旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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世界平和を謳う正義の味方は大嫌いです。

理想の上司はメガトロン様。


109話 さてはギャングだなオメー

「えー、では、本日のお仕事は、麻薬輸送船の襲撃という訳でしてー。本当はやりたくないんですけどー、やらないと白竜のカシラに怒られるんでー」

 

確かに、お隣の赤い国旗が素敵な国とか、白い国旗の国とかから流れて来る麻薬は今、日本で問題になってんのよね。

 

まー、アレです。深海棲艦のせいで海路が割高、若しくは使えなくなった今は、却って、海路での密輸が多いこと多いこと。

 

特に、ウチが頑張って開放した日本海とか酷いよ?まだ危険だから、自衛隊とかそう言う人達が入れないんだよね。だから、半ば無法地帯と化してる節はある。

 

こういうの見てると、平和なんてあり得ないんだなーって思うわ。旅の過程で、無意味な戦争とか無価値な殺戮とか傍迷惑な抗争とか色々見てきたけど、やっぱり世界はまがまがしい。

 

これを平和にするんだったら、某所で会った鉤爪の男みたいに、世界中の人々全員を作り直して洗脳でもしないとねー。

 

悪を無くすんじゃなくってコントロールする社会にしろとあれ程イワナ、書かなかった?必要悪って言葉知ってる?

 

……でもヤクは駄目だわー。トカレフくらいなら俺もカシラも見逃すけどさー、ヤクは駄目だわー。

 

悪いけども、国に帰ってもらう他ないかなーって。

 

今回は、高確率で人の血が流れたりすると思う。よって、護国の英雄である艦娘を連れて行く訳にはいかない。

 

つまり、

 

「コノ前ハ冴島組、ソノ前ハミレニアム……、ヤクザ稼業ハ大変ネー」

 

「今回モドウセ、デキルダケ殺スナ、ダロ?……コウイウ奴等ニ生キル価値ガアルノカワカラナインダケドナ?」

 

「コンナ世界ジャ、ワタシ達ミタイナノモ出ルワヲ。……人類ハ争ッテバカリ。ドレダケノ血ヲコノ海ニ流スノカシラ……」

 

ブラックオプスは深海棲艦の皆さんが担当しますよ、と。

 

そう言うこと。

 

「はいはい、後で何でもやってあげるから。お仕事ちゃんとやろうねー」

 

「「「何デモ?!!」」」

 

「エッチシテ!」

 

「良いよー」

 

「陸デデート!」

 

「構わんよー」

 

「離島ニオ泊マリシテ!」

 

「OKだよー」

 

いやー、深海棲艦の皆んなはかわいいなー!

 

別に俺に依存している訳じゃないから、誰と何をしようと怒らないし。ドM揃い故に奇特なプレイに付き合わされることを除けば最高だもんよ。

 

肌が白いとか、夜中に光る目とかは気にならない。そもそも、相手が妖怪だろうと悪魔だろうと可愛ければそれで良いのだ。むしろ人外とかの方が体力があって長い時間楽しめたりするし。いやー、また異世界に行って風俗店巡りしてレビュー書きてーなー!!

 

え?艦娘にバレたら?うーん、死ぬんじゃない?俺が。ま、しくじったら死ぬ、程度のことなら何度もやってきたし、ヘーキヘーキ。

 

 

 

さて、仕事だ仕事だ。

 

俺も、このまんまで襲撃する訳にはいかないからな。

 

「インコグニート!」

 

はい、変装と。

 

「……魔法?」

 

「うん、魔法」

 

今は深海棲艦みたいな姿に化けてみた。これならバレないだろう。

 

位置はこの近くだ、とっとと終わらせて、深海棲艦と良いことしよう。

 

 

 

「あれだ、とっとと終わらせよう」

 

デカイけど古い。どっかの企業の払い下げなのか何なのか。あまり状態が良くない船だ。

 

そして、船から漂う、低品質の合成麻薬の臭い。聞こえてくる某国語。確定だな。密輸業者だ。

 

「了解。艦載機ハ?」

 

ヲ級が艦載機を出そうとするけど、それは遠慮しとこう。

 

「いや、甲板を焼くと死人が多くなるから。先ずはチ級に軽く雷撃して貰おうかな。ゆっくりと沈める感じで」

 

「ン、ワカッタ」

 

「了解!」

 

大きな腕部の艤装から、禍々しいデザインの魚雷を放つチ級。

 

お、当たった当たった。蜂の巣を突いたみたいに大騒ぎしてる。オラ、待っててやるからとっとと逃げろや。

 

「……皆殺シデヨクナイ?」

 

タ級ったら、物騒なことを。

 

「まあまあ、知的生命体なんだからさ、創造的な行動をとろうよ、ね?……それに、殺すのは好きじゃないんだよ」

 

……相手が人だろうと化物だろうと、殺しは気持ちがよくない。理由は様々だけど、旅の途中で沢山殺したし、沢山壊した。けどやっぱり、良いもんじゃないよ、破壊は。

 

「……逃シタラ、マタヤッテクルカモシレナイワヨ?」

 

「……だったら、何度でも潰してやるさ」

 

大切なのは続けることだ。

 

とことん付き合ってやる。密輸業者が諦めるまで何度も。

 

俺達みたいな悪の組織は諦めが悪いんだよ。

 

「……ソウ。……ヤッパリ、甘イ人ナノネ、貴方ハ。……デモ、ソウイウトコロ、好キヨ?」

 

思わず見惚れそうな笑みを向けてくれるタ級。やっぱり、良い女だな、この子。

 

「そうかい、ありがとねー。……次の仕事もあるからさ、巻きで行くよ?」

 

「了解」

 

次は地中海辺りだったか?遠いけど、旅人号でVOB吹かせば直ぐだ。こんなこともあろうかと、旅人号にはステルス装置を取り付けておいたのだ!!明石と夕張が!!勝手に!!!

 

「さあ!どんどん潰すぞ!お仕事重点!ガンバルゾー!!」

 

サボったらどうなるか分からんからな!!

 

「「「オー!!」」」

 

 

 

はい、という訳で。

 

『助けてくれ!!』

 

『クソ、この海域は安全じゃなかったのかよ!!』

 

『く、来るな、化物!!!』

 

制圧完了、かな。

 

『積荷を捨てろ!!命あっての物種だ!!とっとと穴を塞いで、国に帰るぞ!!撤退だ!!』

 

あっ、クソ、海にばら撒くなや!!

 

「!、アイツラ、薬ヲ海ニ……!!」

 

させるか!

 

「プラスミド注入……、ウィンターブラスト!!」

 

パイロキネシスじゃダメだ、麻薬輸送船なら、ほぼ確実に麻薬合成用の化学物質もあるはずだから。引火したら大変なことになる。ならば、冷やす。

 

『何?!ま、麻薬が凍って……?!』

 

『畜生、この船はもう駄目だ!ボートで脱出するぞ!!』

 

『馬鹿、そんなことしたら、俺達全員逮捕じゃねえか!!』

 

『じゃあお前はここで死ぬってのか?!!』

 

そういうの良いからさ、とっととボートで逃げてくんないかな。まあ、こんな海域で、こんな時間に救難信号なんか出したら、ほぼ確実に密輸業者だってバレるけども。

 

さて、麻薬をどうするか。

 

……まあ、いつも通り、四次元ポケットの魔法で仕舞うしかないか。

 

後で、ノースティリスのあいつにでも押し付けておこう。

 

娯楽に飢えてるらしいし、良いんじゃない?あいつはどうせ死なないし。毒にも耐性あるし。

 

良し、ここでの仕事は終わり。さあ、お次はイタリア、ギャングのパッショーネからの依頼だ。

 

かっ飛ばして行くぞー。

 

「はい、じゃあ後は旅人号に乗り込んで!今日中に終わらせたいから、VOB使うね!」

 

「エ〜……」

 

「オオ、アレ、ジェットコースターミタイデオモシロイヨナ!」

 

「ウゥ、速過ギテ怖イヲ、アレ」

 

「大丈夫だって、安心しろよ!そいじゃ、GO!!!!」

 

「「「ァァァアアアアア!!!!」」」

 

 

 

たのちい。

 

「ウェッ、何カ気分ガ……」

 

「スゲー!スゲーナアレ!!」

 

「コ、怖カッタ……」

 

さて、ボンジョルノ、地中海。

 

後で飯食いに行こう。イタリアは良いぞ、フランスも良い。飯が美味い。マジで美味い。

 

 

 

ん?

 

 

 

『ザ、ザラ姉、さま……、最期に、一言、くらい、は……、ごめん、なさ、いって……、言い、たかった、な…………』

 

 

 

………………あー、はいはい。

 

仕事が増えたらしい。

 




深海棲艦
離島在住の変態達。一応強い。

カシラ
インテリヤクザ。

鉤爪の男
サイコパス。

ノースティリスのあいつ
すくつの制覇、ダンジョンの拡大、数多の神器の蒐集など、やりたいことを全部やってしまい、大変暇。

旅人
人間のクズだが割と良識はある。

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