旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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時間ない。

奇跡的に更新できた。

誤字とかは、まあ。


136話 クラウドブレイカー

「……ん、ここ、は……」

 

……ドック、かしら。

 

傷を負うことなんてもう殆どないから、凄く久しぶりね。

 

……あら?

 

そもそも、何でドックに?

 

出撃……、やられた覚えはないし、演習も違う。

 

ええと……。

 

そう、だ。

 

思い出した。

 

私は、司令官の血を……!

 

 

 

「あ、おはよう叢雲。やっと起きたか」

 

その、声は……。

 

「し、司令か、ああああああああい?!!!」

 

は、ははははは、裸ぁ?!!!

 

何でドックの壁に突き刺さってんの?!!!

 

「取り敢えず助けてくれない?某有名エロフラッシュみたいな感じになってるから。俺の壁尻とか誰も得しない」

 

「何言ってんのよ?!!!」

 

相変わらず訳が分からない!!

 

……と、兎に角助けなきゃ。

 

「それっ!」

 

「おお、抜けた抜けた。ありがとねー」

 

「……って、ボロボロじゃない?!!」

 

何でこんな酷い怪我を?!

 

「死な安」

 

「は?」

 

「死ななきゃ安い」

 

「高くついてるわよ!!」

 

レーダーも何も使わないでも分かる。ボロボロよ、これ!ただでさえ、この前の謎の中東系の男との戦いで片腕と内臓を失ってるのに!

 

艦娘でも死んでもおかしくないくらいの怪我じゃない!!

 

「よく見てよ、全然余裕だからマジでマジで」

 

《HP:1》

 

「どの辺が?!!顔の横にHP:1って書いてあるけど?!!」

 

「……今にも燃えつきそうなオレの生命だが……、人形ごときにとらせてやるほど、安くはないっ……!!!」

 

「刃物がかすっただけでも減るようなポイントじゃないの!!!」

 

立つことすら出来てないわよ?!

 

「そんなことより、身体は大丈夫か?俺の血を舐めたんだろ?艦娘だし、あまり問題はないと思うが……、心配でさ。見舞いに来たんだよ」

 

「いやいや!あんたが大丈夫?!」

 

逆じゃない?!

 

何であんたが見舞いに来てんのよ!!

 

 

 

……て言うか。

 

「……気持ち悪くないの?」

 

「え?体調は悪くないけど?」

 

「そうじゃないわよ!……私は、あんたの血を……」

 

……あの謎の男との戦いの最中。司令官の血がばら撒かれた。剣を振り抜かれる度、司令官の血肉が宙を舞った。

 

……私は、それを……。

 

「ああ、美味しかっただろ?」

 

「……は?」

 

「俺の身体は仙人に近いから、半ば神霊に近い艦娘にとっては美味しく感じると思うよ?」

 

「……何言ってんのよ!あんた、間接的にとは言え、食べられたのよ?!怖いでしょ?!引いたでしょ?!……私のこと、嫌いに、なった、でしょ……!!」

 

化け物だ、私は。

 

大好きで大好きでたまらない人の血肉を……!

 

「えー?別に?知り合いの妖怪にはよく食べられるし。ほら、これ見てみ?昔会った吸血鬼の子なんだけどさー、会う度に血を吸われるんだよねー。ま、可愛いから良いんだけどさー」

 

「……は?」

 

見せられたのは、犬歯の長い、金髪をサイドテールに纏めた女の子が、司令官の首筋に噛み付いている写真。

 

「この子は幻想郷で会った子で人食い妖怪、こっちの吸血鬼はお空の世界で会ったんだよねー」

 

司令官に齧り付くリボンの女の子、手首に歯を立てている頭に羽が生えた女の子。

 

「…………は?」

 

「は?じゃないが?」

 

「はぁぁぁぁ?!!」

 

何てこと、余所の女の子と嬉しそうに……!

 

「何なのよそのアルバム?!!ふざけてんの?!!寄越しなさい!!!」

 

こんな、こんなもの!!!

 

「あ、駄目、それ、グロ注意」

 

「こんなに一杯の女の子を取っ替え、引っ、換、え……?」

 

少しページを捲れば、巨大なトカゲに食い千切られている司令官。溶岩を纏う巨大蜘蛛に抉られる司令官。火傷顔のロシア女が率いる軍隊に集中砲火される司令官。白いドラゴンの吐く息で結晶化している司令官……。

 

「何よ、これ……」

 

「え?ゲームオーバー集的な?」

 

「いやいやいやいや!死ぬでしょこれ?!どう考えても死ぬわ!!」

 

「でもそれってあなたの感想ですよね?」

 

「一般論よ!!!」

 

浮気か、と疑った最初の女の子達との写真も、冷静になってよく見る。

 

「この子は?」

 

「んー?だからフランちゃんだよ。かわいいだろ?」

 

「……ねえ、もしかして、この背景に写ってるの……」

 

「背景に写ってる内臓あるじゃん?あれ全部俺のなんすよ(笑)」

 

「笑い事じゃないわよ!!」

 

よく見ると、噛み付かれている写真の背景には赤黒い内臓が、明らかに人一人分以上散乱している。

 

金髪のリボンの女の子に齧られている写真も、よく見れば、見切れてもいないのに腰から下が無くなっているし、頭に羽が生えた女の子の写真も、司令官が赤いシャツを着ているんじゃなくて、とんでもない量の出血をしていることが分かる。

 

これじゃ、まるで……。

 

 

 

「俺の方が化け物?」

 

 

 

「ッ?!そんなことない!!」

 

あんたは化け物なんかじゃないわ!

 

「……要するに、気の持ちようだと思うんだけど。俺、仙人だったり妖怪だったり超人だったりするけど、それでも気持ちは人間だもん」

 

「……自分は自分だって、思うことが大事ってこと?」

 

「そうそう、その通り。……結局、最後にモノを言うのは気持ちだよ。どんな行動を取ろうが、胸を張って自分だって言えるなら、それで良いじゃない?」

 

胸を、張って?

 

「悪の組織だってそうさ。他人に悪と罵られても、自らの野望の為に日夜努力する……。でも、胸を張って生きている。自分の進む道が正しいと信じている」

 

でも、私は……。

 

「正しくないことを、したんじゃないかって……」

 

「正しいかどうかは自分自身が決めることだと思うよ?……因みに俺は何とも思ってない、だから気にしないで欲しい」

 

どう、なのかしら。一般的に言えば、正しくないことをした。けど、それは一般的に言えばの話。

 

私は、私なら、司令官に噛み殺されても許せるけど、司令官は?司令官は怒ってない?恐がってないの?

 

……無理ね。司令官の気持ちなんて分からない。理解出来ない。私の艦長だった東少佐よりも頭がおかしな人だし。でも……。

 

「……嫌われるかと、思った。あんたに嫌われたら、私は……」

 

私は、私じゃなくなる……。

 

「はは、まさか。嫌う要素が無い。俺の血を口にしようとも、叢雲が叢雲であることに変わりはないさ。そして俺はそんな叢雲が好きだよ」

 

「……ありがと」

 

そっか。

 

なら私は正しいんだ。司令官が好きだと言ってくれるなら、どんなことだって正しい。正当化される。

 

やっぱり、司令官は司令官だ。

 

こんな私のこと、好きでいてくれるんだ。

 

「ほらほら、元気出たなら行くよ、叢雲!」

 

「ええ!」

 

「……うん、叢雲は不敵に笑ってる姿が一番だな!」

 

そうね!

 

私がしっかりしなくちゃね!

 

 

 

「で、行くってどこに?」

 

「いや、前回コーラにメンシス入れてさ」

 

「……つまり?」

 

「今回もオチが無かった。故に天丼。ギャグの基本ではないかな?まあ一般論でね?決して使い回しではない」

 

非常に遺憾だけど、司令官は賢い。普段の行動や会話に知性は感じられないけど、世界各国の言語を覚えていたり、法律や経済だったり、文化だったりと知識は多岐に渡る。だから、何を言っているか分からない時がたまにある。

 

「その、悪いけど、私にも分かるように言ってくれるかしら?」

 

「最初はオチを付けるためだけの軽率な行動だった。ここまでならまだ1アメンドーズで済んだんだ。だけど、途中から俺の少年ハートがかっとビング。メンシスコーラに儀式素材をシュー!!超エキサイティン!!!その他諸々をエクシーズ召喚してしまってな」

 

くっ、駄目ね、これっぽっちも理解出来ない。

 

「あー、その、結果だけ言ってくれるかしら?」

 

「あれです」

 

指差された先を見ると……。

 

 

 

……『◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎ーーー!!!!』

 

……「アハッ、旧主の番犬!犬っころ同士仲良く殺し合うっぽい!!……月光よ!!煌めけ!!!」

 

……『ーーーーー!』

 

……「不味い!アメンドーズのレーザーだ!皆んな避けて!!」

 

……『◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎ーーーッ!!!』

 

……「失せろ、白痴の蜘蛛め!!!」

 

 

 

「………………」

 

「本当にすまない(ジークフリート感)」

 

「この……、お馬鹿!この……!!」

 

よく分からない何かがウチの庭で大暴れしている。その原因はウチの主人が調子に乗って呼び出したから。笑えない。

 

「て言うか前も同じようなことやって執務室ごと爆発したじゃないの!!何で懲りないのよあんたはーーー!!!」

 

「オレは男の価値というのは、どれだけ過去へのこだわりを捨てられるかで決まると思っている(鰐並感)」

 

「〜〜〜〜〜っ?!!!」

 

呆れて物も言えないとはまさにこのことね……。

 

「まあまあ、落ち着きなよ。俺必殺の獣王会心撃で……、あれ?立てねえ。あ、そっか、怪我してるわ俺。詰んだわ」

 

とびっきりの大馬鹿だ。でも、でもね?

 

 

 

「……はぁ、もう、しょうがないわね!私が全部殺してきてあげるんだから!任せなさい!」

 

 

 

そんな大馬鹿が好きでたまらない私は、もっと馬鹿なんだなって思うわ。

 




叢雲
作戦によって武装を転換する。ついでに色も変わる。黒が一番強い。

吸血鬼(幻想郷在住)
キュッとしてどかーん。ありとあらゆるものを破壊する能力を受けても立ち上がり、声をかけて来た旅人に思わずフレンド申請。

吸血鬼(お空の世界在住)
けんぞくぅ。まさかの吸っていい宣言にびっくり。お腹いっぱいになるまで吸ったのに眷属にもならないし死にもしないのでこれまたびっくり。

人食い幼女(幻想郷在住)
そーなのかー。半分仙人みたいなものである旅人の肉はかなり美味しいらしい。食べても減らないし、甘いものとかくれるので嬉しい。

クソトカゲ
第◾︎◾︎回収容違反時の映像。

蜘蛛
最初のボスにしちゃ強くない?デビルハンターとの共同作業だった。

火傷顔女
取引先。軍隊上がりのロシアンマフィア。

白いドラゴン
負けイベ。

旅人
ギャグマンガの主人公くらい死なない。

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