旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

218 / 593
感想で言われた、「旅人の知り合いに挨拶回りすれば面白いんじゃね?」の言葉に乗りました。

旅人の昔話が続くので、「おう艦これしろよ」のツッコミは勘弁してください。

後、皆んな覚えてないかもしれませんが、旅人の本名は新台真央です。


218話 衝撃!挨拶回り編 その1

「挨拶回りの時間だよ、挨拶回りの時間だよ」

 

「はぁ……?」

 

挨拶回りの時間だよ。

 

いや、新年明けてからすぐ行けよと言うお言葉は尤もだ。

 

だがね、新年は皆んなお互いに忙しかっただろ?だから、時期をずらして今、なんだよ。

 

そもそも知り合いに会うのに時期なんて関係ねぇんだよ(暴論)!!

 

「知り合い、ですか?」

 

大淀が聞き返す。

 

「そうだ!古今東西にいる俺の知り合いに会う!!トモダチ大事!超大事!!」

 

そう、そうなのだ。

 

世界各地を旅して回った俺には、実に多くの知り合いがいる。

 

友達だったり、恩師恩人だったり、はたまた、艦娘には言えないが恋人愛人だったりだ。

 

長い長い、人生と言う名の旅の途中、助けて助けられて、恋したりされたり、対立したり、喧嘩したり。一緒に笑ったり泣いたり。沢山の経験を積んできた。

 

そんな知り合いに、また会いたい。

 

会って話をしたい。

 

それが今回の趣旨になります。

 

まあ、知り合い側から会いに来い、顔を見せろって言われてるし。

 

行かなきゃ(使命感)。

 

「行ってきます!!」

 

「じゃあ、お供しますね!」

 

え?

 

いやいや、別に良いよ。

 

お供だなんて。アイルーじゃあるまいし。

 

「私は提督の秘書ですから!」

 

むむむ、そこまで言うなら付いてきても構わないが……。

 

「付いてきても面白くはないと思うよ?」

 

「大丈夫です!」

 

そう?

 

 

 

「……その、ここは?」

 

「んー?料亭」

 

「この方は?」

 

「総理大臣」

 

「ご関係は?」

 

「恩師かな?」

 

少し、緊張した様子の大淀。

 

無理もない、ちょっと高級な料亭だからな。

 

そこに、男の渋い声が響く。

 

「いや、新台は、命の恩人だ……」

 

内閣総理大臣、剣桃太郎さんだ。

 

「いやいや、そんなことないですよ。桃さんは俺の師匠みたいなもんですって。恩師ですよ恩師」

 

「フッ、稽古をつけたことなんて数えるほどだろう?」

 

「それでも、最高に為になりましたから。桃さんがいるから、今の俺があるんです」

 

「謙遜が過ぎるぞ」

 

「そんなこたぁないですよ。今だって艦娘に苦労かけてばっかりで……」

 

と、暫し談笑する。

 

桃さんは、さっき言った通り、数多くいる俺の恩師の一人だ。

 

特に氣功を使った戦いにおいては、俺の知り合いの中でも右に出るものはいない。

 

その上、頭も切れてイケメンだ。勝てないねこりゃ。唯一勝ってんのは若さくらいのもんか。

 

「……仲、よろしいんですね」

 

小声で耳打ちする大淀。

 

「ん……、ああ、そうだな。紹介しよう大淀。と、言っても、態々紹介しなくても知ってると思うが……。内閣総理大臣の剣桃太郎さんだ。桃さん、こちら、艦娘の大淀です」

 

「あ、はい。ご紹介に預かりました、軽巡洋艦の大淀です。よろしくお願いします」

 

「ああ、よろしく。護国の英霊である艦娘に会えるとは、喜ばしく思う」

 

ニコリと笑ってそう返す桃さん。あー畜生、この人何言っても様になるな。俺よりイケメン。俺が女なら惚れてる。

 

「そのぉ、つかぬ事をお聞きしますが……、どう言った関係で?」

 

「んー?まあ、話すと長くなるけど……、俺が救護のバイトやってた時に知り合ったんだよ」

 

「はぁ」

 

「桃さんは、若い頃、男塾って言う超絶スパルタ学校の生徒でな。そこで日夜死にかけるような闘争を続けていたんだ。そんな桃さん達を片っ端から回収して回復魔法かけまくったのよ」

 

いやあ、なんか知らんけど、急に、男塾名物!とか言って命に関わる曲芸バトルを始めるからな、男塾は。

 

その度に、酸の沼や奈落などに落ちた塾生を回収し、蘇生させるバイトをしてたんだよ。王大人って人と一緒に。

 

そんなことをやってたら、男塾の塾生と仲良くなれたんだよね。

 

それで、暇な時間に拳法を習ったりもしたっけか。お陰様で技のストックが増えるわ増えるわ。切れるカードが増えるのは嬉しいね。

 

「驚邏大四凶殺の時、覚えているか?あの時は、Jも冨樫も、虎丸も死んだとばかり……」

 

「あーはいはい、あの時ですね。あの時は酷かった。限界ギリギリまで回復魔法使ったせいで逆に俺が死にかけて……」

 

と、昔話に花を咲かせる。

 

こういう雰囲気ええわー。

 

まったりタイム!

 

「……それで?最近はどうだ?」

 

「どう、とは?」

 

「全く……。とぼけるなよ。鎮守府の運営についてだ。海軍からは良い話を聞かないからな」

 

そりゃー、そーでしょーよ。

 

大本営が俺のことを悪く言わない訳がない。

 

「何やら悪い噂ばかり聞くが……、大丈夫なんだろうな?」

 

「日本に害はありませんよ。それは約束します」

 

密輸くらいは見逃して欲しいが。

 

「……なら、良いさ。お前は罪のない人々をいたずらに傷つけるような男じゃないからな」

 

おっ、わちき許された。

 

「今の今まで、日本のために戦ってくれて、ありがとう。感謝している」

 

「いえいえ、こちらこそ。最初は厄介な仕事を押し付けられたとばかり思っていましたが、中々どうして、楽しい。海の平和を取り戻すまで戦う所存です」

 

と、握手を交わして、この場はお開きだ。

 

 

 

いやあ、桃さん、元気そうだったな。生涯現役って感じだありゃ。

 

漢気を感じたね。衰えてなんかいない。流石だよ。

 

さあ、そんなんこんなで次の日。今日も元気に挨拶回りだ。

 

「あら、旦那様?外出ですか?」

 

「おうとも。挨拶回りだ」

 

すると、ひよこのエプロンにほうきと言うめぞん感溢れる姿で正門の掃除をする鳳翔が声をかけてきた。

 

「挨拶回り、挨拶回りですか……。旦那様、私も付いて行ってよろしいですか?」

 

「良いけど……、何で?」

 

「いえ、私も、旦那様の妻として、取引先の皆様方に顔を見せる必要があるかと」

 

んんー、まーた厄介なこと言い始めたゾ。

 

まあ、良いか。もうどうにでもなーれ。

 

「分かったよ……、連れてってやるよ!!連れてきゃ良いんだろ!!!」

 

オルガ並みの感想。

 

 

 

「あらあら、ようこそ、新台君〜!」

 

「いやー、どうもどうも、将軍」

 

と言う訳でやって参りました、川崎市。黒井鎮守府から電車で一時間ちょっと。悪の組織フロシャイムの川崎支部だ。

 

「こんにちは、ヴァンプ将軍」

 

「あら、鳳翔さん!どうもー」

 

ここの将軍であるヴァンプ将軍と鳳翔は、お互いに料理という共通の趣味がある知り合いであるのだ。リアルではお母さんタイプ!!

 

悪の組織の将軍の趣味が料理?良いだろ別に人それぞれだよ。

 

「溶かすぞコラァ!」

 

「呪うぞテメェ!」

 

「やめなよメダリオ!カーメンマン!お客さん来てるんだよー!」

 

「離せウサコッツ!こいつまた俺のカップラーメン食いやがった!」

 

「だから悪かったって言ってんだろ!器がちっちぇえんだよお前は!」

 

あそこで言い争いをしてるのはフロシャイムの怪人達だ。

 

とは言え、平和だ。トムとジェリー並みにどうでも良い理由での喧嘩だからな。

 

大本営がドロドロと悪事をしている最中、フロシャイムや黒井鎮守府はこんな感じでほのぼのしてる。

 

どういうことなんだろうな。

 

「あーあー、やめなよメダリオ君、カーメンマン君!ごめんねぇ、新台君に鳳翔さん。騒がしくってー」

 

「いえいえ、いつも通りなようで安心しましたよ」

 

仲いいなー、うちも見習いたい。正直、俺絡みの修羅場の空気の悪さはヤバいからな。全編ほのぼののフロシャイムを見習いたい。

 

「メダリオー、新作のカップラーメンだろ?ほら、くれてやるよ!」

 

「お、サンキュー新台。ってか来てたのか」

 

メダリオにカップラーメンを投げ渡す。

 

「んお、新台じゃん」

 

「よー、カーメンマン」

 

「新台さん、久しぶりー!」

 

「はいよ、ウサコッツ」

 

と、怪人どもに挨拶して、と。

 

悪の組織の会合っぽいことを始めるかな……。

 

 

 

「……いやー、新台君はね、ちょっとの間だけだけどうちで下宿して怪人やってたのよ〜」

 

「へぇ、そうなんですか?」

 

悪の組織っぽいこと、してたはずなんだがなぁ……。

 

いつのまにか話は脱線、俺の昔話へ。ビール、ではなく発泡酒を煽りながら、俺がフロシャイムに下宿してた時の話をする将軍。

 

なんかちょっと恥ずかしいな。自分で語る分には問題ないんだけど、他人の口から語られる過去話って何だか心がくすぐったくなる。

 

「新台君はねぇ、ちょっと決め手に欠けるけど多彩な技を持つからねー。レッドさんを翻弄して頑張ってくれたんだけど……、やっぱり駄目でね。肋骨折られて負けちゃったんだよ」

 

「まあ、そんなことが?」

 

「そうそう、レッドさんの喧嘩キックを避けて、顔にパンチを入れたところは凄かったんだけどね、攻撃が当たらないって段々イライラしてきたレッドさんが一気にギアを上げてね……」

 

「それで、敗北したと?」

 

「そうなのよ。いや〜、惜しかった」

 

「そう、ですか、そんなことが……」

 

いやぁ、懐かしいな。ここらに住んでるヒーローのレッドさんには敵わんね。強いんだよあの人。洒落にならんくらい強い。

 

「では、私が旦那様の仇討ちを!!」

 

「ほ、鳳翔?!」

 

「止めないで下さい!私の旦那様に手出しする人は許しません!」

 

と、何故かやる気の鳳翔。

 

「まあまあまあまあ、もう昔の話だから!」

 

「ですが……」

 

「良いから!ねっ!」

 

いやー、レッドさんとやり合うのは勘弁。もうやだ。五、六回くらい負けてるからね俺。

 

「ですが、旦那様に刃向かう者は全力を以って排除するのが黒井鎮守府です!世界征服の妨げとなる障害は排除すべきかと」

 

「あーもー」

 

「行きますよ旦那様!」

 

「新台君、良い部下を持ったねぇ……。よーし、私達も協力するからね!打倒レッドさん!!」

 

あーもう滅茶苦茶だよ!!

 

 

 

そんなこんなで、鳳翔がレッドさんにあしらわれ、俺と将軍が説教される。

 

なんてことはない、フロシャイムの日常の一コマを体験して、今日という日は終わった。

 




大淀
実は旅人以外の男性は得意じゃない。

鳳翔
ママ。

桃さん
総理大臣。強く賢くカッコいい、万能人間。男塾の卒業生。

将軍
フロシャイム川崎支部の将軍。家庭的。

旅人
怪人の時はストレンジャーSと名乗っていた。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。