「提督!提督!提督!提督ぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!提督提督提督ぅううぁわぁああああ!!!あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ……。くんくん、んはぁっ!提督の白色の髪をクンカクンカしたいです!クンカクンカ!あぁあ!!間違えました!モフモフしたいです!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ……、きゅんきゅんきゅい!!151話の提督かっこよかったよぅ!!あぁぁああ……、あああ……、あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!!百五十話到達して良かったですね提督!あぁあああああ!かっこいい!提督!かっこいい!あっああぁああ!評価も増えて嬉し……、いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!!ぐあああああああああああ!!!ケッコンカッコカリなんて法的拘束力がない!!!!あ……、盗撮も盗聴もよく考えたら……、提督 は 私だけの神様 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!!そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!横須賀ぁああああ!!この!ちきしょー!やめてやる!!艦娘なんかやめ……て……、え!?見……、てる?監視カメラの提督が私を見てる?監視カメラの提督が私を見てるぞ!提督が私を見てるぞ!盗撮写真の提督が私を見てるぞ!!盗聴の提督が私に話しかけてるぞ!!!よかった……、世の中まだまだ捨てたモンじゃないんですねっ!いやっほぉおおおおおおお!!!私には提督がいる!!やったよ明石さん!!ひとりでできるもん!!!あ、監視カメラの提督ああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!!あっあんああっああんあ長門さんぁあ!!天龍さーんー!!鈴谷さんぁああああああ!!!叢雲ちゃんァぁあああ!!ううっうぅうう!!私の想いよ提督へ届け!!黒井鎮守府の提督へ届け!」
「………………」
そっ閉じ。
執務室にある俺の椅子に頬擦りする大淀。見なかったことにした方がいいやつだなこれは。
>そっとしておこう。
だが、そっ閉じしたはずのドアは勢いよく開かれた。
「おはようございます、提督!今日も素敵ですねっ!」
「さっきのノリからよく話しかけられるね?」
割と肝が据わってるね、大淀。
「何のことでしょう?」
あ、そっかー、無かったことにする気かー。
「いや、何でもない。俺は何も見てない」
俺は物分かりが良い大人なのでスルーしてあげちゃう。(この辺りの心配りが人気の秘訣)
「ところで提督?」
「ん?」
「執務室の椅子に座って頂けませんか?提督成分が薄れて……」
「え、何?さっきのは尋常な出来事なの?」
スルーするしないじゃなくって、普通の行動だとでも?恐れ入ったよ。
「?、はい?私達艦娘は提督成分が無いと生きていけないのですよ?」
「初耳ィ」
百五十話過ぎて初めて知る新事実。
「私が今決めました」
「君のその時折強引なところ、嫌いじゃ無いよ」
「そんな、急に愛してるだなんて……❤︎」
はっはっはっ、俺これ日本語話してるよね?通じてるよね?
……さて、執務室の執務机の椅子に座って、仕事の開始。いくら大淀が俺の代わりに仕事をやるって言っても、大まかな方針を決めたり全体の指揮を執ったりするのは俺だ。
最低限、皆んながどれだけ働いてるのかくらいは知っておく必要がある。
「大淀、今週の資料を」
「はい」
すると一転、仕事モードの大淀が横から平行スライドするかのように動き、資料を手渡してくる。
「………………ん、ありがと」
大胆な速読は旅人の特権。三十秒程で資料全てに目を通した。
「……白露型は凄いね、一週間のキルスコアが一万を超えたか。間宮券とボーナスをあげよう。川内は隔日で夜戦か、特別手当出さなきゃな。暁型も頑張ってるみたいで……」
「はい、了解しました」
同時に、有能有能アンド有能なミス大淀氏がマッハで書類作成。(仕事が)速きこと島風の如しである。
彼女は酷く曖昧な指示から俺の意思を汲み取って良きに計らってくれる。最初の頃は俺が隣で書類を書いていたが、艦娘の学習能力とは恐ろしいもの。つまり大淀は、俺の評価基準を知り尽くしているのだ。
「では……、今月の給料明細は……、これで宜しいでしょうか?」
スピーディーにペンを走らせ、書類を作成した大淀。まるで俺が書いたかのような内容と筆跡。
「良いよ」
「ありがとうございます」
俺の仕事終了である。
すると大淀は、嬉しそうに近付いて来て……。
いや、いかんでしょ。
「………………え?」
「このままでは職業が艦娘ではなくなってしまう感。大淀、ステイ」
あまり依存され過ぎても困る。求められるだけ与えていてはいずれ歯止めが利かなくなるやもしれん。ここで一歩引くのが大人の醍醐味。
「な、何で、どうして」
「大淀、たまには我慢しなきゃ。四六時中一緒にいれる訳じゃないんだからさ。……あとこのシャツ最後の一枚だから、持ってかれると困る」
「う、ううううう、うううううーーー!!!」
そのうーうー言うのをやめなさい。
あまりにも酷いストーキングや覗きは病気だ。多少は構わないんだが、それに依存するようになってはいけないよね。
「と言うわけで大淀。俺、旅に出るわ。一週間くらい」
君達にも親離れならぬ、俺離れしてもらわなきゃねー。
「………………………………え?」
「皆んなにも伝えておいてね」
「自殺して良いですか?」
「急に何言ってんの?」
死ぬ程?
「いや……、ちょっと……。提督と一週間会えないなんて思うと、手が震えて……」
マジかよ……。
俺が思ってた以上に異常。
「マジで無理です……。マジで……。提督と会えないくらいならリスカします……」
「キャラ崩壊が著しい」
「………………」
「よし分かった、五日にしよう。だから無言で砲塔を自分に向けるのはやめるんだ」
「死にます」
交渉の余地無しかよ。
「良いから!死んだりしたら嫌いになるからね!」
だが、押し切る。
「………………分かり、ました。三日ですね」
さり気なく縮めてんじゃねえよ!
「駄目だって!そろそろ俺離れしてくれなきゃさぁ」
甘えてくれるのは嬉しいような恥ずかしいような。でも、度が過ぎてる。
「俺がいない間、良い子にしてるんだよ?」
「ぅえっ、ひっく、ぐすっ、わっ、分かり、ました……」
泣く程?
「と、兎に角、行ってくるね」
心を鬼にして、いざ出発。
どこ行こうかな、ティリスで冒険か、ロンドンで謎解きか……。
いや、ちょっと待てよ?確かロスリックのあいつが新たに輪の都なる土地を見つけたとか何だとか……。
五日もあればいけるな、行こう。なんかドラゴンとかに食われたり騎士に刺されたりしそうな気がするけど、行こう。
さて、帰還の骨片……!
×××××××××××××××
ぐっ、う、は、吐きそう……。
提督、提督成分が……。
ほ、放送を……。
命令の放送を……。
『はぁ、はぁ、はぁ……。て、提督が、旅に出ました。……五日間』
……「ええええええええ!!!!」
……「そ、そんな!!!!」
……「うわああああああ!!!!」
悲鳴が聞こえる中、私は執務机に手をついて、何とか立ち上がる。
「わ、私が、私がしっかりしなきゃ……」
提督の不在……。
一日ならまだしも、五日間……。
精神が保つかどうか……。
ですが、命令です。良い子にしてろと命じられたのです。で、あれば。
「私が、指揮を執らないと!」
私が、黒井鎮守府をまとめなければなりません!
「おい、大淀!さっきの放送は何だ?!」
長門さん……。
「……放送の通りです。提督が旅に出ました」
「……五日もの間か」
「はい……」
「はっきり言っておく。保たないぞ」
知ってます、知ってますよ。
五日間も提督と会えないなんて、皆んなおかしくなるに決まってます。
ですが……、
「提督は、良い子にしていろ、と。そう命令なさいました」
「しかし……」
「提督のお言葉に逆らう気ですか」
「そういう訳ではないが!」
割り切れないのは分かります。ですが、もう、時すでに遅し。
私達に出来ることは、提督がお帰りになるまで、「良い子」にしていること。
取り敢えず……、
「ショックで倒れた子の介抱をします。長門さん、手伝って下さい」
出来ることからやっていかないと……。
大淀
まともじゃない。
旅人
輪の都入り。