旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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SCP要素欲しいと言われたので。


219話 衝撃!挨拶回り編 その2

例によって、挨拶回りだ。

 

「青葉ー」

 

「はい、司令官。何でしょう?」

 

「秘密組織に興味とかって」

 

「ありますねぇ!!」

 

そうか、そうか。

 

「そんじゃあ、行くか。財団にな……」

 

と、そう言う訳で、俺達はアメリカまで、飛んだ。

 

旅行……、ついでに、財団に挨拶回りの為になぁ!!

 

 

 

『ヤーハー、来たな旅人!』

 

『来たぞ博士!』

 

さあ、やって参りましたサイト◾︎◾︎!!

 

財団アメリカ支部!!!

 

「青葉、ほれ、万能翻訳モジュールだ。付けとけ」

 

「はい。……、え?これ、私、英語になってる?』

 

万能翻訳モジュールの効果だ。喋る言葉を即時に指定の言語に変換、耳に入る言語も変換する。

 

『うーん、この……。私の目の前で早速新たなオブジェクトが!!』

 

『これくらいならAnomalousアイテムでしょうよ』

 

『あの、司令官?ここはどこですか?そしてこの人は……?』

 

ご存知でない?ならば説明しよう!

 

『ここは財団、それのアメリカ支部さ。世界中の異常存在から人々を守る為に存在している秘密組織だ』

 

様々な特異な人、物、動植物、場所、現象を、人々に知られないよう確保し、収容し、保護する。そんな団体だ。

 

『そして彼はブライト博士。財団に所属する研究者の一人だ』

 

『よろしく、ええと……』

 

『あ、青葉です』

 

『おお、おお、青葉ちゃんか、良い名前だ、よろしく青葉ちゃん!』

 

仰々しい態度で青葉と握手する博士。

 

『ところで博士?』

 

『んっん、何かな?』

 

『青葉の首に963をかけようとするのは止してもらおうか』

 

『チッ、艦娘の肉体が手に入れば面白いことができると思ったんだが……』

 

全く、油断も隙もねーな。

 

『で?何をしに来たんだ?私も暇じゃない。漫画を読んだり、ゲームをしたり、アニメを見たりする仕事がある』

 

『ああ、いや、サイト◾︎◾︎を見て回ろうと思ってね』

 

『はっはっは、財団職員として許可はできないな。個人的にはOKなんだけどね』

 

『じゃあ、博士を脅して無理矢理見学していったってことにしない?』

 

『まあ、それなら良いんじゃないかな。実際、keterクラスオブジェクトの君に暴れられたら困るしね』

 

俺、財団ではketerクラスオブジェクト扱いらしい。そして黒井鎮守府は要注意団体扱い。

 

まあ、封じ込められない上に変な能力を多数所持した男だからな、その評価も仕方ないかもしれない。

 

『しかし私は有効活用すべきだと常々提言してるんだがなぁ。戦闘能力は076、096、106などを十分な間足止めできるくらい、財団にとって有用な薬品を作り出す技能、魔法、気功、仙術、呪術などの未知の技術を使いこなす……。知能こそ並みの研究員ほどだが』

 

963を手で弄びながらそう言う博士。

 

『加えて173に頸椎を破壊されたときも、082に食われかけた時も、682の脱走に巻き込まれた時も平気で生存する不死性……。認識災害、ミーム汚染を跳ね除ける精神力……。他のketerクラスにぶつけるべきだと私は思うね』

 

笑いながら非常におっかないことを言う博士。本当、碌でもないなこの人。

 

『私はね、Ω-7計画の方向性は間違っていなかったと思うんだよ。毒を以て毒を制する、その方向性はね。だから、旅人君も使いまわせるDクラス職員と考えれば非常に有用だ。なのに!上の連中ときたら!』

 

天に向かってごちゃごちゃ言い始めた博士。まーたドラックかなんか使ったな?ガンギマリじゃねーか。

 

『そうですかそうですか、じゃ、俺達は行くんで』

 

さて、インコグニートで変装して、と。

 

いざ、サイト◾︎◾︎へ……!!

 

 

 

《ハロー、キャシー、調子はどうだ?》

 

《ハロー、旅人。良好とは言い難いけど、貴方が来てくれたと思うと少し気が楽になったわ。旅の話を聞かせて?》

 

『これは、浮気……?いやでも……』

 

レベル2のゲートを青葉がハッキングして収納施設へ。

 

会いに行ったのはキャシー。紙面で踊る可愛いあの子だ。

 

……キャシーは、何というか、二次元世界の住人だ。

 

ああ、いや、萌えアニメのオレのヨメ!とかってそう言うのじゃない。キャシーは、絵なんだ。

 

紙面の白にペンの黒で描かれた、二次元空間で生きる女性、それがキャシーだ。

 

今、俺とは筆談で話している。

 

《旅か、そうだね、俺が今働いている日本の自然を描いてあげよう》

 

左手で鎮守府の桜並木を描きながら、右手で最近の旅先での話をする。

 

『司令官、これは浮気ですか?』

 

『触れもしない相手にどうやって浮気するんだよ』

 

確かにキャシーは可愛らしいが。あくまで知り合いだ。

 

《わあ、綺麗……!日本は素敵なところなのね。私もいつか行ってみたいわ》

 

《そりゃあいい》

 

絵の中の桜並木で踊るキャシー。幸せそうだ。

 

キャシーは、ある時、財団の手違いで自分が絵であることに気づいてしまい、それに心を痛めた。

 

二次元の世界にたった一人で生きる、孤独な女性だ。

 

おまけに、こんなところに収容されているんだ。そりゃあ、気も病むってもんだろ。

 

だからこうして、時々会いに来てるんだ。例え絵の中の女の子であっても、女の子は女の子!優しくしなきゃな!

 

《へえ、今、そっちの世界は大変なのね》

 

《そうだよー、Explaindクラスオブジェクト、深海棲艦。XKクラスシナリオ要因さね》

 

いや、もしかしたらSKクラスシナリオかもしれんが。深海棲艦の狙いは謎だ。

 

《ここの、その、財団?さん達も大変そうなのに、貴方も忙しいのね》

 

《でもまあ、部下が優秀だから。割とどうにかなってるよ》

 

さて。

 

こんなものかな。

 

《じゃあ俺はそろそろ帰るよ。またね》

 

《うん、また、会いに来てね》

 

《もちろんだよ》

 

こうして俺はキャシーとの会話を済ませて、施設を出たのであった。

 

『浮気……、浮気……、うーん』

 

 

 

『ちょっ、待っ、無理です!無理です!司令官!司令官あああああ!!!』

 

『大丈夫大丈夫』

 

こぽこぽと、楽しげに泡立つスライムに青葉を押し込む。

 

『あっ、あっ、待って下さいこれ、待って……、あ、あれ?気持ちいい?』

 

こいつは、くすぐりオバケだ。

 

どんなやつかって言うと……、まあ、その名の通りだ。

 

人を抱きしめて、撫で回す。いい匂いのする、スライムである。主食はお菓子。

 

因みに、スライムだからと言って猥褻は一切ない。

 

『んにゃ?!あは、あはははは!くすぐったい!くすぐったいからぁ!!』

 

乱れ青葉。

 

猥褻は一切ない、ないのだ。

 

青葉が息も絶え絶えになり、くすぐられてる姿にエロスなんてある訳ないじゃないか。

 

くすぐられてる女の子を見て興奮なんて特殊性癖ですよ。

 

『あはははは!やめて!やめてってばぁ!!』

 

ごぼごぼ。

 

『あはははは!ははははははは!!』

 

こぽこぽ。

 

『ほ、本当に駄目、もう駄目!!』

 

青葉、若干本気のギブアップ。するとくすぐりオバケは、くうくう、と音を立てて引き下がった。

 

『はあ、はあ、はあ……。なんなんですかもー!!もー!!』

 

はっはっは、許せ。

 

 

 

『アエ!おいで!』

 

『あう、たびびと、たびびとー?』

 

『ううっ、何ですかその人……、人?』

 

アエは……、言うなれば、沼女だ。

 

『この子かい?アエって言うんだ、可愛いだろ?』

 

『いえ、その……、だって、緑の……』

 

アエの肌はまるでカエルなどの両生類みたいにまだら模様の緑色だが……、それがどうかしたか?

 

『可愛いだろ?』

 

『だって、その子、確実に人間じゃない、ですよね……?』

 

はっはっは。

 

『でも、可愛いだろ?』

 

『はぁ?はぁぁぁ?!どう言う神経してるんですか?!人じゃないんですよ?!』

 

『いや、でも、可愛いだろ?』

 

『それしか言えないんですか!!』

 

それ以外に言うことある?

 

『おー、たびびと、たびびと、だっこ、してー』

 

『お、抱っこか、良いぞー』

 

ヒタヒタと言う足音と共に俺に近づくアエ。警戒する青葉。

 

『こら青葉、睨むな睨むな。アエは野生的な子なんだから、警戒心とかそう言うのが嫌いなんだよ』

 

『だって、これ、明らかに人間じゃ……』

 

いや、人間にカウントしても良いだろ別に。仮に人間じゃなかったとして、それが何だ?こんなに可愛いんだぞ?なら良いだろ。それが全てだろ。

 

『肌の色なんかで人を差別しちゃいけないんだぞ』

 

『いや、黒人白人がどうこうとかならまだ分かりますよ?でも緑って!緑は無しでしょ?!髪もなんかぬらぬらしてるし……』

 

『あい、だっこー』

 

『よしよし、良い子だアエ』

 

だから何だ。何の問題ですか?

 

『……ん?し、司令官!!溶けてますよ?!!』

 

『ん、ああ、アエの手足の粘液に触れると溶かされるんだ。アエは胃腸が退化して、代わりに手足で肉を溶かしてそこから栄養を摂取する性質があるみたいでな』

 

因みに口から溶解液を吐いたりもする。

 

『みたいでなって……、食べられてるってことじゃないですか!』

 

『そうね』

 

『そうね?!』

 

こーんな可愛い女の子を抱っこできるんなら、ちょっと溶かされて食われるくらいなんてこたぁないよなぁ?

 

『司令官は馬鹿なんですか?!』

 

『大学院出てるぞ』

 

『そうじゃなくって!!』

 

『たびびと、おいしー。おいしーし、あそんで、くれる。ぽちゃぽちゃ、しよっ!』

 

『水遊びか?良いぞー』

 

おっと、水遊びをご所望だ、遊んで差しあげろ。

 

『あーもう滅茶苦茶ですよ!!』

 

 

 

「いやー、面白かったな」

 

「笑い事ですか?!こっちはいつか死ぬかもとハラハラしましたよ!!」

 

いや、俺が死ぬ訳ねーだろ。

 

「死なない死なない」

 

「何なんですかその自信は……」

 

「俺は死なないから」

 

「分かりましたよ、もう……。うう、流石に今日のことは記事にできそうにないです。青葉の個人的な記録ファイルに入れておきましょう……」

 

「そうだね、あそこは一応秘密組織だし。皆んなには内緒だよ」

 

「……そう言えば、司令官もketerクラスオブジェクトって呼ばれてましたね。あんなの達と同じ括りなんですか……?」

 

「あー、みたいね。君らも一応同じ括りっぽいよ」

 

「ええぇ……。青葉なんてただの、どこにでもいるちょっとクラッキングが得意な艦娘ですよ、無害ですよ」

 

まあ、俺達も現状は、深海棲艦という特異存在によるXKクラス世界終焉シナリオの対抗策として、辛うじて見逃されてるだけだから。

 

実際財団は、深海棲艦がketerからExplaindとなるまでには、上から下まで、国内外支部全体が相当な騒ぎだったらしいし。

 

聞くところによると最初は隠蔽しようと躍起になってたみたいだが、どうやら、現行兵器ではあまり効き目がない、なら新兵器を作ろう、いやいや防衛ラインの形成を急げなどと大騒ぎして。

 

どうやら深海棲艦には神秘ダメージ……、ヒューム値の改変を伴う攻撃が有効だという点までは見抜いたらしい。流石財団、有能。

 

だが、そこに更に艦娘という新たな特異存在が現れて更に大騒ぎ。遂には封じ込めが出来なくなって、あえなくExplaind化、って訳だ。

 

尤も、深海棲艦騒ぎが収束したら、多分、俺達を収容しに来るんじゃないかな?

 

あと、俺がノリでかっぱらったオブジェクトも返せって言って来ると思う。297とか458とか。

 

まあ、もちろん、捕まる気はこれっぽっちもねーけど。

 

「まあ、いざとなりゃ夜逃げすりゃ良いのよ。逃げちゃえ逃げちゃえ」

 

「はぁ、まあ、その時は……、お伴しますよ、司令官」

 




青葉
電子戦特化。ステゴロは弱い方。

博士
ほんまもんのキチガイ。実は死にたいらしい。

SCP-◾︎◾︎◾︎◾︎ 『旅人』
SCP-◾︎◾︎◾︎◾︎は現在収容がなされていません。SCP-◾︎◾︎◾︎◾︎を封じ込めようとするあらゆる手段は抵抗され、無力化、もしくは破壊されます。

http://scp-wiki.net/scp-085
著者:Fritzwillie 様

http://scp-wiki.net/scp-811
著者:Pig_catapult 様

http://scp-wiki.net/scp-999
著者:ProfSnider 様

登場するSCP関連コンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示-継承3.0ライセンス(CC-BY-SA 3.0)に準拠します。

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