旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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チキチキマシンのチキチキってなんだよ。


289話 黒井鎮守府猛レース 前編

「あー、暇だ」

 

「こんな企画はどうでしょう。艦娘達全員を無限に歩かせるのです。足を止めたものは射殺して、最後に残った一人の願いを何でも叶える、と言う」

 

「何だっけそれ、死のロングウォークだっけ」

 

「はい、面白かったです」

 

ホラー小説を面白かったと抜かすか。

 

「でもまあ、方向性は悪くない。レース、レースね」

 

頭の中に特徴的なフレーズが。

 

「チキチキマシン、チキチキマシン〜♪ってな、知ってる?」

 

「……すいません、存じ上げません」

 

「だろうな」

 

古いアニメだ。艦娘が存じ上げないのは予想に難くない。

 

「ええと、つまり?」

 

 

 

「レースをやろう」

 

 

 

俺の鶴の一声で始まった、黒井鎮守府大レース。

 

明石と夕張はハイテンションでレース用のメカを用意し始めた。

 

「ふふ、ついに、我らが黒井鎮守府工廠の技術力を見せつける時!」

 

「倉庫に押し込んでおいたロボットの使い道はここだっ!」

 

そして、艦娘達に告知する俺!

 

……「レースやろうぜ!」

 

……「えー、だるい」

 

……「ご命令とあればやりますが……」

 

……「何で?」

 

しかし艦娘達は乗り気では無かった。

 

……「賞金は三億円!!」

 

……「「「「(要らなっ)」」」」

 

……「あとは俺が何でも言うこと聞いてあげる券」

 

……「「「「やるぞおおおおお!!!!」」」」

 

しかし、何故か急にやる気を出してきた艦娘達。

 

「しかしこれ、FGO民から怒られませんかね」

 

夏イベが……。と、明石。

 

「大丈夫だ、これはチキチキマシン猛レースのパロディ、怒られるならチキチキマシン猛レース側からだろう」

 

「そっちの方が怖くないですか」

 

「バレなきゃヘーキよ」

 

と言う訳ではい。

 

参加者一覧表を見る。

 

三日月:ガンダムバルバトスルプスレクス

菊月:ホワイトグリント

吹雪:バークラリードッグ

叢雲:クラウドブレイカー01

古鷹型:マジンカイザーskl

初月:ライジンオー

島風:サイバスター

天津風:ブラックサレナ

霞:アバレンオー

明石:ガンレオン

………………

…………

……

 

「車よりロボットの方が多いんですがそれは」

 

「妨害でも何でもありのレースですからね、ロボットの方が有利でしょう」

 

レースとは一体何だったのか。

 

「大丈夫これ、スマブラにならない?」

 

「まあ、大丈夫じゃないですかね。ってか、場所はどこでやるんですか?」

 

「こんなこともあろうかと、異空間にレースコースを作っておいたんだ」

 

「流石です提督」

 

さすてい。

 

「観客は?」

 

「俺の知り合いが万単位で押しかけてくる」

 

「はえー、すっごい」

 

折込チラシに転移の術式を描き込んでな、ばら撒いたんじゃよ。

 

「じゃあ、準備万端ですね」

 

「ああ。開幕までまだ時間があるから、レースに参加する艦娘を見て回ってみるよ」

 

「はい、行ってらっしゃい、提督」

 

 

 

ポルシェ356、ジャガーXK140、フェラーリ308、デラシャペルタイプ55ロードスター……。真っ黒なボディのクラシックカーが並ぶ。

 

そして時雨はデモンベイン。

 

「君らはマフィアか何か?」

 

「心外だね」

 

白露型だ。

 

「しかもこれ……」

 

ボンネットを開く。

 

中身は別物だ。

 

そこにエンジンは無く、魔術回路と炉心があった。

 

選りすぐられた生体パーツ、遺物、オーパーツの類。

 

「この車何キロ出るの?」

 

「音速以上で空を飛ぶよ」

 

はーん、ふざけやがって。

 

それを車と言って良いのか。

 

「大体、コースだって数百キロあるじゃないか」

 

あるが。

 

「最低でも音速は出さないと他の機体に追いつかないだろう?」

 

そうだな。

 

「ちゃんと魔術回路による防壁も積んでいるよ」

 

確かに、かなり強固だ。最新式のレールガンの一撃を受けても走行可能だろう。

 

「まあ、良い車なんじゃない?」

 

「ふふ、だろう?応援してね提督」

 

「ああ」

 

 

 

三日月。

 

ガンダムバルバトスルプスレクス。

 

ガンダムバルバトスルプスレクスだ。

 

大事なことなので二回言いました。

 

「あ、司令官」

 

「何これ」

 

「私の機体、ガンダムバルバトスルプスレクスです」

 

んんんんんーんん。

 

「マジかよ」

 

「技術的なことはよくわかりませんが……、リアクターを二基搭載してるそうです」

 

マジかー。

 

「操縦できんの?」

 

「阿頼耶識システム……、ではなく、艤装直結システムで、直感的に操作できます」

 

そうかー。

 

「む、司令官ではないか」

 

「菊月か」

 

「ところで、私のホワイトグリントを見てくれ、こいつをどう思う」

 

「凄く、大きいです」

 

じゃなくって。

 

「AMS……、ではなく、艤装直結システムを採用しているそうだ」

 

「コジマ粒子は……」

 

「………………」

 

おいこら、顔を逸らすな。

 

 

 

吹雪はどうだー?

 

「ブッキー」

 

「アニメ版じゃないんでブッキーは勘弁して下さい」

 

ブッキー呼ばわりは嫌、と。

 

「吹雪はどうだ?」

 

「当てにならない部品が五十はある」

 

おいおい。

 

「って言うのは嘘で、ちゃんと作りましたよ!明石さんが!」

 

「でも装甲が……」

 

「当たらなければ良いんです!!」

 

ヒュー、言うねえ!

 

「で?こいつの肩は赤く塗らねえのか?」

 

「貴様!塗りたいのか!……なんてね!」

 

 

 

大和も出るのか。

 

「大和これは……、ビッグファウ?」

 

レース向きでは無いように思えるが。

 

「大丈夫です、他の艦娘を蹴散らします」

 

あの、あくまでレースだからね?

 

妨害ありで、なおかつ俺がコース内にトラップを仕掛けてるとは言え。

 

「貴方の大和は、きっと一番になりますからね!」

 

「お、おう。頑張れよ」

 

 

 

サラは……、と。

 

パラス・アテネか。

 

「黄緑が綺麗で可愛いですね」

 

「そうだね」

 

明石め、サラがサラだからパラス・アテネ寄越したんだな?

 

「でも、味方にビーム砲とか、撃って良いんでしょうか?」

 

「安全面には特に気を遣ってるそうだ」

 

「まあ、出来るだけフェアな勝負をしたいですね」

 

ああ、そうしてくれ。

 

 

 

長門は?

 

「うむ、ジプシーデンジャーだ」

 

明石め、やっぱり作ってやがったな。

 

「陸奥とペアで運転するんだ」

 

「へー」

 

大丈夫なのだろうか。

 

あの、脳を直結するっぽいシステム。

 

明石のことだ、搭乗者のことは一切考えていないだろう。

 

 

 

成る程ね、皆んな用意は万全ってことか。

 

「明石、これは?」

 

「ギャグマンガ空間形成装置です」

 

「どう言うことだ」

 

「この装置があれば、死人が出ません」

 

素晴らしいな。

 

ってか、そんなもんあるなら普段から使えよ。

 

「あ、言っておきますけど、普段から使えよってツッコミは無しですよ。これ、死人が出ない、即ち敵も殺せなくなるんですから。稼働に時間もかかりますし、コストも安くは無いです。次元改変系なので」

 

……まあ、そんなうまい話はないってことか。

 

何にせよ、レースの開幕だ。

 

挨拶?

 

適当でいいよそんなん。

 

観客は、と。

 

うーん、AUO君とかゆかりんとか大物がぞろぞろと。ジャギやアミバのような小物もちょろっと。

 

……皆んな案外暇なのかね?

 

まあ、何にせよ……。

 

「レース開始だァ!!!」

 

3

 

2

 

1

 

 

 

GO(is GOD)!!!

 




工廠組
黒幕。ガンダムくらいまでなら平気で作る。

旅人
真の黒幕。

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