旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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これはやりたいネタの一つでした。

え?誰も知らない?



まあ、そんなこともあるよねー。



・追記

誤字報告を頂いた件ですが、ここでの提督と長門の会話は、とあるアニメのパロディです。「良い加減で熊野を下ろして〜」は誤字ではないんです。


18話 オーガニック・クリスマス

12月24日、クリスマス・イブ。なんでも、聖書の神が産まれた日の前夜なのだとか。まあ、私達日本の艦娘には全く関係がない日だな。

 

だが、ここの鎮守府の提督は……、ハジけた。

 

ことの発端は何だったか、確か、提督がクリスマスパーティ(?)なるものを催すと言い、何処から用意したのか、明石と共に機雷や自動砲台を持ち出し、私達に近海に設置するように指示し、その後、鎮守府の一斉休暇を宣言した。

 

勿論、私は反対した。だが、大凡完璧と言える防衛設備、防衛策、奇襲に備えたバックアップの作戦まで聞くと、頷かざるを得なかった。

 

観念して、休暇を楽しんでいた私と、妹の陸奥だが、ノリに乗った提督が全力で羽目を外して…………。

 

 

 

「おい提督!!いい加減で熊野を下ろして投降しろ!そうすれば悪いようにしない!」

 

「そうよ、あんまり羽目を外し過ぎちゃ駄目よ?」

 

提督は、何故か熊野を取っ捕まえて、肩車すると、逃走した。まあ、悪いことはせんだろうが、心配ではある。私と陸奥は、提督を追って、正門の前まで来た。

 

「あ、あの、提督?そのですわね、こう言ったことは、もっと段階を踏んでからというか、何というか、だ、駄目なんですわよ?!(処女)」

 

「嘘をつけ!悪いようにしないなんてずーっと言ってきたじゃないか!だけどいつも裏切ってきたのが長門さんだ!!」

 

相変わらず訳が分からん。

 

「そんなことした覚えはない!」

 

「八歳と九歳と十歳のときと、十二歳と十三歳のときも君達はずっと!待ってた!」

 

いや、私達は召喚されてからまだ三年くらいなんだが。

 

「何をだ?!」

 

 

 

「クリスマスプレゼントだろ!!!!!」

 

「はぁ……?」

 

もう訳が分からん。

 

「カードもだ!長門さんのクリスマス休暇だって待ってた!!」

 

「だから、何の話だ!良いから熊野を離さんか!!…………ん?」

 

何だこれは?……鎖?

 

「Love me Forever!!」

 

「ぬおお?!!」

 

「えっ、ちょっと?!私も?!!」

 

提督は、私達の一瞬の隙を突いて、提督所有の大型の車に押し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………で?私達は何処に連れて行かれるんだ?」

 

「ふんふんふーん、あっかいふんふふんふふーん!(裏声)」

 

「答えんか!」

 

「んー?だから言ったじゃん、クリスマスプレゼントだよ?」

 

「何だ?それは?」

 

「あれ?知らない?今日の夜はね、良い子にしている人にサンタさんなるおっさんがプレゼントをくれることになっている日なんだよ?」

 

ふむ、なんとなく、聞いたことはある。確か、駆逐艦の子供達が楽しみにしていたような……。成る程、そういうことか。

 

「私達に、プレゼントを選べ、ということか?」

 

「ご名答!そーいうことさ!こんなこともあろうかと、艦娘の皆んなの欲しいものは大体調べておいた!(青葉が)」

 

そう言って提督は、懐から書類を取り出し、後部座席にいる私に見せた。

 

「……成る程、全部買ったとしたら結構な値段になるな」

 

「あら、私達のもあるじゃない。買ってくれるのかしら?」

 

「勿論オッケー!」

 

くっ、そういうことか、青葉に聞かれたからつい格好付けて「欲しいもの?ふむ、ベンチプレス辺りか」なんて言ってしまった!本当は2mくらいのやたらでかいティディベアが欲しいのに!!だ、だが、こんなこと誰にも言えんからな、かえって良かったな、うん。

 

「よーし、着いたぞー。まずは化粧品とアクセサリーだ」

 

そうこうしているうちに、商店に着いたみたいだ。化粧品に、装飾品か、あまりそういうのは分からんな。

 

 

 

「あら、この香水良いわね」

 

「あ、それ結構良いやつだぞ?この前のドラマの主演女優が使ってた品のいいやつだな」

 

「本当ですわ……、巴里から輸入されたものみたいですわね」

 

「あら、ハイカラね?こっちのスワロフスキーのネックレスも素敵ね、うーん、こっちのこれなんて古鷹ちゃん辺りに似合いそう」

 

「そうですわね、あまり主張が激しくなくて、儚げな雰囲気の古鷹にはぴったりですわね」

 

「うーん、古鷹ちゃんは欲しいもの特に無し、らしいから何かアクセサリーでも買ってあげようか。んー、でも俺はこっちのティファニーのも行けると思うんだけどなー」

 

「あら素敵!」

 

くっ、流石陸奥、流石熊野!全く分からん!!あと提督は何故話に入れる?!…………と言うか、長い!早く買え!!

 

「な、なあ、提督?早く買ったらどうだ?他にも買い物をするんだろう?」

 

「ごめんちょっと待ってて、あと一時間、いや二時間」

 

「んなっ?!長過ぎないか?!」

 

「女の子は買い物に時間がかかるんだよ」

 

「お前は男だろ!!!」

 

「ンモー、分かった分かった。はい、これ、車の鍵ね。悪いけどまだかかるから、車で待ってて!テレビでも見てな!」

 

「あ、ちょっと!!」

 

行ってしまった……。はぁ、全く、仕方がない。車の中で待つか。分からんが、そんなに時間がかかるものなのか?理解できんな……。

 

 

 

…………。

 

 

 

…………。

 

 

 

 

…………。遅い、もう番組が一本終わったぞ?!

 

 

 

…………。

 

 

 

「ごめーん、待ったー?」

 

「遅いっ!!!」

 

「ごめんね、長門」

 

「申し訳ありません、長門さん」

 

「はぁ、まぁ、いい。次はお前らだけで行けよ……」

 

ああ、もう。こんなことなら無理にでも逃げ出せば良かったな。

 

「で?次はどこだ?」

 

「んー?おもちゃ屋さんだねー。服とかは帰ってから作るし、ここで終わりかなー」

 

「ふむ、そうか」

 

移動の最中、暇潰しに提督が持っていた欲しいものリストを見る。

 

ふむ、「金剛:ティーセット」まあ、だろうな。

「加古:ベッド」これはどうするんだ?まさか作るのか?

「明石:HGデンドロビウム」何のことだ?

「望月:プレステVR」ぷ、ぷれすて?

「赤城:おにぎり」お、おう。

 

「な、なあ、提督?こ、これはどうするつもりだ?」

 

「ああ、そのページは別枠でね。ティーセットは知り合いの検事局長のイチオシのを買っておいたし、ベッドはノースティリスで拾ったのがある。HGデンドロビウムとプレステVRは通販で買ったし、おにぎりは食べてもなくならないやつがあるから、あげよう」

 

「色々と突っ込みどころはあるが、食べてもなくならないおにぎりとはなんだ?それは食べても大丈夫なのか?」

 

「大丈夫でしょ。妖怪の頭領からもらったやつだし」

 

は?

 

「は、ははは、よ、妖怪なんて、い、いる訳ないじゃないかー、じょ、冗談は、や、やめろー」

 

ななな、いきなり何を言い出すんだ提督は。妖怪なんてそんな恐ろしいものいる訳ないじゃないか!!いい加減にしろ!!

 

「え?嘘じゃないよ?遠野の方で妖怪の頭領と会ってさ、なんだかんだでおにぎりくれたし、いい人、いや、いい妖怪だったよ?大体にしてここら辺って結構「出る」じゃん、海も近いし」

 

「…………ははっ」

 

あ、駄目だ、乾いた笑いしか出ない。「出る」ってなんだ?何がだ?やめてくれ、頼むから。

 

「(提督?長門はそういう冗談は駄目なのよ!やめてあげて?!)」

 

「(マジなんだけどなぁ……)分かった、この話はやめよう。はい!やめやめ」

 

「もう!私は怖い話が苦手でしてよ?折角のクリスマスなんですから、何か明るい話をして下さいな?」

 

でかした熊野ぉ!!伊達にお嬢様やってないな!(意味不明)

 

「うーん、クリスマスか、じゃあ、知り合いのニューヨーク市警と一緒にテロリストと戦った話する?」

 

「何をしたんですの?!!」

 

「いやちょっと、ニューヨークでテロリストの集団とばったり会っちゃってさ?そこで知り合ったニューヨーク市警と協力して銃撃戦やったんだよ。でも俺、銃とかからっきしでさ?奪い取ったカラシニコフをぶん投げて戦ったっけか」

 

「「「えぇ……」」」

 

何やってんだこいつは……。

 

「最終的にミサイルが降ってきたっけ。あん時はヤバかったな、うん」

 

「はー、提督の話は、どこまでが冗談でどこまでが本当のことか分からないわね」

 

陸奥の言う通りだ。提督はよく冗談を言って場を和ませるが、こういう話は真偽のほどが分からん。

 

「本当だよー?サンフランシスコでは.44マグナム持った市警と一緒にマフィア相手にドンパチしたっけ。ありゃあ中々だったな」

 

まーた訳の分からんことを言い始めたぞ、こいつ。

 

 

 

「お、着いたぞ」

 

結局、商店に着いたことで、話は有耶無耶になった。

 

「で?何を買うんだ?もう待たされるのはごめんだぞ?」

 

「買うもんは決まってるよ、携帯ゲーム機と、スポーツ用品、あとぬいぐるみだ」

 

ふむ、ぬいぐるみ。

 

「あ、長門さんはスポーツ用品を見に行くと良いよ。ベンチプレスでしょ?」

 

「そ、そうだが?」

 

ぐぎぎ、そうだが!そうだが違う!

 

「じゃあ、俺はぬいぐるみ見てくるから、また後で」

 

そう言い残し、ぬいぐるみコーナーへと消える提督。ああ、あの大きな大きなテディベア、良いなあ……。はあ、仕方がない、ベンチプレスを選ぶか。まあ、トレーニングも好きだし、な。

 

 

 

……それと、しばらく後に、提督は両手一杯にぬいぐるみを抱えて帰ってきたが、ぬいぐるみを抱えて歩く成人男性は、なんというか、こう、かなりキツかった、とだけ言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、今度はプレゼントの配布を手伝え、だと?」

 

流石に、そこまでしてやる義理はないぞ。付き合ってられん、帰ろう。

 

「あれ?ビッグセブンともあろうお方が、皆んなに夢を見せることすらできないんですか?うわー、残念だなー、やっぱりながもんかー」

 

「何だと?!誰がながもんだ!!この長門に不可能などない!!!」

 

「(あちゃー、乗せられちゃってるわ、長門ったら。巻き込まれない内に帰ろ、)」

 

「陸奥!お前も来い!!」

 

「はぁ……、やっぱりこうなるのね」

 

「熊野ちゃんも良ければ手伝ってくれる?」

 

「ええ、勿論ですわ、提督の頼みとあらば!」

 

プレゼントを配ることくらい、この長門にも出来るぞ!侮るなよ提督!!

 

ということで、提督が目にも留まらぬ早さで作ったサンタ服を着て(陸奥にはトナカイ風の衣装を渡された)、私と陸奥は駆逐艦の部屋を回り始めた。途中、起こしてしまいそうになることもあったが、何とかやり遂げられたぞ。

 

取り敢えず今日は、部屋に帰って寝よう。流石に疲れた。

 

 

 

×××××××××××××××

 

 

 

「あら?提督と、熊野ちゃん?どうかいたしましたか?お酒ですか?」

 

「んー?何やキミ、そんな変な格好してー?」

 

「提督ー!お休みなんだから飲みなよー!ひゃっはー!」

 

「こんばんは、提督。作戦会議でしょうか?」

 

居酒屋鳳翔に乗り込んだところ、いつもの軽空母、飲んだくれ勢、腹ペコ勢と、面子が揃っていた。面倒な駆逐艦や潜水艦、軽巡などは長門さんに押し付けたので、ここにいる子達と、あとは少人数の部屋にいる戦艦などに渡せばノルマ達成だ。

 

「メリークリスマス!いつも良い子にしてる君らに、サンタ提督からのプレゼントだよー!」

 

「は、はあ、え?これを、私にですか?……あら、良い包丁!ありがとうございます、提督。大切にしますね!」

 

鳳翔さんには包丁を。結構良いやつだ。

 

「おっ、私にもなんかくれるん?…………って、何で鉄板やねーん?!!誰の胸が鉄板や!!ええ加減にせぇよホンマに!!!」

 

いや、そんなことは思ってないよ?ただ、粉物料理食べたいって書いてあったからさ?ということで、龍驤ちゃんには鉄板焼きセット。

 

「おっ、私にはー?……なにこれ?瓢箪?ひょっとして酒かい?!やったあ!嬉しいよ提督!!ごくっごくっ…………っぷはあ!こ、これ、ものすっごく強いねぇ?!何の酒だい?」

 

隼鷹さんには酒虫入り瓢箪を。知り合いの鬼から貰った酒虫を手作りの瓢箪にぶち込んだ代物。水を入れると、酒虫が結構強い酒にしてくれる。

 

「提督?何かご用でも?……クリスマスプレゼント?はあ、よく分かりません。……おにぎりですか、ありがとうございます。え?食べてもなくならない?また得意の冗談ですか?…………?!、ほ、本当ですねこれ、何でか食べてもなくなりません、どうなっているんですかこれ」

 

赤城さんには、例の食べてもなくならないおにぎりを。驚きながらもガンガン食べてる。気に入ってくれたようでなによりだ。

 

 

 

「提督、良かったのですか?」

 

戦艦の部屋周辺、金剛型にプレゼントを渡し終えたところ、熊野ちゃんが聞いてくる。

 

「どしたの熊野ちゃん?」

 

「長門さん達を駆逐艦の部屋に行かせるなんて。数が多くて難儀してるでしょう。手伝って差し上げては?」

 

「良いって、多分そろそろ終わると思うし。熊野ちゃんももう上がっていいよ、俺も直ぐに寝るから」

 

「そうですか?……では、おやすみなさい、提督」

 

熊野ちゃんと別れた俺は、急いで車に向かい、隠しておいた最後のプレゼントを取り出す。

 

「さーて、長門さんはまだ部屋に帰ってないな?本当は女性の部屋に無断で入るのはマナー違反だが、今の俺はサンタ、サンタに敵はない」

 

と言いつつ、長門型の部屋の鍵を素早くピッキング。よし開いた。

 

 

 

最後のプレゼント…………、大きな大きなテディベアを、長門型の部屋に置き、「メリークリスマス!」と書かれたプレートを持たせると、俺は侵入の痕跡を消し、さっさと逃げることにした。

 

 

 

 

 

サンタが簡単に見つかって、捕まっちゃならない。だってサンタは、皆んなの夢なんだからさ。

 

夢はそう簡単に手に入らない、そうだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




熊野
ノリで捕まった。

長門
挑発に弱い。
テディベアで大喜びした。

陸奥
完全なとばっちり。

古鷹
ネックレスを貰う。

検事局長
赤くてヒラヒラしてる。
紅茶とチェスとトノサマン鑑賞が趣味。

遠野の妖怪
頭領は天狗。

ニューヨーク市警
ハゲのタフガイ。
嫁とはあまりうまくいってない。

サンフランシスコ市警
S&W M29をぶっ放すいぶし銀な男。
相棒が高確率で病院送りになる。


地下に住んでいる。
嘘が嫌い。

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