「もぐもぐ……、美味しい!」
あははは、赤城は美人だなあ。
………………。
俺の記憶がおかしくなけりゃ、いつも何かしら食ってるよな。
………………。
食い過ぎ、じゃん?
「赤城、ちょっと来て」
「はーい?」
「おいで」
腕を広げて待つ。
「はいっ!」
赤城が胸にダイブ。
………………。
ふむ。
ふむ、ふむ。
「あっ、ちょっ、提督!駄目です!脇腹のお肉つまんじゃ駄目ですー!」
「赤城」
「ダイエット、しようか」
瞬間、赤城は一瞬にして絶望顔になる。
「い、嫌です!美味しいものを食べるのをやめたら死んじゃいます!」
「だって、これはさ、あのさ、ちょっと、如何なものかと」
もちもちっ!ふにふにっ!ふわふわっ!
「お、女の子はちょっとふくよかなくらいが一番可愛いんですよ!」
「それを女の子自身が言っちゃう?」
「夏までには痩せますから!」
「去年も聞いたよ、それ」
「……提督、どうかご勘弁を!」
「うん、駄目」
「いやあああああ!!!」
「……取り敢えず、食べるのやめて。ほら、これから出撃でしょ?ついて行ってあげるから、行くよ!」
「うう、はーい」
工廠製ヘリに揺られて空の旅。
戦闘海域まで真っしぐら。
特にトラブルが起こることもなく、着いた。
「ほら、赤城!敵艦接近!来るよ!」
「はい!ファンネル!!!」
赤城は、良い返事一つを返すと、艤装から、赤い円柱状のユニット……、ファンネルを射出した。
「そこっ!」
赤城の思考によって制御されるそれらは、宙空を不規則に浮遊し、黄色のレーザー光を照射した。
『『『『ーーーッ?!!!』』』』
その光は、迫り来る深海棲艦の身を貫き、どんどん屍の山を積み重ねていった。
でも。
これは。
「(赤城、動いてなくね?)」
はんはんははーん、成る程成る程成る程ねー?
通りで赤城が痩せない訳だ。
「分かった、もう良い、帰還するぞ」
「え?はい」
次、お稽古の時間。
「……これでっ!」
皆中。
おー、素晴らしい。
良い腕だな。
ミリ単位で着弾点を制御できるとなお良し。
「うーん、今日はこれくらいですかねー」
ここでも、俺は思った。
「(赤城、動いてなくね?)」
と。
「良し分かった、戻ろうか」
「はい!」
昼過ぎ以降の自由時間。
大抵の艦娘は午前中に出撃してノルマを達成し帰ってきて、その後は思い思いに過ごしている。
「おやつ、おやつ……♪」
「駄目です」
「うわーーーん!!!」
おやつを食べようとする赤城を阻止。
「むー、良いですもーん。こうなったら不貞寝です!……て、提督も一緒にお昼寝、しませんか?」
「良いよ」
「えへへ、やりました!」
可愛い。
可愛い、が。
「(赤城、動いてなくね?)」
と、俺は思った。
そんなことを考えながら、休憩室の畳の部屋で赤城と昼寝した。
結論。
「赤城」
「はい!」
「動くんだ」
「はい?」
「有酸素運動が足りないよ」
「有酸素運動……?」
そう、ダイエットと言ったら有酸素運動、有酸素運動と言ったらダイエット!
赤城のお腹周りについたその魅惑の駄肉、落とすためには走らなきゃ!
脂肪を燃焼させるには!
「まずは着替えようか。ジャージほい!」
「わっ、い、一瞬で服装がジャージに?!」
強制ストリップ真拳の応用だよ。
「それじゃあ走ろうか」
「えっ、走り込みですか?!」
走り込みだよそりゃ。
「い、今から?!」
「そうだよ(肯定)。行くよ、ほら、走って!」
「うう、分かりました……」
……夕焼け空をバックグラウンドに、走る俺と赤城。
「走れー、赤城走れー」
「はーいー」
「頑張れ、頑張れ」
「はーいー」
おお、良い調子だ。
もっと走れ、頑張って走れ。
しかし、十キロそこら走った頃……。
「も、もう無理です、限界です」
「後十キロ」
「無理ですぅーーー!!!」
「せめて五キロ」
「一歩も歩けませぇーん!!!」
「赤城!!!」
「無理なものは無理なんですぅー!」
十キロ程度でへばるか……。
「赤城、体力ないのな」
「えぇ?!十キロ走ったんですよ?!」
「君、軍人でしょ。十キロ程度で音を上げちゃいけないんじゃないかな」
俺が傭兵やってた頃の訓練はもっとキツかったゾ。
「いや、ほら、あれです……、私空母ですから!走れなくっても問題はないんですよ!」
「陸自のレンジャー部隊にでも預けようか?」
「それだけは……!それだけは……!」
レンジャー部隊、すっげえ厳しいからな。
「はぁ、もう良いよ。帰ろう。車出すから、乗って」
「うう、はい……」
「ダイエットと言ったら水泳だ、水泳」
「分かりました!一航戦赤城、泳ぎます!」
次の日、黒井鎮守府プールにて。
「……にしても、相変わらず黒井鎮守府の設備は充実してますね。並みのスパリゾートより凄いんじゃないですか?」
趣味が高じて温水プールまで作ったからな。
因みに、温泉もゲームセンターもテニスコートもボウリング場もあるぞ。
「そうそう。折角作ったんだから使ってよ」
「スポーツはそんなに好きじゃないです」
「ンモー」
水着に着替えてきた赤城の腹肉をつまむ。
「ああっ!駄目ですー!つまんじゃ駄目ですー!」
「何がつまんじゃ駄目だこら。身長と体重は?」
「身長は、165センチくらいで、体重は、その、えっと、ひ、秘密です❤︎」
腹肉をつまむ。
「ひゃあん!わ、分かりました!言います!言いますから!その、ですね、60、ごにょごにょ、キロです……」
「うん、10キロは落とそうか」
「無理ですぅー!!死んじゃいますぅー!!」
「じゃあせめて5キロ」
「でーきーまーせーんー!!!」
できない、と言うのは、嘘吐きの言葉なんですよ。
「赤城、良いか?太り過ぎると健康被害が大変だから言ってるんだぞ!赤城の!為を!思って!!!」
「わ、分かりましたよぅ」
「良し、じゃあ泳いでくれ。……あれ、泳げるよな?」
「あ、はい、それはもう。……そもそも、海上で戦う艦娘が泳げない訳ないでしょう。皆んな泳げますよー」
「よーし、じゃあ泳いで来てね。端から端までを百周」
「百周?!!」
ん?何だ?そのくらいならちょろいだろ?
「体力お化けの提督と一緒にしないでください!」
そうか?
俺の体力なんて精々、飲まず食わず寝ずで三日間戦闘行動を続けられるくらいのもんだ。
BF団の人達や、幻想郷の妖怪達と比べたらまだまだ貧弱、クソザコナメクジだ。
「さ、行ってらっしゃい、赤城」
「うう、分かりました……」
結局、五十周をしないうちに赤城はダウン、俺に抱えられて部屋へと戻った。
「赤城……」
「何も言わないでください……」
「………………」
「違うんですよ、これは……。そもそもダイエットすること自体が間違ってるんですよ……。提督はどんな私でも愛してくれます……」
「いや、あんまりにも太られたら俺もなー」
「うううううー!見捨てないでくださいー!」
「じゃあ、これからは定期的に運動するようにな」
「分かり、ました……」
項垂れる赤城。
……ん?
「流石に気分が高揚します」
「むしゃむしゃ、んー!美味しー!!」
「もぐもぐ」
加賀、蒼龍、飛龍。
「君達」
「「「はい?」」」
「ちょっとおいで」
両手を広げる。
「「「はい!」」」
胸に飛び込んでくる三人。
……うん、うん。
あー、はいはい。
「君らもダイエット、だね」
「「「?!!」」」
赤城
しげるではない。
空母
大体がむちむち。
旅人
結果にコミットさせようとした。