旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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あーあ、山風に性的ないたずらしてーなー。


163話 菱餅とほっぽちゃん 前編

「そういえばこれ、昨日の出撃で拾ったんだけど、何かしら?」

 

そう言って、隣で寝ていた足柄から手渡されたのは……、

 

「……菱餅?」

 

菱餅。

 

赤白緑の和菓子。ひな祭りとかの時の菱形のアレだ。

 

「えーと、つまり?」

 

「深海棲艦が持ってたのよ」

 

「深海棲艦が持ってた」

 

どう言うことだ、まるで意味が分からんぞ。

 

「足柄!何でそんなものを持って来るの?!罠だったり、危険物ならどうするんですか!!」

 

「ご、ごめんってば、妙高姉さん。でも、危険な感じはしないし、ちょっとした罠くらいなら何とかなるでしょ?」

 

「そう言う問題じゃありません!軽率だ、と言っているんです!」

 

「まあまあ、そんなことより、これが何かの方が問題だよ」

 

深海棲艦が菱餅を運んでいた、かなり重要なポイントだ。

 

「……で?どうするんだ、それ」

 

那智が問いかけてくる。んー、どうするって言ったって……。取り敢えず、

 

「あむ」

 

「「「「食べたーーー!!!!」」」」

 

そりゃ食うでしょ、お菓子だし。

 

「し、深海棲艦が運んでいたものですよ?!」

 

「そんな得体の知れないもの、口にするんじゃない!!」

 

そしてこの熱いバッシングである。一応、食っても多分死なないと言う勘と経験則に基づいての行動なんだけど。さて、お味の方は……、

 

「……燃料、ボーキサイト……、うん、資材だこれ」

 

何かこう、上手く言えないけど、圧縮された資材、かな。お腹にたまる感じだ。

 

「資材……、資材?!」

 

「なん……、だと……?」

 

信じられないかもしれないが、事実だ。この菱餅は資材の塊。お菓子じゃない。

 

「じゃ、じゃあ、司令官さんの言葉を信じるとするなら、深海棲艦は資材を運んでいたってことですか?」

 

「ああ、そうなるな」

 

そう言えば、保護(誇張表現)した離島の深海棲艦に聞いたことがある。資材は深海に貯められるが、一度に引き出せる量は少ないと。

 

……一定ランク以上の強さを持つ深海棲艦は、深海棲艦を創り出す能力を持つらしい。

 

だがそれも、資材を使ってのこと。資材が無ければ深海棲艦も創造できない。そして一度に引き出せる量は少ない為、時間をかけて数を増やしている、と。

 

逆に言えば、手元に資材さえあれば、一度にたくさんの深海棲艦を創造できると言うことだ。

 

つまり、何者かが資材を集めていることイコール、深海棲艦が生産されていると言うこと。

 

「成る程、要するに……」

 

作戦会議、開始だ。

 

 

 

 

 

「はい、お茶。と、和菓子」

 

「む、ありがたい」

 

会議室にて、お茶汲みをする俺。菱餅を見た所為か和菓子を作りたくなった。

 

「……じゃなくってだな!いつも言っているように、貴方がお茶汲みをしてどうする!」

 

「まあまあ、怒んないでよ長門。お饅頭あるよ、はいあーん」

 

「あーん、もぐもぐ、美味い!……じゃなくてだな!!」

 

「まあまあ、ちょっと待ってよ。そろそろ、偵察に行ってもらった龍驤が帰って……、来たな」

 

「ただいまー、偵察して来たでー」

 

午前に頼んでおいた偵察を済ませたらしい龍驤が、長門の手元から水性ペンをひったくり、ホワイトボードに文字を……、

 

「………………司令官、抱っこして」

 

「……ああ、届かないのね。よいしょっと」

 

文字を書いた。

 

『AL海域!』

 

 

 

「AL海域だと?開放したはずではないのか?」

 

長門の言葉も尤もだ。AL海域?馬鹿な、開放したはずでは……?!

 

「でも、この……、菱餅?を持ってる深海棲艦は、北の方に移動してるで?偵察機で追っかけたら、AL海域辺りで反応がなくなったわ」

 

「うーむ、そうか……」

 

どう言うことだろうか。AL海域はとっくの昔に取り戻したはずの海域だ。

 

「新たに深海棲艦が現れたのか?いや、それなら流石に気付くはずだ、いやしかし……」

 

長門は、顎に手を当て、考え込む。こと戦術に関することならば頭も回るのだ。ながもんとは言わせないぞ!

 

「……うむ、力押し、だな」

 

しかし、導き出された結論は脳筋である。やっぱりながもんじゃないか……(憤怒)。

 

「いやー、もっと作戦らしい作戦欲しくない?」

 

「……仕方がないのだ。皆、最悪生きて帰れるだけの実力を持った精鋭だし。もしかしたら囮であるという可能性もあるしな。第一、私達が気付かない程度の戦力しか持たないのであれば、力押しが一番だろう」

 

まあ、長門の言葉は正しい。正直、うちの目を掻い潜って潜伏できる程度の戦力相手に、こちらの戦力を多数割当てることはできない。

 

最悪、罠だったとしても、生還する実力はあるし、少数精鋭で叩くのは正解だろう。

 

作戦とは戦力差を埋める為のものであり、最初から戦力で勝てるなら不要なのだ。

 

しかし何だ、最近は最早ネオサイタマめいた光景ばかりだな。艦娘が出て殺す。イヤーッ!グワーッ!それで終わりだ。ヤンナルネ。

 

 

 

と、言う訳で。

 

「じゃあ、出撃するのはアイオワとサラ、天龍と龍田、吹雪、叢雲に頼もうか」

 

「「「「了解!」」」」

 

「後俺も行く」

 

「……最早、何も言うまい。ただ、怪我はしないようにな」

 

そりゃあもちろん、好き好んで怪我はしないさ。俺の怪我は必要経費みたいなもんよ。

 

それに、火力と装甲の戦艦、航空戦力の空母、水雷戦の軽巡と、小回りの利く駆逐艦。

 

この編成なら、何が相手でも上手くいくだろうね。第一、今回は危険な任務ではないと俺の勘が言ってる。いつもの、大規模作戦の時のような危機感はない。

 

「長門の言った通り、少数で叩くよ。戦力が足りなければ、一度撤退して増援を呼べばいいし」

 

相手を舐めてる訳じゃないが、恐怖がまるでないのだ。

 

今回は大丈夫。

 

そんな気がする。

 

因みに、俺の勘が外れることはまずない。

 

長い旅の間に培った直感は、生命の危機に関することならば大体は当たる。生存だけは誰よりも上手い自信があるからな。俺を殺したいならゼオライマーでも持ってこいや。

 

「いよっしゃあ!俺の殺人剣を見せてやるぜ!」

 

「Meが必要なのね!OK!greatな勝利をpresentするわ!」

 

「アンタの敵は私が皆殺しにしてあげるんだから!安心なさい!」

 

そんでもってこちらの士気は上々。

 

負ける要素がない。

 

今回もツキジめいた殺戮ショー、狂気のカーニバルの始まりだろうな。

 

同情するよ、深海棲艦。

 

 

 

×××××××××××××××

 

『……港湾棲姫?ココ、安全カナ?』

 

『……多分。ココナラ、バレナイ。安心シテ、北方棲姫』

 

『……黒井鎮守府、コワイ。見ツカッタラ、酷イ目ニ遭ウ。殺サレル……』

 

『コノママ、ココデ戦力ヲ増ヤシツツ、潜伏スルダケナラ、大丈夫』

 

『……本当ニ?』

 

『……多分』

 

『戦力、コレデ足リル?足止メニモナラナインジャ……?』

 

『大キナ行動ヲ起コスト勘付カレルカモシレナイ。チョットヅツ、防衛用ノ戦力ヲ増ヤサナキャ』

 

『テイウカ、何デ資材ヲ菱餅型ニシタノ?』

 

『エ?可愛イカト思ッテ……』

 

『ア、意味ハナインダ』

 

『ウン』

 

『………………』

 

『………………』

 

『ウウ、ニシテモ、アンナノト戦ウナンテ、他ノ深海棲艦ハ頭ガオカシイヨ……』

 

『確カニ、黒井鎮守府ハ恐ロシイ。デモ、戦ウフリダケデモ、ヤッテオカナイト。怒ラレルシ。前線ニデモ出サレタラ困ル』

 

『前線……、ム、無理!アンナノト戦イタクナイ!!』

 

『落チ着イテ。マダ戦ウト決マッタ訳ジャナイ。ココデ戦ッテイルフリヲシテイレバイイ。ダケド、ヤツラガ、バケモノナノハ確カダ。マルデ血ニ飢エタ悪魔ダ……』

 

『モ、モシモココニ攻メ込ンデ来タラ……!!コ、殺サレル!確実ニ!!』

 

『大丈夫、大丈夫ダ、バレテナイ。安心シテイインダ。……ハァ、黒井鎮守府ノ艦娘ヲ見タトラウマ、マダ治ラナイカ……』

 




長門
脳筋だが、戦術論は分かる。

北方棲姫、港湾棲姫
今回の被害者(予定)。

旅人
出撃。
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