旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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このssの人気が下がれば別のss書くって思ってたんですけども、未だに評価してくれる人とかいてやめ時が分からないです。


149話 居酒屋鳳翔 後編

「女将さん」

 

「は、はい?」

 

「ごはんがないじゃないか……」

 

「はあ……?」

 

今の殺気、感じなかったんでしょうか?

 

「ごはんを食べないと、お腹がすくじゃないか。お腹がすくと、怒りっぽくなるじゃないか」

 

ああ、もしかして……。

 

「……すみません、気を遣っていただいて。ごはん、ですね。奥で炊いてありますから、持ってきますね!」

 

場を和ませる為に?

 

「おおー!」

 

いえ、これは何にも考えてない顔ですね……。でも、場が和んだので、結果的には良かったです。有難うございます、お客さん。

 

……あれ?でも、見ない顔ですね?

 

「わたしは新台先生に会いにきたのです」

 

「新台先生?提督のこと、ですか?」

 

見たことのない顔、提督を先生と呼ぶ、冬服の学ラン……。提督が教師だった頃の、生徒さんでしょうか?

 

それにしては……。

 

「……貴方、人じゃありませんね?……この気配は……、ロボット、ですか?」

 

生命力が感じられない?見た目は完全に人なんですけど……、気配が機械のそれです。

 

「やは、ロボットじゃないよ、アンドロイドだよ」

 

「は、はあ……」

 

あ、この人、よく分からないタイプの人だ。

 

「で、では、ごはんですね?何にしましょうか?」

 

「……ごはんはごはんでは?」

 

いえその、ごはんって言っても色々あるじゃないですか。オムライスくらいならすぐに作れるんですけど……。

 

「では、コシヒカリで」

 

「ごはんってそう言う意味ですか?!」

 

米そのものを単品で?!白米を出せと?!!

 

「その、おかずは?」

 

「……?」

 

ええー?そんな心底分からないみたいな顔をされましても……。

 

「わ、分かりました。白米ですね?」

 

白米……。白米だけを?お客さんにごはん単品だけを出すのは初めての経験ですね……。どうしましょう……、取り敢えず大盛りにしておきましょうか?

 

「ではその……、ご、ごはんです」

 

「わあ!おいしい!」

 

ごはんだけを……。しかもロボットなのに……。

 

「もぐもぐもぐ……。新台先生はですね、宴会があるといつの間にか現れて、お酒を飲んで帰るんです。昔からそうでした」

 

「は、はあ」

 

いきなり何を……。でも、提督の昔の話を生で聴けるのは貴重ですね。

 

提督の過去については、提督の日記……、嘘か本当か分からないような意味不明の冒険譚からしか読み取れませんから。

 

本人からの話も、「思い出は、俺の何よりも大切な宝物なんだ。自慢は出来ても見せることは出来ないんだよね」などと言って、内容がアバウトですから。

 

「魔法で隕石を降らせた」とか、「裁判所で霊媒が行われた」とか、「月人のお酒を盗んだ」「半人半魔のデビルハンターと神を倒した」「一つ目の部族と世界の果てを目指した」などなど。真偽のほどは定かではありません。

 

「その、提督……、彼はどんな先生だったんですか?」

 

凄く気になります。

 

「新台先生は……、鳥坂さんに似ています」

 

「誰ですか?!」

 

「わあ、急に大きな声を出さないで下さいよ。首が取れちゃったじゃないですか」

 

ほ、本当だ。首が取れてコードが……。

 

「「確保ぉーーー!!!」」

 

「な、何ですか?」

 

「機械!メカ!ロボット!」

 

「わたしはアンドロイドで」

 

「未知の技術!」

 

「あ、あ〜れ〜………………」

 

ああ、夕張ちゃんと明石さんが、お客さんを攫って行ってしまいました……。

 

ま、まあ、良いでしょう。壊しはしないと思いますし。ああなった二人は止められませんから。

 

 

 

さて、場の雰囲気も和んだことですし。

 

『……あ、あー、やっぱりお付き合いは遠慮しておこう。……スンゲェ殺気。お前以上かもな、ニック』

 

『……(試すか?)』

 

『……馬鹿この、試すとか冗談はやめろ、棺桶に入る予定は当分先だぞ?!!』

 

ふふっ。

 

……こちらとしても、旦那様がいらっしゃるので。

 

『お付き合いはご遠慮しておきますね』

 

『うおっ、き、聞こえてた?!いやその、ごめんね、悪く言ったつもりはないんだ』

 

……こちらの二人は外国の方。片方は金髪の白人。もう片方はアジア系の、「混ざり物のある」人間。

 

……薬品でしょうか?肉体の中身が尋常じゃありませんね。……それに、強い。相当に練り上げてますね。

 

『……(ここの女共、強えぞ。AどころかSは行くだろうな。やめとけ)』

 

『だから、ジョークよジョーク。人の女を無理矢理寝取るようなマネするかっての』

 

『……(お前、人妻の相手もしてんだろ)』

 

『いや、そりゃ仕事でやってんだよ!意外と大変なんだぞジゴロも!!』

 

それに、耳も聞こえないみたいです。周りの音に反応していませんから。先程から手話で会話なさっています。

 

……そして、この、女の敵らしい金髪の白人男性。

 

『ジゴロだなんて、いけませんよ?』

 

『……あっ、やべっ』

 

『……(女ばっかりのここでよくもまあジゴロだなんて言えるな)』

 

『き、聞かなかったことに……』

 

はぁ、全く。

 

『誠実な提督を見習うべきです!』

 

『……あいつが誠実なら、俺なんて聖人君子じゃないかな』

 

『……(そりゃ認めるが)』

 

『あら?誰のことかしら?聖人君子って、まさかウォリックさんのことじゃないですよね?』

 

『ん?ああ、いや、何でもねぇよアクィラちゃん』

 

……因みに、外国の方はよく海外艦とお話をしているところを見ますね。

 

会話の内容は半分くらいしか分かりませんが、仲は良いみたいです。

 

 

 

「モグ、モグ……。ウメェ。やっぱギョーザは最高だ」

 

……トカゲ。

 

首から上がトカゲ。

 

どうしましょう、人の言葉を話すので、人間扱いで良いのでしょうか?ですが、提督が言うには、高位の妖魔は人語を解すると……。

 

「……ん?何?オレの顔に何かついてる?」

 

「い、いえ……」

 

まあ、店で暴れないなら、良いです。良いんです。

 

ナイフを装備しているみたいですが……。

 

基本的に、武器の持ち込みは可です。居酒屋鳳翔には、前にも言った通り、様々な世界に繋がる扉があります。なので、たまに、悪しき妖魔の類が現れたりするんですよ。他にも、賊や悪党が入り込んだりもします。

 

要するに、自分の身くらい自分で守って下さい、と言う訳です。……ふふ、艦娘の台詞じゃありませんね。

 

「……あ!アンタもしかして、オレのこと、怪人かなんかだと思ってるのか?オレは人間だぞ!」

 

え?どの辺がですか?

 

「昔、魔法使いに魔法の練習台にされたみたいでな、首から上が爬虫類になっちまったんだ」

 

「は、はあ」

 

魔法使い、ですか。

 

「みたいって言うのは、オレにはこの姿になる前の記憶がないんだ。だから、オレが誰なのかずっと調べてる」

 

……記憶喪失のトカゲ頭の大男、だなんて。いろいろな人が世の中にはいるんですねぇ。

 

「……なあ、オレに見覚えとかってないか?」

 

「その、すみません。でも、提督なら魔法を使えるので、提督に聞いてみるのはどうでしょうか?」

 

「そうか……。提督ってのは、旅人だな?あいつは違かった。それに、あいつの魔法は、オレの知ってる魔法使いの魔法とは違うみたいなんだ」

 

魔法使いにも種類があるんですね。提督も魔法を使いますけど、血統による固有の魔法などは使えないそうです。本人が言うには「写輪眼でも血継限界はコピーできないだろ?そういうこと」らしいそうです。

 

「うおっ?!な、何だ?モンスターか?!」

 

「誰がモンスターだ!!」

 

あ、摩耶さん。……摩耶さんはトレーニング代わりにモンスターと戦うことが多いらしいですから。

 

「……何だ、そう言う種族かなんかか」

 

「いや、そーじゃなくってだな」

 

もう、摩耶さんは失礼ですね。思っても口に出してはいけませんよ?……でも、根は優しい人ですから。問題にはならないでしょう。

 

それにこうして色々な人とコミュニケーションをとって、より人らしくなること。それは素晴らしいことです。

 

「まあ、ここはホールじゃないしな。聞き込みしたって無駄か。女将さん、ビールおかわり!」

 

「はーい」

 

もっと、もっと人間を真似て……、提督の心を掴んで見せます。待っていてくださいね、旦那様❤︎

 

 

 

×××××××××××××××

 

はー、危ない危ない。

 

見るからに相当な手練れだったし、相手にしたくなかった。だから、一か八か提督の名前を出したら……、

 

……「君、旅人の所の子?そっか、じゃあ、殺る訳にはいかないなぁ……。お互い、何も見なかったってことにしておこうか」

 

とか言ってどっか行っちゃった。

 

イかれた銀髪の、蜘蛛の刺青の男。相手したら無傷で帰れなかったと思う。やっぱり提督は凄い。名前一つで凄腕の殺し屋を退かせるんだから。偉大なんだなぁ。

 

因みに、死体は大本営の幹部の一人だった。どうせ、何か悪いことをして他人の怨みを買って、そして殺し屋に殺られたんだろうね。ゴミらしい末路だと思うよ。

 

むしろ、私が殺っても良かったんだけどね。今日の仕事は、

 

「ふにゃぁ……」

 

これ(利根)を回収することだから。見つからずに、って言われたけど、まあ、大本営の人間に見つかった訳じゃないし、良いか。

 

んー、でも、無理矢理気絶させて運ぶのはちょっと手荒だったかも。後で謝っておこう。

 

さあ、大本営の人間に見つかる前に、帰ろう。利根を背負って非常階段へ。勿論、悠長に階段を使ったりなんてしない。非常階段のあるフロアの壁を垂直に駆け上がる。

 

……っと、流石に、人一人背負ってたら、垂直移動が難しいな。途中で階段に着地も挟まないと。実質的には、連続で三角飛びしてるみたいになってる。一人なら一気に駆け上がれるけどね。

 

「ほっ、やっ、とお」

 

「ふにゃっ、ほあっ、ゆ、揺れっ」

 

はいはい、ごめんごめん。揺れるのは許してね。最速で移動してるから、ちょっと乗り心地悪いだろうね。

 

さて、そろそろ……。

 

「屋上、と」

 

それじゃ、窓枠を伝って降りるよ。

 

落下の衝撃で死なれても困るし、窓枠とか室外機とか、そう言った出っ張りに手を掛けて降りる。一人なら、壁を駆け下りるんだけどね。

 

「ううう……、ちくまぁ……」

 

……この子、寝言うるさいなあ。布かなんかで口元を縛っておけば良かった。

 

まあ、もう良いや。塀を乗り越えて大本営の外に出ちゃったし。さあ、早く鎮守府に帰ろう。

 

うーん、ご褒美は何がもらえるかな。撫でてくれるかな、抱きしめてもらえるかな。もしかしたら、キスしてもらえるかもしれない。……楽しみだなぁ。

 




鳳翔
多少は外国語が分かる。

川内
ニンジャ。

アンドロイド
ごはんが原動力。

ジゴロ
眼帯。

ジゴロの相棒
聾。

トカゲ男
カイマントカゲにそっくり。

イかれた銀髪の蜘蛛
殺し屋。



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