旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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俺あんまりカップ麺って好きじゃないんですけど、ねぎみその逸品とすみれが一番美味いですよね。あと、マヨネーズかけまくったペヤング。

よーし、これで真面目な話は終わりだ。次回から遊ぼう。


115話 一択の選択肢

……成る程、ねぇ。

 

提督に選ばれてつけあがって、艦娘の異常性を目にして恐れる。そして、迫害しはじめる。

 

いたって普通。この女はいたって普通の提督だ。

 

うちの鎮守府だって、まだ練度が低い頃は、手足を失いながら帰って来たり、その子だと判別出来ないくらいの怪我を負ってしまう子もいた。

 

それに対して俺は、死体でもなんでも見慣れているもんで、特に恐いとは思わなかった。艦娘はそういう生き物なんだって納得して、必死に治療をしたが、普通は恐いって、見たくないって思うもんだ。

 

そうか、そういうもんか。

 

『提と、あ!いや、えーと、鶏さーん?皆んなを連れて来ましたよー?』

 

『やっぱり駄目よポーラ、勝手に執務室に入るなんて!』

 

『わっ!け、憲兵さんが!あの、だ、大丈夫ですかー?!』

 

ん、ポーラ達も来たな。

 

……さて、ここの鎮守府は、だ。

 

ブラックであることには変わりがないが、まだ一人も沈めちゃいない。何より相手は女性であるということもある。艦娘を引き取るだけで良いだろう。提督、やめたくてしょうがないみたいだし。

 

その前に、一つだけ。

 

今まで、貴女に会うために頑張っていたリットリオさん達に会ってもらおうか。

 

『ひっ……!あ、ああ!リ、リットリオ……!!』

 

『あっ!提督!お久しぶりです!そ、その、すみません、勝手に出て来てしまって!すぐに戻り……』

 

 

 

『嫌、嫌!!こっちに来るな!!』

 

 

 

『……え?』

 

『もう嫌!嫌なの!提督なんて嫌!!貴女達みたいな化け物と関わり合いになるのは嫌っ!!!』

 

『そ、そんな、私は……!提督と共に歩んで行きたいと!』

 

『無理に決まってるでしょう?!!貴女達は人間じゃない!!化け物なのよ!!……消えて!早くここからいなくなってよ!!!』

 

『提、督……』

 

『もう嫌!恐いのよ、深海棲艦も、艦娘も全て!もう、もう私は提督なんてやめる!海の平和なんて、人類の平和なんて知らない!私じゃない誰かがやれば良いじゃない!!二度と私の前に現れないで!この、化け物!!悪魔、め……』

 

 

 

……会わせない方が良かったか。

 

これ以上暴言を吐く前に、気絶させておいた。

 

……正直、これが普通の人間なんだろうな。恐れて、逃げて、迫害する。それが人間という生き物だ。

 

断罪など出来ようものか。

 

……そもそも、俺は断罪などしているつもりはないが。ただ単に、所謂ブラック鎮守府は、艦娘という美女を苦しめるから癪だってだけで。気に食わないからぶん殴るとかいう超個人的な理由で今の今までブラック鎮守府を潰して来たのだ。鬼畜の所業である。

 

だけど、この女の人をどうこうする気にはイマイチならないなぁ。

 

この人は本当に本当にビビリだった、ってだけだし。というより、こんだけ無様な姿を晒したんだし、もう良いじゃん。許してあげよう。

 

 

 

……さてと。

 

『あー、彼女はもう、提督をやめるそうだ』

 

『………………分かり、ました』

 

リットリオ、ここの鎮守府一番の古株らしい。

 

『…………提督が、私達を恐がっていたのは、何となく分かっていました。……でも、ここまで、追い詰めてしまっていたのですね……』

 

『……月並みな言葉だけど、君達は悪くない、良くやったと思うよ。もちろん、彼女だって悪くないさ。ただ、人一倍臆病だっただけで』

 

『はい……』

 

沈んだ顔のリットリオ。悔しいが、何もしてやれない。俺がここに来るまでもなく、ここの提督の心はとっくに折れていたのだ。

 

よくいる正義の味方みたいに、「勇気を出して皆んなの為に戦え」だなんて、言えた口じゃないしな。

 

 

 

『……リベ、化け物なの?リベは、提督さんの、皆んなの為に頑張ってただけなのに、頑張、って、提督、さんに、喜んで、もらいた、かった、だけなのに…………』

 

涙を流し、嗚咽混じりの声で言うリベッチオ。唯一信じていた人に裏切られてしまったんだ、無理もない。

 

せめて、抱きしめてやるくらいはしてもいいだろう。

 

『あ……、あった、かい……。……だ、駄目、だよ?リベッチオは、化け物だから、悪魔だから……』

 

『少なくとも、悪魔は泣かない、さ』

 

『…………うん』

 

知り合いのデビルハンターが言ってたから多分合ってると思うよ。

 

 

 

『……これから、私達はどうすれば良いのでしょう』

 

そう呟いたのは、ローマ、だったか?リットリオの妹だ。

 

それに続くように、アクィラとザラも口を開く。

 

『提督がいなくなっちゃったなら、アクィラ達はどうなるの……?』

 

『……もしかして、解体……?!』

 

騒つくイタリア艦。無理もない、原則的に、提督が辞職するならば、艦娘は他所に引き取られるか、解体だ。

 

この提督は、特に他の鎮守府との繋がりがある訳でもなさそうだし、このままいくと彼女達は解体されてしまうだろう。

 

残念ながら、政府の方針では、艦娘は消耗品なのだ。資材さえあれば幾らでも建造できる「モノ」……。その考え方はどこの国も変わらない。

 

面倒な引き継ぎ作業をするくらいなら、解体してしまえ、と。そう思われるだろう。

 

だから、

 

『……なあ、うちに来ないか?』

 

提案をする。

 

……実質、選択肢はないようなものだけども。

 

『……うち、とは?』

 

『ああ!この人は、日本の提督さんなんです〜!何でも、黒井鎮守府って言う、世界で一番大きくて、世界で一番強い鎮守府の提督なんですって!凄いですよね〜!』

 

ポーラが、努めて明るく振舞って、そう言った。良い子だな、この子は。

 

『……噂だけなら聞いたことがありますが……、本当ですか?』

 

『そんな、うまい話があるはず……』

 

『でも、他に行くところなんて……』

 

まあ、疑うのも無理はないな。

 

しかし、だ。俺はこの子達が何と言おうと、全員連れ去るつもりだ。こんな美人が幸せじゃないなんて神が許しても俺が許さん。少なくとも、人並みの幸せを知って欲しい。将来がどうこうとかはその後だ。

 

『もちろん、うちが肌に合わないって言うなら、他所に行ってもらっても良い、何なら、艦娘じゃなくて普通に働いたっていい。……兎に角、一度、うちに来るといい』

 

『……はい、分かりました。……私達は他に行くところもありませんし……』

 

最終的に、リットリオが答えを出した。一応、ここの艦娘の総意らしい。

 

良かった、ドイツ艦みたいに大騒ぎにならなくて。後は、元提督さんに、「艦娘は解体したということにしといて辞職してね。してくれなかったら鶏さんが会いに来ます」と不穏な手紙を残し、この鎮守府から去る。

 

普通の人間なんだ、提督業なんて、軍人なんてやめて、普通の仕事をやるといい。そうだな、例えば、先生とか。

 

さあ脱出だ。こういう時に、艦娘は人と変わらない姿形をしているから楽なんだよな。ちょっと変装すれば何処にでもいるセクシー女優に早変わりだ。

 

旅人号に乗り込んで、いざ、おいでませ、黒井鎮守府へ。

 

 

 

『その、それでは、これからよろしくお願いしますね』

 

『ええと、その、よろしく。……あ、あまりジロジロ見ないで下さい!』

 

『アクィラ、今度はちゃんと活躍しますから!……見捨てないで、下さいね?』

 

『あ!日本に行くならワインを買いだめしなきゃ!!て、提督〜?ポーラは美味しいワインが欲しいですね〜?……樽で』

 

『こ、こら!わがまま言わないの、ポーラ!ご、ごめんなさい提督!ポーラに代わってお詫びします!』

 

『リベは、提督さんに酷いことしないからね?その、出来れば、仲良くして欲しいな……?』

 

『Bonjour! Enchantée. Je m'appelle Commandant Teste. 提督、どうぞよろしくお願い致します』

 

この七人とは仲良く、仲良く……?

 

「ちょっと待て、最後の誰だ?!!」

 

 

 

『……?、このコマンダン・テストに何かご用ですか、提督?』

 

 

 

誰だ?!!!

 

 




イタリア艦
穏便に攫われる。捨てられることに対して異常な恐怖を抱くように。

コマンダン・テスト
実は、前の地中海での戦闘時にドロップしていた。なお、この世界での艦娘のドロップは奇跡に等しい現象である。

女提督
この後、手紙を読んでガチビビリ。郊外の静かな土地で保育園の先生になった。園児からのあだ名はお姉ちゃん先生。

デビルハンター
旅人に近しいダメ人間。半分悪魔なのでダメ悪魔人間と言うべきか。

旅人
女が相手だとつくづく甘い。
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