しかしスカトロは良くない。
トマトケチャップは良い。
しかしトマトは良くない。
全ては同じで、違うのだ。
さあ始まりました、黒井鎮守府コロシアム。
次の対戦カードは……。
「第三試合!野分対霞!!」
ほー。
これまた面白い対戦カードだな。
スーパーヒーロー大戦だ。
赤黄緑の三枚のコインをバックルに嵌め込む野分。
『タカ!トラ!バッタ!』
謎の音声が響く。
それぞれ、タカ、トラ、バッタの趣向を持つ艤装が現れる。
一方で、変わった腕輪のボタンを押す霞。
『爆竜チェンジ!!!』
白いひし形の牙のような物体がいくつか、身体を覆う。
「試合開始ーーー!!!」
「「おおおおおおお!!!!」」
試合開始の号令とともに激突する二人の拳。
二人ともメインは格闘戦である。
砲撃?雷撃?なにそれ美味しいの?と言わんばかりの特攻。怖い。
「せぇいやーーー!!!」
野分が両腕のクローを展開して斬りかかる。
しかし霞は。
「ティラノロッド!!」
先端に小さな恐竜の頭部が付いた、赤いロッドで防ぐ。
「っく、おおおおお!!!」
弾かれたクロー、大きな隙を見せる野分は、バックステップで誤魔化すが、
「シィッ!!!」
霞はその隙を見逃さず、踏み込んで、ティラノロッドで突きを繰り出した。
「ぐっ!」
だが、バックステップの速度からして、突きは深く刺さらなかった。致命傷足り得ない。
「艤装召喚……、メダジャリバー……!!」
……艦娘は、武器や防具など、道具を艤装として認識すると、自在に出したり消したりできるようになる。つまり、艤装とは、インフィニットなストラトス的なアレの扱いらしい。
光の粒子が集まり、野分の手に一本の剣が顕現する。
メダジャリバー……、片刃の大剣だ。
「いぃやぁっ!」
バッタのように地面を蹴って、前方に跳ぶ野分は、回転の遠心力も加えつつ霞を斬りつけた。
「ふっ!」
霞はそれを屈んで回避する。
……当たれば大怪我だろう。仲間同士でよくもまあ。万が一がないように、艦娘にはダメコンを持たせてはいるが……。
ああ、ダメコンってのは、俺と工廠が作ったアイテムで、様々な観点……、魔法、呪術、科学などから、即死を回避、あるいは、一度の致死ダメージを無かったことにする装備だ。兎に角コストがかかるので、あまりストックはないが……、こんなところで使って欲しくはないな。
そんなことを考えている間にも打ち合いは続く。
「えい!!!」「やあっ!!!」
んー、派手な斬り合いだ。
カッコいいね。
「そこっ!!!」
おっと、野分が霞のティラノロッドを弾き飛ばした。
決まった、か?
「終わりです!!!」
「がああああっ!!!」
あっ、ふーん。
剣の腹を殴って弾きやがった……。
中々の神業、やるじゃん。
「やるわね、野分」
「霞さんこそ」
「でも……、私には届かない。アバレさせてもらうわよっ!!!」
霞の身体の白い牙状の物体が、鋭利に尖る。
アバレモードか……。
一時的な強化状態、野性解放的なサムシングだ。
「がああああっ!!!」
霞は獣のように、いや、龍のように吠えると、一息で間合いを詰めた。
「くっ、速っ?!!」
「りゃあああああっ!!!」
爪で引っ掻いて野分の艤装を切り裂く霞。
「ならばぁ!!コンボでぇっ!!!」
『ライオン!トラ!チーター!』
おっと、ここで野分はコンボを使ったか。
しかも、速度に特化したラトラーターコンボだ。
「せぇいやーーー!!!!」
恐るべき速さで接近した野分は、両腕のクローで交差するように切り裂く。
そして、同じく。
「ぐるあああああ!!!!」
両手の爪で交差するように切り裂く霞。
「「おおおおおおおお!!!!」」
……結果は。
二人の頬に切り傷が。
相打ちだ。
『引き分けです!』
これ以上はマジになっちゃうからね、仕方ないね。
二人とも全力は出してないみたいだが、本気ではあった。
素晴らしい勝負だったよ。
次だ。
「第四試合!曙対日向!!!」
「そう」
すると、曙の右腕が変異する。
黒い鉤爪を持った生物的なデザインの手甲に、だ。
「やるか」
対して日向は重武装。大剣、刀、手甲具足。
え?
やるの?
「始めっ!!!」
「「おらぁぁぁ!!!!」」
うおっ?!行った!!!
「「があああああああ!!!!」」
思いっきり手甲をぶつけ合う二人。怖っ。
作画がダイナミックプロみたいになってる。
ってか女の子の出す声じゃないよそれ。まるで獣の咆哮みたいだ。普段あんなに可愛い声してんのにどっからそんな声出してんの?
しかし、単純な破壊力なら、曙の方が有利だぞ。なにせ曙のジャバウォックは次元すら切り裂くからな。
いや、確か日向も……。
「シィッ!!!」
曙の攻撃を躱す日向。
「ジャバウォック!!!」
「次元斬!!!」
次元斬があったな。
次元を切り裂く必殺の剣技だ。
同じ次元の破断。エネルギー同士がぶつかり合って宙空で爆ぜた。
なんだあの火力ふざけやがって。
軽く見積もって俺が命を削って放つ必殺技の数倍の威力だ。
自分の弱さが悲しくなってくる。
「瑞雲ッ!!!」
そして瑞雲を即時召喚した日向は、
「行けェッ!!!」
五月雨の様に曙の頭の上から急襲させる。
「?!、チィッ!!!」
しかし曙は、獣の様な反射神経と驚異的な身体のバネでバックステップし、これを回避。
そして、回避と同時に瞬時に、手甲のジャバウォックに圧縮空気砲を展開、射撃する。
「喰らえッ!!!」
「喰らうかッ!!!」
だが、日向はこれを跳んで回避。
そこから、
「流星脚!!!」
急降下し蹴りを放つ。
ライダーか何かで?
「甘いィ!!!」
それを、容赦のないパンチで相殺する曙。
またもや、エネルギー同士のぶつかり合いで空間が爆発、火花が散る。
どうなる?
手札の多さで言えば日向だが。
技の数と武器の数は日向が上だ。戦艦であることを加味するとパワーや防御力もある。おまけにスピードだって速い。
しかし曙も負けてないぞ。身のこなしもそうだが、特筆すべしはその破壊力。ジャバウォックの鉤爪は一撃一撃が必殺なのだ。
つまりこの勝負、日向が多彩な技で削りきるか、曙が一撃入れるかなんだ。
さあ、曙の方が立ち直りは早かった。硬直が解けて先に動くぞ。
「斬れろ!」
「っぶな!」
風切り音と共に迫る五指の斬撃波をまるで瞬間移動の様な速さで躱す日向。
あの斬撃波、一撃でも当たれば勝負ありだ。
そもそも日向は戦艦にしては技量タイプで、殴り合いを良しとしない。
基本的に全弾回避し、隙をついて、若しくは隙を作って丁重なゴリ押しでぶち殺すタイプだ。
「スティンガー!!」
「それがどうした!!」
一方曙は臨機応変。日向のような理詰めではなく、その時その時、相手の動きによって戦法を変える。
まさに、高度な柔軟性を維持しつつも臨機応変に、を地でいくタイプ。
今は、日向の攻撃を相殺し続けることにより、日向にペースを握らせないように動いている。
「おらぁ!!!」
「くっ、次元斬!!!」
おっと、日向のペースが崩れた。
「そ、こぉ!!!」
「?!」
決まりか?
「……フッ」
口元に獰猛な笑みを浮かべる日向。
ああ、そうか、違う。
これは日向のブラフだ。
「終わりだ」
曙の背後に移動し、刀を抜き放つ日向。
「あんたがね」
おっとー?
しかしこれに気付いていた曙。
日向の刀を掴み取る、と同時に。
「ジャバウォック!!!」
殴りかかる!
「まだだッ!!!」
日向は刀を手放し、大剣の方で曙に斬りかかる!
「「ぐあっ!!!」」
ダ、ダブルノックアウト!!!
「そこまで!この勝負、引き分けです!!」
大淀の号令がかかる。
「「まだいける」」
「はいっ、落ち着こうな!」
二人の間に割って入る。
血の気多くない?献血でもして血ぃ抜いてきたら?
うーん、良い勝負だった。
実力は拮抗していたな。
名勝負なんだけど。
なんだけどさ。
なんか。
なんか違くない?
野分
ライダー。殺意が高い。
霞
ヒーロー。殺意が高い。
曙
ARMS。殺意が高い。
日向
魔剣士。殺意が高い。
旅人
人間の屑。殺意が低い。