旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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頼む、今自分のことを「俺変態過ぎwww」とか思ってる中高生はそのままでいてくれ。本物の変態は深淵そのものだから。こちらまで来るな、自称変態のまま安らかに生きろ。見るな、知るな、閉じ込めろ。


146話 バカとカジキと召艦娘

「……令官、司令官。朝だぞ、司令官」

 

…………ん。

 

「えーと、おは、よう?」

 

昨夜何してたっけ。記憶ねぇ。めちゃくちゃ飲んだことはなんとなーく覚えてるんだけど……。

 

「ん、あ、誰?……那智?」

 

「ああ、おはよう、司令官。……いや、もう司令官と呼ぶべきではないな」

 

え?

 

「貴方は父親になったのだから」

 

血の気が一気に引く。

 

おい、まさか。

 

おい、やめろ。

 

おいおいおいおいおい。

 

 

 

 

 

「昨夜は良かったよ、あなた❤︎」

 

 

 

 

 

「おおおおああああああああ!!!!!」

 

「まっ、待てっ!冗談だ!!何もしてない!!何もしてないから!!!自害はやめてくれ!!!!」

 

 

 

 

 

「…………で?」

 

「……その前に、胸に思い切り冷凍カジキマグロが刺さってるんだが……。大丈夫なのか?」

 

「いやそりゃ概ね大丈、ガハッ!!!……大丈夫だけどさ」

 

「嘘つけ!今思いっきり吐血したぞ?!!大体なんで冷凍カジキマグロで胸を貫くなんてエキセントリックな自殺法を選んだ?!!!」

 

たまたま四次元ポケットに入ってたからだけど?冷凍カジキマグロは武器としても使えるって神室町で証明されてるんだから、それで自殺するのはおかしなことじゃないもん。

 

「それで、なんでこんなことを?真に受けて思わず自殺しちゃったじゃないか」

 

「い、いや、ほんの冗談のつもりでだな。……そんなに、私が嫌いなのか?」

 

しゅんとなる那智。

 

「いや、そうじゃないけど……。ゴムが見当たらなかったから」

 

まさか避妊してないのかと。

 

「……あ、ああ、そう言うことか。子供はまだ欲しくないと言っていたからな。そうか、嫌われている訳じゃないか。ならいい」

 

良くねーですよ。

 

「全く、心臓が止まるかと思ったよ!」

 

「……現在進行形で胸にカジキマグロ刺さっている奴に心臓が止まるとか言われても……」

 

いや、思いっきり心臓に刺さってるけど、止まってはいないよ?

 

「……ところで服を着たらどうだ?裸のままでいられると、その、なんだ、困る、な」

 

あれ?なんで俺全裸?脱いだのかな……?

 

まあいいや。あれだけ飲んだんだ、勃たなかっただろうし、心配はいらない。

 

さて、何故か那智から手渡されたサイズがぴったりの服を着て、本日も行動開始、だな。

 

 

 

「………………本当に、飲み過ぎると勃たないんだな」

 

……え?確かめたの?

 

あ、そっかぁ(超速理解)。だから俺全裸だったのか。うわぁ、寝てる間に何されたんだ俺。

 

なんてこったい。

 

 

 

「すいませーん、旅人さーん!守子でーす!相談があるんでうわあああああ!!!カジキマグロ刺さってるううううううう!!!!」

 

あ。

 

「おはよう、守子ちゃん」

 

「おはようじゃないですよ!!!!」

 

いやおはようだろ。今はまだ八時だよ?

 

いや、午前の八時だが、地球の裏側ではおやすみの時間だ。ならば、

 

「あー、おやすみなさい?」

 

「洒落になってないですよぉ!本当に永遠におやすみなさいレベルの怪我じゃないですかぁ!!!」

 

「はは、上手いこと言うなぁ。ゴホッ!!」

 

カジキマグロを引き抜く。邪魔だ。後で解凍して俺の晩飯にしよう。

 

「う、うう、胸に穴が……!!何で死なないんですか?!」

 

「慣れ」

 

「?!!!!」

 

ぶっちゃけ、刺されてもショック死しないには単純な生命力の高さと痛みへの慣れだ。百回も刺されりゃ慣れる。確かに痛くはあるけど、過去にもっと酷い目に遭ったことがあるんだ。耐えられない道理はないよな!

 

「それで、相談って?」

 

「うう、先ずは傷をどうにかして、それから服を着て下さい……」

 

 

 

はい、着た。傷は治した。奇跡で治した。大回復。

 

「……それで?」

 

相談、とは何かな?

 

「あ、はい。……えっと、実は、建造したくて」

 

ほう、建造。

 

「……すれば良いんじゃないかな?」

 

俺の許可要らないよ?

 

「いえ、その、黒井鎮守府の工廠で建造させてもらいたいんです。……黒井鎮守府の工廠には、旅人さんに着いてくる沢山の妖精さんもいますし、成功率も高いかなーって」

 

成る程、うちで建造したい、と。

 

「OK、やろうか」

 

「ありがとうございます!」

 

なーに、構わんよ。

 

 

 

×××××××××××××××

 

黒井鎮守府、工廠。

 

黒井鎮守府の明石さんの改造により、ロボットやドローン、その他良くわからない機械が稼働しているここにいると、まるでSF小説の世界に迷い込んだかのような錯覚に陥る。

 

「で、建造って、誰を呼ぶんだい?」

 

旅人さんの問いかけ。私は、予定を話す。

 

「取り敢えず、扶桑と山城ですかね。それと、神風型も呼ぼうかと」

 

でも、一つ問題が……。

 

「……で、触媒は?」

 

そう、触媒です。……艦娘と言うのは、各種資材と、その艦所縁のもの……、例えば装甲板の一部とか、例えばその艦の軍服とか、そう言ったものを触媒にして召喚されるんです。

 

入れなければ完全にランダムな艦娘が現れるそうだけど、殆どが失敗だとか。

 

そんな触媒は勿論貴重でして、個人で手に入れられるものではありません。

 

全て、大本営が管理しています。だから、

 

「実は、扶桑型の分の許可が下りなくて……」

 

と言う訳です。

 

どうやら、黒井鎮守府と懇意にしている音成鎮守府の戦力を増やさせたくないみたいで。

 

「成る程、ね。分かったよ、力を貸そうじゃないか」

 

「ありがとうございます」

 

聞いた話によると、旅人さんは物凄くぞんざいな触媒で艦娘を召喚できわあああああああ?!!!」

 

「よし、と……」

 

「何も良くないですよ!なんでトラックとお湯ぶち撒けたんですか?!!!」

 

「ん?三菱ふそうトラックと山代温泉だけど?」

 

「?!!!!」

 

え?これ触媒?!

 

「ほら、早くボタン押しなよ」

 

「い、いや、流石に無理があるんじゃ」

 

「行ける行ける」

 

え、ええー。

 

「もし失敗したら資材は返すからさ、試しにやってごらんよ」

 

うーん、それは悪い気が。……まあ、良いか。私の物差しで測れるような人じゃないし。やってみよう!

 

「え、えーい!!」

 

そして、ドックが光って……。

 

 

 

「……扶桑型超弩級戦艦、姉の扶桑です」

 

「扶桑型超弩級戦艦、妹の方、山城です」

 

 

 

「は、ははははは……。本当に成功した……」

 

信じられないけど、成功したんだ……。トラックと温泉って……。他の提督の苦労をあざ笑うかのような所業ではないだろうか。

 

ま、まあ、良いや。出来たんだから文句は言わないでおこう。

 

それじゃ、後は駆逐艦を召喚して、と。

 

 

 

「神風型駆逐艦一番艦、神風!推参です!!」

 

「朝風よ。神風型駆逐艦二番艦、朝風」

 

「神風型駆逐艦の三番艦、春風と申します」

 

「僕が神風型駆逐艦四番艦、松風だ」

 

 

 

よし、成功!

 

ふぅ、良かった。過程は兎も角、結果は大成功!全員召喚できるだなんて嬉しい!

 

「……で、僕の司令官はどっちだい?」

 

松風ちゃんが話しかけてくる。疑問はもっともだ。

 

「あ、私です」

 

「……じゃあ、こっちの彼は?」

 

「えーと、お隣の鎮守府の提督さんだよ。ちょっと都合があって、私のいる鎮守府じゃなくって、ここ、お隣の鎮守府で建造したの」

 

「……つまり、ここは私達の鎮守府ではない、と?」

 

扶桑さんが聞いてくる。わぁ、凄く美人だ……。

 

「う、うん、そうだよ。ここは黒井鎮守府……、国内最大の規模と戦力を持つ鎮守府なの。黒井鎮守府さんとはかなり懇意にしてるから、仲良くして欲しいな」

 

「はい、それは勿論ですけど……」

 

……やっぱり、周りが気になるみたいだ。無理もない、ロボットが歩き回って、ドローンが宙に浮いているんだもん。工廠とは一体。

 

「ま、まあ、ここは凄い鎮守府だから!周りのものは気にしないで!」

 

「今は凄いんですねぇ、機械が歩き回るなんて。……にしても、黒井鎮守府、の司令官様は、その、素敵な方ですね。もしかして、司令官様の恋びきゃぁぁぁあああ?!!!!」

 

ああ!そんなこと言うとどこからともなく刃物が飛んでくるのに!!

 

「おおっと危ねえ。大丈夫かい、春風ちゃん。……一応直撃コースではなかったけども、刃物の投擲はやめさせなきゃなぁ」

 

「は、はい……❤︎」

 

数メートル先の春風ちゃんを一瞬で抱えて飛び退いた旅人さん。相変わらずとんでもない身体能力だ。

 

「……何よ今の踏み込み。まるで見えなかった……?」

 

怪訝な顔をする山城さん。無理もない、私もびっくりしてる。……けど、段々と、旅人さんの言う通り慣れてきている感じだ。毎日驚かされてるから、メンタルが強くなったのかもしれない。

 

因みに旅人さんは、顔が真っ赤の春風ちゃんを立たせて優しく頭を撫でていた。……もう落としたんだ。

 

「あ、あの!旅人様は、ご結婚なされているのでしょうか?!」

 

「んー?今は結婚してないねー」

 

「良かった……❤︎その、宜しければ、今度一緒にお茶でもどうでしょうか?」

 

「おお、それは良い。君みたいな可愛い子とお茶が飲めるだなんて幸せだよ」

 

「か、かわっ?!うふふ、うふふふふ、これはひょっとして脈ありと言うやつなのではないでしょうか❤︎(小声)」

 

す、凄いなぁ、モテるなぁ。

 

「と、兎に角!黒井鎮守府さんとはほぼ合併状態だから!訓練も暫くは黒井鎮守府でするように!今日の夜には私達の鎮守府……、音成鎮守府に帰るから、それまでは自由に過ごしてね!」

 

「「「「了解!」」」」

 

 

 

 

 

「……にしても、どうして急に建造を?」

 

「その、最近、とある噂が気になって……」

 

「噂?」

 

 

 

「大本営の艦娘が、大本営の意にそぐわない提督を排除して回っているとか……」

 




守子ちゃん
提督排除の流れに警戒。

旅人
この後、ついでに建造する。

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