と言うか、クソガキだったんで、宿題を出したことがまずない。
小中学校はまともに授業出てない(イキリ)。
だから大人になってから、歴史とか若干怪しかったり、暗算が遅かったり、支障が出てる。
義務教育って大事なんやな。
「はあ?自由研究?」
「そうだ」
はい、まあ、前回と同じパティーン。
「学校っぽいことをやるぞ」
「何でまた……」
秋雲が呆れたように言う。
「艦娘の情操教育の為に、な」
「それいる?」
「いる」
「はぁ……、同人誌で良い?」
「良いぞ。いっそ、次の冬コミに皆んな出してもらうか」
コミケは行った人は分かるかもしれないが、いかがわしい同人誌ばかりを売っている訳ではない。どちらかと言うと大人の自由研究みたいな内容が多いのだ。
グッズなども販売してるしな。
「オッケー、〆切は冬コミまでとかヨユーヨユー!」
「ああ、いや、原本は一ヶ月後には見せてもらうぞ」
「えっ、マジで?うーん、じゃあ全編カラーは無理っぽいなー、巻頭カラーで」
「全艦娘に告知したからな、頼むぞ」
そして、一ヶ月の時が流れた……。
さあて、見ていこう。
まずは秋雲。
『珍じゅぷ!〜やっちゃえ!大提督❤︎エッチな野望総集編!〜』
エロ同人誌だ。漫画単行本程の厚みがある。
……まあ、良いさ。
まだ常識の範囲内だ。
この程度、想定の範囲内だよぉ!
内容は、明らかに俺としか思えない男が、明らかに黒井鎮守府としか思えないところで明らかに艦娘としか思えない女の子達とセッ◯スしまくる直球エロ同人誌だ。
シチュエーションは多岐に渡り、陸奥らしき女の子との逆レ風味、秋雲らしき女の子との純愛、睦月型らしき子達との集団プレイなどなど。
まあ、良いさ、この程度。
次。
鳳翔。
『美味しい和食』
俺も手伝ったから分かるが、内容は料理本だ。
鳳翔オススメの美味しい和食の作り方が写真付きで解説されている。
主なメニューは、大根と豚肉の煮物、肉巻きえのき、やわらかチキンカツなどなど。
この本を作るには大分手古摺った。鳳翔は機械全般が全く駄目で、もちろんパソコンなんて使えない。よって編集は殆ど俺がやったのだ。文を書いたのは鳳翔だが。
いやー、一本指でたどたどしくタイピングする鳳翔は可愛かったぞ。
間宮、伊良湖、速吸も同じ要領で料理本を出した。
次。
加賀だ。
『東日本食べ歩き日和』
グルメ本、っぽいな。
東日本の美味しいお店を食べ歩き、無駄に豊富な語録で料理の美味しさを表現している。
五番町飯店、五稜郭亭、鳳寿司、日之出食堂などが高評価だ。
俺も知っているがあそこは美味い。
加賀の舌を信用して良いのかって?
あのね、うちの子達は皆んなかなりの大飯食らいだけど、味は分かってるかんね?
そもそも艦娘……、常人より優れた感覚を持つ超人なのだから、味覚が人間より正確でも何もおかしくねえよなぁ?
因みに赤城は西日本で食べ歩きしたそうだ。加賀の本とは対になっているみたいだな。
次、衣笠。
む、CDか……?
パソコンに入れてみる。
『あまラブ〜甘えてラブラブ❤︎提督との日常〜』
これは、ギャルゲ、か?
………………。
五時間後。
いや、どうやらこれは攻略対象が俺一人の一本道の乙女ゲームってやつだな。しかもエロありだ。むしろ女の子視点のエロゲと言った方が正しいかもしれない。
ヒロインの衣笠ちゃんが、攻略対象の俺と出会って、色々あって結婚、ラブラブ甘々な日常を過ごして、数年後、子供を連れて歩く俺と衣笠の後ろ姿が映ってエンディングだ。
これが正規ルートらしいが、他にも、衣笠ちゃんが監禁されてペットにされてしまうエンドや、子供を作らずに世界を旅して回るエンドなど、複数のエンディングがある。
CGは差分抜きで120枚程度、フルボイス。
そういや、台本渡されてそれを読んだ記憶あるわ。
挿絵は秋雲、音楽は那珂、シナリオは衣笠。
文章力は流石と言ったところで、並のシナリオライター以上。女性向けを意識しつつも男性も楽しめる。エロのパターンも豊富で抜きどころにも困らない。
ただ、一つ言わせてくれ。
……自分が主人公のエロゲをコミケで配る気か?
……正気か?
まあ良い、次だ。
那珂ちゃんは、と。
うん、予想通りCDだ。
あ、いや、DVDかこれ、DVDだ。
内容は、と。
ライブ映像とインタビューか。
因みに、インタビューしてるのは青葉。
それと等身大ポスターとシャツにカレンダー。
……アイドルの物販かな?
次、三日月か。
『農業日記』
趣味でやっている裏山の農業を日記にしたっぽい。スペシャルサンクス首輪付き。
次、菊月。
『武装理論』
艦娘の武装について詳しく書かれた本だ。
メインはプライマルアーマーの理論らしい。
次は……、明石。
明石は最初、「艦娘と人間との生殖実験なんていかがでしょーか!」と襲いかかってきたが、断っておいた。
結局何を作ったんだか、と言うと。
『縮退炉応用理論』
ふむ。
縮退炉がある前提で、その理論を応用した機械について触れている。
まあ、縮退炉が存在しない現代社会においては、やけにリアルな空想科学読本として受け入れられるだろう。
因みに、黒井鎮守府の地下には縮退炉が置いてある。
次、問題の白露型。
時雨。
『戯曲「黄衣の王」についての考察と検証』
……戯曲、黄衣の王についての考察と検証をした本。
常人ならギリギリSAN値チェック入るか入らないかの冒涜的オカルト本。
魔術について心得が有る者が読んだら、「おっ」となる内容だ。
まあ、コミケに魔術師が来るとは思えないが。
他の白露型も、怪しげな民族伝承や伝説について綴った邪悪なレポートが主だった。
海風はレポートに加えて自作の護符を売るらしい。
次。
電。
DVDだ。
再生、と。
『映像で分かる象形拳』
編集、青葉、と。
たどたどしい口調で象形拳の概要とコツについて説明しながら演舞を披露する電の映像だ。
可愛い女の子、しかもロリィタの功夫映像。これは売れる。
次、ローマ。
『オリジナルブレンド配合表』
ローマはコーヒーを淹れるのが趣味だったか。
美味しいオリジナルブレンドの配合表が書かれている。
所々に諸注意やコツなどが書かれているくらいで、問題はない。
次、千歳。
『地酒飲み比べの旅関東編』
関東地方で地酒を飲み比べしてきたらしい。
地酒の銘柄に、辛口甘口、キレ、香りなどなど、様々な要素をパラメータで表示し、感想レポートを書いた本になっている。
因みに隼鷹は九州編で同じような本を出していて、ポーラはワインの飲み比べをしていた。
この子達の肝臓が心配だが、健康診断では健康そのものだった。
次。
レーベ。
絵本だ。
『僕の騎士様』
……例によって、俺らしき人がなんか悪魔っぽいサムシングと戦って攫われたレーベらしき女の子を救う内容の絵本。
絵のタッチはメルヘンの一言だが、悪魔の絵のおどろおどろしい姿や血に塗れても絶対に倒れない騎士などからどこか恐ろしいなにかを感じ取れる。
次、川内。
『現代忍術学基礎』
忍術について記された本だ。
手裏剣の投げ方から分身の術まで、修行法などが書かれている。
次、足柄。
『暗殺術基礎』
暗殺術について書き連ねた本。
身近な物から危険物を作り出したりする方法、衆人環境の中バレずに暗殺する方法、ピッキング、人体の急所などなど、非常に物騒な内容。
北上は、と。
『とびっきりのクソ映画レビュー』
タイトル通りだ。
クソ映画をレビューしたもの。
シャークネードあるじゃん。サメ映画多め。
天龍は。
『内陸釣り日誌』
関東地方での釣りのポイント、コツ、道具などが詳細に書かれた釣り日誌。
笑顔の天龍が魚を抱えているだけで絵になるのに、その上実用性も抜群。
こりゃ売れますわ。
こんなもんかな。
じゃあこれを冬コミで、って事で。
俺?
俺は、そうだな、旅写真集でも出すか。
昔も旅写真集出したことがあるけど、割と売れたし。
この前の旅行の写真とかまとめて出そう。
旅人
たまにコミケに旅写真集を出す。かなり良い、貴重な写真ばかりなので、結構売れるとのこと。