旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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俺も金と時間があれば旅してたんですけど。旅行はやっぱり、金持ちの道楽なんですかねぇ。


270話 黒井鎮守府修学旅行ハワイ編 後編

『メニューのここからここまで下さい』

 

『朝っぱらから酔ってんのか兄ちゃん』

 

『俺は大食いなんだよ』

 

『はは、分かった、残すなよ?』

 

と、軽いやり取りをしつつ。

 

「オムレツ、ロコモコ、エッグベネディクト、フレンチトースト、フルーツ……、朝から食べるねぇ」

 

北上がサンドイッチを齧りながら俺の目の前に座る。

 

「適量だよこんなん」

 

んー、流石アメリカ。量が多くて俺ハッピー。

 

「んー、結構美味しいねー」

 

俺のフルーツをつまみ食いする北上。

 

「ハワイの飯は結構美味しいぞ」

 

俺はハイペースで食料を消費していく。

 

「そうなんだ。ってか、結構日本語通じるねえ。流石は観光地」

 

「日本人も多いらしいしな」

 

こーんな地価高いところによく住んでられるよなー。

 

基本安宿か路上で寝るんで、地価が高いところに住む人の気持ちは分からんね。

 

この青い空の下全てが俺の家なのだ。

 

「で、今日の予定は?」

 

「取り敢えずダイビング」

 

あとスカイダイビングして乗馬して潜水艦にでも乗るか。

 

「潜るの?」

 

「潜るよー、海ん中はキレーだぞー」

 

潜り過ぎると神話生物とかに遭遇するけど。

 

「ふーん、じゃあ、あたしも大井っちと一緒に行っていい?」

 

「いいぞ」

 

さーて、潜りますかー。

 

 

 

軽巡とオアフ島にてダイビングだ。

 

「(スゲー!魚だ!提督!魚だ!)」

 

ノリノリの天龍。

 

水中故に何言ってるか分からん。

 

心理学<80>で大体分かるが。

 

「(わー、熱帯魚って何でこんなにカラフルなのかねー)」

 

と、北上。

 

『それは、メスを惹きつける為だったり、同じ種類の仲間達を認識する為だったり、そもそも単純に保護色だったりと理由は様々だ』

 

「(……心の中に話しかけるの、どうやってんの?)」

 

そりゃあ脳内の瞳とか魔法とか。

 

「(毎回気になってるんだけどさ、作戦中とか提督の指示が心の中に響くと言うか……、聞こえてくるけど、テレパシー?)」

 

『大体合ってる』

 

テレパシーも使えない奴が提督やるか?

 

『あ、あと言っておくけど生き物やサンゴには触るなよー』

 

「「「「(はーい)」」」」

 

環境保護だ。

 

自然を壊してはならない。

 

自然環境とか文化遺産とか、そういうの大事にしていきたい。

 

人と自然に優しい世界征服を心がけています。

 

「(見て下さい司令官!サンゴですよウミガメですよ!可愛いですね!)」

 

ウキウキの長良。俺としては野生生物より君達の方が可愛いと思うのだが。

 

自然の神秘より女体の神秘の方が興味深いですなぁ。

 

ぴっちりとしたダイビングスーツがくっきりとボディラインを強調しとるやんけー!

 

「(ところでな、提督。いい加減突っ込んでいいか?)」

 

と木曾。

 

『何に?』

 

「(まず、な、ダイビングだと言うのにその装備は何だ?)」

 

む、海パン穿いてるんだが、悪いのか?

 

『安心してください、穿いてますよ』

 

「(いや、それは良いんだ、ダイビングスーツを着てないことは、まあいい。しかし、何故、シュノーケルを着けていないんだ!)」

 

『呼吸なんてしなくても一晩くらいは大丈夫でしょ』

 

そんな別に呼吸してないくらいで……。

 

なんてこたぁないでしょ。

 

「(息を止めてるのか?く、苦しくないのか?)」

 

『別に』

 

ちょっと息できないくらいでへばるようじゃ旅人やれないからね。

 

ハンター式水泳術で水の中でもなんのその。

 

ガノトトスは強かった。アタリハンテイ力学がね……。

 

「(水中メガネなしで見えるのか?)」

 

『見えてるよ』

 

水中なので目星にマイナス判定かかるけど。

 

でも、それでも目星<70>はあるし、脳内の瞳もちょっと使ってる。

 

俺に見えないものはない。

 

「(まあ、なら、いいさ、いいんだ)」

 

 

変な木曾。

 

 

 

 

さあて、スカイダイビングだ。

 

『待ちなよ、旦那ー!やめた方がいい!そんなに酔ってちゃ……』

 

うん?

 

飲んではいるが酔ってはいないぞ?

 

それにな。

 

『うるさいんだよ!おたくはタクシーの運転手で俺のオフクロじゃないだろうがあ!ん〜〜〜?』

 

『でも……』

 

『釣りはいらんよ、とっときな。あばよ』

 

ドル札を渡す。

 

『メリークリスマス!!!』

 

俺はシャンパンを飲みながらヘリから落下した。

 

「司令官ー!!!」

 

お、朝潮か。

 

「どうしたー!!!」

 

空中だからか声が大きくなっちまうな。

 

「パ、パ、パラシュートは?!!パラシュートはどうしたんですか?!!!」

 

ん?

 

あー。

 

「忘れちゃったー!!!」

 

「は?」

 

てへぺろ。

 

「つ、つ、つ、掴まって下さいーーー!!!早くーーー!!!」

 

はっはっは、どうした朝潮。

 

「死んじゃいますーーー!!!早くーーー!!!」

 

「ヘーキヘーキ!!!大丈夫だって!!!見てろよ!!!」

 

落下ダメージで死なないようにする方法なんていくらでもある。

 

タイミングよくバケツの水をぶちまけたり、銀猫の指輪だったりな。

 

でも今回は……。

 

「そろそろパラシュート開けー!!!」

 

「い、嫌ですーーー!!!司令官が死ぬなら私も死にますーーー!!!」

 

はっはっは、何言ってんだか。

 

「オラ!!!」

 

「ああっ?!!!」

 

朝潮のパラシュートの紐を引っ張ってやる。

 

「司令官ーーーーー!!!!……あら?」

 

「何?」

 

空を飛ぶ俺。

 

「何、ですか、それ」

 

「フレイムウイング」

 

「……空、飛べたんですね」

 

飛べるさそりゃ。

 

飛べなきゃ幻想郷とかで困るぞ。

 

まあ、俺は男なんで弾幕ごっこはあんまりやらなかったけどな。

 

 

 

乗馬だ。

 

「せいやぁ!」

 

「「「「おおー!!!」」」」

 

艦娘達から感嘆の声が上がる。

 

「やっぱり、司令官は何でもできるのです!」

 

「隙がないね」

 

「すごーい!」

 

「かっこいいー!」

 

ふふふ、べた褒めされる俺。

 

正直、騎乗スキルには自信がある。

 

ノースティリスのあいつほどではないが、それなりのスキルはあるのだ。

 

サーヴァントとして召喚されることになったら、アーチャー、キャスター、アサシン、そしてライダーにはなれるだろう。

 

まあ、英雄でも何でもないんだけど俺。

 

「車も、バイクも、飛行機も、そして馬も!何にでも乗れるのね!」

 

「俺が動かせないのはエンジンのついてない船だけさ」

 

本当の話、女の子の上に乗るのが一番得意なんだけどねHAHAHA!!

 

下ネタだから言わないけど。

 

「乗り方教えてー!」

 

「良いだろう、幾らでも教えてあげるよ」

 

「わーい、なのです!」

 

ここで俺は紳士ムーブ。

 

艦娘達に乗馬を教えた。

 

 

 

そして潜水艦。

 

ツアーにした。

 

自前の潜水艦もあるっちゃあるが、不審な潜水艦がハワイ領内をウロウロしてたら百パーセント怒られるので、やめておく。

 

「まあ、綺麗ねえ」

 

と、龍田。

 

龍田は、濡れるのが嫌だとか言ってダイビングには不参加だった。

 

「君の方が綺麗さ、マイハニー」

 

「あら、昨日は他所の人をナンパしてたのに、今日は私を口説くの?」

 

「ぎくーっ」

 

そこを突かれると弱い。

 

「……私のことはいくら裏切っても良いわ。でも、天龍ちゃんを悲しませるようなことをしたら、その時は」

 

「そ、その時は?」

 

「貴方を殺して私も死ぬ」

 

ヒェッ……。

 

 

 

と、二日目も無事終了し。

 

「チェックアウトしたかー、帰るぞー」

 

「お土産買っていきましょー!」

 

「わーい!」

 

三日目、帰還予定日となった訳だが。

 

「どうだ、楽しかったか?」

 

側にいた五十鈴に問う。

 

「ええ!お休みをエンジョイできたわ!これで明日からもお仕事が頑張れるってものね!」

 

そうか。

 

君達が楽しめたんなら、まあ、良いんじゃないかな。

 

と、思い、プライベートジェットに乗り込んだ。

 

 

 

艦娘を連れての旅行はやはり、保護者としての責任から難ありと言えるだろう。

 

確かに、楽しかったが……、やはり俺は一人旅がいい。

 

やっぱり、深海棲艦騒ぎが終わったら、また旅に出よう。

 

なんかこう、全体的に丸く収まるはずだ。

 

うん。

 




軽巡
楽しんだ。

駆逐
楽しんだ。

旅人
ちょっと辛い。

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