旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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え?

お正月の前にやれって?

うるせー!知らねー!

final
fantasy

……いや、ちょっと投稿順ミスりました。

お正月回の前にあった出来事と思ってください。


314話 冬コミ

「冬コミやぞ」

 

予告通り、冬コミに出る。

 

この前に艦娘達にやらせた自由研究をコミケで発表する。

 

もちろん赤字覚悟の出版だが、あいにく金はある。

 

前日の会議では、人殺しだの暴力沙汰だの面倒は起こさないように言いつけておいた。

 

問題はない、と信じたい。

 

頼むぞ。

 

 

 

会場にて。

 

俺は守子ちゃんに売り子を任せて、うちの艦娘達がちゃんとやれてるか見回りをすることにした。

 

「じゃあ、任せるよ守子ちゃん」

 

「はい!任せて下さい!私、コンビニでバイトしてたことあるんで、これくらいは大丈夫です!」

 

うんうん、守子ちゃんは頼もしいな。

 

常識人枠はこういう時強いよー。

 

え?

 

本は買わないのか?

 

いやあ、今回は良いかな、そんな暇ないし。

 

でもたまに掘り出し物とかあるから同人業界は本当に分からないんだよなあ。

 

さて、見て回ろうか。

 

因みに、艦娘達は皆、珍しく艤装の服で来ている。

 

コスプレっぽくて良いんじゃない?と提案したからだ。

 

普段は皆、鎧だったり狩装束だったり、はたまた私服のシャツだったりと、服装は自由にさせている。

 

水着姿で出撃した時は流石に舐め過ぎでは?と思ったが、その数時間後に返り血まみれで帰ってきたのを見て全てを諦めた。

 

そして、うちの艦娘は……。

 

「良いですね、何のコスプレですか?」

 

「うーん、艦娘のコスプレかしら」

 

「カンムス?漫画?アニメ?」

 

「史実、かしら?」

 

「史実?まあ良いや、写真良いっすか?」

 

オタクの皆さんに絡まれている艦娘達。

 

まあ、無害だしいいんじゃないですか?

 

別に写真撮られるのが嫌なら艦娘自身が断るし。断っても無理やり撮ってきたなら止めるが。

 

「写真?まあ、別に良いわよ、好きに撮ってもらって。慣れてるし」

 

「あ、ひょっとして本職はモデルとか?慣れてる感じしますもんね!」

 

「いえ、軍人よ」

 

「えぇ?!そうは見えないけど……」

 

早速、カメラを持った人に絡まれてる陸奥のところへ顔を出す。

 

「よう、陸奥、どうだ?」

 

「あら、提督。そこそこね。それより、写真を撮りたいって人が多いわ」

 

「そうか、撮らせてんの?」

 

「ええ、ジロジロ見られるのは慣れてるわ」

 

まあ、観艦式とかやっただろうしねえ。写真撮られて新聞に載ったりもしたろうし、慣れてる、のかね。

 

「あの、本下さい」

 

「ええ、五百円よ」

 

因みに、陸奥が出した本は写真集だ。自分の。

 

陸奥は正直言ってハリウッドレベルの美女なので、写真集は着々と売れている。

 

割といやらしい目で見られているが、陸奥は気にしていないようだ。

 

陸奥は自分が魅力的な女だと理解しているから、いやらしい目で見られるのは仕方ないと割り切っているそうだ。

 

本当に良かった、いやらしい目で見られたから殺すとか言いださなくて。

 

「いやらしい目で見られるのは不快だろうけど、だからって殺したりはしないようにね」

 

「うーん、愛宕辺りならやりかねないけれど、私はあんまり気にしてないわ。だって、虫けらに見られて怒りが湧くものかしら?」

 

んんーん、君の中では人間は虫けら、と。

 

「は、ははは、流石に虫けら扱いは酷いんじゃないかな?」

 

「あらあら、全ての人間がそうとは言ってないわよ?一定以上の、何かしらの技能を持つ人間には敬意を払うわ。でも、それ以外のゴミは……」

 

ふむ。

 

黒井鎮守府は実力主義だ。

 

弱者を、才能もなく努力もしない者を酷く蔑む傾向にある。

 

特に、何も知らないくせに鎮守府解体を迫る政治屋や反戦団体、バカな学生などには愛想が尽きているそうで、黒井鎮守府の皆んなは、そういうやつらを人間として見ない。

 

艦娘はそもそもが人間じゃないし、肉体も頭脳も人間を遥かに超えた超越種なのだ。人間を下に見るのも仕方ないのかもしれない。

 

昔、新しい血族を名乗る超人集団と争ったことがあるが、あんな風に人間を殺しにかかることのないように、俺が手綱を握る必要がある。

 

手綱を握る、かあ。犬じゃねえんだからさあ、勘弁してくれよ全くよぅ。

 

「陸奥、人間は馬鹿も多いけど良い人だっているんだ、人間そのものを嫌いにならないようにな」

 

「ええ、それは分かっているわ」

 

 

 

見回りを再開する。

 

「お嬢ちゃん写真良いかな?」

 

「セーラー服?可愛いね」

 

「似合ってるよ」

 

「は、はわわ」

 

おーっと?

 

可愛い可愛い俺の電ちゃまがロリコンニキ達に絡まれとる。

 

いかん、このままではオフパコされてしまう!

 

ん?まあでも、電が幸せならそれで良いんじゃないかな?俺に独占欲とかは別にない。

 

「電、モテモテだな」

 

「あ、あの、嬉しくは、ないです」

 

そうなの?

 

男女問わず、モテると嬉しいと思うんだけど。

 

「あれかな、言い寄られるならイケメンが良いってこと?」

 

「いえ、私は司令官さん専用なので」

 

んー?

 

「そ、そっか、嬉しいよ、ありがとね」

 

さて、電のDVDは売れてるかな?

 

……おお、結構売れてる。

 

やはりロリ効果か。

 

 

 

「……で、あるからして、この民族伝承のひょうひょう虫とは、シャンであることが推測できるよね。シャンって言うのは、遥か遠くの惑星、シャッガイからやって来た鳩ほどの大きさの虫型知的生命体で……」

 

「……つまりこの、◯◯県◯◯市◯◯村の1856年9月に記録された大コウモリとは、ビヤーキーの事を指していると推測されます。ビヤーキーとは……」

 

「……要するに、この伝承に現れた神話的存在は、察するところショゴスでしょう。ここに、『I heard a strange sound.Tekeli-li, Tekeli-li.』とありますが、これは完全にショゴスの鳴き声を……」

 

青い顔をする人々の前で、見本の本を開いて見せながら、講釈をする白露型。

 

白露型は、各国の民族伝承に見られる神話的存在の特徴から、それの正体は何か調査して来たらしい。

 

フィールドワーク楽しかったってさ。

 

夕立はアメリカのインスマスに態々訪れて実地調査したとか言ってるし。

 

具体的に何を出したかって言うと、村雨が、◯◯県◯◯市◯◯村のひょうひょう虫と言う大きな虫が出た時、人々の気が狂うという伝承を、シャッガイという星から来た昆虫型知的生命体の仕業だと主張。

 

春雨が、◯◯村の大コウモリ伝説の正体をビヤーキーだと主張。

 

海風が、◯◯州◯◯町の都市伝説であるテケリリと鳴く黒い影をショゴスだと主張。ついでに魔力を込められたエルダーサインが刻まれた護符を販売。

 

他にも、黄衣の王についての本、ヤーナムの上位者達の考察本、ルルイエ語の入門本、簡単な呪文の本、脳科学と魔力の本、深きものどもの生態調査本などなど。

 

どれも発禁ものだが、こういう本が売れるのがコミケの良いところだ。

 

因みに、白露型の可愛い見た目でホイホイされたオタクの方々、オカルトオタクの方々はあまりの冒涜的内容に真っ青になっている。

 

まあでも、白露型は人の精神や脳の動きについて極めて詳しいからな。ちゃんと出す情報を絞って、精神崩壊者を出すことなく本を売っているみたいだ。

 

この後白露型の本がその手のオカルト愛好家にかなりの額で売れるようになるのはまた別の話。

 

 

 

「スケブお願いします!」

 

「はいはい、そこ置いといてー」

 

オータムクラウドこと、秋雲は大人気だ。

 

本もかなり売れている。

 

「オータムクラウド先生を撮っても良いですか?!」

 

「へっ?わ、私?良いけど、別に可愛くないでしょ?そうだ、今日は他の艦娘の子が来てるから、どうせ撮るなら他の子を」

 

俺は秋雲の肩を叩く。

 

「ノー、秋雲は可愛い。とても可愛い。皆んな大好き秋雲。OK?」

 

「ふーん、そうなの?」

 

「いや、僕達もオータムクラウド先生は可愛いと思いますよ?」

 

と、ファンに褒められる。

 

「もー!煽たって本は安くならないんだからねー?」

 

でも、そんなに嬉しそうじゃないな。

 

これはマジで褒められてると思ってないな?

 

まあ、俺は誰にでも可愛いって言うから褒められてる気がしないって感じなのかね。

 

 

 

よしよし、こんなもんか。

 

黒井鎮守府コミケ作戦は普通に成功。

 

良い結果を残せたと思うよ。

 

この調子で艦娘の社会復帰目指そうか!

 




旅人
旅写真を売った。割と売れた。

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