旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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ずっと悩んでるんですけどfgoのバニヤンちゃんが倒れるぞーした時に丁度女性器の位置に敵がいたらそのまま敵が女性器に突き刺さってメスイキしてしまうのではないかという疑念があって夜も眠れない。

そういや最近fgoやってねーや。


280話 ゴールデン神威

ゴオオオオオルデン!

 

「神威!」

 

「はい!」

 

「狩りがやりたい気分だ」

 

「はい!」

 

「付き合ってくれるかな?」

 

「もちろんです!」

 

勿論、獣狩りとかそう言う明らかにヤバい感じのサムシングじゃない。普通にハンティングだ。

 

「神威は何が食べたい?」

 

「キムンカムイですかねぇ」

 

熊か。アイヌの言葉で山の神。

 

「うちの裏山に出るからな、狩ろうか」

 

「普通は、この時期に狩りなんて危ないんですけどね。でも提督と私ですし」

 

確かにな、この時期の熊は、冬籠りの準備をし始める頃だ。つまり、活発に動き始める時期。普通のマタギなら冬にやるものだが……。

 

残念ながら俺達は普通じゃない。

 

お互い、熊くらいなら素手で殺せる。

 

「あっ、そうだ、折角だから子熊を捕まえてイオマンテしませんか?」

 

「そんなことしたら子熊を可愛がった駆逐艦の子達に強烈なトラウマが残るから」

 

イオマンテとは、アイヌの儀式で、可愛がって育てた子熊を縊り殺し、解体して、全身余すところなく生きる糧にする儀式である。まあ、大分うがった見方で言ったが間違いない。正確には、神々の魂を送り返す儀式だな。

 

いや、サイコパスではない。宗教観の問題だ。野蛮と嘲るつもりはない。むしろ俺にも、自然に、命に感謝しようとする心は伝わる。

 

アイヌ的には、熊を始めとする野の獣達は神なのだ。熊の肉も毛皮も神様の贈り物と考えられている。

 

まあ兎に角、熊送り系の儀式なんてしたら、皆んなの心に消えない傷を残すだろう。それは良くない。

 

卯月辺りなんて泣いちゃうんじゃないかな。

 

ほら、あれだ、昔何処かで聞いた、クラスで育てた子豚を最後に子供達に食べさせて命の大切さを教えるみたいな。ある意味拷問だよな。

 

「?、なら、可愛がらなければ良いのでは?」

 

そんなアリシパちゃんみたいなこと言って……。

 

「って言うか何で態々儀式なんて」

 

「白露型の皆んなとか、楽しそうですよね」

 

ああ、まあ……。

 

白露型の儀式はほら、また別のやつだから。なんて言うか、邪悪な感じのアレだ。

 

「あれは、ほら、神降ろしとかだから……。研究のためにやっているものであって、遊びとかじゃないから」

 

「真似しちゃ駄目、ですか?」

 

「出来るだけ真似して欲しくはないねー」

 

「分かりました……」

 

少ししゅんとする神威。

 

「あー、そうだな、儀式は出来ないけど、アイヌ料理は作れるから。一緒に作ろうな」

 

「はい!」

 

にしても、あれか。

 

「儀式やりたいだなんて、やっぱり神威は神の存在を信じているのか?」

 

「いえ別に」

 

あるぇー?

 

「私にとっての本当のカムイは提督だけです」

 

んっん、なんか今怖いこと言わなかった?

 

「私、思うんです。こんなに優しくて、全てを与えてくれる提督は、カムイなんじゃないかって」

 

んー。

 

「違うよ」

 

「いえ、提督は私達のカムイなんです!私達を守って、恵みを与えてくれます!着るものも食べるものも住むところもくれます!」

 

確かに、そうだが。神になどなったつもりはないし、今後なるつもりはない。

 

「はは、俺はカミサマなんてつまらないものになるつもりはないけど、神威のお願いならなんでも聞くさ」

 

まあ、神で例えるならゼウスだろうかね。クズっぷりが良く似てる。……いや、アポロンか。まあその辺りだろう。人間性的に。

 

「本当ですか?!じゃあ次は子宝を貰えると嬉しいです❤︎」

 

んー。

 

「うんそれ無理」

 

「大切にしますからぁ!」

 

「さて、狩りに行こうか」

 

 

 

一狩り行こうぜ、と言う訳で。

 

山。

 

鎮守府の裏山。

 

鹿、熊、猪などが住み着いている。

 

管理者である首輪付きによると、日本でも類を見ないほどに肥沃な山だから、野生動物が沢山生息しているらしい。

 

「首輪付きちゃんもカムイみたいですね。こんな豊かな山を管理してくれているなんて」

 

「それには同意するよ。でも、あいつにとってこれは趣味でもあるからな」

 

あいつも腹を空かせている時は、鹿を捕らえて食ったりする。

 

でも最近は、黒井鎮守府に飯をたかりに来ることが多い。

 

どうやら、料理の美味さに目覚めたらしい。酒とかも喜んで飲む。

 

この前梅酒差し入れしたら喜んでた。

 

「ありがたいです、本当に。私を取り巻く皆さんも本当に優しくて、私はカムイモシリに迷い込んでしまったかのように感じています」

 

「カムイモシリ、神の世界か」

 

「実際に、ウェンカムイみたいな艦娘も多数いることですし、もうカムイモシリで良いんじゃないですかね」

 

ウェンカムイ、荒神、疫病神のこと。確かに上位者の技法や血肉を取り入れた白露型なんかは悪神と言っても過言ではないかもしれない。そもそもの種族が艦娘、つまりは神霊である君達は神であると言っても良いかもね。

 

「それを言ったら深海棲艦こそウェンカムイだけど」

 

「はい!ですから、深海棲艦は、殺した後バラバラにしてばら撒いてます!」

 

人を殺す悪いウェンカムイは、バラバラにして野山の腐れ根の上にばら撒くのがアイヌ流。

 

「はっはっは、神威が猟奇的な行為を行っているとの報告の原因はこれかぁ」

 

夕立辺りから、「神威も中々にやるっぽい!」との報告が来ていたが。望月辺りからは「あれ、グロいからやめさせてよ」と苦言を呈されていた。

 

まあほら、そう言うのは宗教的なアレだから勘弁してあげて欲しい。

 

 

 

「で、狩りですが」

 

「ああ、やろうか」

 

「それは?」

 

「必滅の一矢」

 

ここ最近の愛用品だ。

 

「トゲトゲで強そうですね!」

 

「強いよ、実際」

 

「何で出来ているんですか?」

 

「ネルギガンテ」

 

「えっ」

 

「ネルギガンテ」

 

「そ、そうですか(何でしょうかそれは)」

 

強敵だった。

 

「じゃあまず、熊を探そうか」

 

俺が鼻を鳴らす。

 

「こっちだ」

 

「え?なんで分かるんですか?」

 

「匂い」

 

「はあ、提督はホロケウカムイみたいですね」

 

狼か。まあそれくらいは鼻が利くからな。

 

「あ、足跡。本当にこっちみたいですね!凄いです!」

 

さて、痕跡を見つけたところで。

 

『グルル……』

 

発見ー。

 

さあて、威力を絞って……、射る!

 

『グオッ?!!』

 

「狩ったぜ」

 

「ほえー、心臓を綺麗に貫きましたねー」

 

威力を絞ったから、肉体に大穴が開くようなことがなくてよかった。

 

「提督のお力ならば、頭をかち割って殺せるんじゃ?」

 

「まあ、バフ積めば出来ないことはないけど」

 

そうすると服が汚れるし。

 

あ、山にいるけど服装はいつものシャツです。舐めてんの?って感じ。

 

山を舐めると痛い目に遭うもんだが、俺はこれでも舐めてない。俺はこれで大丈夫なんだ。着の身着のままでアラスカだろうがシベリアだろうがアフリカだろうが、どこに飛んだって大丈夫。何故なら俺は旅人だから。

 

「そうですね、それをやるとチノイペコタタプが作れなくなっちゃいますもんね!」

 

え?アレ作んの?まあ、良いけど……。

 

チノイペコタタプ、熊の脳のたたきだ。

 

美味しくは、ないよなぁ。

 

 

 

「さあ、作ろうか。何が良い?」

 

「オハウにしましょう!」

 

汁物か。良いね。煮る料理は得意だ。

 

「チタタプも作ります!提督、ちゃんとチタタプって言って刻むんですよ!」

 

「神威、ゴールデンカムイ読んだな?」

 

「アリシパちゃん可愛かったです!」

 

誰だ神威にゴールデンカムイ渡したのは?!

 

「アイヌの漫画だって望月ちゃんに勧められて読んだんですけど」

 

望月か。

 

「内容は変態の漫画でした!」

 

大体合ってる。

 

「漫画は漫画だからな」

 

「でも提督も概ね不死身ですし」

 

「そうだけど」

 

「私達も漫画みたいな存在ですし」

 

「そうだけど」

 

それは言っちゃいけない。

 

 

 

「ご馳走さまでした!」

 

「ああ、お粗末さまでした」

 

食事シーン?特に語ることはない。二人で合計数十kg消費して、残った分は俺の四次元ポケットへ。

 

「また一緒に料理しましょうね!」

 

「もちろんだとも」

 

「嬉しい……、嬉しいです!この喜びを何とかして表現したいです!儀式しましょう!」

 

「やらないってば」

 

神威は、ちょっと。

 

変な子だな。

 




神威
アイヌの女。

旅人
長い旅の途中様々な文化に触れており、儀式などにも寛容。

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