特殊性癖を抱えながらも元気に生きているので、作者は正常です。
活動報告も見てね。
「次の艦娘は、と」
死んだ魚のような目で明石を見つめる俺。
「あら?提督、テンション低めですね」
そりゃそうもなるよ。
「うう、ああ、キリングミーソフトリー、キリングミーソフトリー……」
優しく殺してー、優しく殺してー。
「弱音を吐かないで下さい」
いや、弱音も吐くわ。
「さあ、次は那珂ちゃんさんですよ」
「艦隊のアイドル!行くよー!」
「アイドルが妊娠とか良くないんじゃないですかね」
「え?えーと、那珂ちゃんはそういうのもアリだと思うよ?!いずれは子供ができるのもおかしくないなー、って!」
「いやアイドルでしょ那珂は。子供とか良くないんじゃ」
「い、引退後の計画もー」
「生涯現役とか言ってなかったっけ」
「えーと、えーと、兎に角良いでしょ?!那珂ちゃんも自分の子供の顔が見たいのー!!」
しょーがねーなー!!!
「分かった、分かった」
「分かってくれた?」
分からないということが分かった(無知の知)。
「じゃあ、やってみよう!」
「はいはい」
「「フルダイブ!!」」
《遺伝情報認証、フルダイブ》
×××××××××××××××
さて、那珂ちゃんの子供は、と。
「俺の歌を聴けえええええ!!!!」
なーーーーーんだこの熱気バサラ的なのは?!!!
十代半ば程の見てくれに、奇抜な茶色の長髪に白のエクステ、細身だが長身でしっかりと鍛えられた筋肉、赤縁のキャッツアイサングラス、ノースリーブのオレンジのコート、腕にはトライバルの刺青、ダメージジーンズにジャラジャラの鎖とアクセサリー……。
「キャラが濃いんだよテメー!!!」
「っと、何だよ親父!俺の歌に文句でもあるのか?」
「大有りだボケナスがッ!!!」
文句ねー訳ねーだろアホが!!!
「何だその髪型は」
「ロックだろ?」
は?殺すぞ?
「服装」
「カッコいいだろ?」
マジで殺すぞ?
「んで刺青」
「母さんは反対したっけな」
総評、殺す。
「◯◯ちゃん!」
「那珂ちゃんェァ!!何とか言ってやってくれェィ!!!」
「良い歌だね!!」
んんーん。
「お前、それで良いのか?」
「え?那珂ちゃんは満足だよ?」
「だってこの、パンクでロックな……」
「俺はスターだぜ!!」
「黙れボケ」
「カッコいいよー!」
あんれェ?!那珂ちゃんさん?!!
「母さんが艦隊のアイドルなら、俺はスターだぜ!!輝く星になるんだ!!」
何言ってんのこいつ?
「ちょっと不良っぽいけど、こんなに良い歌を歌える子が悪い子な訳ないよー!」
那珂ちゃん、判断基準が良くないよ!!
「でも、これ、こいつ」
「提督、良い?歌は心の写し身なんだよ!真っ直ぐな心じゃないと、真っ直ぐな歌は歌えないの」
「流石だぜ母さん!!その通りだ!!」
五月蝿え!ギター弾くな!!
「母さんは凄えよ、歌もダンスも一流で、人々の心を魅了する良いパフォーマンスが出来る!俺の尊敬する人だぜ!!」
感極まった、と言った様子でギターを掻き鳴らす息子カッコカリ。
疲れる。
疲れるぞこいつ相手にすんの。
「パパは?」
「いや、親父は別に」
んでムカつくゥ。
「親父の音楽には心が籠ってねえ!!」
まーたなんか知らんけど子供に説教されてる。
「確かに技術は一流だが、それだけだ!音楽はハートだぜ!!」
「うんまあ、余計なお世話だよね」
「俺が手本を見せてやる!!俺の歌を聴けえええええ!!!!」
……まあ、聴いてやるか。
………………。
あ、上手いなこれ、上手いぞ、俺より上手い。
「……どうだ?」
「認めるよ、上手い」
「だろ!」
でもムカつくなー。
「お前、好きなバンドは?」
「んー?何でも聴くけど……、特に好きなのはクイーン、メタリカ、ローリングストーンズ、レッドツェッペリンとかかな」
うーん、俺の好みと一致している。
これが血筋か。
「ジミヘンは?」
「好きだ」
うーん血筋。
《ダイブ終了》
×××××××××××××××
「つらい」
「元気出して下さい提督!」
「すごくつらい」
「大丈夫ですよ!」
何が?
「では次行きましょう!」
「もうやめて」
「予約が詰まってますからね!ほら、急いで!」
「堪忍して」
「またまたぁ、提督も可愛い子供に会えて嬉しいですよね!嬉しい筈です!さあ行きましょう!」
《遺伝情報確認、フルダイブ》
×××××××××××××××
「◯◯は大人のレディよ!」
「明石ィィィ!!!出てこおおおおい!!!説教だああああ!!!!」
ふざけんな、これ、マジ、ふざけんなよ!!
「?、どうしたのパパ?」
六歳くらいの見た目の藍色の髪をした少女。
間違いなく、これは……。
「◯◯!ママよー!」
「あっ!ママー!」
暁の子だ!!!
「うおおふざけんなーーー!暁と子作りなんてしねーぞーーー!!!」
「ど、どうしたの司令官?嫌なことでもあった?」
現在進行形で嫌なことが起きてる!!
「……はっ?!いけないいけない、◯◯は大人のレディなんだから!」
「ふふ、◯◯は可愛いわねー」
ふざけんな……、マジふざけんな……。
こんな未来あってたまるか!!
「暁、子供なんて作らないからな」
「えー?こんなに可愛いのに」
そう言う問題じゃねーよ。
「ママー、◯◯もママみたいな大人のレディになりたいの!どうすれば良いの?」
「ええ?!えーと、うーんと、それはね……、あ、そうだ!ママみたいに素敵な旦那様を見つけると良いわ!!」
「そっかー、旦那様かー」
「そうよね司令官!」
「んあ、あ、そうだね」
「パパもそう言うならきっと間違いないわね!よーし!私もカッコいい旦那様を見つけるぞー!」
こんな、こんな未来は、未来は……。
「ねえねえ、◯◯、ママのこと、好き?」
「うん!ママのこと、大好きよ!私の憧れの大人のレディなんだから!」
「本当は?」
「……アイオワママとかサラママとかリシュリューママの方が、大っきくてかっこいいと思う」
「がーん」
「で、でもでも、暁ママも大好きよ!なんて言ったって、私を産んでくれた人だもの!!」
「うう、良いのよ、暁はレディとしてまだまだよ……」
「お、落ち込まないでよママ!」
茶番だ、こんなものは。
「じゃあ、パパのことは好き?」
「パパも大好きよ!」
抱きついてくる娘。
ぐうう、おおお!
お前は、お前は存在してはいけないのだ!
でも可愛い。
「パパはいつもどこかに行っちゃうから、あんまり会えないけど、私のことをとっても愛してくれるもの!」
うああ!ぐああ!!
え?
何これ?
だって暁だよ?
俺の娘的なポジションの子よ?
子供に子供を産ませるみたいな……。
完全に児童ポルノ。
え?
……抱くの?
……暁を?
……暁とセッ◯スするの?
あり得ないだろ、そりゃ。
流石にやって良いことと悪いことがある。
越えちゃいけないラインってもんを考えろ?
「それに、パパはとってもカッコいいし!私もパパみたいなカッコいい人と結婚する!」
ははは、そうか。
そうか。
ありがとなー。
《ダイブ終了》
×××××××××××××××
……ぐはぁ!!!
「ああっ、提督!何故いきなり吐血を?!」
「ぐ、う、明石ィィィ!!!越えちゃいけないラインを考えろォォォ!!!」
「越えちゃいけないラインなんてスタートラインみたいなもんです」
言い切った?!
「もう勘弁してくれ」
「またまた〜、まだまだ元気そうじゃないですか!」
どの辺が?
「次行きましょうねー」
勘弁してくれよ……。
那珂ちゃんさん
歌エネルギー。
暁
オルフェンズとは無関係。
旅人
「正直、今までで一番キツイ」と述べている。