旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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マジンカイザーskl、またスパロボに出てくんねーかなぁ……。


174話 アブダクション(物理)

……「よーし、こんなもんか。建造開始ィ!!」

 

……「提督!!それどころじゃありません!!なんか蟹みたいな化け物が鎮守府に攻めて来ました!!!千体くらいいます!!!」

 

……「え、あ、あー、ミ=ゴだな。多分、白露型の儀式に釣られて現れたんだろ。待ってろ、今俺が」

 

……「ああ、窓に!窓に!!」

 

……「任せろ!チャアアアジ!!イン!!行っけー!!俺のトムキャットレッドビート、駄目でしたあああ!!!」

 

……「て、提督ーーー!!!」

 

……「き、緊急放送!緊急放送!!提督が蟹みたいな化け物に攫われました!!即座にぶっ殺して提督を奪還して下さいッ!!!」

 

……「何……、だと……?」

 

……「まるで意味が分からんぞ!」

 

……「と、兎に角殺すのよ!黒井鎮守府に喧嘩を売る奴は化け物だろうと何だろうと皆殺しよ!!!全員突撃ーーー!!!」

 

 

 

 

 

「………………ん」

 

……どこクマ?

 

ここは、どこクマ……?

 

鉄と油の匂い。何時か見た工廠に近い風景。

 

誰も、いない……?

 

「……誰かー、いないクマー?」

 

「……ん、いるにゃ」

 

あ、隣から声が……。

 

「……あ、多摩?」

 

「あ、球磨。久しぶりにゃ」

 

「久しぶりクマー!また会えるなんて嬉しいクマ!……ところで、ここはどこクマ?」

 

「知らんにゃ」

 

「知らんて……」

 

んー、お手上げクマ?……自分達が艦娘で、深海棲艦と戦うことは何となく分かってはいるけど……。

 

「ここはどこで、誰に呼び出されたクマ……?」

 

今は何時クマ?戦争はどうなったクマ?

 

「……取り敢えず、探すにゃ。多摩達を呼び出した提督が、必ずいる筈にゃ」

 

「分かったクマ……」

 

そうだ。提督……、球磨達を呼び出した提督がどこかにいる筈クマ。艦娘になったけど、球磨達は艦。提督が必要クマ。

 

……ん?

 

「待つクマ、まだドックに誰かいるクマ」

 

「にゃ?」

 

「こんにちは、高雄です……、って、あら?」

 

「鳥海、参りました……、え?」

 

「名前は出雲ま、じゃなかった、飛鷹です。航空母艦よ!よろし……、く?」

 

「軽空母、祥鳳です……、あら?」

 

「「「「………………提督(司令官さん)は、何処に?」」」」

 

……艦娘クマ。

 

 

 

「……成る程、提督がここにいない、と?」

 

重巡の高雄がそう言った。

 

「見た感じいないクマ。だから、探すクマ」

 

「……勝手に動き回って良いんですか?」

 

祥鳳が心配そうに言う。

 

「でも、ここにいても何も始まらないクマ」

 

「席を外しているだけかも……」

 

「む、確かにその可能性もあるクマ」

 

どうするクマ……?

 

「窓」

 

「いきなり何クマ、多摩」

 

「窓が、外側から割られてるにゃ。……何かあったのかもしれないにゃあ」

 

「……!」

 

確かに、窓ガラスの破片が屋内に散らばってるクマ。……何者かがここに侵入した?

 

「も、もしかして、強盗?!もしくは誘拐?!」

 

悲鳴を上げる鳥海。こうしちゃいられないクマ!

 

「皆んな、提督を探すクマ!」

 

 

 

「いない!」

 

「こっちも!」

 

「誰もいない……!」

 

人っ子ひとりいない、もぬけの殻クマ!

 

「どう言うことクマ?!」

 

明らかに人がいた痕跡はあるのに!!

 

「くっ、誰か!誰かいないクマ?!」

 

艦娘もいない?元からいないクマ?違う、艤装がそこら辺に転がってる。それとも同タイミングで提督と一緒に攫われたクマ?いや、それはおかしい。こんなに大きな施設にいる人員全てが同時にいなくなる筈はないクマ。

 

「テレビも点けっぱなし、食べ物も出しっぱなし……、何か不測の事態が起きて、ここにいる人員が皆んな出て行ったとか?」

 

神妙そうに呟く飛鷹。

 

「ねえ、不味いわよね、これ。ここがもし鎮守府なら、何者かに襲撃されてるって事になるもの」

 

鎮守府……、その可能性は十分にあるクマ。艦娘は鎮守府で建造、運用されるクマ。だから、ここも鎮守府だと考えて良いと思うクマ。

 

そう仮定した上で考えると、これは、襲撃クマ……!

 

でも、窓から見える水平線には、深海棲艦の姿はないクマ。

 

……一体何が?

 

「兎に角、この建物とその周りを調べるクマ」

 

今はそれしか出来ないクマ……。

 

それに、時間が経てば誰か帰ってくるかもしれないクマ。

 

 

 

そして、外に出たその時。

 

お腹の底に響くような爆発音が聞こえてきたクマ……!

 

「爆発?!」

 

「爆撃ッ?!!」

 

「違う、遠い!!」

 

キョロキョロと辺りを見回して、見つけたのは黒煙を上げる裏山。

 

「あそこクマ!」

 

「……裏山?」

 

「何で山から爆発音が?」

 

「しっ、声が聞こえるクマ……」

 

……「提督を返せ!!!」

 

……「黒井鎮守府を舐めるなよ、化け物!!!」

 

……「死ねーーー!!!」

 

……何かと争ってるクマ?提督を返せって……。

 

「……つまり、何者かに襲撃されて、提督が攫われて、それを追いかけて行ったって事かしら?」

 

「飛鷹の言う通りにゃ。少なくとも、誰かがあそこで戦ってるにゃ」

 

どうするクマ……?もしも別件なら首を突っ込むべきじゃないし、そうじゃなくても陸の上での戦闘。艦娘になったばかりで、身体の動かし方にも慣れてない球磨達に何が出来るクマ?

 

「……行くクマ?」

 

「……行くしか無いんじゃないかにゃ」

 

うう、行くしか無いか……。

 

嫌な予感がするクマ……。

 

 

 

「あっはっはゴメンゴメン捕まったわ。多分このままユゴスまで連れてかれそう。あとよろしく」

 

「諦めないで下さい提督!!!クソ、死ね甲殻類!!!」

 

「いやあ、宇宙旅行もたまには良いもんだよ?」

 

ど、どうなってる、クマ……?

 

「ね、ねえ、あ、あれ、深海棲艦かしら……?」

 

「ヒッ……」

 

「あ、あはは……」

 

「な、何これ……」

 

震える飛鷹。倒れる祥鳳。死んだ目で笑う高雄と鳥海。

 

「い、いや、何か別物じゃないクマ……?」

 

「別物って何にゃ!!」

 

『『『『ギ、ギ、ギ、ギギギギギギギギギギギギギギギギギ』』』』

 

甲殻類……、蟹や海老みたいな身体に、蝙蝠の羽、多数の鉤爪がついた足を持つ化け物……。

 

そんな化け物が、提督と呼ばれる男の人を捕らえて、明らかに宇宙船と思われる何かに押し込もうとしているクマ。

 

「……え?これ、助けた方が良いクマ?」

 

訳わからんクマ。発狂しそうクマ。何であんな悍ましい化け物がこの世に存在してるクマ?そもそも何で提督らしき人は攫われそうになってるクマ?

 

「……ん?おお!新しい艦娘かな?初めまして、俺はこの黒井鎮守府の提督で」

 

「い、いや!攫われそうになってるクマ?!何で自己紹介してきてるクマ?!!」

 

「アイサツは大事だ。古事記にもそう書いてある」

 

「い、良いから早く逃げるクマ!!」

 

兎に角助けるクマ!

 

「あ、待って、今引っ張ったら……」

 

ん?今ブチって……。

 

 

 

「あーあ、取れちゃった」

 

 

 

「……あ……!!」

 

腕が……!!お腹も……!!

 

「ち、違っ、そ、そんなつもりじゃ」

 

「良いよ良いよ、さっきから取れそうになってたし」

 

そ、そんな、球磨は、球磨は……!この人を助けようと思って……!

 

「ああ^〜、出血で怠いんじゃ〜」

 

血が、あんなに……!あれじゃもう、助からない……!!

 

「提督!!ふざけてないで逃げて下さい!!!」

 

「後ででいい?ちょっと攫われたい気分」

 

「今すぐ逃げて下さァい!!!!」

 

何を言って……!もうあれじゃ……!!片腕は取れて、内臓が溢れて、身体中に切り傷があって……!!

 

「分かった分かった、逃げるよ。新入りの子達も来ちゃったみたいだしな」

 

「う、動いたクマ……?!」

 

た、立った……?!生きているのが不思議なくらいの怪我をしているのに?!

 

「ん?何やってるの?君らも早く逃げて……、あれ、一人倒れてるじゃん。担いで行こう」

 

「余裕ッー!!!」

 

「ほら、走るよー」

 

「足折れてるのに何で走れるにゃあ!!化け物より化け物にゃあ!!!」

 

えっ、えっ、走ってる?足折れて、あれ?内臓、あれ?

 

「あ、腕ねえや。ちょっと腕返して」

 

「あ、はい」

 

「……よし、くっ付いた。じゃあ倒れた子を担いで、と。さ、帰ろうか」

 

く、くっ付いた……?!

 

「殿は……、ミカァーーー!!!!」

 

「はい」

 

「サーチアンドデストロイ!サーチアンドデストロイだ!!」

 

「了解しました」

 

メイスを持った艦娘が降ってきた?!

 

もう訳分からないクマ!!

 

「ほら、走って。建造されたばかりの艦娘にミ=ゴはちょっと荷が重いからな。逃げような」

 

「ク、クマ……」

 

「にゃあ……」

 

訳が分からないけど……、従うべきクマ。多分、この人が提督クマ。

 

実際に、艦娘になりたてのこの身体じゃ、陸での戦闘なんて無理クマ。しかも相手は得体の知れない化け物。なら、球磨達に出来ることは、足手まといにならないように退くこと。

 

殿は優秀そうな他の艦娘がやるみたいクマ。

 

「……貴方が提督クマ?」

 

「ああ、そうだよ。ごめんね、挨拶が遅れて」

 

でも、そんなことよりも、一つだけ聞いておきたいことがあるクマ……。

 

「その、一つだけ、質問しても良いクマ……?」

 

「良いよ」

 

 

 

「提督は、人間クマ……?」

 

 

 

「概ねは」

 

「概ね?!!」

 

 

 

 

 

……こうして、球磨達は、(自称)人間の提督の指揮下に入ったクマ……。

 

……やっぱり、どう考えても、深海棲艦よりも何よりも、提督が化け物クマ。

 

球磨達の明日はどっちクマ……?

 




球磨
ほぼ死体の状態で動く旅人にドン引き。

多摩
同じくドン引き。

旅人
貴重なサンプルとして冥王星まで攫われそうになるが、無事逃げる。

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