旅人提督の世界征服までの道程   作:ハードオン

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希望があったジョジョ会。


321話 漫画家に会いに行こうッ!!

『やあ、旅人君』

 

「ああ、露伴先生。久しぶり。何?」

 

『君、最近、色々とやっているらしいそうじゃあないか……』

 

「そりゃあ、提督やってるけど」

 

『単刀直入に言おう。取材がしたい』

 

「……いや、軍事機密とかあるんで」

 

『ああ、もちろん、もちろんだが、手に入れた情報を言いふらしたりはしないと、『約束』しよう。僕は約束は守る方だ』

 

「……見られると困るんだけど?」

 

『責任は僕がとるとも、気にしないで君はウチまで来てくれ。ああ、そうだ。艦娘、ってのも見てみたいなあ、二、三人連れて来てくれ。それじゃ』

 

「あっちょっ……、切れた」

 

……はー、しゃあねえ。

 

観光も兼ねて、行きますか。

 

M県S市、杜王町に。

 

 

 

さて、艦娘を連れて来いとのことだったが。

 

十中八九、「本にされる」ので、俺以外の男に触られてもプッツンしない子を連れて行くべきだ。

 

由花子ちゃんみたいにプッツンする子が多いからなあ、ウチは。

 

人殺しや違法行為も何とも思わないし。

 

まず……、駄目なのは大淀、雲龍、春雨、陸奥、愛宕、大和、潮、羽黒、神通、榛名……、ん?んんん?大半駄目だぞこれ?

 

あー、えっと、まともな子、いや、この際まともじゃなくてもいいからサイコパス味隠せる子……。

 

ん、む、あ、足柄?は比較的まとも、か?急に殺したりはしないし……、後、時雨、は自分のサイコパス味隠せる子だし。それとあきつ丸も良い方だな。

 

俺以外の男に触れられたから即座に殺しにかかるようなことはしない、だろう。

 

と言う訳で三人にはあらかじめ声をかけておいた。

 

「さあ、行こうか」

 

「「「はい」」」

 

まあ、この三人なら大丈夫だろう。

 

ついでに、杜王町の名所を回って一泊二日。

 

ちょっとした出張ですだよ。

 

 

 

杜王グランドホテルに荷物を預けて、そのまま町へ。

 

「いやあ、M県は良いな、飯も美味いし」

 

特産品の牛タンの味噌漬けが美味いんだよなー。

 

「?、宮城県仙台市よね?」

 

「いや、明記はされてないからそこんとこはボカす」

 

「そ、そうなの?」

 

足柄、大人の事情だ。

 

「それで、具体的には何をするんだい?僕は、本にされるとしか聞いていないんだけれども」

 

「そのまんまの意味よ」

 

「ふむ……?」

 

顎に手を当てる時雨。

 

「まあ、死んだりはしないから安心して。……まだ時間あるし、ちょっと観光して、飯食ってから行くよ」

 

「まあ、自分達は、全て提督殿にお任せするであります」

 

と、あきつ丸。

 

そうかい。

 

 

 

観光、って訳だが……、観光地ではない杜王町。

 

うーん、そうだなあ。

 

「あっ、そうだ、ほら、この岩」

 

「何それ?何だか、人の顔みたいね」

 

微妙な顔をする足柄。

 

「これね、アンジェロ岩って言うの」

 

「アンジェロ岩ァ〜?何よぉ、それ〜?」

 

む、足柄はお気に召さないか。

 

「は、ははははは!何だい、それは!何だい、提督!」

 

おや、時雨には受けた。

 

「どうやったんだい、これ?人と岩をこねくり回すだなんて、面白い発想だね!いや、この発想はなかったよ!凄く面白いじゃあないか!」

 

オリジナル笑顔の時雨。時雨はまあ、人体実験とかやってるし、そういうエグい話が大好きだ。

 

「ふむ……、人体を岩と合成したと?何故?」

 

あきつ丸が尋ねてくる。

 

「ああ、こいつね、アンジェロっつーんだけど、犯罪者なんだよね、死刑相当の。とあるスタンド使いの怒りを買って、結果的にこうなった」

 

「全然分からないでありますな……」

 

「だからその、スタンド使いだよ」

 

「?」

 

ああ、そこからか?

 

「スタンド……、精神力のビジョンのようなものだ。まあ、一種の超能力だな。これをやったスタンド使いは、触れたものを治す能力を持っている」

 

「成る程、面白いでありますな」

 

「ふふふ、良いなあ、面白いなあ。そういう貴重な素体で実験してみたいものだね」

 

時雨は、スマホで写真を撮り、脳内の瞳を使って軽く検査すると、メモ帳にメモを書いていた。

 

 

 

後は、この近くなら……、鉄塔。スーパーフライか。

 

「ほら時雨、あれ見てみ?」

 

「どれどれ……、へえ!こっちも面白いね!呪いかな?」

 

「いや、あそこに人がいるだろ?あの人のスタンドだ」

 

「これは……、成る程、同化しているのか!その上、あれは……、僕の見立てだと、攻撃を反射、するような?」

 

「ああ、そうそう。あの鉄塔は、自身への攻撃を反射するようになっているよ」

 

「ふむ……、スタンドとは、精神エネルギーのヴィジョンだと聞いているけれど、あれ、本人に制御できていないんじゃないかな?」

 

「あー、そうみたいね。色んなスタンドがあるから」

 

俺が見たものの中では、船になるスタンド、戦闘機のスタンド、鮫のスタンドとか、人型かどうかとか関わらず、色んなのがあるな。

 

「それは面白いね、ぜひ見て見たかったよ」

 

「そうだねえ、これから会いに行く露伴先生もスタンド使いだから、見せてもらえるよ」

 

スタンドってのは、波紋とかの精神や自然のエネルギーを使える人間には見えるものみたいだからな。魔術を使える時雨なら見えるかもな。

 

「え?つまりどういうことよ?あそこの鉄塔にいる人は何なの?」

 

足柄が首を傾げる。

 

「ああ、あれ?あの人、あそこに住んでるの」

 

「はぁ?!住んでるって……?どう見たって廃棄された電波塔じゃない?!」

 

「いや、あれね、本人のスタンド能力で、あそこに縛り付けられてるの。鉄塔から出れないの」

 

「何それ、呪い?」

 

 

 

「さて、飯にしよう。スゲー美味い店に予約しておいた」

 

「……イタリアンレストラン『トラサルディー』……、ここ?」

 

ああ、そうとも。

 

めっっっちゃくちゃ美味い。

 

隠れた名店だ。

 

「うーん、イタリアンなら、提督の方が上手いんじゃあないのぉ〜?」

 

「いや、ここには勝てない。無理」

 

「そんなに?」

 

「それだけの価値はある」

 

「ふーん……。あれ?メニューは?」

 

「ああ、ここの店主は、客が一番食べたいものを出すから」

 

「おまかせ、って訳ね。相当自信があるってことかしら」

 

「いや本当に……、それだけ美味いんだよ。あ、後、時雨」

 

「何だい?」

 

「ここの店主もスタンド使いだけど、攻撃の意思はないから、暴力は振るうなよ?」

 

「へえ、そうなんだ。料理に作用するスタンド、ということかな?」

 

「まあ、そんな感じ。さて、と……、トニオさーん、旅人ですー」

 

「いらっしゃいマセ、旅人サン……。食前酒は『いつもの』ですね?」

 

「そうそう、よろしく」

 

 

 

「ゥンまああ〜いっ!!!」

 

「凄っ、何これ、美味しい!!」

 

「おや、本当に美味しいね」

 

「おお!素晴らしい味であります!!」

 

 

 

さて、腹も膨れたところで。

 

「露伴先生ー、来たよー」

 

「来たか……!」

 

この、面白いセンスのヘアバンドの男。

 

漫画家、岸辺露伴さんである。

 

クッソ気難しい上に変人なので、相手するのに苦労するが、俺を、「世界で一番価値のある資料」として、よく呼びつける。

 

「こちら、艦娘の、『足柄』、『時雨』、『あきつ丸』」

 

「ふむ、彼女達が、艦娘か……」

 

スタンドを出す露伴先生。

 

あっ、この野郎。

 

『ヘブンズ・ドアー!!!』

 

だけどまあ。

 

「馬鹿なっ!『三人とも消えた』ッ?!」

 

「露伴先生、後ろ見てみ?」

 

「『後ろ』だと?」

 

ヘブンズ・ドアーに触れられる前に即座に反応し、視界外へ移動したのだ。

 

ウチの艦娘はそれくらい平気でやる。

 

「……なんてことだ!あの一瞬で僕の背後へ?」

 

「それくらいはやれるよ、ウチの子は」

 

「はは……、ははは!凄いじゃないか!これは内容にも『期待』できそうだ!」

 

 

 

そのまま部屋の中に案内された。

 

「さあ、旅人君。まずは君からだ。『ヘブンズ・ドアー!!!』」

 

すると、俺の肉体はばらけて、本になる。

 

「て、提督?!大丈夫なのそれ?!……いや、大丈夫ね、この前自爆した時なんてほぼ肉片から再生したものね」

 

足柄が胸をなで下ろす。

 

「ふむふむ……?、『艦娘はセクハラされたがっている』?、最低だな君は。『深海棲艦』、おお、これが……。『働きたくない』、働け。『幻想郷で旅行』?、これは凄い!こんなところがあるのか!!」

 

いやん、見らちゃった。

 

「ふむ、では……、次は足柄さん。取材に協力してくれないか?」

 

「まあ、良いけど……、スリーサイズとかは見ちゃ嫌よ?」

 

「もちろん、そういう情報には極力触れないと約束するよ。それじゃ、『ヘブンズ・ドアー!!』」

 

足柄の手が本になる。

 

「『アサシン教団』、『暗殺計画』、『国外逃亡の段取り』……!!!素晴らしい!現役の暗殺者の資料が見れるだなんて!!」

 

「あっ、そういやそうだ。露伴先生、これ、絶対に誰にもバラしちゃ駄目よ?知っていると知られた時点で命を狙われるから」

 

「もちろん、情報を得る立場として、その価値や危険性は分かっているさ」

 

興奮した様子で読み進める露伴先生。

 

「次は時雨君だ。良いかな?『ヘブンズ・ドアー!!』」

 

時雨、本になる。

 

「『秘儀』、『魔術』、『上位者』、『啓蒙』、『外なる神』……!!時雨君は、『魔法使い』かっ!!良いぞ……、素晴らしい資料だ……!!このグロテスクな地球外生命体のデザインは、僕の漫画で活きる!参考になるじゃあないか!!」

 

「あまり見過ぎると気が触れるよ」

 

「……確かにそうだ。言われて気づいたが、『冷や汗』をビッショリとかいていたッ!!『邪神の記録』!知り得るにはあまり連続して見てはいけないな」

 

軽く深呼吸して、精神を安定させる露伴先生。

 

「では、次だ。あきつ丸さん、よろしく頼むよ。『ヘブンズ・ドアー!!』」

 

あきつ丸も本にされる。

 

「『間合い』、『龍狩り』、『大ふへん者』、『穀蔵院一刀流』……。成る程、武術の達人、ってやつか!これも良いな。『他の艦娘との戦闘データ』まである!」

 

………………

 

…………

 

……

 

露伴先生は、本にした艦娘達をある程度読むと、人数分のサイン色紙を渡してくれた。

 

時刻は夜中だ。

 

「素晴らしい資料だった。これを元に、読み切りを何本か書こうと思っている……。それじゃあ、これから早速仕事だ。帰ってくれ」

 

呼びつけておいて、事が終われば帰れとは。

 

まあ、帰るけどさ。

 

「で、どうだった?」

 

「「「提督(殿)と一緒ならどこでも楽しい(であります)」」」

 

そう。

 

まあ、楽しめたなら良いんじゃない?

 

今日はもう遅いし、一泊してから帰るか。

 

杜王町、いい町だ。

 

殺人鬼もいなくなったしな。

 




時雨
超一流の魔法使いにして狩人。黒井鎮守府最強の一角。趣味は探求と解剖。

足柄
アサシン。一流の暗殺者。卑怯な手を使うのが得意。

あきつ丸
武士。武道の達人。

岸辺露伴
漫画家にしてスタンド使い。

旅人
旅人。スタンド使いではないが、スタンドを見ることができる。

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