旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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キャンプとか遠い昔の記憶ですね。

つーか最近は書き溜めが思ったより溜まっててヤバイ。

書き溜めが溜まると別のss書いちゃう。

と言う訳でelonaの、ノースティリスのあいつが主人公のゼロ魔クロスものを書きました。

見てねー。


244話 ガチキャン

「キャンプがしたい」

 

ガッチガチのインドア派の望月が何か言ってる。

 

「ゆるキャン見たな?」

 

「何故バレたし」

 

お見通しよォ……。

 

 

 

しかし、艦娘の希望要望は基本的に叶える俺。

 

睦月型を連れて裏山にやってきた。

 

「トイレはあそこだからな。さあ、テント張るか」

 

「待ってよ司令官、何で裏山にトイレがあるの?」

 

「ゆるキャン放送当初から、キャンプに行きたいとか言い出す艦娘がいるだろうなー、と思って、あらかじめトイレを作っておいた」

 

そうでなくても、裏山は広い。目ぼしいところにトイレを設置するのは当たり前だろう。

 

「用意が良いなぁ……。テントね、どうするの?大っきいの一つ張る?それとも小さいのいくつか張る?」

 

どうするかな。

 

「俺を入れて十人だろ?三、四人用のテントを三つで良いんじゃない?テントじゃなくて家を建てるって手もあるが」

 

「家?どうやって?」

 

「森のほったて小屋の権利書」

 

「権利書がどうしたの?」

 

「使うと家が建つ」

 

ノースティリス産のアイテムだ。

 

「またとんでもアイテムを……。テントで良いよ」

 

俺もこれ、原理は分かってないんだけどもね。使うと家が建つのだ。

 

「それより、テントだと、誰が司令官と一緒に寝るかで戦いが起きるね」

 

「じゃんけんで決めなさい」

 

さて、テント張るか。

 

「手伝います」

 

「ありがとな、ミカ」

 

「あー!あたしもやってみたいー!」

 

文月もやるのか。

 

「私も、手伝う……」

 

弥生も手伝ってくれるか。

 

「僕もー」

 

皐月もか。

 

「じゃあやるぞ。ワンポールテントはコツがいるからな、マニュアルはあるけど、分からないところは聞けよ」

 

「「「「はい!」」」」

 

「……望月はやらねえの?」

 

「あたしはほら、雰囲気を味わいたいだけだし。実際やれって言われるとだるい」

 

最高にインドア派らしい答え。好き。

 

 

 

「さて、キャンプも張ったことだし、アウトドアっぽいことやるか」

 

「待って」

 

何?

 

「何それ」

 

「これ?ハンターボウ」

 

「弓なんか持ち出してどうするの?」

 

「鹿でも狩って来ようかなって」

 

この人数と俺の食欲なら一頭分食い切れるだろうし。

 

「いや、ゆるキャンだから!司令官のそれはガチキャンじゃん!」

 

「いや、俺がガチならもっとアレだぞ。生き残るために生の獣肉や虫、爬虫類などを喰らい、生き血や朝露から水分を得て、雨風でテントの張れない中、泥にぬかるむ大地で眠るぞ」

 

「ヒェッ……。何それは、ベアさんか何か?」

 

ガチのサバイバル……、若い頃はそんな感じだった。いやあ、あの頃はなー。

 

まだ毒耐性も甘く錬金術も使えなかった頃は、得体の知れないものを口にしてゲロ吐いてのたうち回る羽目になったり、雨風の中、病気になりつつも必死に身体を休めたり。何度死にかけたか覚えていない。

 

でも、楽しかった。そのどれもが良い経験だった。

 

まあ、今では、錬金術で、その辺の石ころをふかふかのパンにできるし、四次元ポケットには沢山の食材がストックされているし、そもそも転移で安全なところに戻れるんだけど。

 

何だか、経験を積んでいくにつれて張り合いが無くなっちまったなあ。今じゃサバイバル程度じゃ間違っても死なない身体と技能を持っているからな。

 

ちょっとだけ、つまらなく感じる。

 

「兎に角、何かしら獣を狩ろう。熊か?猪か?食べたいのは何だ?」

 

「ってか、いるの?裏山に」

 

いるよー、放し飼いってか、放流ってか。

 

「いるよ」

 

「いるとして、狩って良いの?」

 

「首輪付きから許可は得ている」

 

裏山ちほーの管理人(?)である首輪付きには、好きに狩って良いよ、生態系を崩さない範囲でね、と伝えられている。

 

「ううん、まあ、良いけど。私は行かないよ、狩りとかやったことないし」

 

望月が言う。

 

「私もちょっと……」

 

如月もやんわり拒否する。

 

「うーちゃんも嫌ぴょん」

 

卯月も拒否。

 

「私は行きます」

 

ミカァ!!

 

「じゃあ、三日月と狩りしてくるから、ゆっくりしていてくれ」

 

「「「「はーい」」」」

 

 

 

「くんくん、こっちから獲物の匂いがする」

 

「分かるんですか?」

 

うん?俺、並の猟犬くらいには鼻が利くんだよ。

 

「……いた」

 

「鹿ですね」

 

ハンターボウに矢をつがえる。

 

……いつもはもっと良い弓使ってるが、この世界の生き物はあっちの世界のそれと比べて些か脆い。矢が刺さった瞬間風穴が開いて吹っ飛ばれたりしたら困るから、あえて威力の弱いハンターボウを使う訳だ。

 

「シィッ!」

 

矢を、放つ。

 

『ーーーッ?!!』

 

鹿の頭に突き刺さった矢は、鹿の脳を破壊して、殺した。

 

「よし、仕留めた」

 

「お見事です」

 

持って帰るか。

 

「ところで、司令官は動物と話せるとか」

 

「ああ、そうだね」

 

「……鹿とも話せるんですか」

 

「うん」

 

「話せる相手を狩るのですか」

 

「弱肉強食だから」

 

しゃーない。

 

俺にできることは、死にゆく者達に感謝の念を捧げることだけなんだよなぁ。

 

 

 

「ただいまー」

 

「「「「お帰りなさい!」」」」

 

帰ってくると、思い思いに寛いでいる睦月型に出迎えられる。

 

折りたたみ椅子に座ってファッション雑誌を読む如月に、ソシャゲの周回をする望月。武器を磨く菊月。

 

「睦月と卯月は?」

 

「探検に行くって言って、川に沿って歩って行ったわ」

 

そう。

 

まあ、万一迷っても、俺の追跡<80>がある。それに、匂いなどで追跡することも可能だ。問題はない。

 

「昼からは釣りなー。今の時期は虹鱒が美味い」

 

「りょーかいでーす」

 

「はーい」

 

さーて、早速解体するか。

 

まずは血を抜いて、冷やして、皮を剥いで、と。

 

「うっわ、グロっ」

 

スマホ片手に望月が現れる。

 

「どうした望月」

 

「んー、怖いもの見たさ?」

 

成る程な。

 

「さ、どんどん行こう。次は腹を切って……」

 

「うわわ、これ何、司令官」

 

「それは肺だな、そっちが心臓。心臓と肝臓は美味いぞ、食うか?」

 

舌もいけるぞ。

 

「うーん、どうせなら挑戦してみようかな」

 

「じゃあ後で焼いてやるからな」

 

解体解体と。慣れたもんよ。今じゃナイフ一本で兎からドラゴンまで解体できる。

 

「ツイッターに上げて良い?」

 

「良いよー」

 

「『ガチキャンなう』っと」

 

でも、動物愛護がどうこうって人には気をつけろよー。

 

 

 

「さあ、昼飯だ」

 

「「「「わーい!」」」」

 

メニューは鹿肉のバーベキュー。

 

「鹿肉はな、強火で熱すると固くなるからな、弱火でじっくりと熱するんだよ」

 

「成る程ー」

 

「ファイア」

 

「……魔法で火ぃ点けるのやめてくんない?一気にキャンプがファンタジーに」

 

ん?ああいや、めんどくさかったから。

 

ごめんね、空気読まないで。

 

「そろそろ焼けるぞー、食え食え」

 

「うん……、美味しい!」

 

小さな口を懸命に動かす睦月型の諸君。

 

「美味っ」

 

「ジビエは美容にも良いって聞いたわ」

 

「美味しい……」

 

満足してくれたか。

 

「っはー、キャンプ最高かよー。こんな美味いもの食べれて、その上空気がいいところでゴロゴロできるなんて!まあ、あたし何にもやってないけど!!」

 

と、望月。

 

「望月は何もしなくて良いんだよ、俺に任せろ」

 

「あぁ^〜、駄目になるぅ〜」

 

「司令官、望月ちゃんをあんまり甘やかしちゃ駄目だよぉ!」

 

そうか睦月お姉さん。

 

「あー駄目ー、もー駄目ー、ただのニートになるー」

 

「もー!」

 

ぷんすか怒る睦月。

 

「ところで睦月」

 

「んー?なあに、司令官」

 

「にゃしい、とか言わないの?」

 

「そこに触れちゃ駄目」

 

 

 

そうか、触れてはならないのか。

 

「そろそろ釣りにイクゾー」

 

「「「「はーい!」」」」

 

虹鱒はこの季節が美味いんだよ。

 

「はい、釣竿」

 

「……司令官、釣竿を何本も持ち歩いていることになる訳だが、冷静に考えればおかしくないか?」

 

「そう?俺もアイテム欄整理とかあんまりしないから」

 

懐に入ってるものを全部合計すると何トンになることやら。少なくとも乗り物が入っている時点で何十何百トンだなー。

 

「さて、釣ろうか」

 

「何気に初めてだ、釣りとか」

 

ああ、そう?

 

「まあ、最悪釣れなくても良いよ」

 

「何で?」

 

「俺が釣るから」

 

その気になれば釣れますとも。

 

「あと、望月がリクエストしたスープパスタも作るし」

 

「ふーん、おかずには困らないってことね」

 

そーいうこと。

 

「さて、と」

 

釣り糸を垂らす。

 

じっと、待つ。

 

釣竿を立てかけておく。

 

ジュースを飲む。

 

「司令官、何を飲んでいるんだ?」

 

菊月に問われる。

 

「ん?ジュースだよ、飲むかい?」

 

「いただこう。………………酒ではないかー!ストロングゼロではないかー!!」

 

「ストロングゼロなんてジュースみたいなもんだろ」

 

「……司令官がそう思うならそうなんだろうな、司令官の中ではな」

 

「ってか引いてるぞ、菊月」

 

「む、おお!ええい!」

 

おー、釣れた釣れた。

 

 

 

はい、内臓を取って、串を刺して、と。

 

「火は、ああ、魔法使うと雰囲気がアレなんだっけ?じゃあ普通にマッチ使うわ」

 

マッチは手前に擦る派だ。

 

「種火をー」

 

薪に燃え移った火種は、段々と大きくなり、燃え上がった。

 

「焚き火、凄い」

 

弥生が若干目を輝かせる。

 

「弥生もやってみたいか?」

 

「良いの?」

 

うん、もう一箇所で焚き火するから。

 

「マッチ使うの初めて……。あっ、火がついた!」

 

「よしよし、それじゃこっちに火を……」

 

と、焚き火を二つ設置したところで。

 

「じゃあ虹鱒は焚き火の近くに置いて焼くとするか。こっちではスープパスタ作るぞー」

 

「おお!ゆるキャンのアレだ!パスタ折って外人兄貴達がカンカンに怒るやつだ!」

 

テンションが上がる望月。

 

「まあ、大鍋で作るからパスタ折ったりはしないんだけどね」

 

「ええー、折角だから折ってよー」

 

まあ、良いけどさ。

 

 

 

と言う訳でパスタを折ったりしつつ、焼けた虹鱒を食らい、時刻は夜へ。

 

「司令官マシュマロ焼きたいマシュマロ」

 

「良いよー、ほら焼けー」

 

「わーい!」

 

夜行性のフレンズである望月は、夜になるにつれてテンションが上がっていくのだ。

 

「司令官それ、何やってるの?」

 

皐月に問われる。

 

「ココアにラム酒入れてる」

 

「へぇ、美味しいの?」

 

「スンゲェ美味い」

 

「じゃあ一口ちょーだい」

 

「良いよ、ほら」

 

「あら、私を差し置いてイチャイチャしちゃ駄目よー」

 

「うーちゃんもー!」

 

と、イチャイチャ展開もあり。

 

「さて、後は寝るかー」

 

「誰が司令官と一緒のテントで寝るか……」

 

「真剣勝負!」

 

「「「「じゃーんけーん!」」」」

 

ぽん、ってか。

 

 

 

で、一緒になったのは三日月と望月で。

 

「司令官、寝袋使わないの?」

 

「んー、そんな寒くねえし」

 

基本、猛吹雪や雪の中でもない限り、寝袋は使わない。夜はまだ冷える?知らないな。

 

「じゃあ腕枕してー」

 

「あいよー、三日月もするか?」

 

「良いんですか?」

 

「良いとも」

 

「では、私も……」

 

と、二人に腕枕して。

 

「さあて、寝るか」

 

「ええ」

 

「んー、私、いつもこの時間帯はFPSの時間だから、眠くないなー。司令官、なんか眠くなるような話して」

 

んー?

 

「啓蒙主義とは、理性による思考の普遍性と不変性を主張する思想で……」

 

「あっ、凄い眠くなってきた」

 

そうか、真面目な話は苦手か。

 

……ちゃんと聞けば面白い話なんだけどなぁ。

 

 

 

「朝だぞー」

 

「んん、後三時間……」

 

「望月起きろ」

 

「んん、ふぁぁ……。今何時?」

 

「七時」

 

「んえぇ?……普段は午後まで寝てるけど、昨日は早く寝たし……、まいっか、起きよう」

 

望月は普段、就活が終わった大学生並にだらだらしている。

 

基本的に起きるのは午後、皆んながお昼ご飯を食べる頃にのそのそと起きる。

 

健康に問題があるんじゃないかと心配しているが、この前の健康診断ではなんとオールグリーン。何の問題も無かった。

 

まあほら、俺も大概自堕落な生活してるし、人のこと言えないよね。

 

「ほい、朝ごはん」

 

「んー、朝ごはんかー、食べられるかなー」

 

「あれ、朝は食べない派?」

 

「いや、お腹減った時に何か食べるって感じだから……。うー、でも、皆んな食べてるとあたしも食べたくなってきたかも」

 

「じゃあ、はい」

 

ポトフだ。

 

「ポトフ?良いね、これなら軽いし、食べれるわ」

 

ポトフは良いぞー、肉と野菜とコンソメさえあればできるからな。

 

俺も旅の途中の飯はポトフとかシチューとかだった。

 

「うっわ、ウマー」

 

しかも、今回は、肉も野菜もちゃんとしたものを使っている。

 

怪しげな街の闇市の肉とかじゃない、ちゃんと俺が作ったベーコンだ。

 

「朝はまだ冷えるから、あったかいポトフは染みるねえ」

 

「美味しー」

 

「美味しいです」

 

「お野菜が甘くって……」

 

「厚切りベーコン美味しい!」

 

大絶賛である。

 

 

 

「じゃ、そろそろ帰るかー」

 

「「「「はーい」」」」

 

さて、テントを畳んで、と。

 

「意外と楽しかったわー」

 

「だろー?アウトドアも良いだろー?」

 

「自分でやるのはごめんだけどね」

 

もー。

 

「私は楽しかったです」

 

と、三日月。

 

「そっか、また皆んなで行こうなー」

 

「はい」

 

まあ、これにて。

 

「ザ・エンドってね」

 

キャンプ、終了だ。

 




睦月型
ゆるいキャンプを楽しんだ。

旅人
ガチキャンプの達人。
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