旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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201話 エクシーズ召喚

「よーし、建造するぞー」

 

「あの、提督、昨日の事ですが」

 

「昨日は何もなかった」

 

「え?」

 

「昨日は何もなかった」

 

「あ、あの」

 

「昨日は何もなかった」

 

「は、はい」

 

昨日は、何も、なかった。

 

何も、なかったんだ。

 

良いね?

 

さて、そんなこんなで、建造をする訳だが。

 

「んー、どうしよっかなーどうしよっかなー」

 

「どうせまたこれでもかってくらいぞんざいな触媒で艦娘を建造するんですよね、知ってます」

 

明石、そう言う言い方は感心しないぞ!

 

「まずはこれ、雲龍」

 

「何ですかこれ」

 

「和菓子」

 

「和菓子」

 

和菓子だ。

 

「和菓子で艦娘を召喚するんですか」

 

「雲龍(和菓子)でオーバーレイネットワークを構築!!!」

 

「はぁ」

 

で、お次はと。

 

「天城越えのCD」

 

「CD」

 

「葛城ミサトのフィギュア」

 

「フィギュア」

 

「折れ曲がって血痕まみれのゴルフクラブ」

 

「ゴルフクラブ」

 

これらを、建造ドックにぶち込みます。

 

ゴルフクラブは、サンドラ鎮守府で使用されたアレです。咄嗟に持ち帰って来ちゃってた。テヘペロ。まあ、リサイクルってやつだ。EU製だし、EU内の艦娘が出るのは予想に難くない。

 

「行けるんですかこれ」

 

「良いか明石、行けるんですか、じゃない、行くんだよ」

 

時に、男っていうのは、やれるやれないではなく、やるかやらないかと言う選択肢を叩きつけられることがある。つまりこう言うことだ。

 

止まんねえ限り、道は、続くッ!!!

 

「俺は、止まんねえからよぉ、止まるんじゃあ、ねえぞ……!!!」

 

キボウノハナ-。

 

「あとはこれと、これと、これとこれ!!!建造!!!ハイどん!!!!」

 

「あーあー、光が、妖精さんが集まって……」

 

 

 

「雲龍、推参しました」

 

「天城と申します」

 

「葛城、参ります!」

 

「あたしはそう、ルイージ・トレッリよ」

 

艦娘が四体……、来るぞ遊馬!!

 

こねーよアストラル!!

 

「天津風の出番ね!」

 

「白露です!」

 

「睦月ですっ!」

 

「皐月だよっ!」

 

プラス、駆逐艦が四体。

 

やあやあやあ、よく来てくれた嬉しいよ。

 

「黒井鎮守府へようこそ!歓迎しよう、盛大にな!!皆んな、俺が提督だ。よろしくね」

 

「「「「よろしくお願いします!」」」」

 

んー、良い返事だ。元気一杯。さあ、病まない程度に好感度を上げて、適度に仲良くやっていきましょーか。

 

と、決意をしたあたりで、ボインボインの白髪のおねーちゃん、雲龍さんから声がかかる。

 

「あ……」

 

「ん、どうした、ええと、雲龍さん?」

 

「惚れた」

 

「はい?」

 

「一目惚れ」

 

「んんん?」

 

ええと、つまり?

 

目と目が合う瞬間、恋だと気付いた、と?

 

「私のハートを貫いた!!!!」

 

「えっ、あっ、ええー?」

 

突然の告白。

 

ど、どう言う事だ?

 

まだ何もやってないのに?

 

女の子にモテる自覚はあるが……。

 

「理屈じゃない。好き。好きになった」

 

「そ、そうか」

 

「今晩、食事でもどう?」

 

「あ、ああ」

 

グイグイ来るな、この子!

 

 

 

「まずは、鎮守府の案内をするよ。着いて来てくれ」

 

「「「「はい」」」」

 

俺に抱きついて来る雲龍さんを引き離し、新規艦娘を連れて鎮守府の案内を行う。今度こそ好感度を上げ過ぎないよう注意しなきゃな。

 

「さて、まずは白露ちゃん。白露型の工房に送るよ」

 

「工房?何を作ってるの?」

 

「ああ、いや、便宜上工房と呼んでいるだけで、何かを作ってる訳じゃないさ」

 

まあ、危険物は作ってるらしいが。火薬とか薬品とかね。

 

「へえー。他にも白露型の妹達っているの?」

 

「いるよ、白露型は艦隊でも特に強い戦闘集団だよ」

 

いや、マジで。情け容赦ゼロの狂気の戦闘集団白露型。よく内臓ちょうだいとか血をちょうだいとかちょっとばかり闇の深いリクエストをしてくること以外は、忠誠心が高く戦闘能力も高い素晴らしい子達だ。

 

皆んな、仕掛け武器と言う特殊な趣向の格闘武器を持ち歩き、脳内に瞳と呼ばれる異様な器官のようなものを持つ特異な狩人である。

 

その瞳を以って、見えざるものを見つめ、過去や未来を見通し、精神と時の狭間を漂流する探索者でもある。

 

「さ、行っておいで白露ちゃん」

 

「うん!」

 

そんなところに無垢な白露ちゃんを送りつけて良いのかって?いや、白露型って時点で遅かれ早かれ、ねぇ?俺の脳内の瞳が言ってる、どうせ皆んな血に飢えた狩人になると。

 

……「キャー!!しっ、心臓が!瓶詰めの心臓がぁ!!!人の腕の剥製がぁ!!!!」

 

 

 

「さて、お次は睦月ちゃんと皐月ちゃん。睦月型のガレージへ」

 

「はーい」

 

「ガレージ?」

 

そう、ガレージ。

 

「睦月型はガレージを一つ所有していてね、そこを拠点としているんだ」

 

「へえ」

 

「ふーん」

 

睦月型もこれまた優れた戦闘能力を持つ特異集団だ。全員、艤装を限界ギリギリまで改造しており、近代的な武装……、エネルギー砲や特殊質量弾などで武装している。

 

全員まともじゃない、狂気のハイテク集団と専らの噂だが、俺はそうは思わん。投薬やインプラント手術など、直接肉体を変異させることはしていない分まともと言って良い。

 

そんな睦月型に新入りの睦月ちゃんと皐月ちゃんを渡して良いのか?

 

良いのだ。

 

限界ギリギリまで超武装させられるだけ。何も怖いことはない。

 

……「菊月ちゃん?何持って……、パルマシ?レザライ?」

 

……「え?僕、何されるの?ちょ、ちょっと?!」

 

 

 

「後は休憩室にいる皆んなに案内を頼むとするか」

 

天津風ちゃんを陽炎型に押し付けて、と。

 

陽炎型は格闘戦主体の集団だ。各々がフォームチェンジなどによる艤装出力の急速転換を得意としていて、あらゆる場面に対応できる汎用性が売りだ。

 

……「嵐?ちょっと、何これ?ゼクター?」

 

一方ルイージちゃんは同じイタリア艦に引き渡すことにした。

 

イタリア艦……、イタリア艦はマフィアだ。義理人情に厚いが、一度敵と定めたものに対してはどこまでも苛烈に攻め立てる。

 

加えて全員が死人……、まるで最初から自らを生命体と思っていないかの如くダメージに鈍感。その上恐怖も持たない。

 

……「何で棺桶背負ってるのポーラ?」

 

後は空母。

 

又の名を食う母。

 

色んな意味で食いしん坊ばかりだからな、空母は。

 

皆んな、「貴方を食べたい」と言う口説き文句で攻めてくる。それは、比喩や暗喩じゃなくって直接的な意味でのことだ。

 

俺がちょっと食われたくらいじゃ死なないのを良いことに、物理的に食らいついてくるのだ。

 

でもまあ、食人癖以外は大抵まともな方なので、黒井鎮守府においては安パイとも言える。

 

……「やだ、提督と離れたくない」

 

……「わ、我儘言わないで下さい、雲龍姉様」

 

……「雲龍姉、行くよ!」

 

 

 

……これで全員か。

 

よしよし、案内終了だな。

 

想定外はあったが、最初から俺が手厚くあれこれ案内するんじゃなく、姉妹艦、同種の艦に丸投げすることにより、好感度の上昇を防ぐと言う上級スキルの発動だ。

 

うーん、これは非モテですわ。

 

この調子で、新入りの艦娘とは絶妙な距離感を保ち、父親のような、兄のようなポジションを目指していきたい。

 




新艦娘
どうせ皆んなヤンデレになる。

旅人
好感度を上げ過ぎないように心がける。

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