旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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輪の都に出張してきました。六時間ほどでクリアできましたよ。

ssの進捗?駄目みたいですね。


141話 地中海奪還作戦 鬼虎侵攻編

「ふはははははは!!!効かんな、深海棲艦!!!」

 

『クッソ、何ナンダコノメスゴリラ!!!硬過ギル!!!』

 

「む、失礼だな、貴様は。ぬぅん!!!」

 

『オッァーーー?!!!オマケニクッソ強エエッ!!!!』

 

『レ級!!』

 

思わず、レ級に声をかけるワタシ。

 

くっ、このままじゃジリ貧だ。

 

「あら?目の前の相手から視線を外して良いのかしら?」

 

『クッ……!!』

 

速い……!!

 

『来イ!!』

 

適当な深海棲艦を差し向けても、

 

「はぁっ!!!」

 

『ブレイクダンス……!!!』

 

逆立ちのまま、開脚、回転……?!ダンス?いや、これは鋭い蹴りだ!!

 

ワタシの適当な深海棲艦では、一瞬で駆逐される!

 

やはり、量産型では無理か!

 

 

 

だが、手はある!

 

『シィッ!!!』

 

「!!、……深海棲艦が、武器を?」

 

よし、当たる。当てられる!

 

集積地棲姫作、対艦娘刀だ……!

 

 

 

……前回、黒井鎮守府の不意を突いて、本部に攻め込んだワタシとレ級は、いとも容易く撃退されてしまった。充分な戦力はあった筈なのにだ。

 

だからこそワタシは、必死に考えた。敗北の理由を。勝てなかった訳を。

 

パワーでは負けていない、スピードもだ。数は遥かに多かったし、殺意だって負けていない筈だ。

 

だが、ワタシ達深海棲艦には、技量と、上等な艤装が無かった。

 

故に、ワタシは武器を、刀を使うことにした。

 

集積地棲姫に頼み込んで、新たな艤装として。

 

追加装甲、高感度センサなども増設。更に模擬戦や訓練でワタシは強くなった。

 

あの日から毎日欠かさず刀を振るった、本気でトレーニングしてきた。負ける道理はあるものか!

 

『行クゾ!!』

 

「あら、結構……!」

 

踊るような動きに惑わされるな!本質を捉えろ!

 

『ウオオオォォォ!!!』

 

「やるじゃない!」

 

未だ互いに本命の一撃には当たらず、打ち合いが成り立っている。

 

……行ける!

 

あの時とは違う、戦いにすらならなかったあの時とは!!ワタシは勝つ!!戦って、勝つ!!!

 

『シャァア!!!』

 

「っ!危ないわね!!……あっ!」

 

艤装を斬った!……だが浅い!!

 

しかし、これで分かった。当たる、斬れる!即ち殺せる!!

 

「もう、酷いわ!女の子を傷付けるなんて!」

 

『……フン』

 

会話をする気はない。余計に心を惑わされるかもしれないからだ。余計な情報は排除する。

 

「嫌ねぇ、折角、出来るだけ怪我しないように動いてるのに……」

 

『ソノ首、貰イ受ケル!!!』

 

鞘に納めた刀身を抜刀、鞘の中で刀身をを存分に加速させ、居合!!!

 

首を、落とせ!!!

 

『取ッタ!!!』

 

 

 

 

 

「無理よ」

 

『ーーーッ?!!!』

 

この女、歯で刀を……!!!

 

「勘弁して頂戴。こんなことに意味なんてないわよ?」

 

聞くな!揺らぐ!あの時の二の舞いになるのは防げ!!

 

『ハァァァァァ!!!!』

 

袈裟斬り、逆胴、突き、面、斬り上げ!!何でも良い、斬れ、斬るんだ!!!

 

「貴女達に勝ち目なんてないでしょう?諦めなさい、提督なら悪いようにはしないわ」

 

聞くな!聞くな!!ワタシは戦いに来た!会話など不要だ!!!

 

回避を続けるこの女に切っ先を向ける。純粋な殺意を込めて、力を込めて刀を握る。恐れるな、臆するな、逃げるな!強く自分に暗示する!

 

「こんなことしても何も変わらないわよ?私達艦娘が勝って終わりに決まってるでしょ?」

 

それでも、歌うような声が嫌に響く。……やめろ!聞くな!!

 

「出撃なんて碌でもないわ。身体に傷を付けちゃ駄目だし、声を荒げて殴りかかっても駄目、返り血だって駄目……」

 

まさか、と。心のどこかで、頭のどこかで思ってしまう、考えてしまう。……考えるな、戦いだ!!

 

 

 

「……動き辛いけど、そうしなきゃ可愛くないわ」

 

 

 

『ーーーーーッ!!!!』

 

そんな、ことを…………?!!!!

 

「潮風は髪もベタベタになるし……、本当は出撃したくないのよ?でも、出撃しないと提督が困っちゃうでしょ?「可愛いままでいる」、「提督の役に立つ」、どっちもやらなきゃならないところが艦娘の辛いところよね」

 

『貴様ハッ!!!』

 

「?、何かしら?」

 

『貴様ハ!戦イノ最中ニ何ヲ!!何ヲ考エテイルノダ?!!ドレダケコチラヲ見下セバ気ガ済ム?!!!』

 

やめろ、やめろ!やめろやめろやめろやめろ!!!

 

 

 

「ああ、貴女……」

 

聞くな!!!!!

 

 

 

 

「戦ってるつもりだったの?」

 

 

 

 

『ア、アア、アアアアアアアアアア!!!!!』

 

同じ、だ。同じだ。あの時と同じ。あの時のあいつと同じ目だ!

 

……こいつは、ワタシを「見ていない」!!

 

「その、ごめんなさい。戦ってるつもりだなんて思わなくって。……でも、どうせ、なんだかんだ言って逃げるんでしょ?決死の覚悟って訳じゃないんでしょ?」

 

『馬鹿ニスルナッ!!!ワタシハッ、ワタシハ本気デ!!!!』

 

声を荒げて叫ぶ。酷い侮辱だ。

 

「だって、貴女、弱いじゃない。強さってものが何かまるで分かってない。だから私には響かない」

 

トラウマが蘇る。あの時のトラウマが。

 

「強さ、よ。強さ。分かるかしら?強さって言うのはね…………」

 

『良いですかネ級さん、強さとは…………』

 

聞こえる。あいつの声が。

 

 

 

「『愛情』なのよ」『『信仰』である、と』

 

 

 

『ウワアアアアアアア!!!!!』

 

駄目だ、駄目だ。殺せ、早く殺せ。ワタシが壊れる前に、目の前のこいつを殺せ。殺すしかない。技も何もない、力任せに刀を振るう。死ね、死んでくれ。ワタシの前から消えてくれ!

 

「貴女には愛が足りないのよ、愛が。愛情があればなんだってできるのよ?強くなるなんて簡単だわ」

 

『死ィィィネェェェ!!!!』

 

「でも、戦ってるつもりの貴女を無視したのは良くないわ。美人は気配りもできなきゃ駄目なんだから。……しょうがないから、少しだけ……、『戦って』あげる」

 

瞬間、どこから出したのか、匕首……、所謂ドスを取り出す陸奥。

 

おかしい、違う、変わった。一挙一動に目が離せない。言葉一つ聞き逃せない。本来なら切り落とすべき余分な情報すらも無理矢理に脳に叩きつけられる。

 

『ア、アア…………!!』

 

声が、出ない。喉が異様に渇いて、目の奥が針で刺されたみたいに痛い。心臓が締め付けられる感覚。肌が粟立つ。これは、そう、捨てたはずの、戦闘に不要なはずの感情。

 

 

 

恐怖……。

 

 

 

だが、それを自覚する前に、ワタシは。

 

「……やっぱり、弱いわねぇ」

 

『助、ケテ……』

 

どうしようもなく、壊されてしまっていた……。

 

 

 

×××××××××××××××

 

『コノ、馬鹿力ガァァァァァ!!!!』

 

「効かぁん!!!!」

 

クソ、焦んな、アタシ。力任せじゃ駄目だ。技を使え。武器を使え。

 

袖口から出したのはとっておき。集積地棲姫の野郎に作らせた、対艦娘用のジャマダハル。

 

……アタシは器用な方じゃねえし、刀みたいな小綺麗なモンは性に合わない。だからコイツだ。鍔と平行になる位置にある柄。握ると丁度、拳の延長として使える形のこの短剣。造りも丈夫で、思い切り力を込めても壊れない。

 

このアタシの力を、刃物に乗せて一点集中すれば……!!

 

『ブチ抜ケロッ!!!!』

 

「む!」

 

通った!!

 

『ギャハ!!通ッタゼ!!貫ケンナラブチ殺セル!!!』

 

「……久し振りだな、出血など……」

 

『コレカラ血ダルマニシテヤッカラ気ニスンナ、ヨッ!!!!』

 

両手のジャマダハルを刺す!刺す!!突き刺す!!!良いね、相手が血に染まるのはいつ見ても爽快だぜ!!!

 

「はぁっ!!!」

 

『当タンネーヨボケ!!!』

 

こいつ、アタシより不器用だ。威力ばっかで大振り。狙いは大雑把。馬鹿力にだけ気を付けりゃいいんだ、楽勝!

 

「やあっ!!!」

 

『ヒュウ!!危ネエ!!』

 

良いね、コツは面じゃなくて点。最低でも線。範囲を絞って力を込めりゃ何とかなるもんだな!

 

『ィイ、ヤッハァー!!!』

 

三回回ってぶった斬る!遠心力を乗せた全力の一撃が顔面にヒットォ!!!

 

「おおっ?!!」

 

切れたのは額か?派手に血が出たなぁ、オイ!!サイコーだぜ!!!

 

「むう……、捉えられん、なぁ」

 

『コノママジワジワ嬲リ殺シ決ッ定ッ!!!血ィ流シテ死ニナ!!!!』

 

行けるな、これ。

 

余裕だ。

 

こういう頭空っぽの脳筋野郎はチョロいぜ。次は首でも狙うか?それとも手首?脇?デカい血管を狙ってやるぜ!!!

 

「仕方ない。提督には、なるべく傷付けるなとの言伝があるんだが……」

 

『………………ア"ァ"?』

 

 

 

 

 

「死んでくれるなよ、深海棲艦」

 

 

 

 

 

『………………エ?』

 

アレ?

 

何で頭の上に海があるんだ?

 

何でアタシは飛んでるんだ?

 

何で、何で……。

 

世界がひっくり返ってるんだ?

 

 

 

「名付けて、『地裂の極み』と言ったところか。少々荒っぽいが、効果は絶大だ」

 

違う!!!

 

こ、この脳筋、足下の海を思いっきりブン殴って……!!!

 

『力尽クデ吹ッ飛バシタッテノカヨ……!!!』

 

クソッ、クソッ!!ふざけやがって!!

 

ぐるぐる回る三半規管を黙らせて、無理矢理身体を反転。海に着地する。

 

「おおおおりゃああああ!!!!」

 

『グ、オォォ!!!!』

 

やべえ、さっきの一撃のせいで身体が言うこと聞かねぇ!!!掠っただけでも死ねる攻撃だ、大き目に避けなきゃならねぇってのに!!!

 

『来ヤガレッ!!!』

 

平衡感覚が戻るまでは盾役を出して何とか……。雑魚でも、足止めくらいにはなんだろ。行けよ、量産型共!!!

 

「うりゃああああ!!!!」

 

『ンナッ?!!バ、馬鹿カテメェ!!!!』

 

深海棲艦の群れに走って……!!

 

『ギッ』

 

『ガッ』

 

『ゴァッ』

 

「ははははははは!!!逃がさんぞ!!!」

 

お、追っかけて来やがった!!!

 

深海棲艦をはね飛ばしながら!!!

 

『待テ、来ルナ、ヤメロ、来ルナ来ルナ来ルナ来ルナ!!!!来……!!!!』

 

「でりゃあああああ!!!!」

 

 

 

『ガッ………………!!!!』

 

…………ああ、空って、こんなに青かったんだな…………。

 

 

 

最期に思ったのは、柄にもなく、そんなことだった……。

 




長門
体力耐久筋力。海を割るレベルの超パワーの持ち主。相変わらず手加減は苦手。

陸奥
普段はダンサーのように華麗に戦場で踊る。戦うときはドス。超怖い。

レ級ネ級
死んではいないが無事トラウマに。
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