今回は前後編別れる感じのやつです。あと、これは、ギャグssなので、熱いバトルとかそういうのはないです。
さて、出撃だ。船は鎮守府にあった古いのを、こんなこともあろうかと使えるようにしておいた。明石と。
さて、燃料を入れて、艦娘達の艤装の予備パーツを積めて、あとついでに食材も積めて、いつでも準備オーケー。
「その、提督?さっきの、出撃するって、冗談ですよね?」
そう言ったのは、良くデートしてくれる艦娘筆頭、古鷹ちゃん。
「いや、マジだけど?」
特に嘘をつく必要はない。正直に答える。
「だ、駄目だよ、提督!どう考えても危険だよ!」
古鷹ちゃんの妹、加古ちゃんを始めとする多くの艦娘が反対する。いかんのか?
「いやほら、艦娘と出撃する提督の前例はある訳だし?良くない?」
「「「「駄目です!」」」」
サンキューヤーマン。うーん、ちゃんと船を用意したというのに、何が不満なのか、私には理解に苦しむね(鬼畜)。
「提督、良いですか?確かに、他の鎮守府では、少数ですが提督自らが出撃したケースもあります……。ですが!それは!ちゃんとした戦艦に乗ってのことです!決して、型落ちでボロボロの輸送艦に乗ってなどではありません!!」
えー?見た目はアレだけど動くよ?外装とか塗装とかは時間無くてさー?
「大体、何で調理場をこんなにも充実させたんですか?!こんなことをするなら、せめて機銃の一つでも付けて下さいよ!」
機銃なんてどうせ当たんないし。そんなことより昼飯の方が大事じゃん?
「まあまあ、良いじゃないの。戦艦はほら、金剛ちゃんと榛名ちゃん、あと長門さん、陸奥さんがいるし」
「そういうことじゃありませんっ!」
古鷹ちゃん、おこなの?でも、怒ってる古鷹ちゃんもかわいいなー、とか思いながら、めんどくさくなったので、古鷹ちゃんを横抱きにして海面を歩く。
「じゃ、出撃しまーす。今日は、新しい海域を取り戻したいと思います。皆んな頑張ろう!」
「あ!待て提督!護衛対象が護衛を横抱きにして先行する馬鹿がいるか?!!」
長門さんが他の子達を引き連れ、追いかけてくる。
……確か、報告によると、新しい海域には未確認の深海棲艦がいる、とのこと。極めて高い火力と装甲を持つ、とか。道中も、「エリート」と呼ばれる上位個体が出るらしい。故に、出撃の面子は、火力重視の長門さん、陸奥さん、金剛ちゃんと榛名ちゃん。そして一航戦の赤城さん、加賀さん。護衛には、古鷹ちゃんと加古ちゃんが着いてきた。ついでに、木曾ちゃんも何故か着いてきた。
さて、鬼が出るか蛇が出るか?……出来れば何も出ないでほしい。
「……なあ、提督?お前、どうやって海上に立っているんだ?」
「波紋だけど?」
教授のおじいさんに習った。健康になれるし、吸血鬼とかに強いし、皆んなにも推奨したい。
「そ、そうか、じゃあ、どうやって、艤装を展開した古鷹と加古を抱えていられるんだ?重くないのか?」
「え?女の子が重い訳ないじゃん?」
女の子に重いとか言っちゃ駄目でしょ?大体、波紋とかのブースト込みならこれくらい無いようなものよ。
「わ、分かった、もう良い。それじゃあ、その、船内に戻ってくれないか?」
「嫌だけど?」
メイン盾が退がってどうすんのよ?
「はぁ、頼む、提督。お前だって、流石に大砲は防げないだろ?」
「え?防げるよ?」
「いやいや、流石に無理だろ?」
「いけるって!見とけよ見とけよ〜!」
いや、本当に、防御力なら誰にも負けないからね、俺は。
「ほら、妖精さん、賄賂(おやつ)だ!さあ、敵のいるところへ!」
はい、はいはい、成る程、……ボスまで連れて行ってくれる?やったぜ。
「いやいや、そんなもんでどうにかなる訳……」
その時、艦載機で周囲を警戒していた一航戦の二人が叫ぶ。
「「敵影発見!」」
「…………な?」
「う、嘘だろ……?」
いや、正直俺も無理かなーって思ってたけど、何か出来ちゃった。妖精さんとは前から話せたけど、賄賂が通じるとは。
「む、あれは、軽巡ト級、エリート!三体だ!気を付けろ!って、提督!待て!ガンダッシュは止めろ!!」
「大丈夫大丈夫、昨日ひぐらし読んだから。今日の俺は口先の魔術師。多分説得できる」
いける!
「Hello?」
『『『ガァァァァァ!!!!』』』
「ぐわあぁぁぁぁ!!!!」
駄目でした!
「「「「提督ーーー!!!」」」」
「クッソ、何だあいつ!亡者とかと近い感じの奴だぞあれ!!話通じないじゃん!!聞いてない!!」
いきなり撃つのはマナー違反じゃん?
「て、提督!!無事か?!!」
「え?うん」
「馬鹿野郎!何故前に出た?!!」
「説得コマンド」
「出来るかそんなこと!!!」
「沈んだ敵も、できれば助けたいのです(笑)」
「はっ倒すぞ!!!」
いけると思ったんだけどなー。話が通じる相手なら、どうにか丸め込めば良いし。でもあれは、正真正銘の化けもんだわ。話が通じない。ただ、強烈な怨み以外、感情が無いみたいだ。
「んお?」
「提督、引っ込んでろ!!」
長門さんに後ろに投げられる。
が、空中で受け身をとり、空中ダッシュで投げられる前の位置に戻る。
「馬鹿、何で戻って、!!」
その時、目の前から砲弾が迫る。直撃コースだ。
長門さんは咄嗟に前に出て、俺の盾になろうとした。が、そんなことはさせない。メイン盾は俺だ。長門さんの肩を引っ張り、抱き寄せる。もう片方の手で、飛来する砲弾を受け流す。……成る程、それなりの威力だな、まともに当たったら結構痛いだろう。
「て、提督、何を」
「ほら長門さん!撃って!俺には攻撃手段がないんだ!!」
そう、俺には、数百メートル以上離れた敵に攻撃をする方法がない。弓も気功も、もちろん格闘も、どれも射程範囲外だ。逆に、俺が攻撃できる範囲まで近づくと、艦娘の皆んなはフレンドリーファイアを気にする必要が出てくるから、近づくべきじゃない。
「りょ、了解!主砲、斉射!!」
次だ、金剛ちゃんに砲弾が数発。全て「蹴り上げて」無効化する。驚く金剛ちゃんに砲撃を指示。
次、榛名ちゃんに雷撃。弾頭部分を手刀で「切り離して」無効化。榛名ちゃんにも砲撃を指示し、離脱。
最後、長門さんの砲撃が直撃し、砲を破壊された深海棲艦が、破れかぶれと言う様で突貫。馬鹿め、俺の間合いだ。竜狩りの大弓で迎撃。
一矢目、中央の頭部に命中。動きが止まる。
二矢目、頭部に突き刺さった大矢の筈に命中、一矢目の大矢を半分に割って、同じ場所に、より深く突き刺さる。
三矢目、駄目押しだ、先程と同じく二矢目の大矢の筈に命中させる。一矢目、二矢目によって穿たれた穴に正確に当たった三矢目の大矢は、深海棲艦の頭を貫き、後頭部から鏃が飛び出て、動きを完全に止めた。
「……これは、何と言う……!正直、予想以上だ、助かったよ、提督」
長門さんが驚いて、それでいてどこか嬉しそうに告げた。
「やりました」
褒められたっぽいのでドヤ顔を晒す。どう?俺のかっこいいところちゃんと見た?
「凄いです!かっこいいです!提督!!」
榛名ちゃん、素直に褒めてくれる。そう言うところ大好き。
「あの、あ、ありがとうございマス、提督!knightみたいで、素敵デース!!」
金剛ちゃん、俺の手を握り一言。最近はだんだんと俺に慣れてきてくれたと思っていたが、ここまでとは。ありがたいなぁ。
「て、提督!さ、先程の弓の業、御見逸れしました!素晴らしい腕前です!その、よろしければ、ご教授願いたいのですが!」
「わ、私も是非」
赤城さん、加賀さん。そう言えば、二人も弓を使ってるんだっけ。今度、弓道場でも作ってあげよう。
「あら、モテモテね?提督?」
茶化す陸奥さん。まあ、俺カッコイイし?モテモテなのは当然かな?
ドヤ顔を晒しまくっていると、うしろから腰を叩かれる。何?
「どしたの、木曾ちゃん?」
「どしたの、じゃないわ!護衛を放っておいて前に出るな!!」
「まあまあ、良いじゃないの、上手く行ったんだしさ」
妖精さんがボスまで案内してくれるとのことなので、このまま進めば大丈夫だな。
「はーい、取り敢えず編成変えるよー!金剛ちゃん、榛名ちゃん、陸奥さんは一旦抜けて、古鷹ちゃん、加古ちゃん、木曾ちゃんが入って!」
「ん?何故だ?」
長門さんが聞いてくる。俺は資料をめくりながら答えた。
「なんかね、この辺にぃ、戦艦と重巡、出るらしいんすよ。じゃけん雷撃できる面子入れましょうねー」
「まあ、そうだな、そんなところか。陸奥と金剛、榛名は待機だな」
「いや、船の中に休憩室あるから、そこで休めば?」
「……なあ、休憩室と調理場を作る時間があれば、あの船も武装できたんじゃないか?」
「……?」
「はぁ、もういい、もういいさ……」
まあ、そんな感じて、ローテーションを組みながらどんどん進撃する。途中から、どう見ても人間にしか見えない深海棲艦が出たので、全員大破させた後、服を全部剥いで逃してやった。女は殴らない主義でして。
「キ、キサマ!私ノ服ヲ!!ナ、何ヲスル?!!……アアッ!ヤ、ヤメテクレ!!ウウ、覚エテイロ!!」
「キ、キャアアアア!!ヤ、ヤメテ!ソ、ソコハッ!イ、イヤッ!オ尻ペンペンイヤァ!!ゴメンナサイ!モウ悪イ事シマセンカラァ!!!」
「て、提督!その、服を脱がせたいなら、榛名が!!榛名は大丈夫ですから!!!で、でも、お、お尻ぺんぺんは、その、優しくして下さい、ね?」
「あの、提督?提督には、重巡洋艦のいいところ、一杯知って欲しいんです……。だ、だから、その、深海棲艦だけじゃなくって、私達を見て欲しいなー、なんて……。その、て、提督にでしたら、私の、ぜ、全部を、お見せしちゃいますから……」
んんー?何故かお仕置きに反応する子達。えっと、まあ、うん。ノーコメントで。
「ふむ、大分奥まで来たな」
「提督、艦載機からの報告によれば、近くに敵影は発見できなかったそうです」
だろうね、ここら辺に敵の気配ないもん。
「うーん、俺も、ここら辺に敵が出ないのはなんとなく分かるな。……よし!皆んなは、二組に別れて補給と食事ね!」
「む、良いだろう」
そう言うと、艦娘は二組に分かれた。
「一組につき一時間、破損した武装を予備のパーツと付け替えてね。食事は、早めに済ませるようにサンドイッチとコンソメスープ、デザートは片手で食べられるスティックケーキだよ」
そう言って俺は船に戻る。どうやら、最初に休憩するのは陸奥さん、榛名ちゃん、加古ちゃん、加賀さん……、あ、全員、妹に先に休みなさいって言ったな?
×××××××××××××××
「その、提督?随分と沢山作りましたね?」
『旅人号』とぞんざいに書かれた輸送船の中は、とても綺麗に整備されていました。
ここ、休憩室の大きなテーブルには、沢山のサンドイッチと、コンソメスープ、スティックケーキが並んでいます。
「このサンドイッチ、右に行けば行くほど重めだから。後、スープは具材小さめで消化しやすくなってるからね。熱いから気を付けて。分かってると思うけど、動けなくなるほど食べないように、ね!」
確かに、見てみると、右の方は大きなクラブハウスサンドやカツサンドなどの重いもの、左の方はエッグマヨネーズなどの軽いものが多いみたい。
「はーい、じゃあ、後はセルフサービスとなっております。後よろしく!」
そう言い放つと、提督は、ブラウンブレッドのBLTサンドを取り、食べ始めました。……相変わらず、戦艦クラスの食欲です。
私は、指示された通り、適当に照り焼きチキンサンドをお皿に取り、コンソメスープを取ると、提督のいるテーブル席に座りました。
「えっと、提督、その、ご一緒しても?」
「いいよー。榛名ちゃん」
……今日の提督は素敵でした。雷撃から私を守ってくれて……、その、すごく、かっこよかったです。
そんな事を思いながら、食事をしました。なるべく急いで。
「……あ、これ、美味しいです!スープもあったかくて、暖まりますね!」
沢山の千切りのキャベツとタレ多めの照り焼きチキンに、マヨネーズをかけたものを、焼いた厚めの食パンで挟んだサンドイッチ。キャベツはシャキシャキで、タレとマヨネーズがパンに染み込んでいて美味しいし、お肉も柔らかい。
コンソメスープは、寒い冬の海を考慮してか、温度は熱め。優しい味がして、一口飲む度になんだか懐かしい気分になります。
「榛名ちゃんが喜んでくれて嬉しいよー!早起きして作った甲斐があったなー!!」
……提督は今日も笑顔です。最近は、鎮守府の皆んなも、段々と提督に慣れてきて、提督と仲良くなってきました。
最初の頃は、あれ程怖がっていた金剛お姉さまも、今日みたいに提督に声をかけたり、スキンシップしたりするようになりました。
……とっても、喜ばしいこと、なんです。……けど、何だか、胸が、痛くて。
……私は、皆んなに、嫉妬してしまっているんです。悪いことだって、分かってはいます。でも、大好きな提督が他の子と仲良くしているのを見ると、ずるいなって、そう思ってしまうんです。
「……榛名ちゃん?どうかした?悩み事かな?」
「はっ?!い、いえ、榛名は大丈夫です!」
あ、あれ?そんなに顔に出ていたんでしょうか?
「んー?ほんとぉ?」
「はい!榛名は大丈夫です!!」
提督に、ご迷惑はかけられません。
「……榛名ちゃん、別に、大丈夫じゃなくても良いのよ?無理しちゃ駄目だ」
「で、でも、我儘を言ったら、ご迷惑が……」
でも、私がしっかりしないと、皆んな困っちゃいます。嫉妬なんて、我儘なんて、しちゃ駄目です。
「榛名ちゃんが大丈夫じゃなくても、俺がどうにかするからさ、もっと肩の力抜きなよ。ほら、男は女の子の我儘を聞いてナンボだし、ね!俺、迷惑だなんて思わないからさ!」
……提督は、提督ならきっと、我儘な私も受け入れてくれる?私の、駄目なところも、許してくれる?
そ、それじゃあ、試しに、ちょっとだけ、ちょっとだけお願いしましょう。
「て、提督?その、あ、頭を、撫でてくれませんか?前、やったみたいに!」
長門、陸奥
艦隊の主力。
一航戦
艦隊の主力。
金剛、榛名
主力級。
古鷹、加古
主力級であり、戦闘慣れしている。
木曾
心配のあまり着いてきた。戦闘慣れしている。
旅人
射程範囲が短い。