旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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サザビーではなくナイチンゲールです。


233話 ダイエットしろ、赤城

「もぐもぐ……、美味しい!」

 

あははは、赤城は美人だなあ。

 

………………。

 

俺の記憶がおかしくなけりゃ、いつも何かしら食ってるよな。

 

………………。

 

食い過ぎ、じゃん?

 

「赤城、ちょっと来て」

 

「はーい?」

 

「おいで」

 

腕を広げて待つ。

 

「はいっ!」

 

赤城が胸にダイブ。

 

………………。

 

ふむ。

 

ふむ、ふむ。

 

「あっ、ちょっ、提督!駄目です!脇腹のお肉つまんじゃ駄目ですー!」

 

「赤城」

 

 

 

「ダイエット、しようか」

 

 

 

瞬間、赤城は一瞬にして絶望顔になる。

 

「い、嫌です!美味しいものを食べるのをやめたら死んじゃいます!」

 

「だって、これはさ、あのさ、ちょっと、如何なものかと」

 

もちもちっ!ふにふにっ!ふわふわっ!

 

「お、女の子はちょっとふくよかなくらいが一番可愛いんですよ!」

 

「それを女の子自身が言っちゃう?」

 

「夏までには痩せますから!」

 

「去年も聞いたよ、それ」

 

「……提督、どうかご勘弁を!」

 

「うん、駄目」

 

「いやあああああ!!!」

 

 

 

「……取り敢えず、食べるのやめて。ほら、これから出撃でしょ?ついて行ってあげるから、行くよ!」

 

「うう、はーい」

 

工廠製ヘリに揺られて空の旅。

 

戦闘海域まで真っしぐら。

 

特にトラブルが起こることもなく、着いた。

 

「ほら、赤城!敵艦接近!来るよ!」

 

「はい!ファンネル!!!」

 

赤城は、良い返事一つを返すと、艤装から、赤い円柱状のユニット……、ファンネルを射出した。

 

「そこっ!」

 

赤城の思考によって制御されるそれらは、宙空を不規則に浮遊し、黄色のレーザー光を照射した。

 

『『『『ーーーッ?!!!』』』』

 

その光は、迫り来る深海棲艦の身を貫き、どんどん屍の山を積み重ねていった。

 

でも。

 

これは。

 

「(赤城、動いてなくね?)」

 

はんはんははーん、成る程成る程成る程ねー?

 

通りで赤城が痩せない訳だ。

 

「分かった、もう良い、帰還するぞ」

 

「え?はい」

 

 

 

次、お稽古の時間。

 

「……これでっ!」

 

皆中。

 

おー、素晴らしい。

 

良い腕だな。

 

ミリ単位で着弾点を制御できるとなお良し。

 

「うーん、今日はこれくらいですかねー」

 

ここでも、俺は思った。

 

「(赤城、動いてなくね?)」

 

と。

 

「良し分かった、戻ろうか」

 

「はい!」

 

 

 

昼過ぎ以降の自由時間。

 

大抵の艦娘は午前中に出撃してノルマを達成し帰ってきて、その後は思い思いに過ごしている。

 

「おやつ、おやつ……♪」

 

「駄目です」

 

「うわーーーん!!!」

 

おやつを食べようとする赤城を阻止。

 

「むー、良いですもーん。こうなったら不貞寝です!……て、提督も一緒にお昼寝、しませんか?」

 

「良いよ」

 

「えへへ、やりました!」

 

可愛い。

 

可愛い、が。

 

「(赤城、動いてなくね?)」

 

と、俺は思った。

 

そんなことを考えながら、休憩室の畳の部屋で赤城と昼寝した。

 

 

 

結論。

 

「赤城」

 

「はい!」

 

「動くんだ」

 

「はい?」

 

「有酸素運動が足りないよ」

 

「有酸素運動……?」

 

そう、ダイエットと言ったら有酸素運動、有酸素運動と言ったらダイエット!

 

赤城のお腹周りについたその魅惑の駄肉、落とすためには走らなきゃ!

 

脂肪を燃焼させるには!

 

「まずは着替えようか。ジャージほい!」

 

「わっ、い、一瞬で服装がジャージに?!」

 

強制ストリップ真拳の応用だよ。

 

「それじゃあ走ろうか」

 

「えっ、走り込みですか?!」

 

走り込みだよそりゃ。

 

「い、今から?!」

 

「そうだよ(肯定)。行くよ、ほら、走って!」

 

「うう、分かりました……」

 

……夕焼け空をバックグラウンドに、走る俺と赤城。

 

「走れー、赤城走れー」

 

「はーいー」

 

「頑張れ、頑張れ」

 

「はーいー」

 

おお、良い調子だ。

 

もっと走れ、頑張って走れ。

 

しかし、十キロそこら走った頃……。

 

「も、もう無理です、限界です」

 

「後十キロ」

 

「無理ですぅーーー!!!」

 

「せめて五キロ」

 

「一歩も歩けませぇーん!!!」

 

「赤城!!!」

 

「無理なものは無理なんですぅー!」

 

十キロ程度でへばるか……。

 

「赤城、体力ないのな」

 

「えぇ?!十キロ走ったんですよ?!」

 

「君、軍人でしょ。十キロ程度で音を上げちゃいけないんじゃないかな」

 

俺が傭兵やってた頃の訓練はもっとキツかったゾ。

 

「いや、ほら、あれです……、私空母ですから!走れなくっても問題はないんですよ!」

 

「陸自のレンジャー部隊にでも預けようか?」

 

「それだけは……!それだけは……!」

 

レンジャー部隊、すっげえ厳しいからな。

 

「はぁ、もう良いよ。帰ろう。車出すから、乗って」

 

「うう、はい……」

 

 

 

「ダイエットと言ったら水泳だ、水泳」

 

「分かりました!一航戦赤城、泳ぎます!」

 

次の日、黒井鎮守府プールにて。

 

「……にしても、相変わらず黒井鎮守府の設備は充実してますね。並みのスパリゾートより凄いんじゃないですか?」

 

趣味が高じて温水プールまで作ったからな。

 

因みに、温泉もゲームセンターもテニスコートもボウリング場もあるぞ。

 

「そうそう。折角作ったんだから使ってよ」

 

「スポーツはそんなに好きじゃないです」

 

「ンモー」

 

水着に着替えてきた赤城の腹肉をつまむ。

 

「ああっ!駄目ですー!つまんじゃ駄目ですー!」

 

「何がつまんじゃ駄目だこら。身長と体重は?」

 

「身長は、165センチくらいで、体重は、その、えっと、ひ、秘密です❤︎」

 

腹肉をつまむ。

 

「ひゃあん!わ、分かりました!言います!言いますから!その、ですね、60、ごにょごにょ、キロです……」

 

「うん、10キロは落とそうか」

 

「無理ですぅー!!死んじゃいますぅー!!」

 

「じゃあせめて5キロ」

 

「でーきーまーせーんー!!!」

 

できない、と言うのは、嘘吐きの言葉なんですよ。

 

「赤城、良いか?太り過ぎると健康被害が大変だから言ってるんだぞ!赤城の!為を!思って!!!」

 

「わ、分かりましたよぅ」

 

「良し、じゃあ泳いでくれ。……あれ、泳げるよな?」

 

「あ、はい、それはもう。……そもそも、海上で戦う艦娘が泳げない訳ないでしょう。皆んな泳げますよー」

 

「よーし、じゃあ泳いで来てね。端から端までを百周」

 

「百周?!!」

 

ん?何だ?そのくらいならちょろいだろ?

 

「体力お化けの提督と一緒にしないでください!」

 

そうか?

 

俺の体力なんて精々、飲まず食わず寝ずで三日間戦闘行動を続けられるくらいのもんだ。

 

BF団の人達や、幻想郷の妖怪達と比べたらまだまだ貧弱、クソザコナメクジだ。

 

「さ、行ってらっしゃい、赤城」

 

「うう、分かりました……」

 

 

 

結局、五十周をしないうちに赤城はダウン、俺に抱えられて部屋へと戻った。

 

「赤城……」

 

「何も言わないでください……」

 

「………………」

 

「違うんですよ、これは……。そもそもダイエットすること自体が間違ってるんですよ……。提督はどんな私でも愛してくれます……」

 

「いや、あんまりにも太られたら俺もなー」

 

「うううううー!見捨てないでくださいー!」

 

「じゃあ、これからは定期的に運動するようにな」

 

「分かり、ました……」

 

項垂れる赤城。

 

……ん?

 

「流石に気分が高揚します」

 

「むしゃむしゃ、んー!美味しー!!」

 

「もぐもぐ」

 

加賀、蒼龍、飛龍。

 

「君達」

 

「「「はい?」」」

 

「ちょっとおいで」

 

両手を広げる。

 

「「「はい!」」」

 

胸に飛び込んでくる三人。

 

……うん、うん。

 

あー、はいはい。

 

「君らもダイエット、だね」

 

「「「?!!」」」

 




赤城
しげるではない。

空母
大体がむちむち。

旅人
結果にコミットさせようとした。
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