るような真似は絶対にしない。
まあ、本当にヤバそうことがあれば、命を賭して守る所存だが。
中々ないよな、そんなピンチ。
さあ、見回りだ。
おー、那珂ちゃんがステージで輝いてるなー。浴衣じゃないのが残念だけど、一般受けは最高だ。那珂ちゃんは正直、生半可なアイドルよりもずっと可愛くて、歌も踊りも正に一級だからな。
こりゃあ、ネットでこっそり発売してたCDの増販は確定だな。
……にしても、人が多いな。ネット舐めてた。この黒井鎮守府もかなり広いけどさ、やっぱりそれでも多い。かなりの人数が来ているせいで暑苦しいくらいだ。
ちょっとだけ、鎮守府の中に行って冷たいものでも飲むか。
今は、鎮守府の中は出入り禁止だ。一応軍隊なんでね、公開しちゃならない資料とか色々あるんだよ。
危険物一杯の地下室は、若干引く程の封印をかけて来たから平気だと思うけど。……うーん、イタズラしに入った一般人とかいないだろうな?
×××××××××××××××
「ば、化け物め!!!」
「ぐ、は、離せ!!」
「うーん、神通、これどうする?」
「殺すことは、恐らく、提督がお止めになるでしょう。それよりも、どうしてここに忍び込んだか、聞き出してみるべきですね」
……夏祭り。
提督は昨日、祭りの始まる前に、「楽しんで来るといい」と言って私達の頭を撫でて下さいました。
なんでも、戦いばかりの私達に、良い思い出を与えて下さるとのこと。
お優しい提督は、私達の命を救って下さっただけに留まらず、心も救って下さると言うのです。……なんと素晴らしい方なのでしょう。
この私、神通は、あのお方の為ならば全てを捧げてしまっても構いません。いえ、むしろ、既に捧げているのです。忠義の名の下に、全てを。
……そして、常に命じられたこと以上を、最良よりも最高の結果を主人に捧げる者こそが忠臣というもの。
「楽しめ」という、提督の御心を無視するようで心苦しくはありますが、交代制で鎮守府内の見回りをすることにしました。
先程、天龍型のお二人と交代して、この時間帯は私と川内姉さんで見回りをしていたところです。
……すると、愚かにもこの鎮守府に、薄汚い溝鼠が二匹、潜り込んでいました。
溝鼠共は、資料室が狙いだったらしく、施錠された扉をこじ開けようとしていました。ですが、すぐに取り押さえることに成功しました。
所詮は塵屑です、碌に反応も出来ずに捕まりましたね。そして、懐から取り出そうとした拳銃も握り潰してやりました。
すると、武器を失って恐れをなしたのか、ひいひいと泣き喚いて……。見るに堪えません。こんなものが偉大なる提督と同じ、人間の男だと言うのでしょうか。とても信じられません。
「お、俺達をどうするつもりだ!!」
「触るな!触るな化け物!!」
………………。
「ぎ、ぎゃああああああ!!!!」
「ちょっと神通ー?殺しちゃ駄目なんでしょー?」
「いえ、骨の二、三本なら、折っても死にはしないと思いますよ」
あまりにも、見るに堪えない。うねる蛆虫を見ているような気分。不快、不快です、不快ですね。
このまま首を落としたい気持ちを抑えつつも、少しばかり思案。
……やはり拷問が相応しいでしょうが、私にも姉さんにも経験がありません。加減を間違って殺してしまっては、ここに忍び込んだ目的を吐かせることができませんし。
……どうしましょうか?最後は見せしめに首を晒すのは確定として……。全く、殺すまでの経路を考えるなど、初めてですね。
「とりあえず、逃げないように脚は折っておこうよ!」
「ええ、名案です、姉さん」
「や、やめろ!な、何をするつも、があああああああ?!!!!」
「ま、待て!!待ってく、ぐあああああ!!!!」
小枝を折るようにぽきりと。……脆い。この程度の力で、どうして黒井鎮守府に忍び込んだのか……。
「ねえ、どうしてウチに忍び込んだの?答えて?」
「……だ、誰が、言う、か……?!、や、やめっ、ぐあっ!!!」
……千本ですか。成る程、それならば早々死にはしませんね。流石は川内姉さん。
私も、暗器の一つくらい、持ち歩くべきなのでしょうか。
「く、はぁ、はぁ、はぁ……!!」
……いけませんね、逃げては。
軽く、軽く。手加減して、刀の鞘で殴る。
「ごふっ!!!」
……大丈夫そうですね。これくらいの力で殴り続けてみましょうか。
「ごふっ!がっ、いぎゃ!!や、やめ、あぐっ!!!」
……面倒ですね。
殺すことならば得意なつもりですが、拷問など。
生憎ですが私は、長門さんのように戦いそのものに喜びを見出すことも、時雨ちゃんのように血に酔う訳でもないのです。
私の喜びは、提督のお役に立つこと。
このように溝鼠を殴ることは、本意ではありませんね。
早く口を割って頂きたいものですが。
「んん?!血の匂い……、って、神通と、川内?何やって……、本当に何やってんの?!!」
提督!!
ああ、提督!!
いけない、このような姿勢で提督のお声を聞こうなどと!!
跪かねばなりませんね!
「はっ!鎮守府内部に忍び込んだ溝鼠共の拷問を行なっておりました!!」
「なにそれこわい」
早く、早く口を割らないと。提督の御手を煩わせてはならない!
「答えろ!答えろ!!答えろ!!!」
「やめ、やめてく、いぎゃあぁ!!!!!」
提督のお役に立たねば!!!
「ちょ、ちょっと待って、ちょっと待って!!死ぬ!死ぬからそれ!!」
「て、提督……」
「あー、おい、お前。なんてウチに忍び込んだ?どこの差し金だ?」
ああ、そんな!溝鼠風情にお声をかけるなど!!
「………………」
「……そのね、ちゃんと話せば見逃してやるからさ」
「………………」
…………は?
何だ、この溝鼠。何だ、その態度は。提督のお言葉を何だと思っている?
偉大なる提督のお言葉なのに!お声を聞けるだけでこの上ない幸福だと言うのに!!!他でもない提督のご命令だと言うのに!!!!!
駄目だ。
とても、我慢が、できない。
「死ね」
「っと!神通、だから殺しちゃ駄目だって!」
……どうして、ですか?
そのような、無礼で不遜で無価値で無意味な溝鼠に生きる価値など……。
ですが、提督のご命令は……。
ああ、ああ、私は、一体、どうすれば……。
「えーと、ん、よしよし、よく頑張ったな、神通!川内も、ありがとう!」
「あ、あ、提督、その、ように、撫でられては……❤︎」
多幸感……。
私に触れた提督の手の平から、歓喜と言う名の稲妻が走る。
早くなる鼓動。
熱くなる下腹部。
「拷問なんてしなくて良いから。捕まえたら、俺のところに持ってきてね」
「り、了解、しまし、たぁ❤︎」
ああ、駄目、駄目だ。詔にも等しき、提督のお言葉だと言うのに。火照りきった頭では何も考えられない。
私は今、世界で一番幸せだ。
「いやね、魔力が勿体無いからやらなかっただけで。拷問なんてしないでも、話を聞くくらいならな?……『アクスィー』」
「……あ、う……、お、俺は、大本営の、エージェントで……」
「ば、馬鹿かテメェ!!何喋ってんだ!!」
蕩けた脳で何とか考える。……まじないの類?
「……はい、分かった。じゃ、帰って良いよ、全部聞いたし。……『テレポートアザー』」
「あ、あ……」
「こ、今度は何を」
溝鼠共が消えた?……まじないとは、実に便利なものですね……。
「その、提督……。御手を煩わせてしまって?!、……❤︎❤︎❤︎」
謝罪をしようとしたその時、提督が、私を抱き締めて……❤︎
「神通、良いんだよ、謝ることなんて何もないさ。いつも頑張ってくれる神通のこと、大好きだ!……今日だって、気を利かせて、鎮守府内の見回りをしてくれたんだもんな、本当にありがとう!いつも助かるよ!」
〜〜〜〜〜っ❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎
だ、駄目!本当に駄目です!!
そんな、そんなことをなさっては!幸せで、幸せで幸せで、気がおかしくなってしまいます!!
ああ、目の前がチカチカと点滅して、足腰が震えて……、もう、駄目、です……。
「あのー、提督?」
「ん?どうした川内?」
「神通、気絶しちゃったみたいだよ?」
「……あ、マジだ。……悪いことしちゃったかな?」
「うーん、幸せそうな顔してるし、良いと思うよ?……わ、私も、良いかな?」
「ん、はいよ、よしよし、川内。いつもありがとうなー。愛してるぞー」
「ひゃ…………ぁん❤︎❤︎❤︎❤︎❤︎」
「……ん?川内?川内ー?おーい……。気絶しちまった。しょうがねえ、どこかに寝せとこ。……花火の前には起こしてやるからな」
陸奥
最近は、外出する度に変な人に絡まれるので、変装が得意になった。
那珂ちゃん
元気いっぱい。
川内
黒井鎮守府の誇る首置いてけマッスィーン一号。旅人が指パッチンすると天井裏から出てくるニンジャ。元々は神通と同じくガチガチの敬語だったが、旅人の、「もっとフランクに接してくれ」の一言を命令と思い込み、フランクに接してくれる。中身は神通と同じタイプのヤンデレ。
神通
黒井鎮守府の誇る首置いてけマッスィーン二号。心身をぶち壊す訓練を自他問わず課してくる。旧日本軍もドン引きするレベルの忠誠心を持ち、旅人からの命令を遂行することに喜びを感じる。常に旅人の役に立つことを考えており、旅人に感謝されたり褒められたりすると、嬉しさのあまり達してしまう。
陸奥圓明流の人
数多くいる旅人の天敵の一人。鬼のように強い。
旅人
雌の匂いを滲ませながら、無防備に気絶する川内と神通に手を出さなかったのは奇跡と言って良い。