旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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アーマードコアの新作が出ないのでこうなった。

後悔しかしてない。


11話 もふ

「建材が切れた」

 

「…………は、はあ?」

 

「建材が、切れた」

 

「な、何ですか?急に?」

 

 

 

「この鎮守府ボロ過ぎィ!!手持ちの建材がなくなっちゃったよもう!まだ廊下とか治せてないし、壁紙もまだ、畳も足りないし、窓も足りない、ガラスもない、電気、ガス、水道も整備が済んでな・い・の!!!」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「そうだよ(発狂)」

 

つまり、そういうこと(世界レベル)。これマジ?鎮守府の面積に対して、手持ちの材料が足りな過ぎるだろ?おかしい、こんなことは許されない。最低限、直せるところは直したつもりだが、まだまだ直すべきところが山程ある。

 

例えば、憲兵の詰所なんて最悪だ。ヤニが床や壁に染み付いて変色し、家具も匂いが移って使い物にならない。トイレや風呂なんかも、誰も掃除してないせいか、カビだらけだった。 ある程度の掃除はしたが、根本的にリフォームしなきゃならんところが多過ぎる。が、建材がない。流石の俺も、材料がなければ何もできやしない。これからの時期、寒くなるのは確定的に明らか。改装は必須…………!!

 

 

 

 

 

「……あっ、そうだ(天啓)、大淀ちゃん、鎮守府の裏にある山って、使って良いのかな?」

 

「あ、あの山ですか?一応、鎮守府の敷地内になってますけど、手付かずで、獣も出ますし、使いようがないと思いますよ?」

 

「…………一応聞いとくけど、獣って元は人間とか、聖職者は強い獣になるとかそう言うのじゃないよね?」

 

「?、えっと、獣は、イノシシとか、クマとか、そう言うのですよ?」

 

「だったら良いさ、良いんだよそれで…………」

 

いやー、アレはキツかった。何回死にかけたか分からん。正直思い出したくない。そう言えば狩人さんは今どうしてるだろうか?最近は軟体生物になったせいで、勝手が違ってキツイって言ってたっけ。

 

それはさておき、建材だ。兎に角、木材。木材がない。しかし、安物を買い付けるのは嫌だし、知り合いから取り寄せるのも間に合わない。折角なので、俺自らが伐採する。加えて、今夜あたりは新月。新月ならば、木を切らずにはいられない!と、言う訳で、とある知り合いのメイド長に電話してから、山へ……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、何で付いてきたの、榛名ちゃん?」

 

「はい!榛名はお休みでしたから!」

 

「あ、そっかあ、ごめんな、姉妹と同タイミングで休み取ってあげられなくて。戦艦には出撃が多い順から休んでもらってるから」

 

「い、いえいえ!良いんです!お休みがあるだけで充分です!」

 

優しみある。

 

と、言う訳で、何故か榛名ちゃんが付いてきた。かわいい。

 

「でもなー、付いてきてもあんまり面白くないと思うよ?」

 

「大丈夫です!私が提督をお守りします!」

 

と、力こぶを作って見せる榛名ちゃん。守るも何も、ただの獣にやられる程弱くは無いんだがなぁ。ま、いいか。デートかなんかだと思えば役得かね。

 

「そう言えば、榛名ちゃんはこの山について何か知らない?」

 

「すみません、あんまり……。でも、相当危険だとか」

 

「へー、クマかい?赤カブト以外ならどうにかなると思うよ」

 

「(赤カブト?)いえ、クマじゃなくって、何でも、白い獣が出る、らしいです」

 

「白?狼、じゃねえよな、日本だし。うーん、何だ?まあいいか」

 

そう言って周囲を見回した。そして、そこで俺が目にしたのは、異様な光景だった。

 

 

 

「オイオイオイ、どう言うことだ?おかしいぞこれ!」

 

「ど、どうかしましたか?」

 

「整備されてる!!」

 

「えっと、つまり?」

 

「アレはりんごの木、あっちは栗、あと杉、ここら辺はヒノキだな、で、アレは梨、地面にはイチゴ、ベリー、あそこの木には葡萄の蔦が絡みついてる。奥の方からは梅の匂いもするし、柿やミカンの香りもする」

 

「それは凄いですね!」

 

「ああ、凄いな、一体誰が管理してるんだろうな…………?」

 

そう、あり得ないのだ。自然環境の中で、果物が群生する、と言うのはまず無い。虫害だの病気だの温度だの、そういったものから守らなければ、果物は育たない。仮に育っても、山の中なら野生の動物にやられるだろう。

 

しかし、だとすると、目の前の光景は何だ?粗雑ながらも、剪定や接木などの跡が見られることから、確実に、何者かがここに手を加えていることがわかる。

 

「まあ、考えたって分からんね、取り敢えず、必要なヒノキだけ頂いていくか」

 

そういって俺は、しっかりと谷向きにヒノキを切り倒す。

 

手刀で。

 

 

 

「そぉら、切れろ切れろぉ!!」

 

切る、切る、切る、切る、切る切る切る切る切る切る切る切る切切切切切切切………………。

 

「ふぅ、こんなもんかね?」

 

「あ、相変わらず提督は凄いですね……!」

 

かなり切ったが、環境保全的には大丈夫な量だろう。さて、知り合いのメイド長を呼んで、葉枯らししたあと、製材して、天然乾燥だ。まあ、普通にやったら、葉枯らしで数ヶ月、天然乾燥は、木材の種類と大きさにもよるが、少なくとも年単位はかかる。いやー、時間を操れる知り合いっていいな!実に便利だ!!

 

 

 

 

 

ん?

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと待て、これは…………!!

 

「榛名、動くな!!!」

 

「ひゃい?!!」

 

「おおお!!」

 

「白い何者か」は、急速に接近し、榛名ちゃんの盾になった俺に激突した。幸い、真っ正面からの体当たりであった為、ブロッキングが成功、威力を殺し、間合いをとった。

 

 

 

「へぇ……お前が、この山の管理者か……。成る程、リンクスだ……」

 

 

 

 

 

 

 

「もふ」『メインシステム、戦闘モードを起動します』

 

 

 

 

 

 

 

 

「白い何者か」の姿は、まさに白い何者かとしか言いようのない、犬とも、猫とも言えない獣だった。

 

 

 

「きゃあ!かわいいです!!」

 

榛名ちゃんは大喜びだが、残念ながらこの白い獣は、お世辞にもかわいいなどとは言えない、まさしく修羅だ。まるで、億単位の人間を殺しているかの様な眼光、先程見せた超高速移動、さっきからうっすらと見える球状のバリアなど、どれをとっても油断できない。

 

「榛名ちゃん、退がっててくれ。今回ばかりはヤバイ」

 

「えっ?あんなにかわいいのに、戦うんですか?!」

 

「見た目に惑わされちゃ駄目だ、アレはマジでヤバイ。洒落になってない。頼むから!退がってて!!」

 

「は、はい……?」

 

 

 

そう俺が言った瞬間、獣は、瞬時に間合いを詰めた。

 

「ッ!!速いなッ!!」

 

突進。ただそれだけだが、常軌を逸したスピードから放たれるそれは、人体をバラバラにする程の威力があった。

 

防御して、衝撃を溜め込んだが、余波で腕が痺れる。

 

その後も、獣は、薄暗くなってきた空に、まるでUFOのように、緑の光で出鱈目な軌道を描きながら、ヒットアンドアウェイを繰り返した。ちょっと速過ぎんよ〜。

 

「もふもふ」

 

だが俺はこれを悉く防ぐ。スピードはとんでもないが、威力はどうにか防げる程度だ。そして何より、「単調」…………、恐らく、こいつは今まで、戦闘らしい戦闘をしてこなかったのだろう。ただただ野生的なコンバットパターンは非常に読みやすい。

 

 

 

そして、業を煮やしたのか、獣は、俺の腕を咥えると、そのまま上空に跳んだ、否、「飛んだ」。

 

勿論、振り解くことは出来た。しかし、振り解いたところで防戦一方になるだけだ。だから、ここは賭けに出る。分の悪い賭けに。

 

まあ、

 

「分の悪い賭けは嫌いじゃない!」

 

 

 

そして、空中に放り出された俺は、ニュートンの法則に従って落下する。

 

 

 

 

 

その俺の目の前で、獣は、全エネルギーを圧縮し展開、小さな破壊の太陽と化した。

 

「もふっ!」

 

 

 

 

 

 

 

「この時を待っていた…………!!」

 

瞬間、俺は、破壊の太陽に触れると同時に、知り合いの便利屋から習った奥の手の一つを放つ!

 

「FUCK OFF !!!」

 

破壊の太陽に、今まで溜め込んだ破壊力を、この身を閃光の鉄鎚とし、叩き込む!!

 

 

 

「もふっ」『BREAK DOWN』

 

 

「ロイヤルリリース」…………俺が知る、最強のカウンターだ。

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

怖い。ただただ怖い。

 

深海棲艦との戦いとはまるで違う、別の次元の戦いだ。

 

艦載機がお遊戯に思える程の速さで動く白い獣、その猛攻を戦艦以上の堅牢さで防ぐ提督。

 

そのどちらにも、私は敵わない。そう感じた。

 

 

 

……軽い気持ちだった。

 

初めて会った時のように、提督が私を助けてくれたみたいに、とまでは言わない。ただ、大恩ある提督に少しでもお返しをしたかった。

 

でも、駄目だった。

 

ここが陸の上であることと、前提督の首輪の呪いがまだ残っていることにより、私達は、海以外では、見た目通りの力しか出せない。

 

でも、それでも、提督の盾くらいにはなれたのではないか?囮くらいにはなれたのではないか、などと、そう言った考えが頭に浮かんでいた。

 

逃げたんだ、私は。

 

艦娘の力が使えないから、臆病にも逃げた、いや、何もできなかった……!

 

人々を、提督を守らなきゃならないのに……!!

 

そんな私に、提督はいつも通りの笑顔と、楽しげな声音で話しかけてくる。

 

「おーい、大丈夫かい?榛名ちゃん?怪我はない?」

 

「は、榛名、は、私、は…………!」

 

……今は、それが、どうしようもなく惨めだ。

 

 

 

「…………ああ、何を考えているか、大体分かるよ。マモレナカッタ……ってとこでしょ?」

 

「な、何で…………?」

 

ボロボロになった提督は、

 

「顔に書いてある」

 

と言って笑った。

 

そして、提督は続けてこう問いかけてきた。

 

「艦娘は戦う為に生まれた、だから、戦って、人々を守らなきゃならない?そうかな?(ズアッ)」

 

「……当たり前です」

 

「うーん、この。お堅いんだよなぁ。折角の人生なんだ、肩の力抜いて楽しめよ!役割なんぞ気にするな!ポケモンじゃあるまいし」

 

「(ポケモン?)で、でも、役割を果たせない艦娘なんて!」

 

「役割なんざ、他人に貰うもんじゃないさ。自分がやりたいのを見つけなきゃ。大体な、俺なんかついこの間まで住所不定無職だったんだぞ?役割無しだぞ?でも、こうして楽しく生きてるだろ?」

 

「えっと、それは、そうですけど……。」

 

それとはまた違うような……?

 

「いーのいーの!考えたって無駄無駄ァ!適当が一番!ラブアンドピース!!終わりっ!閉廷!!あっ、そうだ(更なる天啓)、今度は山じゃなくって街でデート、しよう!」

 

「ちょ、ちょっと、あっ、てっ、提督!」

 

あうあう、大っきな犬にするみたいに、わしゃわしゃって撫でられてる……!

 

「よーしよしよし!ここを撫でるとね、喜ぶんですよ!(動物王国)」

 

ふわぁ…………!!何でだろう、すっごく気持ちいい…………!!な、なんだか誤魔化された様な気がしますけど、でも…………、

 

「……そうですね!私の役割は、私自身が探さなきゃ、ですね!」

 

こんなにボロボロになっても、元気一杯の提督を見ると、私もなんだか元気になれる気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに、この後提督は、何処からともなく現れた銀髪のメイドさんに顔をグーで殴られて、「私を呼びつけておいて他の女と逢引なんていい度胸ね」と怒られてたのは、あえて言う必要のない話だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




大淀
最近は休みの日に読書をするようになった。

榛名
二次創作物特有のナデポを喰らう。


もふもふ。
人類種の天敵みたいな眼光。

便利屋
魔人化スティンガーが使い勝手いい。

狩人さん
最近、やっと身体の変化に慣れた。

メイド長
時間操作が特技。
PADではない。

旅人
「ナデポ」インストール済み。
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