既に名乗りは済ませ、戦場の真ん中で。
目に見えてローテンションの深海双子棲姫に声をかける。
「いや本当に、残念だよ」
『『……ハイ』』
「何で降伏してくれなかったのかな?」
『『……上カラノ命令デシテ』』
なるほど、君達も大変なんだね。
『『ソノ、手加減トカッテ……』』
「皆んなー、手加減してくれるー?」
「「「「嫌です」」」」
「……だ、そうだ」
『『ヒ、ヒィィィ……!!!』』
すまんな、俺にも止められないんだわ。
『ドウシヨウ、シロ……!』
『ソ、ソウダ!クロ!』
んんー?どうするんだー?
『『ウ、ウフーン❤︎』』
なるほど、色仕掛けか……。
甘いな。俺がそんなものに惑わされるとでも思っているのか。
「そんなものに釣られクマー!!!」
『『アッ、釣レタ!!!』』
はっ?!つ、捕まってしまった?!!
『『ヨ、ヨシ!提督ヲ殺サレタクナカッタラ撤退シロー!!』』
「作戦開始っ!殺せえええええ!!!!」
「「「「おおーーー!!!!」」」」
『『ナッ、ナンデエ?!!!』』
「まあそうなるな」
俺に人質としての価値はない。
逃げ出せるからだ。
『『撃ツヨ?!本当ニ撃ッチャウンダカラネ?!!』』
「小ぶりなお尻がキュートだねえ。痩せてるみたいだし、後でお腹いっぱいご飯を食べさせてあげるからね」
折角だから、ということで、二人のお尻にタッチ。
『『キャン?!エッチ!!』』
殴られる、が避ける。
「まあ、死ぬ前にはちゃんと止めるから。多分」
『『多分?!!!』』
さて、脳内の瞳を使って、戦場を俯瞰する。
因みに、俺自身は深海双子棲姫ちゃんと追っかけっこしてる。可愛いなぁこの子達。深海棲艦は陶磁器のような白い肌が素敵よね。人外の輩だけど抱き心地も良いし。
どうなってるかなー、と。
軽巡棲姫のところにはー?
おっと、この経験値を泥棒してきそうな音楽は!
「イヤーッ!!!」
川内!!
『グワーッ!!!』
川内がニンジャしてる。
ラブサバイバー川内、彼女はニンジャだ。
おお、ゴウランガ!
『クッ、コノ、対艦娘用大太刀デ……!!』
軽巡棲姫は、自身の複製である量産型姫クラスと共に、刃を振るうが。
『クソ、当タラナイッ?!』
圧倒的に速さが足りない。
『『『『オオオオ!!!』』』』
襲いかかる量産型軽巡棲姫は。
「遅いなあ」
工廠特注の、ナックルガードが付いた川内愛用の忍者刀で斬り刻まれる。
「ほい」
『ア"』
頸動脈を斬られて、間欠泉のように血を噴き出す個体。
それに、
「そりゃ」
『ゥア?!』
突きを放ち、確実に心臓を貫く。
「終わりっ」
『ガ』
それの口に忍者刀を差し込むように、突く。
これで、失血と脳幹の破壊で完全に機能を停止させた。
やっぱり、人型なのがなぁ。
急所が多いから……。
確かに、川内には、一太刀で姫クラスを沈めるような火力はないけど、その分を圧倒的な手数で補ってくるからな。
戦場を駆ける川内はまさに、死の旋風だ。
『当タレエ!!!』
「残念、それ残像」
『グアッ?!!』
肩を斬られる軽巡棲姫本人。
「雑魚を潰すまでちょっと待っててねー、後で嬲り殺しにしてあげるから」
『ヒ、ヒィ?!!』
「神通!那珂ちゃん!」
「はい」
「はーい!」
「雑魚の相手、お願いね!」
「ええ、了解です」
「りょーかい!」
駆け出す三人。
神通……、サムライ女。
刀を使った剣術で堅実に量産型を片付けていく。
「疾ッ!!!」
那珂ちゃん、アイドル。
歌って踊って戦える、スーパーアイドル。
武装はタクティカルアームズと言う特大剣と、ナイフ。
「よい、しょっと!」
そして、川内は。
「はぁぁぁ!!!」
『グッ、ガアッ?!クソォ!!!』
予告通り、軽巡棲姫を嬲り殺しにしている。
「そろそろ終わらせるよ」
おお、素晴らしい分身だ。
「えい!」「やー!」「てぇい!」「はぁ!」「おおおおおおお!!!」
分身体が一斉攻撃して、フィニッシュ、か。
『グオオアアアッ!!!!』
倒れる軽巡棲姫。
「んー、やっぱり、物足りないなあ」
×××××××××××××××
ここは海中、水の中。
私達、潜水艦の相手は、潜水棲姫とその量産型の群れ。
ふふ、はちの圏内だよ、そこ。
ゴーヤがハンドサイン。
《殲滅でち》
私もハンドサイン。
《了解》
……海中では基本、皆んな喋らない。
いや、今では工廠の謎技術のお陰で、水中でもコミュニケーションを取れるんだけど、何となく皆んな喋らないでハンドサインでやり取りしちゃう。癖なのかな。
兎に角、漁の始まりだ。
まずはいつも通り、ウィーとろーちゃんが先行。
敵を引きつける。
二人は、天使のように水中を舞い、敵のターゲットになった。
そのまま、退く。
そこで、待ち構えていた私達が……!!
撃つ!!!
ウィーとろーちゃんが囮になり、引きつけた敵を撃つ、潜水艦の基本方針だ。群狼作戦釣り野伏せ、そんな感じ。
『『『『?!!!』』』』
私の魚雷弾幕が、イクの正確な魚雷が、波状攻撃となって襲いかかる。
爆音。
水中での爆発音はよく響く。人間なら、とっくに鼓膜が駄目になっているところだろう。
艦娘である私達にとってはなんて事はないけど。それは、深海棲艦にとっても同じみたいで。
『!!!』
潜水棲姫が何らかの指示を出すと、魚雷を撃ち返してくる量産型。
でも、その程度でどうにかなる程ヤワじゃないんだよね。
甘い。
私は心の中で呟くと同時に、魚雷を召喚。迎撃する。
ゴーヤも危なげなく回避して、敵に接近、叩くと同時に体表から魚雷を召喚、爆殺する。
イムヤも前に向かって回避。間合いを詰めて格闘戦を始めた。水中での格闘戦なら、イムヤに敵うものはいない。
しおいはマイペースに晴嵐を出している。
じゃあ、私も殺すかなー。
『!!!!』
何かを叫びつつ、虚空から異形の魚雷を百数本召喚してくる潜水棲姫。
だから、甘い。
甘いのよ。
『ーーーッ?!!!』
馬鹿な?!だろうか。
またもや叫ぶ潜水棲姫。
残念だけど、貴女と私じゃ格が違うんだよね。
魚雷弾幕、同時展開数、三百六十。
アハトアハト、同時展開数、百二十。
ーーー弾けろ。
『ーーー?!!!』
海の中だから聞こえないけれど、悲鳴をあげたであろう潜水棲姫が吹き飛び、海中の爆発から押し上げられる。
……手足が吹き飛ぶのが見えたけど、深海棲艦はそれくらいじゃ死なないと思うし、良いよね。
ふふ、殺した殺した。
後で提督に褒めてもらおう。
川内
ラブサバイバー。
はち
忠犬ハチ公。物量の鬼。