旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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今回はなんだかんだで大変読みづらいです。

読みづらいので、誰の視点か《》で表示しました。

本当にすまないと思っている(表現力の限界)。




12話 涙色のビーナス

《旅人》

 

 

いやー、順調順調。提督って楽な仕事だなー!DIY精神の赴くままに、改装工事を延々としてるだけでうん百万円だからね?給料明細見た時は笑っちまったよ。こりゃいいわ。

 

改装工事については、取り敢えず各部屋への電気工事と、空調の設置、廊下の窓と隙間風はどうにかなったな。このままの調子で行けば、年内に工事も終わるだろうよ。

 

知り合いの冒険屋に依頼して、当面の資材も確保したし、艦娘達の苦労も減って、皆ウルトラハッピーって感じ。

 

艦娘達も、休みが増えて心に余裕ができてきてるらしく、だんだんと俺に話しかけたり、スキンシップをとる様になってきたな(当社比)。

 

モテてる(確信)。

 

 

 

「おはようございます、提督!お料理ですか?私も手伝います!」

 

「おー、榛名ちゃんか、頼むわー。今日のご飯は中華だぞー」

 

「は、榛名、提督に迷惑をかけちゃ駄目デース!!」

 

「ひえー!榛名!畏れ多いですよ!!怒られちゃうかも!」

 

「私の分析では、司令は奇人変人の類です。あまり関わり合いにならない方がよろしいかと」

 

 

 

……モテてる(願望)!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……と、言う訳なんだよ、俺、そろそろ泣いていい?今、人生のピークでモテてない。死にそう」

 

「もふ?」

 

余った料理は、先日鹵獲した裏山のあいつにくれてやる。あの戦いの後、山の整備を継続しながら、ウチの飼い犬になる契約を結んだ、白い獣改め、「首輪付き」だ。最近の俺の話し相手でもある。

 

「ホーンマにもー、俺が何やったって言うんだよ?女の子に怖がられるのは初めてだよ?」

 

「もふっもふっ」

 

「なー?おかしいよなあ?これよお?」

 

「もふもふ」

 

「えー?それはいかんでしょ?」

 

と、俺が愚痴っていたところに、

 

「えっ、と?何してるんだい?提督?」

 

「て、提督さんは、動物とお話しできるっぽい?」

 

天使降臨。

 

「んー?愚痴ってた」

 

「い、いや、通じてないと思うよ?」

 

「首輪付きは所詮獣っぽい?人の言葉は解さないっぽい!」

 

「え?普通に喋ってるじゃん、こいつ?(啓蒙114514)」

 

「「えっ?(啓蒙0)」」

 

「え?」

 

「「何それこわい(っぽい)」」

 

アレ?聞こえないのかな?こんなにペラペラ喋ってるのに。

 

「(ゆ、夕立、多分、提督は艦娘から警戒されたり、辛く当たられたりし過ぎて頭が……)」

 

「(そ、そんな!かわいそうっぽい!提督さんはかなり変わってるけど、凄く優しい人なのに!)」

 

うーん、聞こえてるんだよなあ。別に身も心も病んでないのに。

 

「提督!は、話なら僕達が聞くよ!」

 

「だ、だから、首輪付きはぽいするっぽい!」

 

わあ!露骨!優しさが痛い!

 

 

 

その後、その話が瞬時に広まり、多くのピュアな駆逐艦が俺を心配して話しかけてきた。泣きそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閑話休題。

 

そんなことはいいんだ、重要なことじゃない。今俺が気にすべきは、手元にあるこの書類と、目の前で真っ青になってる大淀ちゃんだ。

 

ええと、何々?『株式会社世紀末及び世界一の冒険屋からの資材買取は、経費外とする(大本営)』だってよ。

 

ガタガタと震える大淀ちゃんが、何とか、と言った様子で、口を開く。

 

「だ、大本営の嫌がらせみたいで……、その……、計算したところ、し、資金が、ゼロどころか、マイナスに…………」

 

俺はいつもの微笑みを浮かべ、

 

「オイオイオイ」

 

吐血し、

 

「死ぬわオレ」

 

ぶっ倒れた。

 

「提督ーーー!!!」

 

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

《大淀》

 

 

 

「あー逝キソ…………」

 

「て、提督、しっかりして下さい!」

 

いつも以上に白くなっている提督を支えながら、この私、大淀は、提督に指示された都市「冬木市」に向かっている。何でも、お金を知り合いから借りるんだとか。にしても、大本営は酷いことをする。

 

鎮守府の噂では、前提督を退役に追い込んだのは提督だという話だが、実際は、暴力を振るわれている駆逐艦の子を助けた弾みで怪我をさせたのだと聞いている。

 

しかし、鎮守府の中では、提督の地位欲しさの犯行では?や、反政府組織の差し金では?などと、根も葉もない噂が実しやかに囁かれている。だけど私は、提督が心から艦娘のことを想ってくれている優しい人だということを知っている。今回だって、自分のお給料を全額経費に変えて、それでもなお不足する分を、恥を忍んで友人に借りると言うのだ。これが善人で無くて何になる!

 

「提督!着きましたよ!」

 

「わ、わくわくざぶーんに行くぞ、大淀ちゃん……」

 

「は、はい!あそこのリゾートですね?!………………え?」

 

あれ?借金をしに…………?アレ?なんでウォーターリゾートに?

 

「て、提督…………?あの、ここで本当に合ってるんですか…………?」

 

不安がる私を手で制すると、提督は施設に向かって、大きな声で呼びかけた。

 

 

 

 

「AUOくーん!!あーそびーましょー!!!!」

 

 

 

 

「喧しいぞ道化がぁ!!近所迷惑だろうが!!」

 

「ぶべらぁ!!!」

 

「提督ーーーー!!!」

 

ああ!て、提督が!突然現れた金ピカの人にグーで殴られた!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で?何をしに来た、道化。呼んだ覚えは無いが。というか貴様、矢鱈と真っ白だな、どうかしたのか?」

 

私達は、そのままリゾート施設の奥にあるとても豪華絢爛な応接室に通され、これまた高級なお茶を出されて、もてなされていた。色々と疑問は尽きないが、少なくとも、提督はこの人からお金を借りるんだろう。あの金ピカの鎧はリゾートのイベント用か何かかしら?(適当)

 

 

 

「金貸してくれ」

 

「断る」

 

が、駄目っ…………!!

 

「頼む!」

 

「断る」

 

「頼む!!」

 

「断る」

 

「お願いだからぁ!もぉ!さぁ!!」

 

「断る」

 

それでも駄目っ…………!!!提督は、土下座までしている……!提督……、私達の為に、ここまで…………!!

 

提督だけにこんな真似をさせちゃ駄目だ、私も頭を下げなくては!!

 

しかし、私が頭を下げようとした時、またも提督がそれを制した。

 

「やめなよ、大淀ちゃん。お願いしてるのは俺だ」

 

「しかし!!」

 

「ところで、さっきから思っていたんだが、その神霊の出来損ないみたいな女は何なのだ?」

 

「ーッ!!」

 

…………出来損ない…………。前提督に毎日のように言われた言葉だ。戦闘能力を持たないまま召喚された私は、出来損ないとして、鎮守府の全ての雑務を押し付けられた。辛かった記憶がフラッシュバックする。ああ、辛い、痛い、怖い、私は、最善を尽くしているのに…………!

 

「やめなよ」

 

「…………提督?」

 

「ウチの大淀ちゃんは出来損ないなんかじゃないよ、AUO君。控えめに言って最高の人だ。勤勉で、真面目で、尚且つ美しく、有能だ。誰にも文句は言わせねえよ」

 

そう言って、提督は、震える私の頭を撫でた。まるで、怯える幼子を安心させるように……。

 

「て、てい、と、く…………!!」

 

ああ、この手だ。この温かい手で私は救われたんだ。この優しい笑顔に私は助けられたのだ……。

 

 

 

「ふん、まあ、道化が何と踊ろうと構わん。……金は、タダでは出さん。その代わり、分かるな?」

 

「オーケー、いつもの、な」

 

そう言うと、提督は私を退室させた。「休暇だよ、楽しんで来な」と言い残して…………。

 

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

《旅人》

 

「全く、来るなら来ると言わんか!歓迎の準備が出来んだろう!!そして、この我の顔を見て、第一声が金を貸せだと?この道化め、相当愉快な土産話を持って来ているんだろうな?!」

 

「まーねー。さーて、何から話そうかな、うん。あ、そうだ、ヤーナムの話とかどう?知り合いの偽医者に話したら、泡吹きながらぶっ倒れた話なんだけどさぁ」

 

「おお、良さそうだ、そう言う愉悦分を過分に含む話は大好物だ!」

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

《大淀》

 

リゾートの中に案内された私は、提督の帰りを待つ。あの趣味の悪い金ピカと何をしているのか気になるが、私はここであの人の無事を祈る事しかできない。

 

私は、無力だ……。

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

《旅人》

 

「ンフフ、でさぁ、その聖杯にね?儀式の素材が足りねえっつって、目玉の代わりに俺が持ってた、すっ、スーパーボール入れてさ、ンフフフフフ、そしたら時空が歪んで、ロスリックとかいう変な世界に飛んじゃってね!」

 

「あーっはっはっはっ!戯けだ!神話クラスの戯けだ!!我、大爆笑!!」

 

「で、その時の聖杯がこれになりますンフフフフフ」

 

「あーっはっはっはっ!!買った!!!あ、そうだ、さっき言峰からいい酒が届いてな?一杯どうだ?」

 

「ああ^〜、いいっすね〜!どうせなら親友さんも呼んでパーっとやりましょうよ〜!」

 

「おお、そうだな!もしもし、エルキドゥ?今いい?あっ、例の道化が遊びに来たから、一杯やらぬ?」

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

《大淀》

 

三十分位だろうか、短い時間だが、焦りのせいか酷く長く感じる。

 

……こうして一人で考えていると、どれだけ提督が素晴らしい人か良く分かる。戦闘能力が無い故に、私は常に鎮守府にいる。だから、鎮守府で提督が何をやっているかは誰よりも知っているつもりだ。

 

提督はいつも、休まずに鎮守府の改装をしている。そして、食事を作り、掃除をして、その上、私の仕事も手伝ってくれる。素っ気ない態度をとる艦娘にも分け隔てなく接し、皆を労う。とても、とても優しい人だ。

 

私はいつも、そんな提督の力になりたいと願うけれど、提督は何でも一人でこなしてしまう。私の書類仕事もそうだが、最近は艦隊の指揮も学んだらしく、長門さんと戦術について話し合うところを良く見かけるようになった。

 

私は、提督に必要とされているのだろうか?

 

ただ救われるだけの、重荷になっていないだろうか?

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

《旅人》

 

「いや、そんでさ?ンフフ、その巨人を倒せるのがストームルーラーって剣でさ?でも俺剣とかからっきしじゃん?だから取り敢えずぶん投げてみたのよ。ケツに」

 

「あーっはっはっはっ!!で?直撃したのか?」

 

「うん、ぶっ刺さった。キレーに穴にぶっ刺さった。で、そん時、その巨人の盟友の騎士が来てさ?いやすっげえよあの微妙な空気!笑っちゃうぜ!!」

 

「「あーーーっはっはっはっ!!!」」

 

「ははは、ひ、酷いな君は!!」

 

「いやだってあれはしゃーないでしょ?!!俺に剣を渡した不死者さんが悪いわ〜!あいつ馬鹿じゃねぇ?(本音)」

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

《大淀》

 

日が、落ちてきた。私の提督は、未だ姿を見せない。

 

提督、どうしたのですか?

 

何か、あったのですか?

 

私では、お力になれませんか?

 

 

 

お願いします、神様。

 

提督をお助け下さい、提督をお守り下さい。

 

その為なら、この大淀、命すら惜しくありません…………。

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

《馬鹿》

 

「「「ワーッハッハッハッハ!!」」」

 

「「「(グビグビ…………)」」」

 

「「「ワン・モア(おかわり)!」」」

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

《大淀》

 

夜の帳が下りた。

 

外は完全に真っ暗だ。

 

まるで、提督に出会ったあの日みたいに。

 

 

 

…………思えば、神様は、どんなに祈っても、私のことを救ってはくれなかった。

 

前提督に虐げられる度、毎晩神様に祈ったのに。

 

私は、神様に見捨てられたのだろう。出来損ないであるが故に。

 

結局、私を救ってくれたのは、私の提督だった。

 

神様じゃない、私の提督だ。

 

 

 

私の提督が、私を、救って…………。

 

 

 

だから、私の、神様は………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

「オオェッ!の、飲み過ぎた!馬鹿じゃねーの?!あの酒何度だよ?!!」

 

「「はーっはっはっは!!じゃあな(じゃあね)!また来るがいい(来てね)!!」」

 

 

 

提督が、私の前で、倒れた。

 

「あ、ああ……!ああああああああ!!!提督!!提督!!提督!!!大丈夫ですか?!!提督!!!お願いです!提督!!嫌!嫌嫌嫌嫌嫌嫌!!!!」

 

駄目、提督が、提督が、私の提督が!!!

 

 

 

 

「…………うぅあ〜、お、大淀?」

 

!!、良かった、生きてる!!

 

「はい!!貴方の大淀です!!大丈夫ですか!!何かされたんですか?!!」

 

あの金ピカが、提督に何かしたんだ……!許せない!

 

「ん〜、なんかねぇ、お酒一杯飲んだなぁ、あっはっはっは」

 

お酒……?!、そう、そういうことね、嫌がる提督にお酒を無理やり、沢山…………!!お酒だって、大量に飲めば毒になるのに!!

 

「いやー、道化よ、中々に楽しめたぞ!また来るがいい!!」

 

「あいよ〜!あっはっはっは!!」

 

ああ、提督!こんなに、前後不覚になるまで……!おいたわしい…………!

 

「お、大淀じゃん、ちょっと肩貸して〜、もうフラッフラよ俺?早く帰ろ〜、もうなんか寝たい(酩酊)」

 

「は、はい!分かりました!」

 

それを聞いた私は、直ぐ様提督に肩を貸し、手を握り、足早にこの施設を去った。これ以上ここにいては提督の身が危ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私と提督は、逃げるようにこの街を去り、今は二人で電車に揺られている。提督とは、今も手を繋いだままだ。

 

提督の手も、あの時と同じ温かさのまま……。この手の温かさが、世界で一番安心する。

 

「……提督、私は、貴方の重荷になっていませんか?貴方のお役に立てていますか?」

 

「ん〜?どったの急に〜?」

 

提督の温かさのせいか、私は、提督に胸の内を明かしてしまう。

 

「……私、怖いんです。提督には助けてもらってばっかりで……。ただでさえ、戦闘行動が出来ず、鎮守府に貢献できていませんし……。私、要らない子なんじゃないかって……」

 

すると提督は私を強く抱きしめると、こう言ってくれた。

 

「そんなことないよお〜!大淀ちゃんはとってもいい子だぞ〜!俺はいっつも頑張ってる大淀を、ちゃんと見てんだからな〜!!よ〜し、ナデナデしてやろうな〜!ナデナデ!!(泥酔)」

 

 

 

ああ、ああ……!やっぱり、貴方は、貴方だけは、私の側に居てくれる!どんな暗闇からも救い出してくれる!!神様に見捨てられた出来損ないの私を見ていてくれる!!私の祈りを聞いてくれる!!

 

 

 

提督、

 

 

 

貴方は、

 

 

 

私の、

 

 

 

 

 

神様です…………!

 

 

 

 




金剛型
榛名以外、提督を警戒している。

時雨、夕立
優しい子達なんです。

ピュア駆逐艦’s
心が綺麗。

首輪付き
赤い首輪がチャームポイント。

大淀
病みの兆し。
崇拝、執着型ヤンデレになりそう。

AUO
お金持ち。
旅人のお話を聞き、異界の珍品を買い取る。
大淀を出来損ないと呼んだのは、「何で艤装持ってないの?」という意味合いで、他意はない。

親友さん
AUOの唯一無二の親友。
性別不詳。

世界一の冒険屋
他人とは食生活が合わない。
好物はネジ。

旅人
お酒大好き。
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