旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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二百話行きましたー。

これからも頑張りますん。


200話 旅人二周年パーティ

「ああ、忙しい忙しい……」

 

「それは、こっち、それは……、あっちです」

 

「はいはーい、お酒はこっちです!」

 

………………。

 

「ねえ、何やってんの?」

 

朝っぱらからパタパタ動いてさ、どうかしたの?鳳翔達よ。

 

「何って、宴会の準備ですよ」

 

宴会?宴会……、んー、何の?最近は別に祝うようなこと無くない?聞いてみるか。

 

「宴会って、何の?」

 

「そんなの決まってるじゃないですか!旦那様の提督着任二年目を祝う宴会ですよ!」

 

「あ、そっかあ」

 

もうそんなんになるのかぁ。

 

二年目、二年目かぁ……。旅人の俺が旅をせずに一箇所に留まり早二年。おかしい、こんなことは許されない。

 

「盛大に祝いましょう!私、腕によりをかけてお料理しますからね!」

 

でもこんな嬉しそうな鳳翔の顔を見ると文句言えねえよなあ。

 

……また今度、なんだかんだ理由つけて旅に出よう。一週間くらい。

 

さて。

 

「どれどれ、俺も手伝おう」

 

「いえいえ、旦那様は祝われる側ですし。休んでて下さい」

 

つってもなあ。何もやらないでいるのもなあ。俺も出来ることなら働きたくねえけど、朝っぱらからしっかり働いてる艦娘の前で休むことは出来ねえよ。

 

「良いからほら、料理、手伝うよ」

 

「じゃあ、ピザをお願いできますか?旦那様のピザ、好評なんですよ」

 

「おう、良いぞ!」

 

俺自慢の窯焼きピッツァ!宴会のような祝い事には最適よ!!

 

ポテトも揚げちゃう!ターキーも焼く!パーティパーティ楽しいなー!

 

「ふふ、旦那様が楽しそうで何より、ですね」

 

 

 

『えー、では、俺着任二年目を祝って!乾杯!!!』

 

「「「「乾杯!!!」」」」

 

つつがなく宴会の準備を終え、何の問題もなく宴会は始まった。音頭をとるのは俺だ。特に話すこともないから、早々に乾杯したが。

 

「おめでとうございます、提督!」

 

「おう」

 

「これからもよろしく、司令官!」

 

「おう」

 

「ずっと一緒ですよ、司令!」

 

「おう」

 

……皆んな、嬉しそうだ。

 

ああ、これは、これじゃあな。

 

当分、旅できそうにないや。

 

 

 

さて、宴会だ宴会だ。悪の組織のトップとして相応しい態度をとらなくちゃな。……などと、意気込まなくても、

 

「はい、提督、あーん❤︎」

 

と、榛名に餌付けされ、

 

「さ、お酒よ。こっち向いて」

 

と、叢雲に酒を飲まされ、

 

「あん❤︎提督、私の身体、好きにして良いんだからね?」

 

五十鈴におっぱいを揉まされる。

 

分かるだろうか、この状況。あっちを向けば女の子、こっちを向けば女の子。

 

悪のギャングが沢山の女の人を侍らせてるみたいな、そんな感じ。本当、侍らせてるって言葉が一番しっくりくるこの状況。

 

スマホ太郎さんどころの話じゃない。百人近くの女の子と事実婚しているこの現状。平たく言ってクソ以下の人間性だ。

 

何がクソかって言うと、この現状に慣れつつある俺。すっかり、悪の帝王が板についてしまった俺よ!

 

こうして多様多種な美女を侍らせ、高笑いだもんよ。

 

文句なしの悪だ。退治されても文句は言えないかもしれない。ハーレムを築くなんて、倫理的にNGだよねえ。エロゲじゃないんだからさ、ハーレムとかさあ。

 

「ひょっとして俺は最低の屑なのでは」

 

貴方って最低の屑ねっ!!

 

「そんなことありませんよ!提督は最高です!素敵な人です!」

 

榛名にあやされる俺。

 

「いやもう、榛名、いや、もう……」

 

「提督は何も気にしないで良いんですよー」

 

なんか知らんけど甘やかされてんな俺。堕ちるところまで堕ちたって感じ。

 

このまま俺を駄目にして鎮守府に縛り付けておこうと言う魂胆だろうか。無駄だぞ、俺は旅人だ、誰が何と言おうと旅人なんだ。旅には出るぞ。

 

平和、平和なぁ……。平和になったら本当に、どうすんだろ俺。日本海と地中海を奪還し、太平洋辺りもほぼ解放したしなぁ。

 

でも、平和な結婚生活とかごめんだよなぁ。一生旅したいし。

 

「はーい、あーんですよ提督。あーん」

 

「あーん」

 

……まあ、考えるのは後で良いか。別にどうとでもなるだろ。

 

嫌なことは限界ギリギリまでほっといて、最後の最後にぶん投げるタイプだ。

 

……ふう、五十鈴のおっぱい柔らかいな。流石のロケットおっぱいだ。

 

「あん❤︎」

 

「ぐへへ、良い乳してんじゃねーか五十鈴ー」

 

「私のおっぱいは貴方のためにあるんだからね?好きにして良いのよ❤︎」

 

うーん、この。可愛い。

 

「はい、提督、口を拭くわねー」

 

と、ビスマルクに口を拭われ、

 

「お次は僕がお酌するよ」

 

時雨に一献貰う。

 

至れり尽くせり酒池肉林プラス女の子。完璧過ぎる布陣だ。

 

その上、

 

「妙高型の剣舞です、ご覧下さい」

 

怪しげな余興まで始まった。

 

「少しでも提督の無聊を慰められれば、と」

 

あ、スゲー、上手い。

 

「加賀さんが演歌を」

 

上手い上手い。

 

「白露型が深海棲艦の処刑と拷問を」

 

えぐいえぐい。

 

と、古代ローマが如き、パンとサーカス。食事と見世物。愚民政策。

 

この子達は俺をどこまで駄目にしたいのか。

 

加えて、供給され続ける俺特効の酒。

 

神便鬼毒酒なんてよく効くよ、俺は鬼でもあるからな。

 

ああ、いや、昔鬼火を取り込んだり、妖怪の肉を食ったり、妖気にあてられたりしてな。鬼とか天狗とか吸血鬼とかになりかけてるんだよ、俺。

 

ソーマも効くな、神の酒だ、魂が酔っ払う。

 

いかんいかん、ボーッとしてきた。

 

……ああ、思えばこの二年間、色々あったなぁ……。

 

大淀に私物をすり替えられたり、青葉に盗撮されたり、木曾と武蔵に逆セクハラされたり……。

 

夏祭りしたり、輪の都行ったり、ミ=ゴと戦ったりもしたっけな。

 

本当に、色々あっちょっ、待っ」

 

クッソ、ズボン脱がされたッ!!!

 

酒が入って隙ができたかッ!!!

 

「こらこら、返しなさい」

 

「だーめ❤︎」

 

んもう。

 

「守子ちゃん助けて」

 

「すいません無理です」

 

んもう。

 

あ、もちろん、音成鎮守府の子達も誘ってあるよ。

 

音成鎮守府……、うち、黒井鎮守府の隣の鎮守府だな。親交は極めて深い。

 

宴会の度誘ってるけど、提督の守子ちゃんはなんか知らんけど遠慮しちゃって来ないこともあるんだよね。音成の艦娘は皆んな来るけど。

 

でも今日は、俺着任二周年パーティだって言ったら来てくれた。酒は大勢で飲む方が美味いと思う。個人の感想だが。

 

「どうだい守子ちゃん、楽しんでるかい?」

 

「はい、とても!着任二周年、おめでとうございます!」

 

いやあ、守子ちゃんは今時見ない良い子だよ。

 

優しくて、正義感あっちょっ、本当に!!!」

 

パンツ持ってかれた。

 

持ってかれたぁぁぁ。

 

既に上着も脱がされているので、これで全裸だ。

 

おかしいな、俺、艦娘より脱がされてねえか?なんで艦娘のサービスシーンより、俺の全裸シーンの方が多いんだ?誰が得するんだ?どう言うことだ?

 

「まあ、どの道、見えちゃいけない所は見えないようにしてるんだけどさ」

 

最早説明するまでもないが、俺の股間はブルーレイ版では無くなりそうな謎の光によって見えないようになっている。この効果により、全裸になっても危険はないと言えるのだが……?

 

「さて、提督?子作り、しましょうか❤︎」

 

危険あったわ。

 

「ふふふ、古鷹?俺は子供なんて作りたくないぞ?第一、俺が簡単に捕まると思うか?……空間湾曲!!」

 

………………何?!!

 

「何故発動しない?!」

 

「夕張ちゃんが空間閉鎖しました❤︎もう逃げられませんよ?こ・づ・く・り・しましょ?」

 

くっ、史上最強のヨメ並みの感想!!!

 

「ならば!!!」

 

自らの土手っ腹を貫こうとした俺の手が物凄い力で掴まれる。

 

「自殺も駄目ですよー❤︎」

 

チッ、読まれていたかッ!!!

 

ならば!!

 

《内なる大力!!!》

 

これでHPの消費を狙う!元は、秒間1パーセントのHP消費の引き換えに二割ほど攻撃力を上げる呪術だが、自殺にも使える!お得!

 

「はいはい、駄目ですってば」

 

くっ、これは、ポーション?!か、回復してしまう?!

 

「さあ、これで、提督と私達を阻むものは何もありませんよ❤︎」

 

待て、待て、待て、待て、やめろ!!やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ!!!!

 

「あ、あ、あああああああああああああああああああ!!!!!」

 

 

 

悪役らしく、最後は滅ぶもの、か。

 




旅人
滅んだ?

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