あとそろそろ新しい艦娘出したいんだけどリクエストとかあります?
「提督!提督!見てこれ、提督!」
嬉しそうなビスマルクの手元には、映画「帰ってきたヒトラー」のDVDが。
あー、うー?
「ヤバい組み合わせだな」
「素晴らしい映画だったわ!とても夢のある話ね!」
確かに、映画やドラマ、小説やゲーム、漫画アニメなど、文化に触れることは良いことだ、推奨している。
しかし、しかしだ。
これは悪影響なのでは……?
ナチス当事者にナチスの映画を見せて良いのだろうか。何というか、それは、ヤクザがVシネ見るみたいな……。
大変よろしくない化学反応が起きるのではないでしょうか。
「あんまりこう、ナチスとかの話すると、色々と怖いから」
「何が?」
「UNEIさんとか……、兎に角、怖い人に睨まれる」
ハサンの人達だって、極力イスラーム臭を出さないようにやっているのに、艦娘の人達がナチスとか軍国主義とかやっちゃならんでしょ。
「そう?でも私、今は提督の所有物だけど、元はナチスドイツ所属だから」
「お、おう」
「それでね、この映画!とっても面白かったわ!総統閣下が現代に現れるなんて、夢のある話じゃない!」
「あー、もしも本当に現れたらどうする?指揮下に入るの?」
「んー、挨拶くらいはしたいけど。今は提督の所有物だって言ってるじゃない」
あ、そんなもんなんだ。てっきり俺を連れてドイツに帰るくらいは言うかと。
「でもほら、あれだよ、世間一般じゃナチスは悪党だよ」
「それなのよね。ナチスって何か悪いことしたかしら?」
「そりゃ、ほら、人体実験とか」
「その代わり、医学が発展したじゃない。必要な犠牲でしょ?」
いかんいかんいかん、艦娘が必要な犠牲とか言っちゃ駄目よ。
「まあ、俺も、顔も名前も知らない誰かが死んだところで何の感慨も湧かないけれど、社会一般的にそういうのは駄目じゃん?それに、艦娘って立場なのに、必要な犠牲とか言うと怒られるよ。犠牲を出さないのが仕事だろって」
「?、何であれ、どう取り繕っても犠牲は出るものよ?」
そうだけどね。
「人間嫌いなの?」
「んー、結構」
あっ、そうなんだー。
「特に価値がない人間が嫌いなの。権利ばかりを主張する能無しがね。それに、クズが死んだところで、私達は困らないでしょう?提督みたいな上等な人間が生き残れば良いんじゃないかしら」
選民思想ー。
「人の価値なんて誰にも決められないさ」
「提督って女の子に対しては綺麗事を言うわね。本音は?」
「気にくわない奴は殴るし、最悪殺す」
暴力や殺しは嫌いだけどやらないとは言ってないからね。
「そっちの方が男らしくって素敵よ!」
そう?
ビスマルクはdark-lawか。ってか黒井鎮守府全体がダークだが。悪法に従うという意味でdark-lawもちらほらいるが、基本的には破滅的なdark-chaosが多い。俺は一応neutral-neutralだけど。
「私達が法になればいいのよ」
「良くないぞ、力で押さえつけるのは、反発しか生まない」
「本音は?」
「ありのままの君が好きだよ」
正直、美人なら何でも良いんだよなあ。サイコパスの人殺しだろうが人食い妖怪だろうが可愛くてデートとかセッ◯スとかしてくれるんならそれで良いよ俺は。
「ありのままの私を受け入れてくれるなら、何も気にすることはないわね」
「でもほら、少しは猫を被る意思も見せて。偉い人達から怒られるとアレだから」
「はーい」
「見てくれよ提督!ほらこれ!」
「火垂るの墓」のDVDを見せてくる摩耶。
ああ、はいはい。
「アタシ、映画に出たんだぜ!!」
「そういや出てたね」
そんなシーンもあったなあ。そういやアレは摩耶だったな。
「映画はどうだった?」
「まあ、面白くはなかったな」
そう?
「アタシ、弱い奴って嫌いなんだよな」
おっと?
「弱肉強食だ、弱い奴は死ねば良い」
「ほら、あれだ、もっとこう、慈悲の心とかは?」
「あぁ?ねえよ、んなもん」
ないの?
「弱くて、馬鹿で……、妹一人守れなかったガキの話だろ?」
「んんぅ、そうじゃ、ないんだけどもなぁ」
もっとこう、感動したとか……、戦争の悲しさとか……、情動はどうなってるんだこの子。やはりdark-chaosか。
「大体にして、そんなこと言ったら俺だって弱いさ」
「は?どこがだ?提督の強みは死なないことだろ?」
んー。そりゃそうだが。
「君を守ってあげることはできないかもよ?」
「はっ、良いぜ。アタシが提督を守るんだからな!」
やだもう、男らしい。
「でもほら、艦娘なんだからさ、弱い民草を守るのがお仕事でしょ?」
「そんなのどうでもいい」
そんなの?どうでもいい?
「いや、だって、ほら」
「何でアタシが顔も名前も知らない有象無象を守らなきゃならねーんだよ。私が守るのは鎮守府の仲間と、提督だけだ」
「役目はどうなん?」
「役目?知らねーよ。アタシはアタシのしたいことをするんだ」
ああ、艦娘の役目とかもうどうでもいい感じか。
「提督提督提督ぅーーー!!!」
抱きついてくる明石。脚まで絡めてきている。所謂だいしゅきホールドだ。
「おお、よしよし、どうした?」
可愛い。可愛いので頭を撫でてやる。
「んにゃ〜❤︎」
よく懐いた犬猫のように擦り寄って、頬擦りしてくる明石。
「可愛い可愛い」
「提督大好きですー!」
「はいはい、俺も大好きだよー」
で、何の用かな。
「あ、そうですそうです。ちょっと私、久しぶりに映画を見まして」
「ほう」
「これなんですけど」
「……パシフィックリム」
「はい」
あー、嫌な予感する。
「まさか、作ったとか……」
「あはははは」
なにわろてんねん。
「実に興味深い内容でしたよ!ロボットプロレスはいい文明!」
「古き良きロボットプロレスだったな」
ウルトラマンといい昔のロボットアニメといい、巨人がプロレスするのはロマンがあって良いよな。俺もそういうのは好きだぞ。
「まあ私は提督とベッドの上でプロレスしたいんですがね!あっはっは!」
「んん、そうだね」
唐突な下ネタ。
「あー、え、映画の感想は?」
「興味深い、ですね。怪獣ですか。もしも本当にそんなものが現れたら楽しそうですね」
「仕事が増えるだけでしょ」
「え?何で私達が戦わなきゃいけないんですか?」
あれ?国防……?
「ああ、そう言えば私、艦娘でしたね。国防が仕事でした。すっかり忘れてましたよ」
「ええー……」
明石はdark-neutralかね。
「ぶっちゃけもう国防とかどうでもいいんで。黒井鎮守府内の食料生成プラントと浄水装置をフル稼働すれば、黒井鎮守府だけで完全独立が可能ですから」
「そうなの?」
「あれ?言ってませんでしたっけ?黒井鎮守府は、その気になれば移動要塞に変形して宇宙空間で旅ができるようになってます」
「んんんー?マクロスかなー?」
いつの間にそんな超時空な……。
「はい。つまり、提督が提督をやめると言って頂ければ、いつでも独立可動モードへ切り替えて、この星を見捨てて永遠に宇宙を旅することも可能なのです」
「い、いや、そんなつもりは……」
「あ、異次元空間や異世界へのワープももちろん可能ですから、黒井鎮守府一同、いつでもどこでも永遠について行きますからね!」
め、迷惑ゥーーー!!!
ビスマルク
ナチ特有のヤバさが滲み出る。
摩耶
冒険者の容赦のなさが出る。
明石
マッドサイエンティストなので当然ヤバい。
旅人
旅人なのでヤバい。