これから何話かは何人か適当な艦娘の好感度を上げて、クリスマスのお話を書く予定。
え?クリスマスにクリスマスのSSなんて書いたら心が折れるでしょう?早めに書いておくべきなんですよ。これをダメージコントロールと言います。覚えておきましょう。
先日の一件から、艦娘の皆んなからの好感度が上がった気がする。
具体的に言えば、前と違って、話しかけると言葉を返してくれる、名前を呼んでも怒らない、挨拶をしてくれる、などといった感じ。モテモテですわ。
まあ、マイナスがゼロになったみたいなもんやし。多少はね?
ああ、もう一つ、前と変わったことがある。
「「うおおおおおお!!!」」
「ヒューッ!っぶねえ!!Foo↑(回避)!!」
「クソッ!外した!!天龍、右から仕掛けろ!!」
「おうよ、摩耶!行くぜ!!」
挑戦者の登場である。
こうなった事の発端は何だったか、全く思い出せないが、多分俺は悪くない。
とか考えつつ、正面からくる摩耶ちゃんの蹴り、右から迫る天龍ちゃんの拳打を身を捩って避ける。パワーとスピードは人並み以上だが、それ以外は酷くお粗末だ。これじゃあ、俺に触れることすら叶わないね。
「お粗末過ぎる……。今流行りのお粗末さんかな?」
「テメェ!!オラオラァ!!」
摩耶のフック、右、左、左、右、左。欠伸が出る程スロー。スウェイで全弾回避。直後に、真後ろから天龍ちゃんの俺の胴へ向けての回し蹴り。これも遅い。大きく跳んで、摩耶ちゃんを飛び越え、回避。ついでに、俺を見失った摩耶ちゃんの耳に息を吹きかける。煽りも立派な戦闘スキルだから(震え声)。
「ひゃん?!!こ、コラ!!やめろ!!」
あらかわいい。振り向く瞬間、裏拳を放ってきたが、動揺しているせいか雑な一撃。軽く首を引いてやると、鼻先を通り過ぎて行く。
もういいかな、とっとと執務室に引っ込もう。あそこは戦えない大淀ちゃんがいつも居るせいなのか何なのか、挑戦者達も攻め込んで来ない。
……あと、最近大淀ちゃんがものすごーく献身的なんだけど、誰か何か知らない?ちょっと怖いよアレ。俺の仕事もやろうとするしさ。
「て、テメェこの!逃げんな!!オラ!!」
自棄になった天龍ちゃんが叫び、フェイントも何もない正直なストレートを放つ。逃げるな、とのことなので、ブロッキングをして防ぐ。
「え?うん。いいよ」
「おお?!な、何だこれ?!手応えが、ぬおっ?!!」
そのまま間合いを詰めて、足を引っ掛けて転ばせ、俺に掴みかかろうとする摩耶ちゃんにパス。摩耶ちゃんの柔らかそうな胸に天龍ちゃんがぶつかる。ずるい。
「「うわあああ!!」」
どんがらがっしゃん。漫画みたいな音がして、二人は組んず解れつ。
「…………キマシタワー?」
「「何も来てねえよ!!」」
レズではない(戒め)。
×××××××××××××××
「だー!!畜生!!今日も勝てなかった!!!」
「あー、クソ、ムカつく!触ることすらできねえのかよ!!」
これであの日から7回目の挑戦、今の今まで、一度たりとも勝てていない、いや、勝負にすらなっていない。
「本当に、何なんだあいつは?」
「実は艦娘ならぬ艦息だったって言われても驚かねぇぞ、オレは」
全くもって訳が分かんねえ、確かにここは陸の上だけど、それでも艦娘の身体能力なら、人間一人くらい容易く倒せるはずなんだけどなあ。
「……力は、多分、あたしより強い。速さは、見えないくらい。技術は、手品みたいに、何をされたかわからない。……アレ?これ、あたし達、勝てなくないか?勝てる要素がないぞ?」
摩耶が一人でブツブツと何か言っているが、いつものことだ。こうして、適当にあしらわれた後、オレ達は必死にあいつの弱点を考えている。まるで見つからないが。
……どうして、そんなあいつに挑むのか、事の発端は、あの日だ。あいつが、オレ達の首輪を外したあの日……。
『あー、遠征終わりっ!今日の仕事終わりっ!!全く、新提督様様だな!ガキ共も楽させてやれるし、メシも美味いし、休みもあるし!』
『んあー、そーだなー、あたしとしては、甘いものが食えるのと、島風が喜んでるのと、……あと、首輪付きちゃんが可愛いのがなー』
『そういやお前、動物好きだったよな』
『ああ、誰にも言うなよ?恥ずかしいからなー』
『すまない、本当にすまない』
『『うおおおあ?!!!』』
『おっ、おまっ!提督!!お前!!急に出てくるな!!』
『てっ、テメェ!!この野郎!いきなり背後から話しかける奴があるか?!!』
……あの時、あいつはオレ達から首輪を掏り取ったんだ。目にも止まらぬ速さで。
『……?お前、その、手に持ってるのって…………!まさか?!!…………な、ない!首輪がないぞ!!あのクソ忌々しい首輪が無くなってる!!』
……摩耶は、まるで馬鹿みたいに、自分の首をペタペタ触ってたっけ。
『…………えっ?…………あっ?………………えっ??』
……もっとも、オレもあまりの事に理解が追いつかなかったけどな。そのあと、あいつは、「知らなかった」だの、「解体はしない」だの、「俺は悪くねぇ、嵌められたんだ!」だの……兎に角、オレ達に詫びを入れて最後にこう言ったんだ。
『いやもう、すまない。殴りたかったら殴ってくれて構わん(人間の鑑)』
……この時点では、軽く殴って終わりにするつもりだった。私も、摩耶も。だがあいつは……、
『……よし、それでこそ男だ!一発で許してやるよ!』
『そうだな!変な奴だと思ってたけど、意外と男らしいとこあるじゃねえか!』
『『せい!!…………あれ?…………な、何避けてんだテメー!!』』
……あの野郎、よりにもよって避けやがったんだ。
『いや、当たったら痛いじゃん?逆に、当てられない方が悪いって事で。はい、じゃ、ヨロシクゥ!!(人間の屑)』
『ほーう、そうかそうか。……大怪我じゃ済まさねぇぞ!!』
『……何だとテメェはこの馬鹿野郎!!』
……流石に悔しく思ったオレ達は、何とか一発ぶん殴ってやろうと躍起になったんだ。でも、あいつには指一本触れられなかった。
『はぁ、はぁ…………、はっ、速え……?!お、お前、何だ?何なんだ?!』
『ありえねえ、このオレが……!』
『あららら……、天〜龍ちゅわ〜ん?摩〜耶ちゅわ〜ん?ちょっとイケてないんじゃなーい?いくら何でも駄目すぎるだろォ?はっずかしい〜』
『『…………ぶっ殺す!!』』
……こうして、オレ達は提督に挑むようになった。この時の雪辱を果たす為に……。
まあ、でも…………、
「「……強い男って、カッコいいよな…………」」
……よ、嫁に行くなら、自分より強い男のところじゃなきゃ、な!
天龍、摩耶
元から、物事を難しく考えないタイプ。
二人とも単純な子なので、提督への好感度は高かった。
提督の強さを知りコロッと堕ちる。
大淀
目の前で提督にちょっかいを出すと怒る。
無言で怒る。
怖いので、大淀の前では挑戦者は現れない。
旅人
避ける上に硬い。
スパロボなら分身とガード持ってるみたいなもん。
しぶといだけで火力と射程がクソ。