二日に一回すら難しいレベル。
「んもー、めんどくさいですね〜。早く帰ってお酒飲みたいんですけど〜?」
「そんなこと言わないの、ポーラ!折角、地中海の深海棲艦にリベンジ出来るんだから!ほら、棺桶持って!」
「棺桶じゃなくってデスホーラーですよぉ〜!最近は改良して色んな機能が付いたんです〜」
凄いんですよー?愛用の二丁拳銃、ケルベロスと連結してエネルギー砲になったりとか。
「じゃあそれ使って戦って!皆んなも頑張ってるんだから!ほら!」
「え〜?他の子いるならポーラは要らない子ですよ〜」
チラーっと横を見る。
「ローゼス!!」
弾けば弾くほど放電する謎のギターをかき鳴らしつつ、投げたバラが何故か爆発するリベッチオ。
バラって爆発するんですね〜、初めて知りました〜。
で、また、チラーっと後ろを見る。
「オリンピア!破壊輪舞曲!!」
コマンダン・テストさんの操るマリオネットが、そのボディに仕込んだスパイクで周りの深海棲艦を砕いてますねぇ。
人形のオリンピアはいつ見ても綺麗です。白いドレスで。六本腕で。
うーん、やっぱり、ポーラは要らない子では?皆んな強いです強過ぎます。ポーラが頑張らなくても何とかなっちゃう感ありますよ〜。
「ぐぬぬ……。あっ、ほら、囲まれてるわよ!早く!」
「ええ〜?」
あ、本当だ。あと一秒くらいで喉笛に食らいついて来そうですね〜。
でも。
「銃を抜いてから撃つのに一秒も要りませんよねぇ?……ケルベロス!!」
「センターヘッド!」
銃声は重なって三発。
私のケルベロスが一発づつ、ザラ姉さまのセンターヘッドから一発。
「……ザラ姉さま?センターヘッドを私の耳元で撃つのはちょっと……」
大っきいからうるさいんですよ、センターヘッドは。
「嫌なら起きなさい!」
その分、威力は折り紙付き、ですけど。……艦娘ですら撃てば脱臼する程の反動、ですからね、センターヘッドは。最早、拳銃と言うよりライフル銃では?
「はぁ、しょうがないですね〜。行きますか〜。全く、出撃より提督とお酒飲んでる方がずっと楽しいのに……」
「はいはい、終わったら幾らでも飲んで良いから。その分、ちゃんと戦うのよ!」
「は〜い」
じゃ、一丁行きましょ〜!
「ん〜、邪魔です〜」
はぁ〜、嫌ですねぇ。銃声はあんまり好きじゃないです。ばんばんうるさいですからね。
私の耳は、素敵な音楽とか、大切なザラ姉さまの(お説教を除く)お話とか、仲間の声とか……、そして何より提督の言葉を聞くためにあるんです。
「だから〜、貴女のお話にはキョーミありませ〜ん。ごめんなさ〜い」
『コッチモ、貴女トオ話スルツモリハ、ナイワ』
あ、砲撃。狙いは雑ですけど直撃コースですね〜。当たったら痛いですよ〜?死にはしませんけども。
うん、弾き返しちゃいましょう。
「それっ」
『……!、砲弾ヲ棺桶デ迎撃シタ……?!』
そんなに驚かれても……。これくらい、うちの鎮守府だと出来ない子の方が少ないですよ?
「早くやられちゃって下さ〜い!」
百発百中、ケルベロスのトリガー何度も引く。
『クッ、ナンテ威力……!!』
「当たり前ですよぉ。対深海棲艦用なんですから。ザラ姉さまのセンターヘッド程じゃないですけど、大抵のものはぶっ壊しちゃいます〜」
撃てば壊せる。それがケルベロスです。
「知ってますか?提督はですね、とっても、とーっても優しいんですよ?私がザラ姉さまに怒られてる時もいっつも助けてくれるんです。……そんな提督に酷いことするなら、この私が、ポーラが、提督の代わりに怒っちゃいます」
『……ソウ。ワタシモ怒ッテルノヨ。ノンビリ過ゴシテタノニ襲撃ダッテ叩キ起コサレテ。……許サナイ』
「壊れろ」『失セロ』
瞬間、眼前の空間が弾ける。
私が放ったミサイル……、デスホーラーの機構の一つです。それの爆発と、飛行場姫の艦砲がぶつかったみたいです。
あーあ、煙がもくもく。前が見えません。
うーん、あれですね、これは……。
『ハァァァ!!!』
「痛ぁ?!!」
グーで殴られました?!ひ、酷い、一応女の子なのに!
『接近戦ハ苦手ミタイネ!!』
あー、バレちゃいました?そうなんですよね、接近戦はちょーっと苦手です。他の皆んなみたいに元気いっぱいに殴り合いは出来ませんよ〜。
デスホーラーで殴ろうにも、
『フッ、大振リ過ギル!当タラナイワヨ!!』
だ、そうです。
「参りましたねぇ、こー言うのは私の担当じゃないんですよ〜。ナガト、さんはいないし〜、コンゴー、さんはお留守番……。誰か〜、代わって下さい〜」
『チッ、プライドッテモノガ無イノネ!!』
?、自分で出来ないことは仲間に任せる、それの何がおかしいんですか?意固地になって全部自分でやろうとする方が駄目では?
一人で何でも出来るのは提督くらいのものですよ〜。「自分は戦えない、弱い」だなんて言い張ってますけど、
『はーい、ローマはポーラのフォローに回ってー。ミカは念のため後退、望月と菊月に代わって。ヴォアー!!良いの撃ってくんなぁ、深海棲艦!!』
戦いながら、よく分からない手段で戦況を把握、その上指揮をとってるので、役割的には何人分なのやら……。
「ポーラ、しゃがんで」
「あ、は〜い」
答えるや否や、頭上を通過するガンブレードの刃。
『チィッ!!!』
っと、提督の指示通り、ローマさんが来ました。このまま、ローマさん前衛私が後衛ですかね〜。
これで少しは気が抜け、
『……!、ソコダッ!!!』
あ。
「痛ぁい!!!」
×××××××××××××××
やった!
仮に殺せていなくても、顔面に砲弾を撃ち込まれて平気な訳ない!良くて脳震盪だ、少なくともリタイアは確定……!
次は二刀流の、ガンブレードを持った丸眼鏡の女だな。
ローマ、と言ったか?すぐに潰すわ!
でもその時、倒したはずの銀髪の女が、確かにこちらを見た。気のせいじゃない。
『……何?!』
「……あはっ」
しかも、脳に衝撃を受けたとは思えない正確な射撃を……!!
『何故ダ?!!』
確かに直撃して吹っ飛んだはず!回避や防御をするところから見て、防御力はそこそこのはずだ!
「いやぁ、痛い〜、痛過ぎる〜」
……まさか。
『痛覚ガナイ……?!』
その上、ダメージによる戦闘能力の低下もない!
「あ、分かっちゃいますか〜?ポーラは、実は、痛くないんですよねぇ。せめて口だけでも痛いって言わなきゃ、痛いって言葉の意味を忘れちゃいそうで……」
やり辛いわね……。バラバラにしなきゃ殺せないだなんて。
「前の提督の言葉なんですけど……、『死人は死なない』、らしいですよ〜?ポーラ達は死人みたいなものですから〜、これ以上死なないんですよ〜」
血で赤く染まった髪をかきあげて立ち上がってくるポーラ。まるでゾンビ……!
『クッ、沈メッ!!!』
血が出てると言うことは、失血死すると言うこと。必ず殺せる。殺せるはず。殺せる、わよね?
「あ"、あ"あ"あ"あ"あ"、痛"い"でずね"〜」
『死、死ナナイノ?!!』
殺せるわよね?!!
「だ〜か〜ら〜、死人は、死にません。そう言ったじゃないですかぁ。……今の提督に拾って貰ってからもずっと、ポーラ達は死人なんですよ〜。でも、提督は死人のことも愛してくれますから〜」
そ、そんな馬鹿な……。要注意艦娘に認定されてないから、雑魚なんでしょ?!作戦前のブリーフィングでは、こいつに注意しろだなんて言われてない!
「優しいですよねぇ、かっこいいですよねぇ……。私達みたいな、肉体の一部が吹き飛んでも生きてるような化け物にも、沢山の愛情をくれるんですから……」
くっ、要注意艦娘のリストにないと言うことは、即ち新入りだってことでしょう?!新入りなのに、こんな、こんな……!!
「じゃ、これで終わりです〜」
ッ?!!あれは、背中の棺桶が変形して、本体と接続、エネルギー砲になった……?!!
避けっ、
「朽葉流……!」
!!!、いつの間にか足を斬られて……!
「遅いわ、深海棲艦」
チィッ!!!ローマめえええ!!!!
「行きますよ〜?ケルベロス!!O.D.!!!消し飛んじゃってください〜!!!!」
『グ、グオアアアアア!!!!』
「ふー、やりましたやりました。これでお仕事終わりです〜」
「待ちなさい、ポーラ。……確か殺しちゃ駄目なんじゃなかったかしら」
「………………あ」
「ポ、ポーラぁぁぁ!!!」
「ひ〜ん!一緒に探してくださいザラ姉さま〜!!まだギリギリ死んでないはずです〜!!!」
ポーラ
死人は死なない。謎理論による戦闘続行A+を持つ。背中に背負う棺桶型の多目的複合兵器デスホーラーと格納してある二丁拳銃のケルベロスが武器。痛覚は殆どない。
飛行場姫
生きてる。ギリギリで。