旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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たまには短めに。大体三千字くらいにしたいといつも思ってる。

さてと、閑話の書きためしようっと。



あと、感想欄におっぱい大好きですとか書いたけど、誤解のないように言っておきますが、僕は変態でも、ましてやホモでもありません。故に、変態やホモの人はこのssを楽しめない可能性があります。


31話 なお、このテープは機密保持の為、10秒後に爆発する 後編

……………………あ、あれ?

 

こ、ここは?

 

ここはどこでありますか?

 

じ、自分は、大本営からの指示で、黒井鎮守府なるところへ転属されて…………?

 

そして、その後…………?

 

 

 

……『殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す』

 

……『ぶった斬るっぽい!!!』

 

……『島風からはぁ、逃げられないって!!!』

 

……『あの!死んじゃって下さい!!』

 

 

 

「あ、ああ、あああああああああ!!!!!」

 

悲鳴と共にベットから起き上がる。

 

……そうだ、自分は、殺されそうになったんだ!!凄まじい殺意に囲まれて、殺されるところだった!!!

 

……自分は、陸で喚ばれた艦娘で、だが不要と判断され、海軍の大本営に厄介払いされた。しかし、その大本営でも、陸の艦娘という理由で疎まれ、黒井鎮守府という悪徳鎮守府(と、聞いている)に転属させられた。……だから、今まで、殆ど実戦経験がない。

 

それでも、いや、だからこそ、あの殺気には耐えられない!!何だ、アレは?アレは何なんだ?!アレはまさに怪力乱神、いや、悪鬼羅刹そのものだ!!!

 

……しかし、何故、自分は生きている?……見るからに、医務室、といった感じの部屋にいる以上、あの世ではないだろう、多分。

 

その時、この部屋の扉が開かれる。

 

ま、まさか、あの時の奴らが追って来て……?!!

 

 

 

「あ、起きた?何か悲鳴聞こえたけど、大丈夫?」

 

「ひっ!!ごめんなさい!ごめんなさい!!…………あ、あれ?」

 

訳も分からず、慌てて謝ってみたが、いつになっても害されることはなかった。恐る恐る、顔を上げてみると……。

 

 

 

「あ、貴方は?……あ、ああ!あの時の!!!」

 

そうだ、思い出した!あの時、私が殺されそうになった時、私を助けてくれた……!

 

「あー、大丈夫かい?落ち着いた?」

 

「は、はいっ!!あ、あの、先程は命を救っていただき、ありがとうございました!!」

 

……あの時、最初は、あまりの速さに、何が起こったか分からなかった。だが、凄まじい速さで迫る悪鬼羅刹共より先に、このお方にこの身を抱きかかえられ、間一髪で生き残れたのだ。……もっとも、その後すぐに、何が起こったか理解し、恐怖のあまり情けなくも気を失ってしまったが。

 

「いーの、いーの、気にしないで。そんなことより、ほら、飯にしよう!」

 

そう言うと、このお方は自分の手を優しく握り、部屋の外へと導いた。

 

 

 

 

 

「その、どこへ行くのでありますか?」

 

「食堂だよ。お腹、減ったろ?もうお昼だからね」

 

……確かに、空腹ではあるが、まだ限界ではない。そして、艦娘を食堂に?いつも通り、投薬と古いレーションでは?

 

「あの、何故食堂に?私は艦娘であります。軍規が乱れるでありますよ?」

 

「……あー、君も、そういうアレか。もうね、そういうやりとりは810回くらいやったから。着いてきて、どうぞ」

 

そう言って、このお方は自分の手を引いて歩いて行く。……あたたかい手だ。とても、落ち着く。こうして、このお方が側にいることを感じられれば、あの時の恐怖を忘れられる気がする。

 

「はい、着いた。じゃあ、取り敢えず飯にしよう。鳳翔さーん、この子の分、頼める?」

 

「はーい、ただいま!」

 

あ、い、いる!自分を殺そうとした奴らが沢山!!

 

「大丈夫?怖いかい?……信じられないかもしれないけど、もう誰も敵意を持っていないから、安心……、して欲しいなぁ」

 

「で、でも……」

 

思わず、このお方に抱きついてしまったその時、奴らはこちらを睨んできた。

 

「ひっ!」

 

「ほらほら!睨まないの!あきつ丸ちゃんは何も悪いことしてないダルルォ?!」

 

自分を庇うように前に立つこのお方。……なんと言う……!強く優しく、誰からも必要とされなかったこの自分すら守る……!素晴らしいお方だ!!

 

そしてその上、見たことのない様な伊達男!!この様な、絵に描いたようないい男が存在していいのか?!

 

「いいか皆んな?あきつ丸ちゃんはスパイじゃない、本当にただの艦娘だ」

 

「提督、そうは言うが、証拠はあるのか?」

 

色々と際どい服の長髪の女が言う。

 

「まあ、状況証拠だけどねー。目線や手先の動き、足運び、持ち物、話術…………、どれも、一般人、若しくは軍人のそれだ。スパイらしさのカケラもないよ」

 

「何故分かる?」

 

「本職のスパイに知り合いがいてね……。まあ、名前は仮にEさんとしようか、そのEさんとは昔、モスクワの刑務所で出会ってね……。その後も色々と彼の仕事先で鉢合わせるようになって、スパイの動きは大体覚えたんだよ」

 

「だが」

 

「丸腰で、通信機も持っていないスパイがいるかい?……それに、仮にスパイだったところで、見られて困るものなんてないだろ?」

 

「……まあ、そう、だがな……」

 

「じゃ、良いね?……皆んなも、納得してくれた?」

 

方々から「はい」と言う返事。……成る程、彼がここの提督、鬼達を統べる王と言う訳か。納得できる強さだ。斯様な益荒男ならば、彼女らの様な妖魔の如き者共も頭を垂れるだろう。

 

……しかし、悪徳鎮守府と言うのは真っ赤な嘘だった。まあ、最初から信じてなどいなかったが。海軍の大本営などアテにならないものだ。大方、自分を厄介払いする為の方便だったのだろう。陸も海も、大戦の頃から全く変わっていない。

 

「……確かに、私達も頭に血が上っていたな。冷静に考えれば、やり過ぎたよ。済まなかった、あきつ丸殿。……だが、悪いが、まだ完全に信頼はできん」

 

敵意や殺意はないが、今度は訝しむような視線を向けられる。

 

「は、はっ、それは、これからの行動で信頼を得ていくであります!!」

 

「ふむ、その意気やよし!これからよろしく頼むぞ、あきつ丸殿!」

 

 

 

……確かに、恐怖はある。だが、あの大本営の様に、自らの出世と保身の為、足の引っ張り合いばかりの下卑た豚共の元に戻るくらいなら、例え鬼が隣にいたとしても、身を呈して他人を救える様な、勇猛果敢な男の下で戦いたい。

 

そうだ、どうせ、陸でも海でも、飼い殺しにされて緩やかに死ぬだけだ。ならば、自分の仕えたい人に仕えて死のう。

 

 

 

「それでは、提督殿!これから、よろしくお願い致します!!」

 

 




長門
真っ直ぐな奴には好意的。

艦娘達
理解はしたが、納得はしてない。

あきつ丸
陸軍ではその性能からいらない子扱い、海軍では邪魔者扱い。負けん気は強いので心は折れてない。でもやっぱり怖いものは怖い。

Eさん
何故か仕事先で旅人と良く会うスパイ。笑顔がステキ。

旅人
speech 100の上にlady killerのナイスガイ。

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