もう、もう、いきなり雪降ってくんねえかな、暑い。
今年も例年通り、白露型がイタクァを召喚し黒井鎮守府一帯に雪を降らせた。
そう。
クリスマスの時期だ。
『暖炉の火に焼かれる栗、雪の精が鼻をさする……』
「あら、The Christmas Song?センスが良いわね、分かってるじゃない」
「ん、ああ、アイオワか。俺ぁ、ナット・キング・コールが好きでね」
「その、提督って、趣味が古くないですか……?」
と、ベイ。
「あー……。まあ俺おじさんだからね」
「最近のバンドとかは?」
「んー、あ、WALK THE MOONとか、Vintage Troubleとか」
「……やっぱり、ちょっとセンスが古いですね。あ、いや!悪い訳じゃないんですよ!」
いや、俺がおじさんなのは仕方ないこと。
実質◼︎◼︎◼︎歳くらいだし。
さて、クリスマス。
うちの子達は皆、十二月頭に仕事を全部終わらせ、全員お祭りモードに入っている。
特に海外艦のオフっぷりは凄まじい。
基本的にオンオフしっかり切り替える海外艦は、オンの時は真面目で効率的に仕事をこなすが、オフの時は全力でリラックスして楽しむ。
良い傾向です(フラジール並感)。
艦娘の中には、常在戦場を掲げる子や、逆に常に手を抜いている子もいる。
そんな中で、オンオフを切り替えられる海外艦は働き方が好ましいと思う。
ほら、働き方改革?とか、なんかそういうのあるじゃん?プレミアムフライデーとか、なんかそんなノリで、休む時にはしっかり休んでな?
特に神通。
冬の山籠りって何?山籠りに季節関係ある?四季ごとに山籠りする気か?よりにもよって冬に?
やめようね!
……そんなこんなで、海外艦はクリスマスを楽しんでいる。
因みに、文化の違いからくる衝突は特にない。あまりそういうのにこだわらないのがうちの子の良いところ。
クリスマスプレゼントは俺から手渡し、サンタさん(に仮装した俺)からのプレゼントが渡される、という方式に。
言うまでもないが、海外でのクリスマスは家族と過ごす日。決してセッ◯スをする日ではないと明言しておくことも忘れない。鹿島がおもむろにコンドーム渡して来たからオラ何事かと思ってたまげちまったぞ(悟空)。
ではアメリ艦から見ていこう。
アメリ艦はアメリカンなので、クリスマスプレゼントを渡し合っている。
まあ、百人を超える鎮守府のメンバー全員にプレゼントを渡すという訳にはいかないから、親しい間柄同士で渡すなど工夫をしているっぽい。
俺にも渡さなくて良いと言ってある。クリスマスの度に百人を超える艦娘から一々プレゼントをもらっていたら、部屋がいくつ合っても足りない。
贈るなら食べ物とかにしてくれと頼んである。
クリスマスカードもしまう場所がないから書かなくて良いと伝えた。
皆んな渡したがっていたが、まあ、そこは我慢してもらおう。
「Admiral!はい、cookieよ!マミヤに手伝ってもらって皆んなで焼いたの!」
「おお、ありがとう……、うん、美味しいよ」
技術的にまだ甘い?一工夫でもっと美味しくなる?いやいや、プレゼントは気持ちこそ大事なんだろうよ。それに、十分美味しい範囲だ。
因みに、アメリカではクリスマスケーキというものは存在しない。クッキーだ。チキンも食べない。七面鳥だ。
後はキャセロール……、言うなれば鍋で作るグラタンみたいなの?を食べるのが基本的なアメリカのクリスマスなんだけど。
「Christmas cake!Deliciousね!」
クリスマスにケーキを食べる習慣を難なく受け入れ、ショートケーキをワンホール食べるアイオワ。
まあ、本人が楽しいならそれで良いんじゃない?
ドイツ艦。
ドイツはね、クリスマスマーケットって言って、クリスマスに開かれる市場があるのよ。そこで家族でお買い物するのがドイツ流なんだよね。
と言う訳で、前日にドイツ艦他希望者を連れてドイツのクリスマスマーケットに行って来たんだよ。
本人達は楽しめた、とのこと。
そう、それで、クリスマス当日は家族と過ごす……、まあ、ここはどこも一緒だな。
そして料理はガチョウのローストやシュトーレン。
美味しいぞ!
それといつも通りポテトとソーセージ。
いや、いつも食ってんじゃないの?と思うかもしれないが、本人達の希望と、ポテトとソーセージはパーティ向きと言うこともあり、大量に作った。
つーか、ドイツ人自体、そんなに食事に執着してない。
朝シリアル、昼ソーセージとジャガイモ、夜パンとチーズ、くらいで済ませるからな。
まあでも、うちのドイツ艦達は日本に来てから随分グルメになったし、食べる量も多いので、結構こだわっている。
続いてロシア艦。
彼女達にとって、今日、12月25日はクリスマスではない。
それもそのはず、ロシア正教のクリスマスは1月7日なのだ。これは、ロシア正教がグレゴリオ暦ではなくユリウス暦を使っているからだな。
でも、その辺は空気を読んで、こちら側のクリスマスを楽しんでくれている。
一応、豚のローストだったり、キャビアだったり、ロシアのパーティ料理も出してはいるが。
「うん?楽しんでいるぞ?日本のクリスマスはそう言うものなんだろう?В чужой монастырь со своим уставом не ходят.と言うじゃないか」
とガングート談。
郷に入っては郷に従え、か。
なるほどそうだな。
イタリア艦。
まあ、特に変わったことはない。
クリスマスは家族と過ごす日、だから家族である提督や艦隊の皆と過ごすんだ、だってよ。
いや、ちゃんとコース料理出すよと言ったんだが。
イタリアが、
「ああ、別に立食パーティーで良いですよ。私達、家族であると同時に同僚ですし、会社のパーティーだと思えば」
と辞退。
いや、クリスマスくらいちゃんと作るよ?でも良いって言うから、普通にいつも通り立食パーティーでやるけど。
ローストチキンを量産した。
一人で何個か食べるから皆んな……。
ブルスケッタとかピンチョスとかパネトーネとか。
パスタも色々と。
しかし、イタリア艦も大分日本に慣れてきたな。最初ナポリタンを見た時なんとも言えない顔してたが、今では普通に食べてるし。
リベはむしろ好きだとよ。
「パスタにケチャップって、最初は驚いたけど食べてみると美味しいね!あ、あと、黒井鎮守府にはちゃんと沢山チーズ置いてあるから嬉しいよー!」
あと、食事中にお茶飲むのとかも「えぇ……(困惑)」みたいな顔をする。イタリアでは食事中は水かアルコールだからな。
食後にカプチーノを飲んでいる人を見かけると、見なかったことにするそうだ。
イギリス艦。
前に気になって一度聞いてみたんだけど、君達はスコットランド人なのか北アイルランド人なのかウェールズ人なのかイングランド人なのか、と。
そしたら、ウォースパイトもアークロイヤルもジャーヴィスも頭を抱えて、「全部の記憶がある」と答えた。
恐らく、これは俺の予想だが、艦娘は艦の記憶から出来ていて、その、艦の記憶とは、乗組員の記憶である、と。
初めから、基礎的な自国の文化や歴史、料理の味を知っているのも、ある程度の学もあるのも、全部乗組員の記憶を基にしているのだろう。
しかし、当時の軍人、乗組員となると、国中から集められた人間になる。
そんな国中の人間のぼんやりとした記憶を持つ艦娘には、自分がどこ出身なのかいまいち分かってない、と言うか気にしてない。
強いて言えば、自分が作られた造船所がある地を出身地と言う場合が多い。
まあ、つまり、イギリス艦は皆んなイギリス人、とくくって問題ないってことだ。
料理は……、七面鳥、ローストビーフ、サーモン、クリスマスプディングなどなど。
しかし、イギリス艦は全員、日本食の方が好きとのこと。
「良いかしら、Admiral。イギリスに料理なんて高尚なものはないわ。あるのはただ、殺人的に不味いフィッシュ&チップスだけよ。私はもう食生活的にイギリスに帰りたくないわ」
とウォースパイト。
好物は唐揚げ。
「この鎮守府に来て気付いたんだが、ウナギのゼリー寄せは人類の食べ物ではないな」
とアークロイヤル。
好物は肉じゃが。
「祖国には帰らないわ。あんなに料理が不味い国は信用できないもの」
とジャーヴィス。
好物はオムライス。
フランス艦。
マルシェドノエル、クリスマスマーケットにも参加して、クリスマス当日。
やっぱり家族と過ごす日。
沢山の家族と過ごせてとても幸せ、だってさ。嬉しいこと言ってくるじゃないの。
でまあ、やっぱり七面鳥。他にもシーフードやらフォアグラやら、良いものを沢山。
今回のビュッシュドノエルは自信あるぞお、と伝えたところ、とても楽しみ、ありがとうとのコメントをいただいた。
あとはシャンパーニュのお高いやつと生牡蠣を用意。
関係ないけどオシャレ艦の熊野や陸奥も喜んでた。
日本艦。
未だにクリスマスをよく分かってない子がいらっしゃる。
神通が神妙な顔をして、「提督、今日、さんた、なる侵入者が現れるとの噂が……」とか言ってた。笑った。
基本、和風っぽい艦娘はクリスマスがなんなのか理解してない。
「ふむ、あれだろう、神が生まれた日なのだろう?」
と長門。
「えぇ?洋酒が飲める日でしょ?なんかのお祭り?」
と隼鷹。
「え?クリスマス?……なんの日なのかしら?」
と神風。
まあ、良いんじゃない?
料理は、鳳翔が張り切って作った。
和食を。
鳳翔もいまいちクリスマスを理解していない。
基本的に神様が一人と言うのがいまいちわからないらしい。
万物に神様は宿っている、とのこと。
まあ、そんな感じで、クリスマスは艦隊の皆んなと……、家族と過ごした。
………………。
あ。
『兄さん、私を忘れるとは酷いな』
「ご、ごめんね花凛」
妹忘れてた……。
旅人
長年の旅の影響でイベントはやりたい放題やる。毎日が夏休みみたいな男。