旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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オイラは変態じゃねえ!!

RPGでも何でも、話の途中で急に魔物が現れて、「続く」ってされるとイライラしますよね!

まあ、そのイライラすることを今回やったんですけど。



あ、あと、ツイッターで、オーバーロードが古いアニメとか言ってる人がいて。俺の中での古いアニメは銀河鉄道999とかあしたのジョーとかなんですけど、やっぱり俺は皆さんとは違う時の流れにいるんですかね。


110話 深海棲艦が出やがった!!

動け、ない。

 

手足の感覚がない、ぼんやりする、目が開かない、寒い、血が足りない、痛い、爛れた皮膚が熱い。

 

姉さま、皆んな、どこ……?

 

 

 

「ドウスルノ?モウ、死ニカケヨ?」

 

「イッソ、楽ニシテヤルカ?」

 

「ヲ墓クライハ、陸ニ立テテアゲヲウ?」

 

「まあまあ、治せるからこれくらい、大丈夫よ大丈夫」

 

 

 

声が、聞こえる。

 

知らない声。

 

男の人の声。

 

初めて聞く声。

 

艦娘も、死後の世界に、行くのかな。

 

 

 

私、頑張った、よね?

 

出来れば、天国に、行けると、いい、な……。

 

 

 

「良いかな?この高速修復材は、俺と工廠組が共同開発した代物でね?ノースティリス産の祝福ポーションに生命の粉塵、バイタルスター、女神の祝福などを混ぜ合わせた、物凄い回復薬なんだよ!艦娘用に調整されてて、艤装までもが一瞬で元通りだ!!……材料が割高で、在庫があまりないんだがね」

 

「ヘェ、万能薬ッテコト?」

 

「そうさね、生きてりゃ治せる系のやつだ。……はいバシャー!!!」

 

『ほわああああ?!!!』

 

冷たぁぁぁ?!!!!

 

 

 

「ウェルカムトゥジスクレイジータイム」

 

『な、何?!何が起きたの〜?!』

 

『あ、君、イタリア人なんだ。いや、ごめんごめん。……で、どうかな?薬は効いた?』

 

薬?薬……、あ、今の冷たいのかな?

 

……うん、うんうん、失くした手足も、焼けた身体も、穴が空いた艤装も、全部元通り!

 

『……凄いですね〜!まるで、入渠したみたいに、綺麗に元通りです!……あの、貴方が、私を助けてくれたんですか〜?』

 

『Yes I am !!』

 

『わぁ〜!ありがとうございます〜!貴方は、命の恩人さんですね〜!』

 

『冷たい薬を使ってごめんね?大丈夫かい?暖かいコーヒーを淹れたよ、飲むかい?』

 

『いえいえ〜!助けてもらっただけで、ありがたいですよ〜!あ、コーヒー、頂きますね〜!……お〜いし〜!』

 

 

 

……あれ?それにしても、誰なんですかね?

 

うーん、見たことないけどー……、イケメンさんですね〜?でも、イタリア人じゃない?

 

そう言えば、ここは?ここはどこ?

 

辺りを、見回し、て…………?!

 

 

 

「エ?何?」

 

「メッチャ見ラレテルンダケド?」

 

「コ、コンバンワ?」

 

 

 

『…………深海棲艦だーーー!!!』

 

なっ、ななななななな?!!深海棲艦!深海棲艦!!どどどど、どうしましょう?!!!はっ?!い、命の恩人さんだけは守ってあげないと!!!

 

『お、恩人さん!私の後ろに!!こ、今度は私が助けますからね〜!!』

 

とは言ったものの、ど、ど、どうしよう!!戦艦と空母と、雷巡!私一人じゃ勝てないよね?!!

 

えーと、えーと、そうだ!!

 

『えーい!』

 

『うおっ?!どうしたの、急に抱き付いて来て?』

 

いやあ、守る為に、盾になろうと思って……。

 

……はっ?!だ、駄目だ!この人、大っきい!全然守れてない?!!

 

室内じゃ、砲を撃つ訳にもいかないし……、どうしよう!

 

 

 

『あー……、晩御飯はまだ済んでないかな?』

 

『え?あ、はい、まだですよ?……って、今はそれどころじゃないですよ〜!』

 

『うちで獲れたものを使ったローストチキンとポテト、オニオングラタンスープあとサラダがあるんだけど、どう?』

 

『チキン?!!良いんですかずっと食べたかったんです嬉しいです!わーい!』

 

わーい!……レーションのお肉は固くて冷たくてあんまり美味しくないですからね〜。

 

『お酒は?飲める?』

 

『お、お、お、お酒?!!!!良いんですか!!!!』

 

お酒!お酒!お酒!!!艦娘はお酒なんてもらえませんからね!!!!

 

『お、おう、赤でいいかい?丁度良いのがあってさ、一緒にどう?』

 

『あ、あ、あ、ありがとうございます〜!!!恩人さんは神様です〜!!!』

 

おお!おおお!これが、これが夢にまで見た!!赤ワイン!!!

 

『……なんだか、艦娘って、どこに行っても可哀想な扱いだよなぁ……。あ、どうぞ、食べて?味には自信あるからさ!』

 

『わーーーい!!!もぐっ…………!!』

 

んんっ!外はカリカリ、中はジューシー!噛めば噛むほど肉汁が溢れて来て、それでいてニンニクの風味が良く効いていて美味しい!

 

ポテトもほくほくで、病みつきになっちゃいますね〜!

 

スープも素材の味が活かされてて、サラダも新鮮でシャキシャキします!!

 

美味しい、美味しいですね、美味しいです!!

 

そして!

 

『赤ワイン〜!えへ、えへへ、えへへへへへへ〜!』

 

お酒、お酒ですよ初めてです美味しいです〜!

 

豊かな葡萄の香り!どっしりとした味わい!身体を熱くするアルコール〜!!

 

『も、もう、ポーラは、死んじゃっても良いです〜!』

 

『い、いやいや、死なれたら困るよ、折角助けたんだからさ?』

 

あー、それはそうですねー!

 

いつまたこんなに美味しいものとお酒を飲めるか分からないですから、今のうちにたーくさん食べてたーくさん飲まなきゃいけません、ええ、いけません。

 

『んんー!おーいーしーいー!!!』

 

 

 

もー満足です食べられません〜。

 

目の前の恩人さんも、たーくさん食べてたーくさん飲むから、私もそれに釣られてたくさんたくさんたーくさん飲み食いしちゃいました〜!

 

「……結局、貴方ハ誰ナノ?」

 

『んう〜?何ですか深海棲艦さ〜ん?ポーラは今、お腹いっぱい胸いっぱいでいっぱいいっぱいなんです〜。……ん?あれ?……深海棲艦?!!』

 

わー!忘れてました!深海棲艦がいたんでしたどうしよう!!

 

『あー、落ち着いて、えーと、ポーラちゃん?その深海棲艦は、そう……、鹵獲したものだから!害はないよ!』

 

『え?そうなんですか?……あ、ポーラで良いですよ〜、貴方は命の恩人さんで、ポーラのお腹の恩人でもありますから〜!えへへ〜』

 

「お腹の恩人って何だよ(哲学)」

 

『?、何か言いました?』

 

『あ、ああ、いや、何でもないよ。……それで、ポーラ?君はどこの艦娘なのかな?』

 

『セントトリステ鎮守府ですよ〜』

 

あ、そうだ!ザラ姉さま!ザラ姉さまが心配してますよね〜!帰らなきゃ!

 

『セントトリステ、セントトリステ……、あ、丁度仕事場の近くだ、送って行くよ』

 

『本当ですか?!嬉しいです〜!』

 

助かりますね〜、良い人ですね〜!鎮守府の外はこんなに良い人がいるんですね、知りませんでした〜!

 

 

 

『っと、深海棲艦だ、船を停めて応戦しよう。……お空の世界を思い出すなぁ、事あるごとにモンスターに絡まれるんだもんなぁ。話は後だ、先ずは魔物を片付けよう、なんつって』

 

『はい?外……?そういえばここ、どこなんですか?』

 

『ここ?地中海のど真ん中、俺の船の中だけど?』

 

船……、船?!

 

『い、今、地中海の船の中って言いましたか?!!』

 

『え?うん、言ったけど?』

 

そ、そんな!地中海は……!!

 

 

 

『地中海は今、世界屈指の、危険な深海棲艦の巣窟なんですよー!!!』

 

 




ポーラ
頭はよろしくないが、人間的にはいい子。激戦区の地中海の沿岸警備をしていたが、仲間とはぐれて死にかけて、海に浮かんでいるところを確保される。

旅人
お空の世界のSSR。サラちゃん的なポジション。

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