旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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最近のじゃおじなるものを見たんだけど中々面白かった。


248話 旅人しゃちょー

「大物ユーチューバーになりたい」

 

まーた変な事言いだしたぞ漣。

 

「今度は何事だ」

 

「なんとかしゃちょーとか、なんとかキンみたいな、大物ユーチューバーになりたいのです!」

 

「オフ会0人」

 

「そっちじゃない」

 

そうか。

 

「兎に角、スーパーイケメンであるご主人様と、スーパー美少女のこの漣が力を合わせれば!再生数なんてちょちょいのちょいだぜぇ!!」

 

そうかな、そんなに甘い世界じゃないと思うけど。

 

ユーチューバーと言うのは、何かと隔意を持たれがちだが、俺は普通に職業の一種だと思う。

 

そんな人達のトップ層が、数百万再生される動画を量産する中、ただのどこにでもいる普通のイケメンである俺が面白いことできるかってのは、微妙なところだ。

 

「目指せ!一千万再生!!!」

 

いやー、キツイっす。

 

 

 

「と、言う訳でご主人様。なんかやって」

 

なんか、とは。

 

早速カメラを向けて来る漣。

 

んー。

 

とりあえず六人くらいに分身して、と。

 

「The warden threw〜♪」

 

楽器を演奏しながら歌ってみた。

 

「スゲーーー!!!けどどうやってんのそれ?!!」

 

「いや普通に分身して」

 

「普通の分身とは」

 

分身は分身だよ。やろうと思えばできるだろ。

 

「ってか何の曲?聞いたことないんだけど」

 

「プレスリーだ」

 

「えー、古いー。もっと新しいのにしなきゃ流行んないよー」

 

「分かった」

 

駄目か、プレスリー。

 

「鮮やかなー色ー♪」

 

「あっ、知ってるそれ!今人気のアイドル!トライアドプリムスでしょ!」

 

「正解」

 

「声も渋谷凛だし……、これは凄い!再生数伸びるぞー!」

 

「いや、それは無理だろう」

 

「へ?何で?」

 

「俺のは所詮、猿真似に過ぎない。本家大元には敵わないんだ」

 

俺は基本的に、誰かの劣化コピーでしかない。

 

「それでもネタにはなるし。とりあえずこの映像、アップしよう!」

 

まあ、勝手にすると良い。

 

 

 

「まだ足りないなー。そうだ、料理してよ!なんかこう、美味しい料理作ってみて!」

 

「分かった」

 

「あっ、そうだ!あらかじめ言っておくけど、料理スキルで一瞬で出来ましたってのは無しね!動画映えしないし!速度遅めでオナシャス!」

 

む、技を魅せろと。

 

「ではまずこのアプノトスミート」

 

「何の肉ゥ?!」

 

「アプノトス」

 

「だからアプノトスって何?!」

 

写真を見せる俺。

 

「恐竜では?」

 

「美味しいよ?」

 

こんがり肉にすると最高だぞ。

 

「この世界にある食材で!」

 

えー?美味しいのに。

 

「じゃあ逆に聞くけど、何が食べたい?」

 

「え?うーん、ユーチューブ映えする料理……、個人的にはお肉が良いかなー」

 

「では子羊のロティを」

 

「解説よろ」

 

「ポイヤック産の子羊のローストをポイヤック産のワインと頂く。復活祭の時期だしな」

 

「成る程分からん!私もう、ポプテピクッキングのあれみたいに隣でわぁ〜!って言うだけの役やるから、後はご主人様に任せちゃうね」

 

「任せろ。あ、丁度いい時間だし、昼飯も作っていい?」

 

「もちろんOKだけど。今日の昼ご飯はおフランスな感じですかー」

 

「ああ」

 

さて、厨房に着いたな。

 

厨房組に今日のメニューを通達してと。

 

あ、漣、厨房にいるなら手を洗いなよー。『石ケン』で手を洗いなサイッ!!ってな。

 

……さあ、やるか。

 

「さて、油とバターを……」「並行してパン焼こう。発酵は済ませてある」「コンカッセ、つまり粗みじん切りだね」「スープどうすっかな」「コンソメは用意してある、と」「酒飲まない子にはブドウジュースで良いか」

 

並列思考、分身、思考加速……!!

 

「だから分身はやめてってば……。はぁ、まあ良いや。ご主人様ー、メインディッシュが子羊のローストなんだよねー」

 

「うん?まあ、そうだな。メインディッシュってか肉料理は子羊のローストだな。他にも色々作るぞ。俺の腕、見とけよー見とけよー」

 

まあ、自慢するほどじゃないが。精々ギリ一流って程度だ。超一流には敵わんよ。

 

「……まあ、気合い入れてコース料理作ったとしても、マナーを守ってしっかり食べれる艦娘なんてそうそういないしな」

 

リシュリューやテスト、アークロイヤルにウォースパイト辺りなら、しっかりとコース料理を作ってもちゃんと礼儀正しく食べるだろう。

 

しかし、他の艦娘はどうだろうか。

 

日本の艦娘の皆んなは大抵、ナイフとフォークが使い慣れないようだし。

 

一部の艦娘……、長門や赤城なんかは、銀シャリが無いと気が済まないらしく、例えフランス料理を作ったとしても全力で米を食う。

 

今回のこの、子羊の背肉のロティなんて、手掴みでバクバク食べるであろうことは予想に難くない。

 

「でも、ご主人様はマナーとかあんまり指摘しないよね」

 

「食事で一番のマナーは、他人を不快にしないこともそうだが、美味しく食べることだ。あまりにも酷くない限りはノータッチかね」

 

「あ、そうなの」

 

さて、ここいらで肉をローストしてと。

 

サラダは完成。シーザーサラダだ。

 

スープもそろそろか。

 

「後は焼くだけ?うーん、動画映えしないなー。あ、そうだ、インタビューターイム!えっとね、料理のコツは?」

 

「アレンジすることだね」

 

きっぱり。

 

「え?アレンジってしちゃ駄目なんじゃないの?レシピ通りに作るものじゃ」

 

「いや、料理ってもんは塩の振り方一つで味が変わるんだよ。食材一つ一つの癖を把握して、食べる人のことを考えて適切なアレンジを加える、それが料理の腕だ」

 

レシピに書かれていないところこそが、料理人の腕の見せ所なのだ。

 

「ははあ、色々と考えていらっしゃるので」

 

「勿論さ。俺は常に君達のことを考えてるよ」

 

「聞きましたか皆さん!これぞイケメン!イケメンですぞー!!」

 

顔を赤らめながら、カメラに向かって手を振る漣。

 

と、いくつか話をしているうちに。

 

「そろそろか」

 

さて、ローストした肉を休ませてと。

 

「ソース、ソース」

 

パッセしてと。

 

「煮詰めまーす」

 

「うーむ、手間ですなあ。私にはとてもできない」

 

「そうでもないさ」

 

慣れればね。

 

「さて、ソースの味見よろしく」

 

厨房組に味見してもらい、合格をもらう。

 

「はい漣も」

 

「私味見なんかしても分からないんだけど……。あっ、ウマー」

 

「良し、と」

 

「こーんな美味しいもののレシピ、ユーチューブに公開して良いのかな」

 

「大丈夫だ、素人には真似できないし、玄人には敵わないから」

 

「何?謙遜ですかぁ〜?私は知ってるんだよ、ご主人様が昔、一流ホテルで働いていたこと!」

 

「昔の話さ」

 

「くぅー、カッケー!昔の話さ、とか、そー言うキザな台詞言ってみたいぜー!!!」

 

キザな態度をとったつもりはないが、カッコよく見えてしまうのは仕方ない。だって俺カッコいいもの。

 

さあ、飯の時間だ、食ってきな漣。

 

 

 

×××××××××××××××

 

「ウマー!え、良いのこんな美味しいもの食べて?!後で怒られたりしない?!」

 

うう、本格フランス料理をタダで食べ放題……。他所のお店で食べたら幾らするやら。

 

「はっ、いけないいけない、食レポしなきゃ……。もぐっ、ウ、ウマー!!」

 

語彙力が低下するっ!!!

 

美味すぎる!!!

 

鳳翔さんの和食も美味しいけど、ご主人様の本格洋風も最高!!!

 

あー、私もメイドらしく、料理の一つでも作れるようになるかと思ったけど、これ無理だわー。

 

どうやってもご主人様を超えられないもの。

 

「もう食べ終わっちゃった。……お代わりしよ」

 

次は〜、えーと、これだ、メニュー5番の真鯛のポワレ。あとパン。パン美味しいふんわり焼きたて。

 

「ご主人様!5番とパン頂戴!!」

 

「パン何?種類いくつかあるけど」

 

「んー、クロワッサン!!」

 

ご主人様のクロワッサンはサクサクでふんわり甘くて美味しい。バターをつけて一口食べれば天国行き待った無し。

 

「へいお待ち」

 

あ、その辺はフレンチじゃないのね。

 

「あと漣、フランス料理のことフレンチって言わないようにな。ちょっとばかし下品だ」

 

そうなの?

 

まあ、意味は分からないけど、言わない方が良いなら言わないでおこう。

 

さてさて、お味はー?

 

「んー!ウマー!!」

 

美味いっ!!!

 

クロワッサンもさっくさく!甘い!

 

「………………」

 

あれ?コマンダン・テストさんが、微妙な目でこっちを見てる。

 

食べ終わった後に話しかけてみた。

 

「どしたのテストさん」

 

「サザナミ、あのね。パンはちぎって食べるのよ」

 

んー?

 

「齧るのはマナー違反だわ。一口分だけちぎって、バターをつけて食べるの」

 

「クロワッサンも?」

 

「クロワッサンもよ」

 

ふーん。表面サクサクだし、崩れちゃわない?

 

「まあ、でも……」

 

「がつがつ」

 

「お代わり!!」

 

「がりっ、もぐもぐ」

 

物理法則の限界まで盛られたご飯をかき込む長門さん。

 

おひつのしゃもじでご飯をかき込む赤城さん。

 

子羊の背肉の骨ごと食べる武蔵さん。

 

「戦艦や空母よりはマシね」

 

遠い目をするテストさん。

 

「でも、ご主人様も沢山食べるけど」

 

「あの人は、沢山食べるけど、テーブルマナーはしっかりしてるのよ。そう言うところも素敵だわ」

 

成る程。流石は私のご主人様。隙がない。

 

 

 

「いや、そーでもねーぞ?」

 

「あれ?」

 

「鎮守府では、女の子に見られるから、テーブルマナーをしっかりと守ってるだけで、基本的にはがつがつ食うよ俺は」

 

あ、そうなんだ。

 

「正直、せせこましく高い料理を食うよりも、そこらの山で獲ってきた獲物を丸焼きにして、酒飲みながら肉を喰らう方が好きだね」

 

「獲物て」

 

「あっ、これはオフレコで」

 

まあ、うん。

 

「なんか再生数が伸びるようなことやってよ」

 

「んー、パルクールでもするか」

 

と、鎮守府外部を走り回って、と。

 

「お菓子作り」

 

神業の飴細工。

 

「芸術」

 

綺麗なギリシャ感溢れる彫刻。

 

「んー、いまいちパンチが弱い!」

 

「じゃあ俺が狐耳に……」

 

「バーチャルで隠さなくて良いレベルのイケメンじゃん」

 

私も元から美少女だし。

 

「そうだ、ゲーム実況しよう!」

 

「太平洋の嵐……」

 

「駄目、クソゲーでしょそれ。デモハンやります」

 

デーモンハンター。デーモンを倒して素材を剥ぎ取り武器や防具を作るゲームだ。

 

「アニメ実況……」

 

「イセスマで良い?」

 

「駄目」

 

何故クソに突っ込んでいくのか。

 

 

 

「はぁー、さて、投稿!と」

 

鎮守府の一日を映したムービー。これは流行る!

 

おっ、早速コメントが!

 

『料理人なのか提督なのか』

 

『どうやってんだそれ』

 

『こんなイケメンが渋谷凛ボイスで歌って踊るのか……』

 

『良いもん食ってんなー』

 

『化け物のボスも化け物ってことか。把握』

 

『あたまおかしい』

 

『艦娘可愛すぎない?』

 

『漣たん萌え』

 

うーん?

 

おかしいな、反応が酷い。

 

 

 

……その後、結局、ツイッターなどで拡散され、動画は数百万再生された。

 

反応は酷かったけれど、まあ、概ね好評だった。

 

次は望月とPUBGの実況しよーっと。

 

目指せ!不労所得!!!

 





艦娘であると言う知名度でネットで人気。

旅人
SNSに旅画像を上げる。

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