《05:00》
はいどうも、おはようございます司令官!
青葉です!
「青葉……、青葉か?どうした、髪の色が違うぞ?それに獣耳は……?」
目を覚まして下さい!!!この世界線はそっちじゃありません!!!
「はっ?!……おれは、しょうきにもどった!!」
もう、大丈夫なんですか、本当に……。
折角の、一日密着取材と言う名の合法的にイチャイチャ出来る日なんですから!ちゃんと私を見て下さい!
「もちろんさ、ちゃんと見てるよ、青葉」
今日は一日、一緒ですよ!
《07:00》
んんー、豚汁美味しい……。
最近は肌寒くなってきましたからね、暖かい豚汁が沁みますねぇ。
黒井鎮守府、鳳翔さん特製の豚汁には、大き目の豚バラ肉、ジャガイモ、人参、大根、ごぼう、こんにゃく、長ネギが入っています。具沢山でボリューミーな一品です。
けれど、戦闘行動や訓練でカロリーを大量に消費する艦娘にとってはぴったりなんです。
余ったらうどんとか入れて食べるんですけど、それがまた美味しいんですよねー。
ま、この黒井鎮守府のご飯にハズレはないってことですよ。
『トンジル……、トンジルね。豚の汁と書くらしいけど、中々どうして、美味いわね。食べたことのない味だけど』
フォーク片手に何かを呟くのは、新たな艦隊の仲間、リシュリューさん。
まだ日本語に慣れないのか、恐らくはフランス語?らしき言葉で話していますね。
『この魚は……、サーモンかしら?塩焼きにされてるのね。こっちは……、ほうれん草をソースに漬け込んだもの?』
ほうれん草のお浸しを、怪訝な顔で口に運ぶリシュリューさん。
『あら、美味しい』
食べた瞬間、顔を綻ばせるリシュリューさん。ああ、やっぱり、味覚は全国共通なんだな。外国の人でも、日本の美味しいものは美味しいと感じるものなんですね。
なんだか、心の距離が近付いた気がします。この鎮守府の料理を美味しいと感じてもらって誇らしいです。
《09:30》
「実は……、昨日から母乳が止まらなくって」
………………司令官。
「待ってくれ誤解だ身に覚えがないガキなんざこさえちゃいねえ」
司令官。私と言うものがありながら。愛宕さんと。司令官。司令官。司令官。
「待って青葉待ってやってないやってない」
司令官。
「あっ、愛宕!何か心当たりはないか?!」
「そう言えば……、明石さんから牛乳を貰って……」
「……SCP686か!明石ェ!!……あ、これ、エリクシール。状態異常治るから飲んでね」
「ええ、分かったわ。……その、提督?私のおっぱい、搾ってみたい?」
「ああ!」
司令官。
「アアーーー!!!」
《12:00》
全く、司令官は……。
おっぱいの何が良いんですか。あんなものただの脂肪の塊です。……決して僻みとかじゃないですよ。事実を言ったまでです。
「んんー、大っきくなったらなったで、肩がこるなー」
「ですわねー」
チィッ!!!
何ですか鈴谷さんに熊野さん!嫌味ですかッ!!!
「へ?い、いや、別に?」
良いですよ良いですよ!私だって改二が来たらボインボインですからね!!
「は、はぁ……?」
きぃーーー!!!
改二にさえなれば……!改二にさえなれば……!!
《13:00》
はぁ……。失礼しました、ちょっと取り乱しました。
……大体、司令官も司令官です。あんなに喜んでおっぱいを揉んで……。青葉のじゃ不満なんですか。
「いや、そんなこたぁ、ないけども」
だったら私のおっぱいで満足して下さい。
「満足するしかねェ!!」
んっ、そうですそうです。司令官は青葉に夢中になって下さい。
「そこら辺はほら、青葉の努力によるだろ」
努力ってなんですか!
「ほら、俺の気を引くためお洒落するとかさ、そう言うのだよ」
お洒落、ですか。
「他にも、男心を擽るセクシーな仕草とかさ」
むー、難しいです。
「まあ、そこら辺は経験かな。でも、恋は女の子を綺麗にするから、心配はいらないさ」
男心、男心かぁ。
男の人が女心を分からないように、女の子だって男心なんて分かりませんよー。
「そうか?男心は分かりやすいぞー?」
そうですかねぇ。司令官の男心、全然分からないんですけど。
「そりゃあ、みっともない下心とかは巧妙に隠してるからな」
あるんですか、下心。
「男心なんて下心そのものみたいなもんよ」
《15:00》
『私は……、何を、やっているのだろうか……』
紅茶のティーカップ片手に、どこかぼーっとした様子のアークロイヤルさん。
『どうした、アーク』
『むっ、Admiral……』
と、そこに、司令官が話しかける。英語なので、何言ってるかは殆ど分からないですね。
『……いや、私は、何をやっているのか、と思ってな』
『あー、祖国を裏切ったとでも思っているのか?違うぞ、そんなことはない』
『だが……』
『良いか、どうせ忠を尽くすならば、自分に忠を尽くせ。……この言葉は、知り合いの兵士の受け売りだがね』
『自分に……、忠を尽くす……』
胸に手を当て、思いつめた表情を見せるアークロイヤルさん。
『……分かった、その言葉、肝に銘じておこう。私は、私自身の自由意志で、祖国の為に戦うのだ』
『ああ、それで良い。……訓練が終われば、イギリスの海域に派遣するからさ、その時存分に活躍してくれ』
『ああ、了解した』
……司令官が何を言ったかは分かりませんが、何か良いことを言ったのは分かります。
司令官、口が上手いから……。
アークロイヤルさんみたいな堅物は、すぐに丸め込むでしょうねー。
《17:00》
『うおおおおおお!!!ブロークン!マグナムッ!!!!』
うへぁ……。
まーた明石さんの超技術ですか……。
恐ろしいものを……。
『まだだ、まだこの艤装を使いこなせていないッ!!』
と、恐らくはロシア語で何かを叫ぶガングートさん。
『おーい、ガングートー、もう暗くなってきたし、帰っておいでー』
司令官も、ガングートさんに対して、ロシア語で呼びかける。
『む、いや、しかし、まだ艤装が……』
『良いから!休むことも訓練の一環だよ!』
『まあ、そうだな、分かった』
『……やっぱり、寂しいかい?』
『……まあ、な』
目を伏せて言うガングートさん。
『異国の地で言葉も通じん、同志もいない。世界で独りきりなんじゃないかと、時々思う』
『大丈夫だ』
あっ、司令官!ガングートさんを抱きしめて……!!
『俺で良ければ、側にいる。それに、鎮守府の皆んなを新しい同志だと思って、受け入れてみてくれ。皆んな良い子だ』
『……分かった。そう、だな、今はもう、皆んな仲間なんだな。ありがとう、私に寄り添ってくれて……』
くっ、私を放っておいて何良い雰囲気になってるんですか?!
私も抱きしめてくれなきゃ嫌です!
『む、なんだこいつは』
『青葉だ。君の新しい同志だよ』
「ふむ……、товарищアオバ!привет!」
えっ何て?
「よろしくだって」
は、はあ。
《19:00》
晩御飯です。
今日のメニューにあった、ペリメニというのを食べてみます。なんでも、ロシアの郷土料理だとか。
ん、これは……、美味しいです。
いわゆる水餃子ですね。皮がモチモチして美味しいです。
スメタナ……、サワークリームをかけて食べるんですが、これが中々ですね。お肉の旨味がサワークリームのまろやかさとベストマッチです。
ウォッカも飲んでみます。
ショットグラスで一気に、口に含まず喉で飲むのがロシア流、だそうです。
えい。
………………っああ、これ、効きますね!
駄目ですねこれは、強過ぎます。大人しくジンジャエールで割って飲みましょう。
……うん、もう一品行けますね。
じゃあ、次はこのブフ・ブルギニヨンって言うのを。フランス料理だそうです。
ブフ・ブルギニヨン……、意味は牛肉のブルゴーニュ風、だそうで。
牛肉の赤ワイン煮込み、ビーフシチューみたいなもの、らしいそうです。
味も……、うん、ビーフシチューですね。お肉が舌の上でとろけます。
付け合わせの野菜も美味しいんですよねー。鎮守府の裏山で作られた美味しい野菜です。人参甘っ。じゃがいもほくほく。
はー、美味しい。
うう、また食べ過ぎちゃいましたー。
ま、まあ、どうせ太らないですし、平気ですよ、平気。
《22:00》
夜。お風呂を済ませて、居酒屋鳳翔へ。
「新メニュー美味え」
……私、司令官ほど飲めないんですけど。
「はっはっは、俺と同じペースで飲むのはいかんでしょ」
うっわ、私がストレートじゃ飲めなかったウォッカをラッパ飲みしてる……。
「ルースキースタンダルトって銘柄のこのウォッカが美味いのよ」
は、はぁ……。
司令官、人間ですか。
「まあ、概ねは」
概ね、かぁ……。
「ほらほら、こっちのワインもいけるぞ。辛口だが大丈夫か?」
あっ、はい。
「こっちのビールもいけるのよ」
どうも。
「カクテルはどうだい?」
美味しいです。
……大分飲みました。
酔いが、回って……。
「お、ギブアップか?」
は、はい、ギブアップです……。
「んじゃ、俺もここまでにしとくかー。部屋まで送るね」
え、あ、は、はい!
こ、これは、あれですね、送り狼ってやつですね!酔った青葉をああしてこうして……、うきゃー!
「……いや、普通に添い寝までだが」
なーんでですかぁー!手ぇ出して下さいよぉ〜!
「はいはい、手を出させてみろ、ってことで」
ちぇー。
んー、じゃあほら、パンツ見せますよほら。
「そんなあからさまに見せられちゃあなあ」
じゃあどうしろって言うんですかぁ〜!
「頑張って口説いて、どうぞ」
ああ、もう駄目です、ベロンベロンです……。
お休みなさい、司令官……。
リシュリュー
和食にハマる。
アークロイヤル
言いくるめられる。
ガングート
ガガガ。
青葉
酔い潰れる。
旅人
酔い潰れた青葉と添い寝する。