旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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なろう系小説で、転生特典にエロ触手を選んだ男の物語を思いついたんですけど、誰か代わりに書いてくれません?


214話 必殺技開発日誌

「く、は、ははは、ははははは!弱いでありますなぁ、深海棲艦!脆い、鈍い、弱いっ!!!」

 

深海棲艦を朱槍で蹴散らしながら、嗤うあきつ丸。

 

あきつ丸は元気いっぱいで可愛いなあ。あと、槍を振るう度におっぱいぷるーんぷるーん!!総統閣下も納得のお乳だ。

 

そんなことを考えつつ、疾風の如きスピードで処理されていく深海棲艦を横目で見ながらも、俺は、戦いを続ける。

 

「はあっ、せいっ、よっと!!」

 

鉄山靠、回し蹴り、後ろ回し蹴り。

 

鎖骨打ち、フック、肘打ち、裏拳、アッパー、南斗聖拳。

 

ここまでやって、やっと一体。

 

さて、ここで俺とあきつ丸のキル数を数えてみよう。

 

あきつ丸:257

 

俺:18

 

ご覧の有様だよ!

 

嘘、私のキル数、少な過ぎ……?

 

自分の役立たずっぷりに思わず涙がちょちょぎれそうだぜー!!

 

 

 

「と言う訳だ」

 

「はあ」

 

鎮守府に帰ってきた俺とあきつ丸。

 

「ひょっとして、俺は……、クソザコナメクジでは?」

 

「いえ、提督殿は防御と回避に特化しているのでありましょう?何も撃破数が全てと言う訳でもあるまいし……」

 

気を遣ってくれているのか、あきつ丸?

 

良いんだ……、俺がザコなのは周知の事実だ。

 

「そもそも、提督殿の役割は艦隊の指揮では?戦う必要がないでありますよ」

 

そうかな?

 

「でも俺は主人公だぜ?俺TUEEEEEする義務みたいなの、あるじゃん?」

 

「はあ……」

 

分かっていないご様子。

 

「強くなくては、提督と名乗れないのではないかな」

 

「いえ、強さに関係なく、貴方は、自分達のたった一人の提督殿でありますよ」

 

優しい。

 

流石はあきつ丸。思いやりの心に溢れていやがるぜ。

 

「だが、俺は思うんだ。このままではいけない!と。毎日百体のペースで深海棲艦を倒して回るうちの艦娘の皆んなを指揮する手前、もう少しくらい強くなるべきだ、と!」

 

俺なんて、今日は結局30体も倒せなかったからな。

 

「まあ、提督殿が強くなりたいと仰るならば、誠心誠意お手伝いする所存でありますが」

 

ならば、早速特訓だ!

 

「着いて来いあきつ丸ェァ!!!特訓の時間だァーーー!!!!」

 

「はっ、了解したであります」

 

 

 

「まずは、だな、必殺技だ」

 

「はあ」

 

「必殺技が欲しい」

 

「必殺技、でありますか」

 

そう、必殺技だ。

 

ヒーロー皆んなが、場合によっては悪役も、皆必殺技を持つ。

 

必殺技。書いた通り、必ず殺す技である。

 

必殺技さえあれば、こんな俺でも活躍できるんじゃないかと思うのだ。

 

「だからまずは、必殺技を編み出す」

 

「なる、ほど?しかしどうやって?」

 

いまいち納得していない様子のあきつ丸に、どうやって必殺技を編み出すのかと問われる。

 

うむ、どうするか?取り敢えずは、既存の技から何がインスピレーションを得るべきではないだろうか。

 

そんなこんなで、適当な木人を用意して、技を放つ。

 

「取り敢えず、今持っている必殺技を使ってみる。見ていてくれあきつ丸」

 

「了解であります」

 

「はああああ……!必殺、強制ストリップ真拳!!!」

 

木人の服を即座に脱がせる。

 

これが俺の技、強制ストリップ真拳だ。

 

目にも留まらぬ速さで相手の服を脱がせる、必殺の技だ。

 

お次はこれだ。

 

「必殺!水龍敬ランドの刑!!!」

 

水龍敬ランドの刑……。

 

俺のもう一つの必殺技。相手にエロコスプレをさせる技だ。木人は瞬く間に卑猥な格好にさせられた。

 

「はあ、はあ……、どうだ?」

 

肩で息をして、あきつ丸の方を見る。

 

「どうだ、と言われましても……」

 

あきつ丸は、困ったような顔をして、言った。

 

「実質、火力ゼロでは?」

 

「ぐうっ、痛い所を突いて来やがる……」

 

そう、そうなのだ。

 

実質、火力ゼロなのだ。

 

「目にも留まらぬ速さで相手の服を脱がせる技、でありますか。正直、深海棲艦との戦いでは、あまり意味が無いでありますな」

 

「そーなんだよなー。深海棲艦との戦いとなると、単純な破壊力を求められるからなー」

 

単純な破壊力?そんなものはない。戦いは苦手なんだと言っているだろうが!

 

喧嘩騒ぎは好きだが、命をかけた、切った張ったの大勝負は得意じゃない。慣れてはいるが。

 

深海棲艦との戦いのような殺し合いは、俺の最も苦手とする所だ。

 

人類皆兄弟みたいな気持ち悪いこと言うつもりはないし、立ち塞がる敵は殴り飛ばす気でいるが、それでも、殺しは得意になれない。

 

俺が銃器や剣などの武器が使えない理由もそれだ。「殺しが好きじゃないから」。

 

「向いてないんだよなぁ……」

 

そもそも、俺は戦わない。俺の判定では生き残れば勝ちなんだ、態々相手を殺す必要がない。やらなきゃやられる、みたいな場面以外では殺しはしない主義だ。

 

「そうでありますなぁ、提督殿は温和なお方。戦は苦手でありましょう」

 

「そーなのよ」

 

まあ、正直に言えば、温和な性格って訳じゃないが。

 

俺はなろう系サイコパス主人公らしく、美女には優しく、男には厳しいタイプなだけだ。

 

つまり、艦娘の前では優しい姿を見せているだけで、俺の本性は屑だ。いや、自分を卑下しているとか謙虚な姿勢とかそんなんじゃなくって。

 

ぶっちゃけ、下半身に忠実なだけなんだが。

 

だが、一部の艦娘は勘違いしている。俺を聖人君子だと思っている。

 

失望された時が怖いなぁ……。

 

「ううん、アレでありますな、強力なまじないの類とかは?」

 

まじない?まじない……、うーん。

 

「マスタースパーク、スターライトブレイカー、ソウルの奔流、メテオ、ホーリー、メギドラオン……」

 

使える魔法を列挙してみる。

 

「はあ?」

 

「レーザーが出る。あと隕石が降ったり、大爆発したり」

 

「なんだ、強いではありませんか。やはり、切り札を隠し持っているのでありますな」

 

「でも、反動で死ぬ」

 

「は?」

 

「魔力使い過ぎでパーンてなる」

 

パーンて。

 

「パーン、とは?」

 

「だから、文字通り、内側から破裂するんだよ。マナの暴走で」

 

限界を超えた魔力の行使は、身体機能を破壊するんだよなぁ。

 

「……あー、自分、まじないの類には詳しくないのでありますが……、使い過ぎると死ぬので?」

 

「おう、死ぬ」

 

詳しい描写はグロテスクなんで避けるが、よりポップに言えばザクロみたいになる。

 

「えぇ……(困惑)」

 

「でも安心しろ、そう言う時はあらかじめ、死んでもいいように蘇生魔法をかけておくんだよ」

 

んなもんリレイズよ。

 

「……自らの死すら、織り込み済みだと?」

 

「勿論よ」

 

ドヤ顔を晒す俺。

 

「……あー、良いでありますか、提督殿」

 

「おう、何だね、あきつ丸」

 

「死ぬのは、なりません。絶対に、なりません。提督殿が死ぬくらいならば、このあきつ丸が死にます」

 

俺だって、積極的に死のうとは思わない。ただ、死ぬべき時には死ぬが。

 

「分かってる、分かってる」

 

「いいえ、分かってなど、いないであります。提督殿は自分の全てであります。何よりも愛する提督殿が死すくらいならば、自分も後を追わせて頂く」

 

うわ、出たよ、後追い自殺宣言。

 

うちの子は皆んなそうだ。俺が死ぬくらいなら自分が!とか、後追い自殺します!とか言う。そんなことしなくて良いから……(良心)。

 

「はぁ、良いか?いつも言っているけど、俺が死んだって後追い自殺なんてするなよ?そんなことしたら嫌いになるからな」

 

「例え、提督殿に嫌われようと、提督殿のいない世界にいるよりはマシであります」

 

にこり、と。花の咲いたような笑顔で言うあきつ丸。いや、怖いよ、なんで笑顔で後追い自殺宣言してんの?

 

「分かったよ、なるべく死なないようにするから」

 

「ええ、そうして下さいであります」

 

 

 

「あきつ丸ー」

 

「はい?」

 

「結局、必殺技思いつかなかったなー」

 

「ああ、そうでありますね」

 

付け焼き刃じゃ駄目ってことなのかもな。

 

「まあ、アレです。必殺技、などに頼らず、普段から繰り出す一撃一撃に必殺の気迫を込めれば良いんでありますよ。少なくとも、自分はそうしているであります」

 

「おお、それ、なんかカッコいいな。採用」

 

なるほど、リュウセイさんみたいに、常に適当な必殺技ブッパしてるみたいに戦えば良い訳だ。

 

一撃一撃が必殺なら、必殺技なんて必要ない。道理だ。

 

「じゃあ、俺もそうやっていくわ」

 

「ええ、そうして下さい。決して、外法には手を出さず、真っ当な戦いをして下さいであります」

 

「おうよ」

 

常に真っ当な戦いをしているつもりだが……。

 

もし、もしも、これからの戦いで、俺が無茶しそうだったら、その時は。

 

「頼らせてもらうよ、あきつ丸」

 

「ええ!このあきつ丸に、どーんとお任せ下さいであります!」

 




あきつ丸
強い、絶対に強い。

旅人
相変わらず火力低。

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